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2024-08-30 17:31

【#146】社会学者・山田陽子さんに聞く、心と感情と現代社会

今回は大阪大学大学院人間科学研究科 准教授の山田陽子さんをゲストにお招きしました。最近よく耳にするウェルビーイングが労働に及ぼすに影響ついておしゃべりしました。


プロフィール: 京都寄りの大阪で生まれ育つ。学生時代に阪神間モダニズムと阪急神戸線の文化の洗礼を受ける。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。最近の研究テーマは、感情資本主義 emotional capitalism の観点から、働く人のメンタルヘルスと経済活動のエモーショナリゼーション、自己・親密な関係と生活全般の合理化について、質的調査と社会学理論にもとづき分析すること。主著に、『働く人のための感情資本論―パワハラ・メンタルヘルス・ライフハックの社会学』(青土社, 2019年)、『「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像―「心」の聖化とマネジメント』(学文社、2007年)など。日本社会学史学会奨励賞受賞。


◉トピック

・山田さんが心の問題や社会問題を研究テーマにしたきっかけ

・ウェルビーイングにおける社会の変化について

・感情労働、美的労働とは?ウェルビーイングが労働に及ぼす影響

・ウェルビーイングがつくる世界観の違和感

・労働環境における人間性について


山田さんの著書「働く人のための感情資本論―パワハラ・メンタルヘルス・ライフハックの社会学」

https://amzn.asia/d/eyRKx2I


《締切間近 9/1締切》9/15スタート アーバニストキャンプ2024の募集要項はこちらhttps://thin-death-8e1.notion.site/Urbanist-Camp-Tokyo-2024-26ab9c0ba9824c99b812c1e7ad73d2ef. 今年は“Emotional City”をテーマにフィールドリサーチや専門家による講義、都市体験をデザインするためのツールの作成、発表までを行います。


