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2026-02-15 06:12

【令和8年度改定】ベースアップ評価料が大幅拡充|対象職員・点数・減算の3つの変更点

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令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを更に推進するため、ベースアップ評価料が大幅に見直されます。令和6年度改定では「主として医療に従事する職員(医師・歯科医師を除く)」に限定されていた対象職員が、今回の改定では医師や事務職員を含む「保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大されます。この見直しは、令和8年度と令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指すものです。

今回の改定の主な変更点は3つあります。第1に、対象職員が拡大され、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師や事務職員もベースアップ評価料の対象に含まれます。第2に、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数が大幅に引き上げられ、継続的に賃上げを実施している医療機関にはさらに高い点数が設定されます。第3に、継続的な賃上げを実施していない医療機関には入院基本料等の減算が新設されます。このほか、調剤ベースアップ評価料や歯科技工所ベースアップ支援料の新設など、賃上げの対象範囲が薬局や歯科技工所にも広がります。

対象職員の拡大:医師・事務職員もベースアップ評価料の対象に

今回の改定における最大の変更点は、ベースアップ評価料の対象職員が大幅に拡大されることです。令和6年度改定では、対象は「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)」に限定されていました。令和8年度改定では、この限定が外れ、「当該保険医療機関に勤務する職員」が対象となります。

この対象拡大により、新たにベースアップ評価料の対象に加わる職種は、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師、薬局の勤務薬剤師、事務職員、そしてベースアップ評価料の対象外であったその他の職員です。これらの職種は、令和6年度改定では入院基本料や初・再診料の引き上げにより賃上げ原資が配分されていましたが、実際の賃上げ実績を確認する仕組みがありませんでした。

令和8年度改定では、これらの職種についてもベースアップ評価料の仕組みに統合されます。統合により、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書の提出が求められるようになるため、賃上げの実効性がより確実に確保されます。

点数の引き上げと継続賃上げの優遇:2段階の評価体系

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数は、大幅に引き上げられます。初診時は現行の6点から17点へ、再診時等は2点から4点へ、訪問診療時(同一建物居住者等以外)は28点から79点へ引き上げられます。歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)についても同様に、初診時が10点から21点へ、再診時等が2点から4点へ引き上げられます。

これらの点数に加えて、継続的に賃上げを実施している医療機関には、さらに高い点数が新設されます(注5)。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の場合、初診時23点、再診時等6点、訪問診療時(同一建物居住者等以外)107点が算定可能です。この継続賃上げの優遇は、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料のいずれにも設けられています。

さらに、令和9年6月以降は点数が段階的に引き上げられます。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では所定点数の200/100(2倍)に、継続賃上げの医療機関ではそれぞれ40点(初診時)、10点(再診時等)、186点(訪問診療時)などの点数が適用されます。

入院基本料等の減算:継続的な賃上げ未実施への対応

継続的な賃上げを実施していない医療機関に対しては、入院基本料等の減算規定が新設されます。この減算は、令和6年度および令和7年度において賃上げを実施した医療機関と、そうでない医療機関を区別する仕組みです。

減算の対象は、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)です。減算額は入院料の種類によって異なり、たとえば急性期病院A一般入院料・急性期一般入院料1では1日につき121点、療養病棟入院基本料では42点、特定機能病院入院基本料では141点が減算されます。

減算を回避するための施設基準は、以下の3つのいずれかに該当することです。第1に、令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料の届出を行っていること。第2に、令和6年3月と比較して継続的に賃上げを行っていること。第3に、令和8年6月1日以降に新規開設した医療機関であること。この3つのうちいずれかを満たせば、減算は適用されません。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)と入院ベースアップ評価料の拡充

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は、区分数が大幅に拡大されます。現行の区分1~8(最大で初診・訪問診療時64点、再診時等8点)から、区分1~24(最大で初診・訪問診療時192点、再診時等24点)へと拡充されます。区分13~24は令和9年6月以降に算定開始となります。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)では、施設基準にも重要な変更があります。施設基準(1)は、現行の「入院基本料等を算定していない保険医療機関」から「算定していない又は算定回数が著しく少ない保険医療機関」に変更されます。この変更により、入院患者がごく少数の医療機関も評価料(Ⅱ)の届出が可能となります。また、施設基準(3)の算定要件は、現行の「対象職員の給与総額の一分二厘未満」から「対象職員の適切な賃金改善に必要な額の百分の五十未満」に変更されます。算定の可否に直結するため、届出の際には新基準での再計算が必要です。

入院ベースアップ評価料も同様に拡大されます。現行の区分1~165(最大165点)から、区分1~500(最大500点)へと大幅に拡充されます。区分251~500は令和9年6月以降に算定される段階的な評価です。入院ベースアップ評価料の施設基準には、新たに「当該保険医療機関における常勤の対象職員の数が、二以上であること」という要件が追加されます。ただし、基本診療料の施設基準等別表第六の二に掲げる地域(離島やへき地等)に所在する保険医療機関は、この要件の適用が除外されます。小規模医療機関では、常勤対象職員が2名未満の場合に届出ができなくなるため、注意が必要です。

