身体の悩みとセラピストの立場
前回、前々回の話に通じるところかもしれませんが、身体の部分や全体について考えるなどの話題にあたって、
自分みたいなセラピストの立場だと、身体の悩みを聞いて何かアドバイスをしたり、
施術をしたりすることもあるのですが、ここで、これにはこうしたらいいよと言いたいと言いたいのですが、なかなか難しいというのもありますし、
また、ウェブ上で情報発信をしていると、こういう研究でこういう結果が出ていますとか、
こういう論文ではこういうのが示されましたとか、ある程度認知を得たりとか注意を引くような形だと、
できるだけ断言したい言い方の方が注目されやすいというのもありますし、周りでもそういう発信をしている人も目につくのですが、
ある程度認知を得たりとか注意を引くような形だと、できるだけ断言したい言い方の方が注目されやすいというのもありますし、
あらためてこういう何かしらの課題というか、問いに対して断言した回答ができるのかみたいなことは考えてもいいかなと思いますし、
今回で全部話し切れるわけではないですけど、あらためて考えるきっかけにしてもらえたらいいかなという感じですかね。
例えばですね、自分の場合は大学院の時に腰痛の研究をしていた時があるので、腰痛を治すためにはこういう運動をしたらいいですよみたいな感じで言えたらいいんですけど、
結構細かく見ていくと、なかなかそういう断言というのはしづらいところもあったりして、
でもですね、目の前で一対一でクライアントに関わったりすると、最終的にいろいろ考えた結果、これがいいんじゃないかみたいな、そういう言い方はできたりしますし、
それに至る過程というかですね、その辺をあらためて考えてみようかなという感じですかね。
近年であればですね、やっぱり科学的な考え方みたいなところというのは重視されて、
比較的結論に近いものを言いやすいので、まずはここから考えてみようかなと思うんですけど、
エビデンスレベルという考え方があってですね、これ自体というのもちょっと疑問視する考え方もあるはあるんですけど、
世の中一般で言うとですね、例えばエビデンスとか科学的な根拠とかというのはこういうエビデンスレベルというような段階に基づいて、
考えられることがあるので、一旦それについて話してみようかなと思うんですけど、
これもですね、まずは一番エビデンスレベルが低いというかですかね、まだこれじゃ根拠として弱いなみたいなところというのは、
専門家の単なる意見とかそういうところでありますし、
自分がある程度の経験は積んできたんですけど、自分が何かしらの検証とかそういうのをせずに言う意見みたいのはエビデンスレベルとしては低いですよみたいなことは自覚しながらしゃべっている部分もありますけど、
ただ資格を持っているとかこういう経験をしているだけの意見というのは比較的エビデンスレベルとしては低いと。
そこからですね、症例検討とかというような一人のクライアントに対してどういう形で取り組んだかみたいなところをまとめたところが次の段階としてなってきて、
そこからですね、もうちょっと疫学研究とかというような複数の人に対応したとか、何か調査をした結果みたいなところで、
そこからですね、科学的な知見というのは結構実験というか比較をして検討するというのは結構大事なんで、
ランダム化比較試験とかですね、例えば何か2つの群に分けたりして、片方の群ではこういう治療をして、もう片方ではこういうことをして、
その間にどのぐらい差があるか、しかもそれが統計的に見た時にちゃんと有意な差があるとかっていう言い方をするんですけど、
少し差があるだけだったらですね、例えば10%改善するとかいうのと11%とかだとそこまで大きいなところではないですし、
他のと比較して十分な差があるよっていうのが認められたものが、科学的には効果があるんじゃないかって見なされるもの、
こういうのがですね、介入研究とかっていうものなんですけど、この中でもランダム化比較試験というようなですね、
2つの群に似たような対象をランダムに分けて、プラスアルファでブラインドとかって言ってですね、
受ける側はこれが良いとされるものなのか、そうじゃないかも分からない状態とかで受けて、実際にその効果に大きな差があれば、
それはやっぱりこれの効果なんじゃないかっていうふうに言えるのがRCT、ランダム化比較試験と言われるものですけど、
これでしっかり効果が出てて、さらにこういうRCTとかっていうのをまとめた形、いろんな国とかいろんな研究者とかが似たような形態で実験を実施して、
やっぱりこれは効果あるんじゃないかっていうのがまとめたもの、システマティックレビューとかメタアナリシスとか言われたりするんですけど、
ここまで行くとですね、ある程度根拠の高さっていうのが見えてくる。
またシステマティックレビューとかメタアナリシスの中でも十分効果が高いとか、これはまだまだだよねみたいな評価もされたりするんですけど、
この中でもやっぱり効果が高いものみたいなものがガイドラインとかっていうのでまとめられて、
腰痛の治療方針
例えば病院のお医者さんはそれに従って治療方針を決定するとかですね。
こういうのが科学的な形である程度断言できる、正しそうな情報を見つける流れっていうところですね。
