1. Good News for Cities〜都市に関する炉辺談話
  2. 【#88】テロワール研究とは?..
2022-08-23 44:58

【#88】テロワール研究とは?「領域」から都市を考える

今回は、「テロワール」「領域」という視点について、赤松加寿江さんにお話をお聴きます。和束町文化的景観調査研究や鎌倉山プロジェクト、上京3Dスキャニングプロジェクトなど具体的なプロジェクト事例から、「領域」から都市や空間を捉えることによって得られる視点やアプローチについて、お話を深掘りします。

◉取り上げたトピック

  • 赤松さんのこれまでの経歴・研究内容
    • 「テロワール」「領域」に注目した理由 / 「テロワール」「領域」の定義
    • イタリアでの研究
  • 都市史から領域史へ / テロワールと領域史研究
  • イタリア祝祭研究
  • 斜面集落調査@伊仏国境アンチョビ集落
  • 和束町文化的景観調査研究
  • 京都上京聚楽学区での路地3Dスキャニング
  • コモンズ研究および鎌倉山プロジェクトでの社会実装化

など

◉ゲストプロフィール

赤松加寿江 

京都工芸繊維大学准教授・一級建築士・博士(美術) 文京区生まれ、鎌倉育ち。イタリア、フランスを中心に都市史、領域史の研究をしている。 東京藝術大学、東京大学特任研究員等を経て現職。   食にまつわる土地と人間の営みに関心があり、土から食文化にひろがる空間構造を読み解く領域史研究「テロワール研究」を続けてきた。トスカーナ、ヴェネトにおいても地質と生業に関わる都市領域史研究、ピエモンテのワイン景観と宇治茶畑景観を比較するワークショップ「ドリンクスープ」などを展開している。   人新世における危機感をもちつつ文化的景観調査や景観行政にかかわる一方、2015年から京都と鎌倉に住み、今宮祭や鎌倉山別荘地研究など、土地の歴史と暮らしに身を寄せ、生活者として、研究者として、できることを考えている。   ワインと料理で人をもてなすのが好きで、この夏は仲間とピザ窯を作り、土地をヒラくプロジェクトをはじめたところだ。   著書に、赤松加寿江『近世フィレンツェの都市と祝祭』(東京大学出版会 2020年)/小野芳朗、岩本馨編著『食がデザインする都市空間』(昭和堂 2019年)等   直近の活動はこちらでも。 European Association for Urban History 2022 ヨーロッパ都市史学会@アントワープ大学でのポスターセッション「テロワールと都市」2022年9月1日に報告 https://www.uantwerpen.be/en/conferences/eauh2022/programme/scientificprogramme/specialistsessions/s23/

00:03
みなさんこんにちは、石川由加子と杉田まりこです。
Good News for Citiesは、都市、建築、まちづくりに関する様々なグッドニュースを、ザックバランに話す番組です。
Good News for Cities
はい、みなさんこんにちは。今日もよろしくお願いします。
今日はゲストに、都市史研究者の赤松和恵さんにお越しいただいています。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ちょっと真夏の収録なので、背景にセミの声がすごい入り込んでいるなと思っているんですが、
赤松さん、実際に私はまだお会いしたことないんですが、実は近所に住んでいたということが判明しまして、もともと共通の知り合いがいた関係でご紹介していただいたんですけど、
今回はテロワールとか、領域史研究みたいなところからお話をしていただければなと思っています。
簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
はい、初めまして。赤松和恵と言います。
私は、今は京都工芸全員大学のデザイン建築学という分野で準教授をしているんですけれども、
ずっとイタリアの都市を対象に都市の研究をしてきています。
ありがとうございます。
イタリアでの研究の内容であったりとか、テロワールとか領域みたいなところ、赤松さんのプロフィールを見ているとたくさん出てきたんですけど、
どういった内容で知られていたりとか、今まで研究されてきたのかというところも聞いてみたいです。
はい、私はイタリアのフィレンツェというところを最初研究していたんですね。
考えてみれば京都と姉妹都市なんですよね。
そうなんですか。
フィレンツェの祝祭、お祭りがとても美しい歴史がありまして、お祭りって都市とものすごく関わるじゃないですか。
どういうコースを巡行するかとか、誰がおみこしを担ぐかとか、そういった、あるいは仮説の構築物を作ってみたりとか、
やっぱり都市の景観とか社会とか、そこでの普通の暮らしとも密接に関わるというところですごく興味を持ったんですよね。
で、その研究をしていました。
ありがとうございます。
お祭りの研究とかって興味あります?
