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2025-04-20 11:04

研究指定校を廃止したら…?芦屋市教委が挑む、教員の自主性を尊重した新しい研修制度

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兵庫県芦屋市では、学力が高い一方で学ぶ意欲が低い子どもたちの現状を受け、「Ashiya PEACE プロジェクト」を開始。「子どもの主体性を回復する研究」として、教員が主体的に研究に取り組めるよう、自主参加型の研修制度「ワンステッパーズ」を導入しました。今回は、このプロジェクトの背景や具体的な取り組み、参加した教員の声などを紹介します。

サマリー

兵庫県芦屋市では、教員の自主性を重視した研修制度「ワンステッパーズ」が導入されています。この制度により、教員は自由に研究を進めながら、子どもたちの主体的な学びを促進するための環境が整っています。また、「ワンステッパーズ」の導入によって、教員の働き方改革が進み、子どもたちの主体的な学びが促進される成果が見られています。

芦屋市の教育改革
みなさん、こんにちは。教育カフェテラスの時間です。大学講師の水野太一です。
この番組では、国内外の教育に関する最新情報や、教育現場の課題、解決に向けた取り組みを紹介しています。
こんにちは。アシスタントの高橋さやかです。
今日も先生と楽しくおしゃべりしながら、教育について学んでいきたいと思います。よろしくお願いします。
さやかさん、よろしくお願いします。
今日のテーマは、東洋経済オンラインに掲載された、押し付けられる研究はもう嫌だという思い、という記事です。
2025年4月5日に公開された記事で、兵庫県芦屋市の教育改革について紹介されています。
芦屋市ですか。確か、学力が高いことで有名な地域ですよね。どんな改革が行われているんでしょうか。
芦屋市では、アシアピースプロジェクトという取り組みを行っているんです。
これは、子どもたちが安心して学べる居場所づくりを基本に、探究学習や個別最適な学びの支援など、5つのコンセプトを掲げています。
なるほど。でも、学力が高い地域で、なぜそのようなプロジェクトが必要になったんですか。
そこがポイントなんです。アシア市の子どもたちは、学力は高いんですが、勉強が好きとか大切だとか、役に立つといった肯定的な意識が低いという課題があったんです。
え、そうなんですか?学力が高いのに学ぶ意欲が低いなんて、ちょっと意外です。
そうですよね。記事によると、夢や目標を持っている子や、地域社会を良くしたいと思っている子、学校が楽しいと感じている子の割合も、全国平均より低いそうなんです。
それは深刻ですね。知識だけを詰め込むような教育になっているのかもしれませんね。
そうなんです。そこでアシア市は、夢と志を持って自らの未来を切り開く子どもを育てるために、子どもたちの主体性を回復する研究を始めたんです。
主体性を回復する、ですか。具体的にはどんなことを行っているんでしょうか。
アシア市では、子どもたちが選び、決め、行うことを重視しています。
子どもを信じて委ねるという考え方のもと、個々のニーズに寄り添った学びの環境を整え、励ましたり、フィードバックを与えたりすることが、教師の役割だと位置づけています。
なるほど。子ども自身が学びを主体的に選択できるような環境づくりが大切なんですね。
その通りです。そして、この考え方は教員にも当てはまるのではないかと考えたそうです。
教員にも、ですか。どういうことでしょう。
これまでのアシア市教育委員会は、課題があると数値で結果を示して、何々が足りないから何々しないといけないというように、正論で教員を説得していたそうです。
なんだか、ちょっと息苦しい感じがしますね。
そうですよね。研究も、市が決めたテーマを市提考に進めてもらうという形式だったので、別の研究がしたい教員や、家庭の事情で研究に専念しにくい教員は、一律に縛られて苦しかったと思います。
それだと、教員のモチベーションも下がってしまいますよね。
ワンステッパーズの設立
ええ。そこで、アシア市教育委員会は、研究市提考と研究発表会を廃止して、ワンステッパーズというチームを立ち上げました。
ワンステッパーズですか。なんだか楽しそうな名前ですね。
このチームの一番の特徴は、来るもの拒まず、去るもの追わずの、完全な自主参加性であることです。
強制ではないんですね。それは教員にとってはありがたいですね。
そうなんです。自分のしたい研究を、やりたい方法で、やりたいだけ研究できるんです。
月1回、互いの実践を持ち寄り、その価値を共有するリフレクション会議も開催されています。
リフレクション会議ですか。それは、お互いに学びを深められそうですね。
はい。教員らは、専門家から個別の実践に対して助言をもらうこともできます。
この会議も強制ではなく、リモート参加や欠席も自由に選べるそうです。
すごいですね。徹底的に教員の実践を尊重しているんです。
その通りです。さらに、教員が研究に没頭できるよう、
教育委員会は講師の選定や日程調整、借金の支払い、消耗品の購入なども事務作業をすべて代行するそうです。
そこまでサポートしてくれるんですね。教員は研究だけに集中できますね。
はい。交通費なども含めて、すべての費用は市の予算で運営されているそうです。
参加教員の実践と成果
足矢市は、教員を信じて徹底的に委ねているんですね。
その結果、現在までに市内の教員約300名のうち、20代から60代の38名がワンステッパーズに参加しているそうです。