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00:02
はい、皆さんこんにちは。今日は社会学者の山田陽子さんにゲストにお越しいただいています。
山田さんにお越しいただいた経緯としてはですね、前回もラジアンの方でご紹介させていただきましたけれども、
今回は、社会学者の山田陽子さんにお越しいただいた経緯としてはですね、
9月からアーバニストキャンプ東京、エモーショナルシティという新しい企画が始まります。都市における感情価値をどう捉えていくのか、どう捉え直していくのか、
というところをテーマに、6ヶ月間程度の公募制のプロジェクトを行うんですけど、
今まさに参加者を募集中です。そこのキックオフでまさに山田さんにレクチャーをしていただきたいなと思っているんですが、今回ちょっとティザー予告編のような形で、そもそも感情って山田さんが感情を中心に研究をされているんですけれども、
感情ってどういうふうに捉えればいいのか、感情を今のこの資本主義の中でどういうふうに捉えるべきなのか、私たちはじゃあどうしていけばいいのか、みたいなところをちょっとディスカッションさせていただければいいなと思っています。山田さんどうぞよろしくお願いします。
山田さんのまさに勤聴、働く人のための感情資本の、私も今読んでいるんですけれども、簡単に山田さんの研究内容であったりとか自己紹介、まずお願いできますか。
大阪大学大学院人間科学研究科で準教授をしております山田と申します。専門は社会学で、その中でも感情社会学とか医療社会学とか医療社会学などの研究をしております。
大阪大学大学院人間科学研究科で準教授をしております山田と申します。専門は社会学で、その中でも感情社会学とか医療社会学とか、あと社会学士などをやってきたんですけれども、働く人のメンタルヘルスとか自殺とか鬱病の問題、大きな問題としてありますが、心の健康とか心の問題が社会の中でどのように議論されているかということをお話ししていただきたいと思います。
大阪大学大学院人間科学研究科で準教授をしております山田と申します。専門は社会学で、その中でも感情社会学とか医療社会学とか、あと社会の中でどのように議論されているかということをお話ししていただきたいと思います。
そもそも研究テーマとして心とか感情とか、結構重いって言ってしまったらあれですけど、かなりヘビーなテーマに向き合うことも多いかなと本を読んでいて思ったんですけど、そもそもこのテーマにしようとした原風景というかきっかけってあったんですか。
03:20
そうですね、最初私もともとソーシャルワーカーになろうかなと思っていたところがあって、そういう社会問題だったり人の心の問題だったりをどういうふうに解決するんだろうっていうところで考えてたんですけど、あと学生時代を神戸で過ごしていたっていうふうなこともあって、ちょうど私が大学院に入る頃ぐらいに震災があったり、大学院じゃなくて、
大学生ですね、学部の頃に阪神淡路大震災があったりとか、あと神戸事件って皆さんご存知かわからないですけど、少年事件があったりとかっていうので、割と神戸でいろんな大きなことがあって、心のケア言説のみたいなものとか、心の教育言説みたいなものがすごく発信源というか、そういう形になった場所、都市、まさに都市ですけど、
その中で私が学部とか大学院時代を過ごしていたので、なぜここまで心の問題というのが出てくるのかということプラス、それがどういうふうな意味を持っているんだろうかということを、社会学の観点から考えたいなと思ったところですね。
いろいろ通っていくうちに、心の健康とか、労働者のメンタルヘルスの問題とか、うつ病というふうな問題にも行き当たりまして、そこから割とそれこそ自殺の話だったり、先ほどちょっと重いテーマっておっしゃったと思いますが、そういったところにもいろいろ実際に話を聞いてみるとか、
どういう形でどういう問題が起こっていてというふうなところをリサーチして考えてきたというふうなところですかね。
【森】最近、企業とかでも、ウェルビーングみたいな言葉が、ここ数年ですごく言われるようになって、各企業を必死にいろいろ取り組んでいるような印象なんですけど、
世の中的にも、そういう心身ともに健康であることっていうことが、生徒されそれに向かっているっていうような状況を感じるんですけど、この社会変化というか、社会の流れみたいなものをどのように捉えていらっしゃいますか。
【森】そうですね、やはり社会の変化には、良い面と悪い面がいつもあると思っていて、実際に過重労働がなくなるとか、パラスメントをする人がいなくなるとか、心理的安全が保たれる良い環境で、みんなでアイデア出し合って生産性を上げるというのは、それは良い変化だとは思うんですけれども、一方で非常に管理的な側面が強くなってしまう。
06:11
例えば、睡眠データを取るとかですね、非常にプライバシーが脅かされるようなことがあったり、感情を自分でセルルコントロールするとか、セルルケアするということが、仕事の一部になってしまうとかですね。
感情労働というふうな概念が、社会学の中にはあって、わりと知られている概念だと思いますけれども、何か仕事の中で感情を管理しないといけない、まとめられる感情をお客様に提供するために、自分が本当は気が乗らなくても楽しい感じで、イライラしていてもにっこり笑顔でとか、振る舞わないといけなかったりとか、あるいはそのケア労働、ケアがもう、
陳労働化していますので、わりとコンビニの店員であれば、その場だけ笑っていれば済むかもしれないんですが、看護とか介護とか教育とか保育っていうのは、対象に深く関わる、長期間関わって、対象の生活であるとか、人格の形成に非常に深く関わっていくっていうふうな時に、
その仕事をしている人もすごく深いところまで、人格の深いところまで仕事に捧げないといけなくなってしまう。
そこでいろいろと、しんどいことが起こってくるというふうなこともあると思うんですね。
あと、さらに言うとすると、美的労働というふうなことも言われていたりして、感情だけじゃなくて、見た目の管理もすごく大事になっているというふうなことが。
美的労働。
エステティックレイバーというふうに言うんですけれども、そこで問われているのは感情ではなくて、ルックだっていうふうに言われるんですね。
見た目っていうんですけど、その時の見た目っていうのが、ただ二重まぶただとか、鼻筋が通っているとか、身長がとかっていうふうな、身体的なとか顔の造作がいいっていうことだけではなくて、その人が全体的に醸し出すオーラを含めた見た目なんですね。