お祭りね、この前も私あの祇園祭ちょうど逃してしまったんですけど、
なんか言った人からさすがだった、面白かったみたいな話を聞いて、
お祭りとか一時的に立ち上がるものとか祝祭みたいなところ、結構私と石川の間でも興味があって話してたところではあります。
03:08
実際ね、最近まで私たちカイロに、エジプトのカイロにいたんですけど、
ちょうどリード祭だったかな、一週間そのムスリムのお祭りがあって、犠牲祭ですかね。
犠牲祭。
実際にヤギかな、羊をみんな捌いて、それを振る舞ってっていう儀式があって、
街中から血の匂いとかがするんですけど、その一週間にしかない仮説的な振舞いだったりとか、
みんなで何か作ってみたりとか、デコレーションとかも変わったりとかして、すごい興味がある分野ですね。
そのお祭りも一度行ってみたいなと思っていたのです。
日本でもそういった祝祭みたいなのがある中で、イタリアに注目されたってすごい面白いなと思ってるんですけど、
実際に留学されたりとか住まわれたりとかもしたんですか。
そうですね、フィレンゼにしばらく住んでました。
その時は劇場の研究しに行ったんですけど、なんか劇場って室内よりも街の外で広場でやってることの方がむしろ面白いじゃないと思ってしまって、
それで祝祭研究、祝祭の都市史研究ということをやってみようと思っていたんですね。
なるほど、なるほど。
だから京都に来て、行祭り見て、もう目、すっごい興奮していて、来て今7年目なんですけど、来た都市なんかは、もう全地区の血まきを買い、
そしてなんか夜中もなんか日和神楽とか走り回って、すごく体感的に研究していました。
すごいですね。
研究じゃない。
それはなかなか聞かないです、祇園祭りに。
じゃあ祝祭、お祭りが好きなんですね。
それもありますね。
いいですね、今ちょっと最初に。
住んでる人ごとの、ごめんなさい。
どうぞどうぞ。
住んでる人ごとの関わり、その保護庁があり、みこしの地区があり、宮本組がありっていう、やっぱりその全体を通しての全体像っていうのは、やっぱり参加されてる方と見てる方とまた違うなと思って、
それが都市のリアルな姿だなっていうところを感じてましたね。
そもそもなんですけど、都市史っていうのは何?っていうオーディエンスの人いるかなと思うので、そこの話もちょっと聞きたいなと思うのと、そこと劇場っていうものをどのように結びつけて、最初に興味を持たれたのかっていうのも気になりました。
都市史って、実はいろんな分野の方がやってるんですけど、いわゆる歴史学の人、文献から調査するっていう人もいるんですが、我々は建築っていう設計もしたりとか、いわゆるものから考えるというアプローチで都市をやっているんですね。
06:05
都市の歴史っていうのが、やっぱりアノニマスじゃないですか。建築の歴史っていうのはすごくオブジェクトとして存在してるし、教会でもお寺でも誰がいつ作ったってわりとわかるんですよね。
でも都市の歴史って、わりと最近でもあそこ駐車場になっちゃったとか、知らないうちに変化していく。しかも暮らしの中で変化せざるを得ない変化があって、でもそれはある合理性を持ってたりするんですよね。
例えばみんながバブルで経済的に力を失ったら、あるタイプの建築がたくさんできるとか、それは歴史的にもそういう事件がいっぱい重なってきていて。
それを実測だとか、建物実際測って、ここで何かがあったねっていう痕跡を発見しながら社会とつなげたり、文献とつなげて考えてみるっていう都市の変化を読み解くっていうのが都市史になります。
じゃあ都市史の中でも建築的な建物の歴史だったりとか、その建物がどのような状況や文化で作られたのかみたいなところから、その周辺にある環境状況とか習慣とか人々の生活みたいなものを読み解いていくっていうようなアプローチっていう感じですかね。
そうですね。そういった展開があり得るっていうことですね。
面白いですね。
劇場についてはどういうもの?
