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皆さん、こんにちは。杉田まりこと石川由加子です。
Good News for Citiesは、都市・建築・街づくりに関する様々なグッドニュースをザックバランに話す番組です。
今回のポッドキャストは、東京大学連携研究機構・不動産イノベーション研究センタークレイと
フォーシティーズが共同で作った雑誌、『Regenerative Commons – 場所と地球がつづくための関係づくり』のインタビューを特別に収録したものです。
ゲストは、書籍『気候民主主義、次世代の政治の動かし方』の著者である三上直之さんにお越しいただきました。
気候変動と民主主義を同時に考えるとは何か、お話をお伺いしてきます。
はい、じゃあ三上さん、よろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
まず、今までと今現在の研究内容についてお話しいただけますか。
はい、私は専門分野は環境社会学っていう分野で、これは広く言えば人と自然の関わりを社会学的な、だから特に人間の制度だとか行為だとか、さまざまな運動だとか政策だとか、そういう観点から研究していくと。
でも社会学ですので、実際に人々がそれにどう取り組んでいるかということを、現場で話を聞いたりとか、アンケート調査をしたりして、証拠を集めながら明らかにしていくっていう、そういう分野の研究をやっています。
それで、もともとはですね、特に人々がどうやって環境問題解決する取り組みに参加できるのかと。
どのように、例えば環境政策を作っていく取り組みに、市民が特に話し合ったりして参加できるのかっていう、そのやり方に関心を持ってずっと研究をしてきてまして。
特にその中でも、一般の人たちが集まって、我々市民会議とか参加型会議って言うんですけれども、そういう場で議論をしながらどうやって環境についての取り組みを作っていったりとか、それから話し合っていったりとか決めていったりすることができるかと、そういうやり方について研究をしています。
ありがとうございます。個人的にも気になるところなんですけど、三上先生のプロフィール経歴を背読させていただいたときに、一度社会人で出版社に勤められてから、もともと文学部で、それから環境社会学に移られたっていう書いてあったんですけど、そもそも社会人経験を得てから、
なんで、環境社会学の分野にそもそも興味を持つようになったのかみたいな、きっかけというか原風景みたいなのがあれば、ぜひ聞いてみたいなと思いました。
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それはですね、もともと学部の専攻も文学部なんですけども、文学部の社会学科というか、正確には社会学専修課程っていうところだったんですけど、文学部の社会学科ですね。
そこで、私が行った研究室っていうかゼミは、地域の研究を主にやっているゼミで、そこでの私の卒業論文のときのテーマはですね、地域に原子力発電所を作る計画がずっとあるんだけども、
それがなかなか誘致した方がいいという人と反対だっていう人が、地域の中で対立してて、なかなか決められないっていう状態にあったときに、その町の人たちが住民投票をやって決めようっていうことを考えて、
実際、自分たちで住民投票を自主管理で行って、その先に町に正式に住民投票を行わせるっていうことをやったっていうことが、1990年代の中頃にあったんですね。
これは今、新潟市に合併されてなってしまいましたけども、新潟県牧町っていう町に東北電力が原子力発電所を作ろうとしていた計画をめぐるもので、結局ですね、これ住民投票で作らない方がいい、誘致しない方がいいっていう意見が多数を占めて、その後、いろいろ意を曲折があって、今世紀になってから原子力発電所を作る計画は正式に中止されるんですね。
私が卒業論文で調査してたのは、まさにその住民の人たちが、実はですね、町に対して住民投票をやるべきだっていう要求をするんですけども、それを町がやらないと言って、自分たちで、じゃあということで、プレハグ小屋を建てて、事務所を作って、そこは投票所にもなるんですけども、自主管理で住民投票をするっていう、そういうプロセスをちょうどやってるときに、
私、大学4年生でしたけども、現地に訪問して調査をさせていただいたっていうことがありました。
それがきっかけになって、どうやって普通の人たちが、地域だったりとか国だったりの大事な意思決定に本当の意味で参加するっていうことができるのかっていうのが、もともとそういうテーマにいろいろ理由があって、関心はあったんですけれども、とても関心はあったんですけども、特にですね、研究って意味で自分の振り出しはそこですかね。
それを大学4年生のときに、そういう卒業研究をやらせてもらったので、何かそれに続くような仕事っていうかはしたいなとずっと思ってはいたんですね。