すごいですね。自主参加なのに、たくさんの教員が参加しているんですね。
そうなんです。個別の研究テーマとしては、自由進路学習やティーマップ、
そうなんです。個別の研究テーマとしては、自由進路学習やティーマップが多いそうです。
自由進路学習やティーマップですか、子どもたちの主体性を育むにはぴったりのテーマですね。
そうですね。そして、そうした実践の広がりにより、一定の成果も得られています。
どんな成果が出ているんでしょうか。
足屋市は年に4回スクタン質問誌というものを使って、
主体的、対話的で深い学びの実現状況を測定しているんですが、
ワンステッパーズに参加した教員らのクラスでは、学習指導の個別化や学習内容の個性化が進み、
子どもたちの授業の主体は自分だという意識が高まったそうです。
それは素晴らしいですね。子どもたちは自分自身の学びのオーナーシップを持つようになったんですね。
ただ、学校生活を自分たちで変えているという実感については、まだ変化が見られないそうです。
共同的な学びや学校の行事づくりなどに課題があるといえます。
なるほど。主体的な学びと共同的な学びのバランスが大切ですね。
そうですね。2025年度からは、子どもの関係づくりや自治的書活動の研究をしてきた指導主事も運営に加わるそうなので、
この課題に関心のある教員をしっかりとサポートして研究を進めていけたらとのことです。
今後の展開が楽しみですね。実際にワンステッパーズに参加した教員の方の声も紹介されていますね。
はい。岩添小学校の近藤香織先生は、子どもに委ねる授業を進めるにあたって迷うことがあり、参加を決めたそうです。
ベテランの先生でも迷うことがあるんですね。
そうですね。近藤先生は、当初は皆さんから教えていただこうという受け身の姿勢でしたが、プロジェクト研究への参加を機に主体的に授業づくりができ、
実際の授業では算数の苦手な子どもが積極的になったり、意欲的に楽しんでくれたりするようになりました、と振り返っています。
素晴らしいですね。先生自身の主体的に学ぶことで子どもたちの学びも変わるんですね。
ワンステッパーズの導入
内出浜小学校で5年生の担任をしていた渡辺夏実先生は、子どもたちに小さな自己選択を委ねるところから始め、算数の自由進度学習に挑戦したそうです。
少しずつステップアップしていくんですね。
はい。渡辺先生は、方向性を持って取り組めたのはワンステッパーズのおかげだと話しています。
一斉授業のときに、算数が苦手な子どもを置き去りにしていたことに気づくことができましたし、結果として子どもたちの学力は大きく向上しました、とのことです。
それはすごいですね。ワンステッパーズに参加したことで授業の質が向上したんですね。
そうですね。また、ワンステッパーズは現場を一時的に離れている教員も歓迎しているそうです。
それは素晴らしいですね。大学院に通いながら参加する先生もいるんですね。
はい。藤田雄弥先生は、自分も含め教員は正解を求めがちですが、研究会で様々な問いと向き合う中で考え続けることの大切さを学ぶことができました、と語っています。
先生自身が学び続ける姿勢を持つことは大切なんですね。
足屋市の教育改革は、教員のモチベーションを高める環境づくりに大きなヒントがありそうですね。
本当にそうですね。教制ではなく自主性を尊重する、そして教員が安心して研究に没頭できるようなサポート体制を整える、この3つが足屋市の教育改革の成功の鍵だと思います。
そうですね。2025年度のワンステッパーズについて、小上さんは1週間の先進行実践研修も予定しています。
先生たちのペースを大切にしながら、しっかりと伴奏していきたい、と話しています。
今後の足屋市の教育がどう変わっていくのか、ますます楽しみですね。
ええ。あまりさんも、先生方は意欲も能力も非常に高い。その意欲と能力が最大化されるときに、子どもたちにとって魅力的な教育活動が実現できると考えていますので、いかに先生方にとって良い環境を作れるかが仮となります、と話しています。
今日の話を聞いて、教員の働き方改革と子どもたちの主体的な学びは要領であることがよくわかりました。
そうですね。足屋市の取り組みは、他の自治体にとっても参考になる点が多いと思います。
私もそう思います。今日のテーマは本当に勉強になりました。ありがとうございました、先生。
それでは最後にまとめです。足屋市では、アシアピースプロジェクトという教育改革が行われており、その一環として、教員の自治性を尊重した研修制度、ワンステッパーズが導入されています。
この取り組みによって、教員の主体的な学びが促進され、子どもたちの授業の主体は自分だという意識が高まるなどの成果が出ています。
教育改革の成果
足屋市の教育改革は、教員の働き方改革と子どもたちの主体的な学びの両立を目指す先進的な事例と言えるでしょう。
本当におっしゃる通りですね。私も今日の話を聞いて、教育に対する考え方が少し変わりました。
足屋市の取り組みを参考に、私たちも主体的に学び、教育について考え、行動していきたいと思います。
はい。これからの教育は、教員も子どもも主体的に学び続けることが大切ですね。
そうですね。
それでは、本日の教育カセテラスは、この辺でお開きにしたいと思います。番組を最後まで聞いていただき、ありがとうございました。
また次回の放送でお会いしましょう。
ありがとうございました。
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