劇場については一番、やっぱり私は建築史から始まったので、その時は劇場の歴史というすごくオブジェクティブなある個体っていうものを興味持ってたんですよね。
それはなんで劇場っていうのが、ルネサンスの劇場を研究してたんですね。
劇場ってその頃は、いわゆる古代ローマの復興とか、古代文芸の復興というのはルネサンスの求めてたことなんですけど、その中で劇場ってすごいテーマだったんですよね。
ルネサンスの発祥地であるフィレンセに、なのに実は劇場の発祥が遅かったっていうのがあって、それがあのテーマだったんですが。
ちょっとその話また長くなっちゃうので。
ありがとうございます。
講義では実際に学校で、大学で教えられるときは、そういった都市史の流れの話から、実際に赤松さんがイタリアで研究されていた内容だったりとかを教えられているっていうことなんですね。
そうですね。あと最近は景観論、ランドスケープの歴史であるとか、文化的景観ですとか、そういった環境と人間のインタラクティブというか、どういうふうにお互いが折り合いをつけてきたか、振る舞ってきたのかっていうところに私自身関心がすごくあって、
09:20
なので授業でもそういったことに着眼点を置いて話することが多いかなと思います。
もともと建築士から始まっていたところが都市史に広がっていって、そこから劇場とか祝祭みたいなところを深掘りつつ、今度はもっと広がって環境とか景観、ランドスケープみたいなところにどんどん範囲が広くなっていっているなと思うんですけど、
テロワールとか領域みたいなところの中、定義というかどういうふうに若松さん自身が捉えられているのかみたいなところを聞いてみたいです。
はい。確かに段々広がっていったという中で、領域というとすごく広がったという、そういう見方もあると思うんですけど、私が領域史、領域の研究って言っているときには、建築とか都市って人間が作ったものじゃないですか。
そうじゃなくて、もう大地とか自然がずっと長い時間かけて作ってきたものっていうのがあちこちにもちろんあって、それは沼地だったり谷部だったり、それも人間って折り合いをつけて今生きているじゃないですか。
そういった人じゃないものが作ってきた大地の歴史っていうのも含めて、もう少し広い範囲で考えてみようっていうのが、領域史として考えていることで。
なので、水平的な感じでも広いんですけど、むしろ垂直面も考えて歴史を見たいなっていうところがあるんですね。
つまり都市とか農村とかっていうので、今まで枠組みが歴史を捉える研究の枠組みってあったと思うんですけど、
それってやっぱり上層の部分、地下どうなっているかとか、地質どうなんだろうとか、地形との関係とか、そういった見方でもうちょっと都市とか人の暮らしとの接点を考えたいなっていうところから始まっています。
私も結構そこら辺の視点がすごく最近、ここ数年興味がある分野で、仕事としてもいろいろな街づくりだったりとか、建物を建てるプロジェクトに参加させてもらう中で、今まではどっちかっていうと、
人間中心設計みたいなところで、人間がどのように心地いいかとか、そこでどのようなにぎわいやつながりやコミュニティーが生まれるかみたいなところにフォーカスがあって、そこで場所をデザインしていくっていうような流れだったかなと思うんですけど、
12:15
最近感じているのは、人間以外の視点だったり状況も踏まえてどうやって場所だったり状況をデザインしていくかっていう必要性をすごく感じていたので、非常に着眼されている領域みたいなものもすごく興味があるなっていうところと、
やっぱりそうなったときに、じゃあどうやってデザインしていけばいいんだろうなみたいな、実践に落とすときの垂直軸をどうやって計画の中に盛り込んでいくのかっていうところの難しさも今抱えてたり模索状況なので、そこら辺もどうしていけばいいのかなっていうのをちょっと一緒に話してみたいなと思いました。
じゃあやりましょう。
でも多分そういった設計の指針になるっていうか、デザインのコードになるっていう部分では、文化的景観っていうのが今やっぱりあるのかなという気はしていますね。
お聞きになったことありますよね、きっと。
カルチュアルランドスケープですよね。
はい。
最近特にいろんな人に聞かれるんですよ。カルチュアルランドスケープ、文化的景観気になってるんだけどもっと教えてってことすごい、ここ1年でいろんな分野の人から聞かれるようになって、その盛り上がりってどこから来てるのかなっていうのはすごい気になるのと、私自身ももちろん大学だったりとかで、
さらっと触れた部分にはなるんですけど、きちんと注目して深掘ったことは私自身もなかったなぁみたいなところもあって、文化的景観についてもうちょっと深々に教えていただきたいなっていうのと、なんでここまで最近盛り上がってるのかみたいなところもちょっと議論してみたいです。
なんででしょうねっていうのもありますが、