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それで、大学院で研究をするっていうことはずっと関心がありましたんで、学部卒業して会社に勤めるんですけども、途中で研究って形で自分が考えてたテーマをもう少し深めてみたいと思うようになりまして、それで大学院に進学したっていうことです。
なんで環境だったのかっていうのはですね、これはどこまでお話しする意味があるかわかりませんけども、実はですね、社会学の大学院にそれで入ろうと思って進学先を探してたんですけども、ちょうどですね、探してるときにタイミングよく自分が受験できる大学院が環境学の大学院で、そこで社会学的な環境問題に対するアプローチの研究もできるっていうことがありまして、
それならばということで、もともと特に別に自分自身は環境を学部のときも必ずしも専門にしてたっていうふうに思ってなかったんですけれども、すぐに進学できるんだったら受験してみようと思って、それで受験して幸い受かったのが環境学の大学院だったっていう、そんな理由です。それで環境の社会学っていうのをやるようになったっていうことです。
ありがとうございます。原風景の話、すごい興味深かったです。早速、気候民主主義についてもお話をお聞きしたいなと思うんですけど、我々も読ませていただいた三上先生の著作で、去年の2022年5月なので、ちょうど1年前ぐらいに出された気候民主主義、次世代の政治の動かし方っていう本があるんですけど、
気候危機っていうものと民主主義の危機っていう、全く一般的には結びつけて考えられていない2つの事項が一緒に語られていて、とても興味深いなと思って読んでいたんですけれども、気候民主主義って、そもそもどんな定義で三上先生は使われているんでしょうか。
まずは本読んでいただいて、どうもありがとうございました。この題名になっている気候民主主義っていうのは、今お話があったように、気候変動対策、あるいは気候変動ということと、民主主義ですね、政治のあり方っていうのを一つに結びつけた言葉なんですけれども、まずこの気候民主主義って何かっていうと、
今その気候変動に関して言えば、少なくとも今世紀の中頃までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロにするっていう、脱炭素ガーとかカーボンニュートラルとか言われますけれども、そういう転換をしないといけないってことになってますよね。
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それで、これは本当に社会のあらゆる領域にわたるシステム変革が必要なことで、その家から排出される、家の生活で排出されるCO2もそうですし、我々移動するときに車を使えば、そこからも排出されますし、
さまざまなものを生産する、これは第一次産業から第三次産業までいろんなものとかサービスを生産するところでも温室効果ガスをたくさん排出してると、そのすべてをゼロに、実質ゼロにしなきゃいけないっていうことなので、社会全体のシステムを本当に大きくガラリと変えるような、そういう転換が必要になるっていうことがまず一方であるわけです。
ただ同時に、今の意思決定の仕組みでは、なかなか大きな変革を起こすような、思い切った対策っていうのが、いろいろな意味でなかなかやりにくいっていうことがあるんですよね。
それで、いくつかありますけど、例えばやっぱり現状の我々の代表の人たちっていうのは、数年に一度の選挙で、ある地域を代表するっていう形で、もちろん一度選ばれたらその人は国全体の代表者なんですけれども、やっぱり一つの選挙から、ある非常に短い期間に選ばれてくるっていうことなので、やっぱりどうしても短期的にすごく重要だと思われる課題とか、
その地域においてとても大事な問題っていうことに焦点が当たりがちで、気候変化対策みたいな、かなり長期的で地球規模の問題っていうのの優先順位っていうのはなかなか上がりにくいと。
で、様々なシステムを変革しなきゃいけないってお話をしましたけども、様々な利害が絡み合ってますんで、なかなか既存の政治のシステムっていうのは、それを維持するように動きやすいっていうこともあって、
やっぱりその意思決定の在り方っていうのも、合わせて変革しないと、先ほどお話ししたような脱炭素社会への転換っていうのが、なかなか図れないっていう現状があるんですよね。
そういう危機感っていうのは、色々なところで少しずつ広まりつつあって、その一つの現れっていうのが、これ後で少し詳しくお話しすることになると思いますけれども、
気候市民会議といって、これはですね、一般からくじ引きで選ばれた人たちが気候変動対策について、数週間から、長いものでは数ヶ月かけて議論して、その結果を政策決定に使う、気候変動対策の政策の決定に使うっていう仕組みなんですけど、