それが整っていないといけないっていうふうになっていて。
なのでその感情を管理しつつ、見た目も管理しつつ、全体的な人間性みたいなところを整えなくてはいけなくなっているという。
ウェルビング、いいとは思うんですが、何かどこまで私は仕事を捧げればいいんでしょうかみたいな状況が出てきていて、楽になるはずだったけど、すごい息苦しくなっているかなっていうふうな、そういうどうしたらいいんでしょうかっていう状況が生まれているとは思います。
09:02
なるほど、本当にそうですね。
うん、そうなんですよね。仕事のために自分を充実させないといけないのかとか。
そこが繋がってますよね。
そう、人間性磨いてとか、自己実現っていうのが全て仕事に繋がっていってしまって、新労働の一部に組み込まれていって、そういう状況っていうのは非常に出てきていると思います。
で、何か違和感があるんだけど、何がおかしいかみんな言語化できないみたいな、そういう状況があるんじゃないかなと思う。
しかもやっぱり恐ろしいのは、先ほどもおっしゃってたみたいに、それが仕事の現場、いわゆる職場の現場だけじゃなくて、家庭、家の中にもその考え方があり、つまり日々の生活全てにっていうところに浸透しているという点で、私たち逃れられない状況に今置かれているっていうことですよね。
なんか本を読んでいて、後書きにありふれたしんどさっていう言葉があって、それがすごい印象的だったんですけど、もう本当に私たちも今特定の職場に通っているというよりは、家で仕事をしたりとかいうワークスタイルも多いんですけど、
日々、住んでいる町の小さな場面だったりとか、それこそ移動中だったりとか、仕事関係のコミュニケーションだったりとか、本当に24時間あらゆる局面で、いわゆるありふれたしんどさみたいなものを感じているのが今だなと思っていて、
なんかどうしたらいいんでしょうっていうところは、ちょっとまたね、アーバニストキャンプの本編の時にディスカッションさせていただけたらなとは思うんですけど、どうしたらいいんだろうっていうのが今の気持ちっていう感じなんですよね。
逃げたいなと思って、それこそ山深いところにいて、オーガニックの食材の食事とヨガとか言っても、それも結構パッケージ化されて、商品になっていたりもするので、本当に資本主義的なものから逃れられない、雑資本主義社会っていう感じになっていると思いますし、
労働者のすごく抑圧的な、それこそチャップリンの映画のような歯車になっちゃう、ベルトコンベアンの工場の労働者の人間性全く無視みたいな形ではなく、むしろ非常に感情的であることが承認されますし、感情をうまく活用するとか利用するとか、
12:07
それで人とうまくやっていく中で成功を収めていくみたいなことが今の社会の中の一つの労働の大きな要素になっているので、就活でも人間性とか問われたり、あなたの学知家ですよね、カタカナで学生時代力を入れたことは何ですかって言って、それまでの人生を振り返って評価されるみたいな。
学知家って言葉があるんですか。
はい、学生時代力を入れたことっていうのがもう本当に、面接で必ず聞かれるので、それに向けてボランティアしちゃうみたいな。
少し前だと中高生とかが内心症アップさせるためにボランティアに行くとかってあったと思うんですけど、今大学生が本当に学知家に書くネタがないって言って、ボランティア行くとか海外旅行行くとか、そんな形になっていたりして。
学生時代力を入れたことっていうものをカタカナで学知家っていう形に言って、ある種対照化して攻略するみたいな、ゲーム性みたいな、そういう感覚があってたくましいなとは思うんですが、自分の人生とか経験がある種本当に評価されてしまう。
それ経験拡散の話とかとも通じてくると思うんですけれども、そこで経験詰めた人と詰めなかった人、これまでの人生の中で詰めた人、詰めなかった人の格差っていうのがまたそこであからさまに出てきてしまうみたいなこともあると思います。
うーん、今回あの有楽町丸の内大手町あたりを舞台に、都市とその感情の関係性みたいなことを考察していくんですけど、先ほど言ってたそういった感情労働とか美的労働っていうのは結構都市的状況なのか、それともそういったところも関係なく起こっている現象なのか、そこら辺はどうお考えですか。
基本的に都市が中心とは思いますが、やはり近代化された場所であればどこにでも生じていることだと思いますし、あとその向上労働者においても結構なんかその、それまでは人間性とか別に関係ないし相性良くなくても、むしろその黙って黙々とコツコツとやる人が
非常に評価されていた。日本のものづくりの時代ですよね。産業社会の時代だと、あのコツコツものづくりを過目にやる人って非常に、それはそれで評価されていて、むしろその人付き合いがいいとか、あの調子の良い人はお調子者扱いされていたとしてもあると思うんですが、今はあの向上労働者であっても、あの社内でうまくやっていける人とかコミュニケーション能力を求められることが非常に増えて、
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今までそうした感情管理とかが求められていなかった職であっても、あの求められるようになっているっていうふうに聞きましたね。
だからその田舎のいわゆる地方のそういう工場であったりとか、都市と地方でどこまでどういう違いがあるかってちょっとリサーチしてないので、今正確なことは言えないですけれども、そういった、それまで感情労働とか美的労働みたいなものが必要ではなかった
ところにも広がっていっているというのは確かだと思います。
【森】ありがとうございます。このままガンガン聞いていってしまった感じなんですが、ぐっとこらえます。また9月の16日ですね、アーバニストキャンプにサインアップしていただいた受講生の方もまるっとレクチャー聞いていただけるので、ぜひ概要欄に応募要項を入れておくのでチェックしていただけたらと思います。
山田さんとディスカッションできるのはすごい楽しみにしています。
【山田】はい、楽しみにしています。
【森】よろしくお願いします。ありがとうございました。
グッドニュースフォーシティズでは、毎週新しいエピソードを配信しています。
次回もお楽しみに。
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