そうですよね、文化的景観は景観法の制定から始まったカテゴリーではありますけど、やっぱりその自然基盤、地形とか地質とか水脈とかそれに合わせて人がそれによって生きていかなきゃいけないから、何らかの生業を見出してきたと。
その生業が作ってきた景観ということで、見えないもの、パッと見たら見えないものがその生業を通じてすごくビュージャライズされているっていうか、可視化されているっていう部分があって、
実はそこを今は見えてるものしかわからないですけど、見えてるところからもう一回その見えてない地域の本質というか、DNAみたいなものを読み解いていくっていう往復の作業なのかなというふうに思ってまして、それがわかるとやっぱりその地域にとって変えちゃいけない部分がわかるというか、
15:17
例えばその地域がある川によって成立している集落だとして、川がいろんな出方がありますよね、流水として湧いていたりとか、目に見える水路としてあったりとか、でもその中で人々の暮らしのある習慣みたいなものがあったとして、
例えばこういうところには井戸を作るけど、こういうところには作らない。井戸は作るけど、それは例えば三層構成にして、人が使う井戸と恋を放つ井戸と、それから外に流していく水路につながる井戸と、三重になっていると。
そういったときに、じゃあそこに新しいデザインを投じましょうとしたときに、やっぱり壊しちゃいけないものって何なんだろう。あるいはその水の流れっていうものが、もしかしたらその集落全体を秩序づけてたりするわけですよね。
そうしたときに、この地域、集落が持っている秩序の本質はきっと水なんだってことに気づけるというか、そこに気づけば、じゃあその水路や流水はそのままにして違う場所に新しいものを投じるとか、触れるものと触れないもの、触るべきものと触っちゃいけないものみたいなことの判別がつくというか。
なんかそういったところはあるのかなと思いますけど。
面白いです。
結構デザインの過程で、すべて手を入れるみたいなことが前提になっているというか、すべてが私たちの手でコントロールできてしまうっていう無意識のコンシャスメスが今まであったと思うんですけど、
むしろ変えちゃいけないところとか、触るべきではないものみたいなものをきちんと見極めた上で、私たち人間なんぞやがコントロールできないし、するべきでもないもののところにちゃんとそれを見極めるっていう作業が必要なんだなっていうのを今話を聞いていて思いました。
そうですね。だから目に見えない部分だったりもするんですね。変えない方がいいものっていうの。仕組み、その人々の生き方みたいなものだったりもするので、すごくそれはなんかちょっといろいろ考えなきゃいけないことはありますけど。
学ぶことは大きいかなというふうに私も勉強させてもらってます。
18:01
具体的なプロジェクトもたくさんされているっていうので、いろいろお話聞いてみたいんですけど、最近取り組まれているプロジェクトだったりとか、印象に残っているものとかでもいいんですけど、ちょっと紹介していただけますか。
そうですね。今の文化的景観の話で言うと和塚町というところで、実際に行政と関わった調査をしてますけれども、それもお茶の景観なんですよね。和塚町って宇治茶の産地でして、その地域の中でどういうふうに調査をしているのかというと、
その中でも大きい産地としての特徴もありますけど、小さな産地としての小さな集落の中でどういう個別の特徴があるかみたいなことを調査してきているんですけど、それはすごく具体的な調査をしています。
でもその背景にあるのは、最初の方で言ってくださったテロワールということに私自身すごく興味を持っていて、ずっと研究を、そうですね、2015年からなので7年ぐらい経ってしまいました。テロワール研究をしています。
和塚町、私たちも去年行ったんですよ。京都の和塚町ですよね。お茶の産地の。
で、私たち、私個人としてはお茶の産地に行くのが初めてで、実際にお茶農園の知り合いのところを訪ねて、みんなでお茶摘みするだけじゃなくて、その後にお茶の産地に行くのが初めてで、
すごいすごい。
いろんなお茶を作る実験をしたんですけど、その時のやっぱりこのランドスケープというか、ここだからこのお茶の産地になったんだなというか、また人間が計画したからそこがそうなっただけではない、その場所にあるエッセンスみたいなものを感じれた気がして、すごい面白かったなっていうのを思い出しました。
そこでもプロジェクトをやられているんですね。素晴らしいです。
そういう文化的規管調査とかをする時って、どういう調査から始めるんですか。
いろんな方法がありますけれど、我々なんかまずはその湿界調査といって、建物すべて、その集落のものをピックアップして、おそらく何年ぐらいにできたのかとか、あと河原財とか、それぞれの特徴を見ていくと。
21:05