これらの評価料についても、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と同様に、継続的に賃上げを実施している医療機関にはさらに高い点数が設定されます。施設基準における対象職員の要件も、「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)」から「対象職員」(勤務する職員全体)に変更されます。

新設:調剤ベースアップ評価料と歯科技工所ベースアップ支援料

調剤報酬においては、調剤ベースアップ評価料が新設されます。処方箋の受付1回につき4点が算定可能です。対象は「当該保険薬局に勤務する職員」であり、薬剤師だけでなく事務職員等も含まれます。令和9年6月以降は所定点数の200/100(2倍)に引き上げられます。

歯科診療報酬においては、歯科技工所ベースアップ支援料が新設されます。1装置につき15点が算定可能です。この評価料は、歯科技工所に補綴物等の製作等を委託した場合に算定できます。施設基準として、歯科技工所に勤務する歯科技工士の賃金改善を十分に支援していることが求められます。こちらも令和9年6月以降は所定点数の200/100に引き上げられます。

訪問看護ベースアップ評価料の見直し

訪問看護ベースアップ評価料も、対象職員の拡大と点数の引き上げが行われます。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は、現行の780円から1,050円に引き上げられます。対象は「主として医療に従事する職員」から「当該訪問看護ステーションに勤務する職員」に拡大されます。

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)では、算定対象となる利用者の範囲も拡大されます。現行は「区分番号02の1を算定している利用者」のみが対象でしたが、改定案では「区分番号02の1又は区分番号04を算定している利用者」に変更されます。この変更により、算定可能な利用者が増加するため、訪問看護ステーションにとっては収入増につながる見直しです。

訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)は、区分数が現行の18区分から36区分に拡大されます。最大額は500円から1,080円へと引き上げられます。

訪問看護についても、継続的に賃上げを実施しているステーションには優遇措置が設けられます。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は所定額に代えて1,830円、令和9年6月以降は2,880円が算定可能です。

夜勤手当の取扱い変更

夜勤職員の確保を促進するため、看護職員処遇改善評価料およびベースアップ評価料の収入を夜勤手当の増額に充てることが可能となります。具体的には、賃金改善の合計額の3分の2以上をベースアップ等により改善する要件について、恒常的に夜間を含む交替勤務制をとっている職場の職員に支払われる夜勤手当は「基本給等」に含めて差し支えないこととされます。

この変更に伴い、現行で認められていた繰り越し規定は削除されます。現行では「令和6年度及び令和7年度に、翌年度以降のベア等の改善のために繰り越しを行った場合」に、繰り越し額を控除した残額の3分の2以上をベア等で改善すれば足りるとされていました。令和8年度以降は、この繰り越しによる対応はできなくなります。賃金改善の合計額の3分の2以上を、ベア等(夜勤手当を含む)で確実に改善する必要があるため、賃金改善計画の策定にあたっては留意が必要です。

この夜勤手当の取扱い変更は、看護職員処遇改善評価料、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料のすべてに適用されます。夜勤手当の増額により、夜勤職員の確保が困難な医療機関にとっては有効な処遇改善策となります。

まとめ

令和8年度改定におけるベースアップ評価料の見直しは、対象職員の拡大、点数の大幅引き上げ、継続賃上げの優遇と未実施への減算という3つの柱で構成されています。対象職員は医師・事務職員を含む全職員に拡大され、令和8年度・令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップが目指されます。さらに、調剤ベースアップ評価料と歯科技工所ベースアップ支援料の新設により、薬局や歯科技工所にも賃上げの仕組みが広がります。各医療機関においては、施設基準の変更点(外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定要件変更、入院ベースアップ評価料の常勤職員要件の追加、繰り越し規定の削除など)を確認し、届出や点数の算定に遺漏がないよう、早めの準備が求められます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを推進するため、ベースアップ評価料が大幅に拡充されます。対象職員は医師や事務職員を含む全職員に拡大され、令和8年度・9年度でそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップを目指します。点数の大幅引き上げや継続賃上げへの優遇、未実施機関への減算措置に加え、調剤薬局や歯科技工所、訪問看護ステーションにも賃上げの仕組みが広がり、医療システム全体での待遇改善が図られます。