こういうやり方が、2019年頃からヨーロッパの国とか自治体を中心に、今、日本も含めた世界中に広がりつつあるんですね。
これが何なのかというと、まさに既存の選挙で代表者を選んで、その人たちに政策決定を任せるっていうやり方だけでは、やっぱり大きなシステムの変革を起こせないっていう危機感が広まってるっていうことの一つの現れなんじゃないかと見てます。
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その気候民主主義っていうのは何かっていうと、そういう脱炭素社会への転換っていうのと、重要な問題の意思決定に、普通の一般の人たちも含めた幅広い人たちが参加をして、よく話し合って対策を考えるっていうような、そういう意味での、我々民主主義のイノベーションとかも呼んでますけども、
そういう民主主義のあり方の転換っていうのを同時に起こす必要があるっていう考え方だとか、それからそういう考え方を体現するような具現化するような取り組みのこと、それが気候民主主義なんですね。
ありがとうございます。この気候市民会議っていうのが、あのくじ引きで選ばれるっていうの面白いシステムだなと思うんですけど、全国に広まっているっていうので、これは結構その地域差というか、上手くいっているエリアと上手くいってないエリアとかあるのかなっていうのと、なんかちょっと面白い、その中でも特に面白い事例とかもあれば聞いてみたいなと思いました。
はい、これはですね、今さっき世界中にとちょっと大きく出たんですけども、実際は世界全体で見ると、西ヨーロッパの国々が中心、今のところは中心ですよね。
それで、ただ西ヨーロッパの国に限って言いますと、一番早かったのはフランスとそれからイギリスなんですけれども、フランスで2019年の秋から翌年の夏頃までかけて、全国規模のかなり本格的な全国から150人をくじ引きして、その人たちがですね、トータルで7回ぐらいパリに集まる。
7回ぐらいの週末、繰り返しパリに集まるという形で、法変動対策を議論して、最終的にその提言を政府、大統領に提出するっていうかなり本格的な会議が、これが全国規模のものでは世界で最初の市民会議ですけれども行われました。
そのすぐ後ぐらいにというか、それとほぼ並行して2020年の1月から5月にイギリスでやはり全国規模の市民会議が開かれるんですね。その後ですね、他のヨーロッパの西ヨーロッパの国々でも相次いで全国規模のものが開かれてまして、それと並行してですね、自治体レベルでもやっぱり同じようにどのように温室効果ガスを地域の中で削減するかというのは課題なので、
ローカル版の市民会議っていうのは本当に多数、ヨーロッパの中でも何十っていう数で開かれてまして、特に多いのがイギリス、今私がいるイギリスで、イギリスではそうですね、もう多分3、40の自治体で、ここ数年で30から40ぐらい、少なくとも30から40の自治体で開かれるようになってます。
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ですから、もちろん全ての自治体で行われるようになっているわけでも、ヨーロッパでもないですし、それから世界的に見れば西ヨーロッパの国々が中心なんですけれども、ただ相当な広がりがあるっていうことですね。
それで、今のご質問の中に特に注目しているものっていうかね、何かそういう取り組みがあるかってお話があったと思うんですけど、この動きの中で私一つ注目しているのはですね、最初に気候市民会議がヨーロッパで始まったのは2019年なんですけれども、今2023年ですので、約4年というか、まだ4年ぐらいの期間なんですけど、
その期間にものすごい数の市民会議が全国規模だったり地域レベルで開かれてるんですけれども、やっぱり必ずしもうまくいくとは限らないんですね、会議を開いて。
例えば会議を開いたけども、その会議を開いて結構いい議論がなされて、政策提言が出たんだけども、それがうまく政策に例えば結びつかない。政策決定者が言うことを聞かないとか、うまく取り入れないみたいなことがあったり、ということが例えばあったりして、うまく政策に結びつかないみたいなこともあったりします。
それはどのようにそういう問題は解消していけばいいのかっていうようなことが、この地方市民会議を運営したりとか、それからこれについて評価したり研究したりする研究者の層っていうのは結構あって、そういう人たちの間でそういう議論とか学習って言ったらいいんでしょうかね。
そういうものが急速になされて、ですから例えば2019年とか20年頃に行われた地方市民会議の状況っていうのがすごくつぶさに研究されて評価されて、その内容が共有されて、それをディスカッションするようなネットワークもできて、その結果っていうのがその後開かれる。