そうするとやっぱり非常に古いものなんかもあって、その古いものの、例えば配置構成ですよね。どういう向きで建っていて、どういうふうに川と接していて、どういう高さのところにあるのかみたいのを、
点として見たり、群として見たり、あるいはリネアな状況で見てみたりっていう中で、その集落の骨格みたいなものを見取っていくっていう作業をしていきます。
その中でエッセンスを見出していくというか。
確かに手法の話は面白いなと思って聞いていたんですけど、3Dスキャニングとかも使ってやられているみたいなこともちょっとお伺いしていたので、どこでしたっけ。これも京都の事例で。
これもね、今たまたま京都工芸専院大学に3Dスキャニングの機材がありまして、やっぱり結構可能性が未知というか、どう使ったらどう応用できるのかというのがなかなかまだ模索状態なので、私はとりあえずやってみようというようなので。
お茶畑もそうですし、あるいは上行の路地の中もスキャニングするということをやっています。やっぱり面白いのは、3Dスキャンって点なんですよね、出てくる情報というのは。点群という、ドットなので透けるんですよ。
だからその手前のものから奥のものまでがある種見える、透過性があるという中で、他に写真でいいじゃないっていう話も往々にしてあるんですけど、写真じゃなくて点群だからこそ見える見えないが、もう一回判別というか考え分けられるというか、写真とは違う使い方、考え方というのはできるなと思ってまして。
例えば和塚町だと茶工場をメインで調査するんですけど、我々は。茶工場は自粛したりするんですが、茶工場というものとその高さの関係、結構大きな斜面にあって平場があって茶工場があって、その上と下に茶畑があって。
またその下には谷部があって、水路があってみたいな、そういうのって行けば分かるんですけど、行かないと分からない。でも点群だとそれが大断面で作れたんですね。
つまり写真、手でも大断面って今まで作ったことあるんですけど、畑があって工場があってっていうこういう地形大断面ですね。それを点で撮ることによって、両者の関係っていうのがすごく写実的に、データだから正確なんですけど、
24:06
その写実的に両者の関係が視覚化できたっていうか、あとはそのウォークスルーみたいなものを作ることでその斜面の勾配であるとか、あるいはそこの高さにだからこそ茶なのか田んぼなのかみたいなことも体感的に分かるというか、
そんなことが私はこれから可能性がありそうだなって思って、面白く感じているところです。
最新のテクノロジーを駆使した。
すごいですね。
他にもそういった手法として新しい、このテロワール研究、領域研究の分野でも新しい手法ってあったりするんですか。
新しい手法、そうですね。
いやでも、今のところはそうな感じですかね。
なんか国とか文化によってもやっぱり調査の仕方とか、まず導入、入り方みたいなところも違うのかなと思って聞いてたんですけど、
和塚町でその研究、リサーチをやる場合と、イタリアだったりでやる場合と違うのかなと思っていて、
なんかいただいた事例の中で、アンチョビ集落の話があったと思うんですけど、そこら辺のリサーチの話だったりとか、どういうふうに異文化の中にリサーチャーとして入っていって、リサーチをされたのかっていうところも聞いてみたいです。
なるほど。アンチョビ集落は、私すごい食いしん坊なんですよね。
アンチョビ集落のある場所って、イタリアとフランスの国境地域で、ものすごく内陸なんですよ。
なのにアンチョビ街道っていうのは通っていて、それって京都のサバ街道と一緒じゃんと思ったわけですよね、まず。
これはまず調査しなくちゃいけないと思って。
それで、イタリアでピエモンテの方にあるので、ピエモンテは割と大学が鳥の高科大学というところと交流をしていたので、行くチャンスがあって。
あと茶畑とワイン畑景観ということで、ドリンクスケープっていう飲み物の景観比較研究みたいなのもやってたんですね。
そこからちょっと派生して、アンチョビ集落に行ってみようということになりました。
私はまず行政なりにお手紙を書いたり、あるいはそこの地域で成り割をされているキーパーソンみたいな方を紹介いただいて、
まずその方とお話をしながら調査を進めていくという感じですかね。
27:01
短期決戦なので、海外調査だと。例えば4,5日の間にやりたいことは盛りだくさんあるので、その中でご相談しながらできることできないこと。
あと機材が持っていけば、今回アンチョビ集落は3Dスキャニングを持っていけたので、ものすごい急斜面に生えるように建っている建物群というものを取りながら、
それと成り割との関係というのを結構広いスケールで見ました。
面白い。行ってみたいです、アンチョビ集落。ほんとサバ街道ですね。
アンチョビ街道。
いろんなワードが。
確かに。アンチョビ、そもそもめっちゃ食べるのにどういう風に作られているのかとか、どういった場所でそれが生産されているのかって考えたことがなかったので、
写真とかでもいいので見てみたいです。