令和8年度診療報酬改定の全体像と目的
さて、今回共有いただいたこの資料ですけども、いやー、これはかなり大きな話ですね。
はい、そうですね。
これまで日本の医療現場って、どうしても一部の職種だけが賃上げの恩恵を受けるみたいな、ちょっと不公平感がくむりっていたじゃないですか。
はい、ありましたね。
この資料は、その状況をもう根本から変えようとしている。
まあ、ある種の壮大な作戦の全貌を、こう明らかにしているような。
はい。
令和8年度からの診療報酬改定。特にこのベースアップ評価料の見直し。早速その革新に迫っていきましょうか。
はい。まさに作戦と呼ぶにふさわしい、かなり包括的な内容になっています。
ほう。
目的は非常に明確でして、令和8年度と9年度の2年間で、医療従事者の給与をそれぞれ3.2%。
3.2%。
はい。特に人手不足が深刻な看護補助者とか、あと事務職員の方は5.7%も引き上げるという、かなり野心的な目標を掲げているんですね。
5.7%は大きいですね。
ええ。この資料を読み解いていくと、そのための重要な戦略が大きく3つ見えてきます。
戦略1:対象職員の拡大と実効性の確保
3つの戦略。では、まず最初の戦略からお願いします。これまで賃上げの対象外だった人たちを、ごっそり対象に含めるという点ですね。
はい、そうです。
以前は、例えばお医者さんとか事務職員の方は対象外だったのが、今回は40歳未満の勤務員や事務職員も含めて、医療機関に勤務する全職員が対象になると。これはどういう意図があるんでしょうか?
ここが非常に重要なポイントなんです。
はい。
これは単なる対象拡大以上の意味を持ってまして、以前は対象外の職員への賃上げ原資も、まあ一応は確保されていたんです。
ええ。
でもそれが本当に給与に反映されたかを確認する方法がなかったんですね。
ああ、なるほど。ザルだったわけですね。
ええ。そこで今回、全職員を対象にすることで、賃金改善計画書と、それから実績報告書の提出を義務付けて、賃上げの実効性を担保しようという狙いがあります。
なるほど。ただ対象を広げただけじゃなくて、報告義務を課すことで確実性を高めていると。
その通りです。さらに言うと、これまで職種間で分断されがちだった病院組織の一体感を、賃金制度の面から促そうという意図もあるのかもしれません。
ああ、チーム医療という観点から。
ええ。非常に戦略的な一手と言えるかと思います。
戦略2:点数引き上げと減算措置による賃上げ促進
うーん、ただそれだけだと、まだやらないっていう選択肢も残りますよね。実際に賃金上げを実行させるために、もっと強力な仕組みが必要になるはずですが。
そこが第2の戦略ですね。資料にもある、いわゆる飴と鞭です。
飴と鞭。
まず飴として、例えば外来の心身児の点数が、6点から17点へとほぼ3倍に引き上げられます。
6点から17点、ほぼ3倍っていうのは、診療報酬の世界ではかなりインパクトのある数字に聞こえますね。
ええ、これは非常に大きなインセンティブです。
さらに、継続的に賃上げをしている医療機関は、もっと高い23点が算定できる、という特徴の飴まで用意されているんです。
なるほど。では一方の鞭の方はどうでしょう?
こちらが、今回の改定の厳しさを示す部分ですね。
継続的な賃上げを実施しない医療機関に対して、入院基本料などが減算される、という明確なペナルティが新設されました。
減算措置ですか?
はい。これはもう、賃上げは努力目標ではなく義務ですよ、という国からの極めて強いメッセージだと解釈できます。
うーん、しかし経営が苦しい地方の小さなクリニックなんかだと、この減算措置は死活問題になりかねないのでは、そのあたりの反発というのは?
おっしゃる通りで、そこは大きな懸念点です。
政策の強い意思を示す一方で、特に経営基盤の弱い医療機関にとっては、かなり厳しい決断を迫られることになります。
ですよね。
この制度が、結果的に医療機関の淘汰とか、あるいは地域医療の格差拡大につながらないか、ここは慎重に見ていく必要がありますね。
なるほど。つまり、全職員に対象を拡大して、強力なインセンティブとペナルティーで実行を促すと。
戦略3:対象範囲の拡張と医療システム全体の改革
そしてこの動き、病院やクリニックだけに留まらないんですよね。
ええ、それが第3の戦略です。対象範囲の拡張ですね。
拡張?
はい。新たに庁財ベースアップ評価料と派外機構所ベースアップ支援料が作られまして、保健薬局の薬剤師さんや事務員さん、さらには派外機構所の派外機構士さんまで支援の対象になるんです。
派外機構士の方まで?
ええ、医療システム全体で賃上げを進めようという意図が明確ですよね。
あと、訪問看護ステーションの評価料も引き上げられるなど、在宅医療の現場にも光が当たっています。
これはもう、医療に関わるあらゆる現場の待遇を底上げしようという一大改革と言えそうですね。
改革のまとめと今後の課題
はい。
まとめると、対象者を全職員に拡大し、報酬の増額と未実施の場合の減算で実行を促し、さらにその範囲を薬局や派外機構所まで広げる、非常に練られた包括的なプランだと理解しました。
まさにその通りです。そしてですね、最後に一つ考えていただきたい点があるんです。
はい。
この制度が求める成果の可視化という点です。
賃上げを確実にするために、医療機関は詳細な計画書や報告書を作る膨大な事務作業を背負うことになります。
ああ、現場の負担ですね。
ええ。現場の事務長がこの通知を見たら、賃上げは嬉しいけど、この処理は一体誰が作るんだと多分頭を抱えると思うんですよ。
目に浮かびますね。
この成果の可視化とそれに伴う管理コストの増大という手法は、もしかしたら今後のあらゆる政策のスタンダードになっていくのかもしれない。
なるほど。
その時、私たちは効率性と現場の負担のバランスをどう考えていくべきなのか、それがこの資料が突きつけるもう一つの大きな問いなんだと思います。
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