例えば今現在開かれているような地方市民会議にどんどん活かされるっていうことが起こってます。そういう文脈で私がものすごく面白いなと思って注目しているのは、私が今いるイギリスのスコットランドですけども、スコットランドの国を挙げて2020年から21年にかけて地方市民会議が行われたんですけど、この地方市民会議がまさにさっき少しお話ししたイギリスとかそれからフランスの全国規模の市民会議で、
ちょっと問題があったところを丁寧に研究して、それを活かす形で会議が行われてて、さらにスコットランドの会議そのものについてもものすごく丁寧に専門の社会科学の研究者がそのプロセスをずっと観察して、それでどこら辺が改善できて成果だったのかとか、どのあたりにその会議に問題があったのかっていうことがまた詳細な評価報告書がまとめられるっていうことが起こってて、
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ここら辺はものすごく注目したいところだなと思ってます。
ありがとうございます。
この部分ってどのようにそれぞれの市民会議で取り組まれているのでしょうか。
はい、すごく大事な点ですよね。今ご質問いただいたところって。
これはかなりやり方、ノウハウが蓄積されてます。
今、気候市民会議っていうのをいきなり最初にお話ししちゃったんですけど、気候民主主義って何っていうところから、その一つの典型的な表れとして気候市民会議っていうのがあってねっていう流れでお話ししてきたんですけども、
実はこの気候市民、今お話ししている気候市民会議っていうのは、もともとこういう気候危機の問題があったから、起こってきてこれに取り組まなきゃいけないので、にわかにそのくじ引きで人を集めて議論しようということになったのではなくて、
もともとこういったくじ引き式、無作為選出式で一般の人たちを集めて議論するやり方っていうのは、古くはですね、1970年頃から欧米を中心に、それでもう1990年代頃からは日本も含めて世界中ですでに使われているやり方なんですね。
この無作為選出型の市民会議っていうやり方が、いろんな呼び方されるんですけども、ミニパブリックスって呼ばれたりとか、それからですね、最近は例えば、専門の人たちの間では、抽選代表の塾議プロセスとか呼ばれたり、いろんな呼び方があるんですけど、とにかくそういうくじ引き式の市民会議っていうのは、昔からあるものですね。
それで、今のご質問に関して言うと、まさにそういうたまたま選ばれた人が、金と政策提言に結びつくような議論をどうやってやったらできるかっていうのは、すごく大事なポイントで、大きく分けて2つ柱があるんですけど、
1つはまずは、バランスが取れた、しかも十分な、なおかつ噛み砕かれた形での情報提供っていうのを、話し合う前にしっかり行うっていうことですね。どうやってバランス取るのかとか、どうやって噛み砕くのかっていうやり方についても、これいろんなノウハウがあるんですけれども、それはちょっと脇に置いておいて、とにかくそういう情報提供をして、きちんと参加者の人たちが話し合う前に学習するっていうプロセスにかなり力を入れる。
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もう1つは、話し合いですよね。これ、熟議って言ったりしますけれども、多くの場合はですね、会議自体に参加する人は数十人だったりとか、多いものでは数百人規模の会議もあるんですけれども、実際に話し合う場面では、多くの場合そうですね、多くても十数人、通常は例えば5、6人とか、
オンラインでやるっていう場合が最近は多く出てきてますので、そういう場合ではもう本当に4、5人とかのグループに分かれて、そこでファシリテーター、専門の振興役になるファシリテーターの人がついて、じっくり話し合えるような、そういう場を作るんですね。
特にファシリテーターの人がいろんなサポートをして、働きかけをして、参加者の人たちが話しやすい環境を作っていくんですけれども、その場合、熟議っていうからには2つポイントが大きなポイントがありまして、1つは先ほど情報提供を事前にして、しっかり学習して話すっていうことをお話ししたんですが、そのことともとも絡むんですけれども、
意見を言うときに、別に必ずしも専門的科学的なことじゃなくてもいいんですけれども、根拠を示しながら議論をしていけるようにファシリテーターの人がお手伝いしていくっていうことが1つですね。
それはそのときに前段でお話しした情報提供の内容が生きてくるんですけれども、ただもう1つは、やっぱりこれはいろいろな経験とか背景を持った、我々のような普通の市民が集まって議論するっていう、そういう場ですので、お互いやっぱり同じ情報提供を受けても相当違うことを感じたりとか、もともと違う意見を持ってたりとか、違う考え方をしたりするんですね。
それがものすごく大事で、その違う意見を聞いて、自分の意見を反省して捉え返して、自分の意見は別に変わらなくても構わないんですけれども、自分の意見を見つめ直すっていう、そういうプロセスが大事で、その2つですね、根拠をみんなで確認しながら意見を作っていくっていうことと、それから他の異なる意見に触れながら自分の意見を振り返ってみるっていう、そういうことが大事で。
