ペットボトルのテーマ
こんにちは、つねぞうです。
DESIGN REVIEW.FM第104回目、始めていきましょう。
今日のテーマは、ペットボトル、下から見るか横から見るか。
ということで、最近暑いですね。本当に暑い。
通勤で少し外を歩くことがあるんですけれども、日差しがつらくてですね。
今年はね、モンベルの日傘を買いまして、だいぶ快適になりましたね。
そういった熱中症対策、大事なんですけれども、
水分補給も大切な熱中症予防ですね。
水分補給するときに使うのが、ペットボトル。
よくペットボトルに入っている水を飲んだりするんですけれども、
今日はペットボトル、下から見るか横から見るかというテーマでお話しするんですが、
ペットボトルのパーティングラインの話です。
私、工作機械の設計をしていると何回かお話ししていますけれども、
入社して数年目のときですね、機械設計、メカの設計をしているんですが、
その機械設計者も制御のことを知らないとダメだと上司に言われまして、
制御の修行を少ししました。
そのときの先生、数年上の先輩だったんですけれども、
その先生がペットボトルを見たらパーティングラインを必ず見るんだよねと言っていたのがきっかけで、
私もそれを意識するようになりました。
皆さん、ペットボトルのパーティングラインって意識したことありますかね。
今日はそこから機械設計における観察力の大切さについて考えてみたいと思います。
機械設計とパーティングライン
まずその修行についてお話ししようと思います。
私の当時の上司は、その良い機械を設計するためにはどうやって機械が制御されているのか、
どんな機械が制御しやすい機械なのかっていうのを知らないとダメだというふうに考えていまして、
そこで私はその機械設計の仕事をメインとしながら、
1年間ほど機械の制御の調整を担当する部署の先輩について、
実際にその制御のパラメーターを決める検証に立ち会うようになりました。
制御の調整といってもいろいろあるんですけれども、
主には工作機械の送り軸、
手軸を動かしたりテーブルを動かす直動軸、XYZだったり回転軸ですね。
そういった工作機械の精度を決める、
精度だったり運動の加工時間を決めるような制御のパラメーターを決める検証というのを
毎回新しい機械を作ると行うんですけれども、その検証に立ち会いました。
そこでモーターの情報だったりスケールの情報、
波形の見方などメカの設計では関わらない部分というところを学べて、
非常に良い経験になっていますね。
今の機械設計をする上でも、そういった経験というのは非常に生きていると思います。
その中で特に印象に残っているのは、五感を使って機械の状態を知るということですね。
耳をすまして機械が動く音を聞いたり、
実際に手で触ってみて機械の振動を感じ取ったりするということが非常に大切だと教わりました。
その中でペットボトルのパーティングラインの話も出てくるんですけれども、
そもそもパーティングラインとは何かというお話をまずしないといけないですね。
パーティングラインとは金型の合わせ目の線のことですね。
ペットボトルというのはまずプリフォームという原型から作られます。
これは小さな試験管のような形をした樹脂の部品というものなんですけれども、
試験管のような形をしていて、
その口の部分はもうすでにペットボトルのキャップを閉める口の形をしているんですけれども、
その下の部分はだいたい50から60ミリぐらいの長さですかね。
今目の前にあるんですけど、ペットボトルの前のペットボトルの赤ちゃんみたいなものですね。
このプリフォームをブロー成形と呼ばれる工程でペットボトルにしていきます。
これはこのプリフォームを金型の中に入れて、
温めて樹脂を柔らかくした状態で空気を、中に圧縮した空気を入れて、
その空気の力で膨らませてペットボトルの形にするというのがブロー成形ですね。
膨らませるときに、金型もいくつかのパーツでできているんですよ。
目の前にペットボトルもありまして、金沢ドライのジンジャーエールのペットボトルもあるんですけれども、
よく見てみるとペットボトルを縦に2つに割るような上下に走っているラインが2本。
そして下側、立てる部分のところに横側に水平に一周あるラインが1つあって、
このパーティングラインを見ると、ペットボトルというのは3つの金型、
下側の金型と左右2つの金型、3つの金型で作られているんだなというのがよくわかります。
この3つの金型の切れ目、合わせ目の部分がパーティングラインとしてペットボトルの表面に現れるんですね。
横から見ても下から見ても違いはないんですけれども、
このラインを見ることで、ここが金型の合わせ目だなというのがわかって、
金型が3つのパーツでできているんだなと。
このパーティングラインの表れ方によって、
ペットボトル金型の出来というか、精度みたいなこともわかるというところです。
この制御の修行をしていた頃の先輩のパーティングラインを見るというお話から、
私も見る癖がついてしまって、
そこから物を観察する習慣というのが自然と身についたような気がしています。
機械設計者にとって観察する目というのは重要なんですね。
観察力の重要性
なぜかというと、機械というのは自然現象だったり物理現象に従って動くからです。
機械はそういった自然の法則に逆らわずにうまく働くように設計しなければなりません。
だからこそ、よくこの身の回りを観察して現象の本質を理解することが、
設計の質を上げる重要なポイントなんですね。
ちなみにペットボトルだけではなくて、
何でも私はどうやって作られているのかなとか、
何でこんな形をしているのかなというのが気になってしまうんですね。
職業病みたいなものですね。
今回の話を通じて伝えたいのは、
観察して考える習慣を持つことの大切さですね。
日常の中にある小さな気づきというものが、
今後の設計のヒントだったり改善につながります。
例えば今回お話ししたように、
コンビニでペットボトルを手に取ったときについパーティングラインを探してしまう。
そんなふうに物を見る目というのを鍛えてほしいなと思っています。
皆さんもね、今回学生さんだったり新人設計者に向けてのメッセージになるんですけれども、
皆さんもぜひ普段の生活や仕事の中で、
違う角度から見てみる。
細部、細かい部分に注目してみる。
そんな習慣を意識してほしいなと思っています。
ということで今日はここまでです。
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