ここで自分の場合は腰痛の研究をしてたわけですけど、これもですね、例えば運動療法とか温熱療法とかっていうような、
この辺は腰痛の中でもまた分類されるというのがいろいろありますけど、
特定の、例えば特殊な手術とか薬の治療が必要ないようなカテゴリーの腰痛の中だと、
こういう運動をするといいですよとか、こういう状況では温めて治療するといいですよみたいなことは見えてきているので、
ここは比較的言えるっていうところですかね。
ただ、広い対象に向けて腰痛にはこれがいいですよって断言するにはなかなか言えなくて、
こういう例えば年齢層のとかこういう仕事をしている人のとか、腰痛の中でもこういう分類のところにはこれがいいですよみたいな、
かなり細かく、だから部分に分けていった中だと結論としては言えるっていうような感じなんで、
こういう理由もあってですね、例えばもうSNSでXとかインスタとかでこれにはこれが効果ありますみたいなことは、
言いたいっちゃ言いたいものの前提条件がかなりあるからこそなかなか言えないみたいなところが、
結構科学的な知見を発信する難しさだったりするっていうところですね。
そこで今みたいに実験した結果、これは効果高いんじゃないかみたいなことは見えてくるんですけど、
また目の前の1人の患者さんとかクライアントに対してこれがいいんじゃないかっていうのは、
なかなか科学的な知見だけでは結論がなかなか出しづらいっていうところではあるんですよね。
さっき言ったとおり、2群に分けた上で効果がありますとか、
統計的に見たときにかなりの確率で効果が出るっていうのは出てくるんですけど、
身体の悩みに対する理解
この目の前の1人の対象っていうのがその効果があるカテゴリーに入るかどうかっていうのは、
本当に人間誰しも本当は違うわけですし、
科学的にだから結果が出たとしても目の前の1人にとってはなかなか難しいと。
そこの場合はですね、やっぱり主観的な要素を考慮する必要が出てくるかなというところで、
減少学みたいな考え方も結構ここで参考になってくるとは思うんですけど、
なんで結構クライアント本人の主観とかですね、
それまで生きてきた過程とか今後どうしていきたいとか、
この辺をかなり深掘りして考えていくと結構結論は出しやすくなってくるっていうところですよね。
だから生まれたときに何か先天性な疾患とかそういうものがないかとか、
成長する過程の中で子供の頃にどういう過ごし方をしてきて、
また親とか高学校とかでどういう情報とか教育を受けてきて、
また今現状こういう悩みがあったりするかもしれないけど、
未来こういう姿でありたいとか、特にここが不快に感じているとかですね、
そういう細かく主観的なところ、客観的な検査とかも踏まえつつ主観的な情報を見ていくと、
本人としてはやっぱり高校が優先順位高くて一番悩んでるんだな、みたいなところが見えてくると。
そこからセラピストがさらに客観的に見たときに、
科学的にはこういう知見があるけど、
この人のこれまでの生きてきた物語とか考え方とか、
その主観的な部分というのも考慮した上でこれがいいんじゃないかっていうのを提案して、
さらにこのクライアントとセラピスト同士でしっかり話し合った上で合意形成が取れるところ、
お互いに納得していくリスクとかメリットとかですね、
この辺も考慮した上でこれがいいんじゃないかみたいなところを考えつめた上では、
これがいいんじゃないかっていうのは断言できるっていうですね。
だから一対多数で広く情報を発信する上でも結構前提条件が必要になってきますし、
一対一の目の前の患者さん、クライアントに対して、
これがいいんじゃないかって最終的に断言した結果をしようと思っても、
それの前提条件とかですね、お互いの関係線とか信頼関係にもよりますしね、
ここが影響してくるっていうところなんで、
一筋縄でなかなかこういう症状に対してはこれがいいっていうのは断言しづらいっていうのが、
長々と話してきましたけど、難しいなというところですかね。
セラピストの役割と断言
とはいえセラピストが何かしら断言できないといえばそうではなくて、
こうやって前提条件とかうまく背景にあることを踏まえれば、
これはこうじゃないかっていうのも言えますし、
またまたセラピストの意見とかっていうのは科学的なエビデンスレベルとしては低いっていうのはありましたけど、
自分の直感とかですね、これまで経験してきた実際のこと、
こういう方がいてこれは効果が出たと自分でも確信してるし、
相手としても確信してもらってるみたいなところ、
ここを最終的に正しいとするかどうかは難しいところでありますけど、
セラピストも一人間なんで絶対に科学的なことだけ言わないといけないというわけでもないですし、
こういうこと踏まえると何かしらの体の悩みに対して断言するっていうことは不可能ではないかなと思うんで、
こんなところですかね。
またこれに派生するようなこととか、こういう研究があって、
こういう哲学的な考え方があってみたいことはまた補足的に話していこうかなと思いますけど、
セラピストだけじゃなくて何かしらの専門性を持っている人が、
これがいいんじゃないかって断言するのがいいかどうかっていうか、
できるのかみたいなことは結構悩んでいる人もいるんじゃないかなと思いますし、
よかったら参考になればいいかなと思って喋ってみました。
以上です。ありがとうございます。