で、それはやっぱりですね、なかなか一人でやって一人でというか、初めてそういう会議に参加する人がやろうとしてもなかなか難しいので、そこをうまくお手伝いするのがファシリテーターの、こういった塾議の場でのファシリテーターの役割ってことで。
今ちょっと大きく2つお話ししましたけど、そういう工夫がなされて、これは機構市民会議に限らず、このくじ引きの無作為選出型の市民会議では、大きくそういう2つのやり方で議論の質を高めていこうということがなされてきてますね。
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このフォーマットはでも、市民会議以外にもいろいろ使えそうですね。議論のフォーマットとしては。
そうなんですよ。それで、さっきちょっと触れていただいた機構市民会議の本の中でも、最後の章でですね、機構市民会議のことをそのきこみ主義の本の中でもずっと書いてきてますよね。
だけどこれが、より広い文脈で様々な社会的な問題解決したりとか取り組んだりするときにどういう意味があるだろうかということで、まさに今触れていただいたような感じで、その本の中でも取り上げていて、この機構市民会議の要素って今お話しした、様々なバランスの取れた情報に基づいて学習してから話し合うということと、
あと、ファシリテーターの人の支援なんかも受けながらじっくり議論するっていう、その2つを今お話ししたんですけど、もう一つ大事なポイントとして、その無作為選出、くじ引きなんかを使って、社会全体のしくずになる人が集まって議論するっていうポイントがあるじゃないですか。
それもすごく実は他に応用が効く話で、例えば我々いろんなところで、職場でもいいですし地域でもいいですし、そういうところで、あるいは例えば学校とかでもいいですけれども、そういうところで何か物事を決めるっていうときに議論するテーマについてあらかじめよく知っている人とか、それから何かの理由でちょっと意見が通りやすい人とか、
あとたまたまそこにいた人とか、そういうことで誰が参加して話し合うかってことを決めちゃうみたいなことって往々にしてあると思うんですけども、でも実はそういうふうに参加する人を決めていることによって、本当であればそこに声を聞かれなければいけない、そこに意見が反映されるともっともしかしたら意思決定の質が良くなるかもしれないっていう人を知らない間に排除しちゃってるっていうことって結構あると思うんですよね。
ですから、必ずしも我々の日常的な職場でとか学校でとか地域で、いつもくじ引きで無作為センスで参加者決める必要はないんですけども、これ本の中に書いたんですけども、くじ引きするぐらいの気持ちで思い切って参加者をリシャッフルするっていうか、そういう発想ってあってもいいんじゃないかなと思ってまして、だから今まさに言ってくださったように、このミニパブリックスで使われているいろんな技法って実は我々は普段これって当たり前だよなと思っている物事の決め方。
物事の決め方とか話し合い方とかっていうのをちょっと振り返る手がかりにもなるような気がしますね。
そうですね。こういう対話の仕方っていうのは、ある意味、学校とかでプログラムとして練習したりとかそういうものは実践されてたりするんですか。
そうですね。直接ミニパブリックスそのものを学校でっていうのはあるかな。ただですね、この気候市民会議に関して言うと、小中学校とかの学校とは違うんですけれども、大学でこの気候市民会議をやってみようっていう動きは国内の大学でも出てきてまして、
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大学生さんが集まってキャンパスだとか地域の気候変動対策を議論するっていうのが出てきてますね。
それからあとはその気候市民会議に関連して子どもたちがやっぱりその気候変動対策の塾議を並行して行うっていうのが、それこそ先ほど少し触れたスコットランドの市民会議ではそういう取り組みがかなり本格的に行われてまして、
おっしゃるように、もしかしたら学校でもっと組織的に取り上げていく価値もあるし、しかも現に取り組まれているものでも大学でもそうですし、それからそういう子どもや若い人たちが話し合いの仕方とか、物事の決め方っていうのについて学んでいく方法としても、もしかしたら使えるかもしれないですね。
ありがとうございます。
なんかこういった取り組みを通して市民がどんどん意見の交換であったりとか、いろんな人たちの異なる意見に触れた中での意思決定のやり方に練習して慣れていくみたいなものがすごい面白いなと思って聞いてたんですけど、