ちょっと残念な出来事もあって、実はそこでアンチョビは作ってはいなかったんです。
やっぱりサバ街道というか、そこに住んでいる人たちがあまりにも貧しいんですよ。すごく寒い地域だから。
そこに住んでいる人たちは、女性は髪の毛を切って、その髪の毛を売りに港まで行くと。
そしてそこでアンチョビと交換するなりするんですけど、そうやって海の方まで行った人たちは、結局そっちの方に根付いてアンチョビ商人になっていくんですよね。
なので、その山奥出身の人がアンチョビ商人が多いっていう、そういったストーリーではあったんですが、ただピエモンテってバーニャカウダが名産なんですよ。
バーニャカウダってアンチョビソースですよね。
ピエモンテも海に名しているのは今はなくて、ほぼ内陸の種なんですけど、やっぱりそこでなぜ共同料理がバーニャカウダなのかっていったときには、そのアンチョビ集落やアンチョビ街道があったからこそなんですよ。
面白い。
そういう話大好きなんですよ。
いくらでも聞きそうな。次どうなったんですか?どこにたどり着いたんですか?みたいな。
延々と話せそう。
確かに。そして話を聞いてるとお腹が空いてくるっていうのもあるんですけど。
面白いですね。やっぱり食べ物と空間の関係性と人間の文化みたいなところは、私たち自身も興味があって、
そうなんですよ。
過去に話を聞いたこととかもあるんですけど、建築と食をテーマに活動されてる人だったりとか、
はい。
いくらでも、何時間でも話をしたいですね。これに関しては。
わかりました。
あとちょっと今出てきたキーワードで、ドリンクスケープ?飲み物の比較っていうところが出て。
30:03
気になりました。
初めて聞いたんですけど、ちょっともっと教えてください。ドリンクスケープ。
それは造語なんですか?赤松さんのドリンクスケープ。
あるんですか?
そうです。造語です。
教えてください。
ぜひ。
そうですね。やっぱり飲み物が作る景観ってかなりありますよね。
その中でも、お茶のことを和塚町でやらせていただいてたっていうことと、
あとワインのこともずっと研究させてもらってたので、
ピエモンテのワインの景観と、宇治のワインの景観を比較するという、
水プロジェクトだったんですね、ドリンクスケープは。
今の世界遺産の登録でも、ユネスコ世界文化遺産でも、
やっぱりワインの景観、ワインスケープという言葉はあるんですね。
鳥海先生が出されている。
でも、飲み物が作る景観ってすごく注目されていて、
ピエモンテは世界遺産登録されているんですよ。
一方、和塚を含む宇治の方は、世界遺産登録を目指しているということで、
世界遺産ビフォーアフターということでも比較できるな、
勉強させてもらえるかなということもあって、
それで日本の学生10人くらいかな、
鳥海先生が同じくらいと一緒にワークショップをして、
5日間、和塚町にイタリア、トリノの学生さん来て、
っていうのがまずあって、
その後、ピエモンテに日本の学生も行く、
っていう、そういう交換のワークショップをしました。
じゃあ、楽しそうなワークショップ、参加したいです。
ちょっとまた、オーガナイズしていただきたいです。
学生向けじゃなくて、一般にも参加できる形で。
ドリンクスケープか、めっちゃ。
面白かったですよ。
確かに。
サイコ酸系とか、あと何かありますかね。
お酢とか、ドリンクじゃないですかね。
でもすごい興味があります。そこら辺で。
そう、あと世界遺産登録されているものだと、テキーラとかコーヒーとか、
そういったものが飲み物系はありますね。
テキーラは行ってみたくて、流伝覧からできるんですね。
流伝覧からと、テキーラ醸造施設からなる世界遺産かな。
メキシコの方にあるものがありますね。
面白いです。
最近、私アフリカに行ってたんですけど、いろんなところに行ってたんですけど、
パルムワイン、何て言うんですかね、パルムワイン、ヤシ酒ですかね。
結構西アフリカの方で飲んでいて、白く濁ったお酒なんですけど、
ヤシから取れるみたいなところで、
毎朝その業商人が田舎から田舎で切って、
茹でたものを新鮮なうちに街まで運ぶみたいな話を聞いて、
33:03
新鮮じゃなきゃいけないから、最短ルートで朝一で、みたいな決まってるらしいんですけど、
その流れであったりとか、
一方でパルムワインみんな飲みすぎて、
自然破壊につながっているみたいな話も聞いたりだったりとか、
パルムワインのドリンク生物みたいなのも興味があるな、
調べてみたいなって今思いました、話を聞いていて。
面白いですね、面白い。
でもそうなんです、方やね、やっぱり自然破壊とは結構密接で、
私ワインの研究だとか、テロワルの研究ですごく思っているところです。
なるほど、なるほど。
それに関連して、もうちょっと30分早いもので経ってしまったんですけど、
今まさに注目しているトピックとか、活動であったりとか、
今後取り組んでみたい野望みたいなところってあったりしますか?
