ゲームデザインの秘密
さて今回はですね、1985年に出た初代スーパーマリオブラザーズ、これを取り上げます。
分析記事を元にしてるんですが、このゲームデザイン、もう40年近く前なのに、なんで今でもこんなにすごいって言われるのか、その秘密に迫りたいなと。
なんかただの思い出話じゃなくて、ゲーム作りのエッセンスが詰まってるって言いますよね。そのあたりを深く見ていきましょう。
そうですね。懐かしいっていうのはもちろんあるんですけど、それだけじゃなくて、なぜ多くの人を惹きつけて、後のゲームにも影響を与え続けているのか。その設計の思想ですよね。
設計思想。
プレイヤーを自然に導いて、気づいたら夢中になってるみたいな、そういうデザインの仕組みを解き明かすのが今回の狙いですね。
なるほど。まず分析記事が言ってるのが、説明書を読まなくてもルールが自然にわかるっていう点。
最初の画面、マリオが右向いてて左にはすぐ壁があるじゃないですか。これで右に進むんだなってなんとなくわかると。
この言葉を使わずに教えるっていうのは具体的にどういう仕組みだって分析されてますか?
非常に巧みで、まず安全な場所でジャンプとか基本的な操作をちょっと試せる時間があるんですね。
最初の敵クリボーが出てくる。あれに触れるとミスになっちゃうんで、ジャンプで避けるんだなって自然と学習する。
あと点滅してるハテナブロック、あれ目立ちますよね。
目立ちますね。
叩くとコインの音とかアイテムが出てきたりとか。
報酬がある。音が鳴るのが気持ちいい。
そうですそうです。だからブロックを叩くっていう行動が強化されるわけですね。
これってプレイヤーが自分で発見してすぐフィードバックがあるっていう、そういう設計思想の現れなんですよ。
なるほど。キノコの動きについても分析では計算され尽くしてるって書いてありましたね。
あれですね。
ブロックから出てきて土管にポンって当たってこっちに跳ね返ってくるっていう。
この動きがプレイヤーの心理にどう作用するって記事では見てるんですか?
それはですね、リスクとリターンを直感的に分からせる仕掛けだって分析してますね。
リスクとリターン?
はい。なんか近づいたら危ないかも、敵もかもしれないって思わせつつ。
でも結果的に自分の方に来るから、これは取るべき、いいアイテムなんだって理解させる。
あーなるほど。
さらにキノコ取って大きくなるとレンガブロック壊せるようになるじゃないですか。
なりますね。あれが快感で。
そうそう。それで大きくなる、イコール強くなる、できることが増えるっていうゲームの基本的な喜びを体験で分からせるんです。
はーすごいな。
しかも1-2で強制的に地下に行かせることで、土管に入れるんだって学習させて、それで1-1の土管にもう一回行ってみようかなって思わせる。
あーありましたね、そういうの。
プレイヤーが自分で学んで上達してるって実感できる、そういうサイクルを作ってるんですね。見事ですよ。
難易度の上げ方も絶妙って言われてますよね。
えーそうですね。クリボーが1匹だったのが次は2匹とか、上から落ちてきたり、足場も最初は下に地面があるけど次は奈落になってるとか。
はいはい。
このステップアップの巧みさっていうのはどうプレイヤーの挑戦意欲を引き出すって分析なんですか。
基本はまあ前に学習したことの応用なんですよ。
応用。
1回安全な場所で覚えたパターン、例えば階段状のブロックをジャンプで越えるとか、それを今度は失敗したら即ミスっていう状況でやらせる。
うわー緊張しますね。
そうなんです。だからプレイヤーは自然と慎重になるし、もっと正確に操作しなきゃって思うようになる。
なるほど。
で、大事なのがミスした瞬間に一瞬ゲームが止まる演出。
あーありますね。
あれで何が起きたかプレイヤーにちゃんと認識させる。
理不尽だなーって思わせないで、今の自分のミスだって受け止めさせて、じゃあ次はこうしようって思わせる。
ちゃんと反省材料を与えるんですね。
そうなんです。乗り越えられる、ちゃんとフェアな挑戦なんだよっていうのを常に提供し続けるこのバランス感覚が本当に素晴らしいって分析されてますね。
創造性と操作感
いやーすごい。あとファミコン時代の厳しい容量制限の中で表現が豊かなのも驚きです。
分析によると背景のクムと草って実は同じグラフィックの色違いだったりとか。
そうなんですよ。
あと点滅してるブロックとかファイアマリオもあれも色を変えてるだけだって本当ですか?
それはパレット変更っていう技術ですね。
パレット変更。
当時のファミコンって同時に画面に出せる色の組み合わせにすごく限りがあったんです。
その限られた色のセット、パレットって言うんですけど、それをうまく切り替えることで元のデータは少なくても見た目を色々変えてたんですね。
64余あるステージが全部でたった40キロバイトに収まってたって言うんですから。
40キロバイト?今じゃ考えられないですね。
考えられないですよね。
これはもうただの節約術っていうよりは制約が逆に創造性を生むっていう原則を見事に示してる例だと思いますね。
面白いな。そして最後にやっぱりマリオを操作するあの食感というか気持ちよさ。
操作感ですね。
分析ではこの操作感がプレイヤー体験にどう貢献してるって言ってますか?
ボタンを押す長さでジャンプの高さが変わったり、あの歓声とかブレーキの感じとか?
そこはもう操作に対するダイレクトでかつ気持ちの良いフィードバックが鍵だって分析されてます。
ジャンプの高さ制御だったり、ダッシュした時の加速感。
あとブレーキかけた時のあのアニメーションと効果音。
スキル音みたいなやつですね。
そうそう。クリボーを踏んだ時のあのグニャって潰れる感じとか。
これ全部プレイヤーが何が操作したらすぐに直感的に分かりやすい反応が返ってくるように設計されてるんですね。
なるほど。
ステージ最後の旗に別に必須じゃないけど高いところで捕まりたくなっちゃうじゃないですか。
なります。絶対狙っちゃいますね。
あれもなんかクリアには関係なくても操作していること自体が楽しいっていう快感があるからなんですよ。
プレイヤーにただ動かしてるだけで面白いなって感じさせること。
これが長時間遊んじゃう原動力になってるんだと。
いやーなるほど。初代スーパーマリオのデザインっていうのは、つまり体験を通して学ばせるっていうのと、
絶妙な難易度カーブ、それから制約の中で生まれた工夫、そして触ってるだけで楽しい操作感。
こういったもう今でも通用するような普遍的な原則が見事に組み合わさってたっていうことなんですね。
まさしく。優れたデザインっていうのは、ユーザーにそれを意識させずに自然に導いて成長とか深い満足感を与えてこれるものなんですよね。
では最後に、あなたにもちょっと考えてみてほしい問いかけを。
ゲーム以外でこういうふうに巧みに設計されてて、私たちの行動とか学習を無意識のうちに導いてる見えざるデザインってどんなものがあると思いますか。
見えざるデザインですか。
例えば、普段使ってるアプリのインターフェースとか、よく行くお店の商品の並べ方とか、身の回りにももしかしたらこのマリオのデザインに通ずるような工夫が隠されているかもしれませんね。