そもそもその、気候変動とか地球温暖化とかサスティナビリティとかリゼネラティもそうですけど、大きな言葉が飛び交う中で、やっぱり大きなテーマなので興味関心がないとか、自分個人の意見と結びつけて意見を言うことができない人とか、すごいたくさんいると思うんですけど、そもそもその、くじ引きなので嫌顔なしにでも選ばれてしまった人っていうのはいると思うんですけど、
その興味のレベルを上げるというか、いろんな人にもっと身近に感じてもらうためにはどういったことが必要なんでしょうか。
そうですね。いろいろあると思うんですよね。多分ね。いろいろあると思うんですけども、実はこのようなというか、このその抽選で参加者を選ぶっていうのも、実は非常に重要なというか、今までその問題に注目してなかったり、気づいてなかったり関心がなかった人に、
そのきっかけを作ってもらうっていうのの、一つの可能性あるやり方なんじゃないかなと私は思ってるんですね。
それでこれはですね、ちょっと先ほどそのやり方を話すときにあんまり説明しなかったんですけれども、抽選で参加者の候補を選んで、その人たちに、実際にはですね、お手紙を送ったりするんですけど、お手紙を送ったり電話をかけたりして、こういうものあるんだけど参加しませんかっていうお誘いをするんですけど、そのときに本当に社会の縮図を作らなきゃいけないわけじゃないですか。
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ですから、普通にやってると問題に関心のある人とか、時間的経済的に余裕がある人だけが集まることになってしまうので、参加するためにというか、参加する人には一定の日当だとか、借金なんかが支払われるっていうことがあったりとか、
あとは例えば家族の世話が必要な、世話が必要な人なんかがもしいて、それでも参加したいという方には、例えば宅地のサポートをするとか、そういうことがあるんですよね。
それで、そういうインセンティブも設けた上で参加してみませんかっていうことをお誘いをするっていうことになるので、もしかすると、それでももちろんそれで参加するっていうことなので、ある程度は何か関心を持ってくれた人ってことになるんですけれども、でもそのくじ引きでやっぱり参加する人を集めるっていうのは一つそういう効果があるかなと思っています。
で、これは一つの例なんですけども、なんかそういう思い切ったことをやっぱりいろんなところで試みていかなきゃいけないっていうことの、はい、これはすごくでも分かりやすい例かなと思います。
ちなみに、その社会の縮図ってどうやって作るんですか?その指標って、まあでも国やエリアや状況によっても違うんですよね、きっと。
そうですね、一般的にはですね、年代ですとか、それからジェンダーですとか、それからそうですね、居住地域ですね、同じ例えば地域っていうか国の中でも都会に住んでいるのか、地方の方に住んでいるのかっていう居住地域ですとか、
あとはそうですね、学歴なんかも用いることがありますね。あと、そうですね、エスニシティ、どの民族の方かっていうことですとか、まあそういったどちらかっていうと基本的な人工統計学的な属性なんですけど、
それがバランスするように、国全体の縮図になるように、あるいは地域全体の縮図になるようにっていう形で選ぶことが多いですね。
ありがとうございます。時間が迫ってきたので、そろそろ最後らへんの質問していきたいと思うんですけど、今回三上先生にお話をお聞きして、環境社会学っていう分野も、私たち自身もあまり明るくなかったので面白いなと思って聞いてたんですけど、
今この環境社会学っていう分野全般で求められている研究とか、足りてない分野っていうものがあるのかなっていうのと、その中で三上先生がいないたいと思われている立ち位置であったりとか、今まさに今後仕掛けていきたい研究のテーマだったりとかがあればお聞きしてみたいなと思いました。
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どうもありがとうございます。環境社会学は冒頭にお話ししたように、社会学的な、まあ社会学広い意味でですね、広い意味で社会とか人間の在り方っていうのに注目して、環境問題とか人と自然の関係について、現場で特に人々の生活に密着しながら、インタビューだとかアンケートとか使って証拠を集めながら明らかにしていく学問。
それが環境社会学ですけれども、その中で今日私がお話ししたいようなテーマっていうのは、そのうちの一つっていうんですかね、非常に多岐にわたる研究がありますので、その中の一つです。
それで、その中でそうですね、ちょっと何が足りてないかっていうのは、なかなか言うの難しいんですけれども、私自身がこれから力を入れていきたいなと思っているのは、まさに非公民主主義の研究なんですね。
それで実はですね、ちょうど今4月の上旬にお話ししてますけれども、今年度からですね、2023年度から新しくですね、これは課件費っていうののサポートを受けて、自分の仲間の研究者20人ぐらいと一緒にですね、非公民主主義の日本における可能性と課題について考えようっていう、そういう研究を始める4年間の計画で始めることにしました。