そうですね、いろいろあるんですが、やっぱり、
今日ちょっとテロワルの話あまりできなかったので、
やっぱり人間と人が一緒に作り出してきた、
土地の特徴、土地の固有性みたいなものにすごく興味が持っていて、
それって人間もそうですけど、私って何なんだろうとか、
やっぱりそういうのって常に思うじゃないですか、思っちゃう方なんですけど、
やっぱり地域もそうで、地域らしさっていうことは常に考えなきゃいけないし、
なんで考えるかっていうと、やっぱりそれを共有している人たち同士が、
それを知ることで、なんかよりハッピーになれるきっかけがあると思うんですね。
結構幸せホルモンみたいなことをよく考えていて、
セロトニンとかドーパミンとかアドレナリンとかいろいろありますけど、
その中でみんなで、例えば好きな人と一緒にいるとか、
一緒の仲間と何かプロジェクトを達成するみたいなときに出る幸せホルモンに、
オキストシンっていうのがあるんですって。
やっぱりオキストシンだなって思ってて、
オキストシンはなくならないんですって。
ドーパミンとかは、もう一回得ると、もっともっとってなって中毒症状が出ちゃうけど、
オキストシンは何度出ても、みんなで共有してハッピーになれる。
そういうのをどうやってずっと一緒に共有していけるかなって思ったときに、
やっぱり地域とかで、何か一緒に物事を共有したり、時間を共有したりっていう、
36:01
そういう物っていうよりことを共有するって大事なんじゃないかなって、
それは自分なりに感じていて、
そういったことが文化的景観でも現れているような地域が、
みんなのために苦労してやってきて、それが今景観に現れているのも、
きっとそういう結果だと思うんですよ。
そういうのを自分でもちょっとやりたいなというのがありまして、
やりたいなというか、どうやったらそれができるのかなっていうプロセスを一回やってみたい、
というのを鎌倉でちょっと今やりたいなというふうに考えています。
それを鎌倉山プロジェクトって今名付けてるんですけど、
その仲間たちと一緒にそこのある斜面がありまして、
ヤブも竹林も沼も沢もあるんですけど、
そこをみんなでちょっとオープンにしていくというか、
今、私有地なんですけど、そこを開いていくことで地域にもつながりが、
地域に糸の最初を作るっていうか、開放できる場所を作って、
そのオキスト神の発信地にならないかなっていうことを、
社会実装って言ったら偉そうですけど、そんなことも考えつつ、
でもそれは文化徹底感ですとか、その領域史の研究と結びつけて考えていきたいなというふうに思っています。
その鎌倉でのプロジェクトすごい興味があるんですけど、
実際にちょっと足を運んでみたりとか、参加してみたりという予約はあるんですか?
あります。ぜひぜひっていう感じで、まだこれから始めていくところなんですね。
で、きっかけになるようにちょっとこの間ピザ窯を作ったので、
いいですね。
その鎌開きなんかの時に、いろんな方に来ていただけたらなというふうに思って、
最初の一歩に考えています。
そのピザ窯をみんなで使ったらオキスト神が出そうですね。
そうそう。
はい。そこが目的ですからね。オキスト神が。
そうなんです。オキスト神が目的なんで。
まさかオキスト神がこの会話の中で出てくるとは思いませんでした。
ね。
ご存知ですか?