これの意味はですね、つまりこれまでここ数年間、ヨーロッパでの動きとほぼ平行しながら、気候市民会議の研究をしてきたんですね。日本でも気候市民会議実際に自分たちのグループでも開いてみたりとか、その結果、それを踏まえて、例えば2022年には東京と埼玉の自治体で実際に正式な公式な気候市民会議が行政の主催で開かれたりっていう、そういう展開になってきてるんですけれども。
研究としてはちょっとさらに一歩先を行きたいと思っていて、さっきお話ししたように、この気候市民会議を開く動きっていうのが広がってきてるっていうのは、やっぱり脱炭素社会への転換と民主主義のより参加的で熟議的なあり方への転換っていうのを同時に起こすことが、民主主義にとっても気候変動対策にとってもどっちにとっても大事なんだっていう、そういう認識だったり、
それを具現化する動きじゃないですか。そう考えると、実は気候民主主義の取り組みっていうのは、市民会議以外にも本当は実はたくさんのものがあるはずで、そういうものを日本だったりとか諸外国の中に見出していって、そういうものっていうのを全体像としてどうやって捉えることができるのかと。
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さらにその中に市民会議っていうのは逆にどう位置づくのかっていうようなことを、総合的に考えるような、そんな研究を、この先しばらく3、4年ぐらい、4年間ですけども、使ってできればと今思ってます。
ありがとうございます。中島先生の方から何かありますか。
はい。興味深いお話ありがとうございます。
今最後のお話で、ミニパブリック、何でしょう、気候市民会議っていうのは一つのオプションであるっていうふうにおっしゃっていて。
その気になるのはですね、アメリカとかステークホルダー型の社会とこういう無作為、割と欧州でよく取り組まれているようなやり方。
日本自体はそれをうまく組み合わせているんじゃないかっていうようなご指摘もあったりするわけですけども、そういうようなステークホルダー型とミニパブリックのシナジーというか、プロセスデザインみたいなことについて今お考えになっていることがあればぜひ教えていただければと思います。
どうもありがとうございます。
そのあたりが多分このミニパブリックスそのものを実践したり研究したりしている人たちの中で、実質的にかなり大事なテーマっていうか、エネルギー注ぐ部分だと思うんですよね。
私もとても関心ある、自分自身に関心ある部分で、これはミニパブリックスの設計とか運営っていう部分に関して言うと、いろんな形でそういったステーク社会の中に既に存在するステークホルダーの人たちと、
例えば事前にとか事後に議論をしながら、その観点とかをどのようにミニパブリックスの中にバランス取れた形で取り組んでいくのかとか、それから会議が行われて、特に終わった後にアウトプットが出てきますけども、それがステークホルダーの人たちの営みの中で、どのように活かされるようにしていくかっていうあたりの接続っていうのについていろんなことがなされてきています。
具体的に入り口の方に関して言うと、そういったミニパブリックスないしは機構市民会議を、実際個別のミニパブリックス機構市民会議を企画するときに、その企画のプロセスに、例えばその会議でどういう問いについて議論すべきかとか、どういう情報提供をもとに議論すべきかっていうことを決めていくときに、アドバイザーだとか、アドバイザーって言ったりすることが多いですかね。
として、そういったステークホルダーの人たちに参加をしてもらうっていうようなことが普通に行われるようになってます。しかもそのプロセス自体が公開されるという形で行われるようになってます。
それからですね、最近特にイギリスのローカルレベルでの市民会議の動きとかを調べていて興味深いのは、例えば地域で自治体で機構市民会議をやりますよね。それで何か提言が出てくると。
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機構変動対策のためには、住宅に関してはこんなことしなきゃいけないとか、農業に関してはこんなことしなきゃいけないとか、運輸に関してはこんなことしなきゃいけないとか、いろいろ出てくるんですね。ところが、その全てを必ずしも主催した自治体が権限を持って政策として実行できるとは限らないじゃないですか。
もちろんそれは国レベルの政策でカバーされているものもあれば、もっと民間レベルでのとか、事業者業界レベルでの取り組みが必要なものとかっていうのもあって。それでですね、先日もちょっとある町で市民会議についての話を市役所の人に聞いてたんですけれども、いや提言我々受け取ったんだと。でも受け取った提言のもちろんかなりの部分は市役所の取り組みとしてできるものもあるんだけども、そうじゃない部分っていうのがあると。