聞いたことあります。幸せホルモンの中で。
嬉しい。
そうですね。そのオキスト神をみんなで共有できるような、
その地域のつながりだったりとか、地域で土地らしい、土地の固有性みたいなものを大切にしながら、
何か一緒にするみたいなことって、なんかやっていきたいなとも思うし、
私が京都好きなのもオキスト神が感じられるからなのかなって今日も考え始めましたし、
でもなんか一方で、大都会とかに住んでいたりすると、
39:00
住んでいて一人ぼっちだったりとかすると、
どういうふうにそういった土地とのつながりを再発見したりとか、
みんなでそれを共有することをするための一歩を作れるのかなっていうのは、
まだまだ課題かなと思うので、そこらへんをどういうふうにしていけばいいのかみたいなところは、
ぜひ赤松さんと今後も議論していけたらいいなと思いました。
東京とかで、東京のど真ん中で、例えばこの東京に来たばかりの学生とかが、
どうオキスト神をみんなで、その東京の土地らしさみたいなのを大切にしながら作れるのか、
みたいなところが結構チャレンジかなと思いました。
ゆっくり学校どうでしょうか。
本当にそうですね。本当にそうですね。結構重要な、そして魅力的な課題ですね。
なんか今回お話聞いて、その領域史とか文化的景観みたいなところに興味を持ったんですけど、
その領域史を学ぼうと思ったら、ここから入るといいよとか、この本面白いかもしれないよとかあったら、
ぜひ聞いてみたいです。
はい、それがあんまりなくてですね、ただ私がすごく参考になったなと思うのは、
まずは伊藤たけし先生という方が、そういう大地とか荒地とかを含んだ見方で領域を見ようということを言い出されたんですけれども、
洋先生自身はその領域史の本みたいなものは具体的には出されていないんですが、
私も関わったイタリア中世の都市アゾロっていう、その本は比較的、都市って書いてあるんですけど、
都市の外側の高地であったり高地でもない未高地、いわゆる荒地みたいなことも含み込んで、
広い見方で調査をした成果になっているので、それはその領域、イタリアのベネトっていうベネツィアのある州ですけど、
そこを対象にしたものですが、一つ面白いかなと思います。
これからもう一つ言うなら、やっぱりフェルナンブローデルという人がいますけど、
彼の長期波動、中期波動、短期波動みたいな時間の捉え方っていうのは、その領域史を考える上ですごく重要な書籍になっているかなと思います。
いろんな時間軸、それからいろんな地理的な範囲の中でものを捉え直す、歴史を地理的に捉え直すみたいなこともした人なので、
地中海っていう本が有名ですけれども、それもいわゆる国という範囲じゃなくて、海からある地理的な範囲を捉え直すっていうことをされたものですし、
それは本当に歴史的な対象なので、これは読んどいてもいいのかなという気が、私はたくさん学ばせてもらいました。
42:11
ありがとうございます。
時間の捉え方、地理から歴史を考え、面白いです。
確かに。
私たちの歴史の捉え方って結構人間の歴史ですもんね。
最近私たちエジプトにいたので、エジプトの古代史とか調べると、この王様がとか、ファラオがとか、誰がお姫様でとか、そういう話になっちゃうんですけど、
そういったランドスケープとか、自然のところから、例えば私はカイロがナイル川があった頃からこそ、あそこに人間の文化が生まれたっていうすごい面白い流れだなと思っていて、
むしろその歴史の捉え方を人間中心に考える、そもそも人間中心に考えるんじゃなくて、
そういった地形であったりとか、自然の成り立ちの中から、また別の時間軸で捉えてみるっていうのはすごい面白いなと思いました。
その通りなんですね。
ブローソリーが言ってたのは、長期の軸は変わらない気候とか、地質とか、地形。
中期が、いわゆる政治的、国家の歴史だったり、数百年続くもの。
短期が、今日あった出来事、事件、みたいな。
その三層構造で歴史を捉えると面白いよって言った人で、なのでその長期のところっていうのはすごく面白いですよね。
やっぱりナイルガイが氾濫するから土地がまた被翼になって、また区画をやり直してっていうのがエジプトの歴史じゃないですか。
そういうスケールの大きい歴史っていうのが身近に感じられるとグッときますよね。
めっちゃしますね。
すごいなんか、めっちゃオキストニンが出たトークでした今日。
オキストシンが。
オキストシンは私今めっちゃ出てます。
すごいワクワクしました。
いろんな角度からいろんなものを捉え直せるなって思ったし、
私が知っていると思っていたことに関しても違った軸で捉え直せるなって思ったので、
なんか読まなきゃいけないものも今日ピックアップできましたし、
ちょっと赤松さんにまだまだ聞いてみたい話っていうのがあるので、
ちょっと今回だけではなく、長い軸でお付き合いさせていただけると嬉しいです。
美味しいものを食べながらぜひ。
そうですね。
それもぜひぜひ。
大切ですね。
はいじゃあ一旦ありがとうございました今回は。
引き続きどうぞ。
ありがとうございました。
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次回もお楽しみに。
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