実はこのプロセスには設計の段階からステークホルダーの人たちが関わっていて、提言のある部分を例えば別のNGOの人が引き取ったりとか、それから業界団体の人が引き取ったりして、それを自分たちの取り組みの中でどう実現できるかっていう形で、提言をそれぞれのステークホルダーの人が引き取るみたいな、そういう動きに会議終わった後になったんだっていうお話を聞かせてもらって。
これも一つ今中島先生ご質問いただいたステークホルダープロセスとこういったミニパブリックスをつなぐっていうのの一つの在り方だなと思っていまして、そんなつながり方がきっとあるのかなと思います。
ありがとうございます。もう一つだけ追加でお伺いしたいんですけども、そういった中でそういうステークホルダーとミニパブリックスの結びつきっていうのは、その中で民間とか自治体の範囲を超えたような取り組みについてもそういうようなプロセスができてきているというふうにおっしゃっていて、
いかにこうその都市活動がですね、その農地だったり、その郊外とかそのヒンターランド、こう配置に依存して生活している中で、そこに対してこうその相互作用というか、その社会生態系としてプラスの影響を与えていくっていうような仕組みがどう作り得るかっていうようなことがあるのかなというふうに思っておりまして、
その2国間、その炭素税とか、そのカーボンクレジットとか、そういったような仕組みはもちろんありますけども、それはですね、市前ベースとな取り組みの中で、そういう都市と農村の相互依存関係、循環というか、そういったプロセスをデザインするような取り組みっていうのがあれば教えていただきたいなと思うんですけども、いかがでしょうか。
そうですね、直接それに当たるかわからないですけれども、例えばですね、これはですね、私自身がというか、私たちのグループで、その帰国市民会議の研究をする中で、とにかく日本で1つ帰国市民会議を開いてみようということになって、
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それで2020年の11月から12月に札幌で、帰国市民会議札幌2020という会議を開くんですね。これはもうこの時は、そのコロナ禍の真っ只中でしたので、オンラインで開くんですけれども、札幌市全体から、これは札幌市役所と共同して我々のグループで、札幌市役所と札幌の民間団体の皆さんと共同して開いたんですけど、札幌市内から20人の人を作為中止で集めて、
1ヶ月半にわたって議論をしたんですね。この時に、札幌で使っているエネルギーをどう脱炭素のものに転換していくかっていう、そういう議論が当然出てくるんですけれども、これをやっぱり議論していくときに、これ想像していただくとわかるように、札幌200万都市で、500数十万北海道の人口がある中で、相当部分が札幌県、札幌市だけで200万人ですので、札幌県ということでいうと、半分ぐらいの人が札幌県ですよね。
半分ぐらいの人が札幌県で生活していると。そこでは、たとえば再生可能エネルギーを生産する、それほどのポテンシャルが札幌自体の中にあるかというと、それは必ずしも多くなくて、でも北海道全体を見渡すと、それはかなりあるということになるわけですよね。
じゃあそれでよかったということになるかというと、これは必ずしもそうではなくて、そういう議論をまさに札幌の会議でもしたんですけれども、ポテンシャルはあると。これは、たとえばソーラーにしても風力にしてもポテンシャルはある。
でもそのポテンシャルはあるんだけども、同時にその開発をしていくときに北海道が持っている非常に重要な価値である自然というのと、自然生態系というのとどうバランスを取りながら、そこを壊さずにどう再生可能エネルギーの開発をしていけるかという議論がありまして、
具体的に再生可能エネルギーの開発がどう生態系にインパクトを与えるかということをずっと調査されているコンサルタントの方なんかにも情報提供していただいたりして、そういう議論をしました。
ですから、やっぱりその都市の脱炭とかっていうのを進めるときに、それが今中島先生がおっしゃったように、その周辺の地域にどのようなインパクトを与えていくかということもやっぱりこれ同時に、たとえば都市でこういう参加型、受議型の議論をするときに、議題に乗せなきゃいけないことで、
ただおそらく我々の経験から言っても、こういう市民会議というような場で、それを議題にして議論していくっていうことは十分可能なんじゃないかと、我々の経験からそんなふうに思ったっていうのを、今ご質問いただいて思い出しました。
はい、記者のお話ありがとうございます。大変興味深いです。
ありがとうございます。ちょっとお時間過ぎてしまったんですけれども、こんな形でインタビューの方を終了させていただければと思います。
グッドニュースフォーシティーズでは、毎週新しいエピソードを配信しています。次回もお楽しみに。