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2026-02-16 04:47

【令和8年度改定】医療従事者の処遇改善|賃上げ評価の拡充と夜勤負担軽減の2本柱

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令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の処遇改善に向けた取り組みが大幅に強化されます。令和8年度および令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指し、賃上げの実効性を高める仕組みと、夜勤負担の組織的な軽減策が導入されます。

医療従事者の処遇改善は、大きく2つの施策で構成されます。第1に、ベースアップ評価料が大幅に拡充され、対象職員の全職種への拡大、点数の引き上げ、継続賃上げの優遇と未実施への減算が導入されます。第2に、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、夜勤を含む負担軽減・処遇改善計画の策定が要件として明確化されます。

① 賃上げに向けた評価の見直し:ベースアップ評価料の大幅拡充

令和8年度改定では、医療従事者の賃上げを更に推進するため、ベースアップ評価料が3つの柱で見直されます。

対象職員の拡大として、令和6年度改定で「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)」に限定されていた対象が、「当該保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大されます。40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師、薬局の勤務薬剤師、事務職員、ベースアップ評価料の対象外であったその他の職員が新たに対象に加わります。これにより、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書の提出が求められるようになるため、賃上げの実効性がより確実に確保されます。

点数の大幅引き上げとして、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は初診時6点→17点、再診時等2点→4点に引き上げられます。継続的に賃上げを実施している医療機関には、さらに高い点数(初診時23点、再診時等6点など)が新設されます。令和9年6月以降は段階的にさらに引き上げられます。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は区分1~8から区分1~24へ、入院ベースアップ評価料は区分1~165から区分1~500へ拡充されます。

継続賃上げ未実施への減算として、継続的な賃上げを実施していない医療機関に対し、入院基本料等の減算規定が新設されます。減算を回避するには、令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料の届出を行っていること、令和6年3月と比較して継続的に賃上げを行っていること、令和8年6月1日以降に新規開設した医療機関であること、のいずれかを満たす必要があります。

このほか、調剤ベースアップ評価料(処方箋受付1回につき4点)や歯科技工所ベースアップ支援料(1装置につき15点)が新設され、薬局や歯科技工所にも賃上げの仕組みが広がります。夜勤手当をベースアップ等に含める取扱い変更や、繰り越し規定の削除にも注意が必要です。

詳しくは「【令和8年度改定】ベースアップ評価料が大幅拡充|対象職員・点数・減算の3つの変更点」をご覧ください。

② 夜勤を含む負担の軽減及び処遇改善に資する計画の明確化

看護職員の夜勤負担を組織的に軽減する取り組みとして、施設基準における計画策定要件が明確化されます。

改定の背景として、病棟看護管理者の実態調査で「夜勤シフトが組みにくくなった」と回答した病棟が34.3%、「夜勤回数が増えた」が28.1%にのぼります。入院料の施設基準を満たす看護職員の配置に困難を感じている医療機関は約8割に達しています。一方、「夜勤手当の見直し」を実施している医療機関はわずか15.0%にとどまっており、処遇面の対応も十分とは言えない状況です。

改定の内容として、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等において、「負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に夜勤に関する事項を含めることが要件として明確化されます。従来の「現状の勤務状況等を把握し」という文言が、「医療従事者の夜勤を含む現状の勤務状況等を把握し」に変更されます。

対象となる加算は、大きく2つのグループです。第一に急性期総合体制加算(総合入院体制加算と急性期充実体制加算を統合して新設)、第二に看護職員夜間配置に関連する加算(療養病棟入院基本料の夜間看護加算、看護職員夜間12対1・16対1配置加算、精神科救急急性期医療入院料・精神科救急合併症入院料の看護職員夜間配置加算)です。

実務上の対応として、対象加算を届け出ている医療機関は、夜勤に関する現状把握(シフトの組みやすさ、1人あたり夜勤回数の推移など)、問題点の抽出、具体的な改善策(夜勤専従者の導入、多様な夜勤形態の整備、夜勤手当の見直しなど)を盛り込んだ計画への見直しが必要です。

詳しくは「令和8年度診療報酬改定|看護職員の夜勤負担軽減へ「計画要件」が明確化」をご覧ください。

まとめ

令和8年度改定における医療従事者の処遇改善は、賃上げに向けた評価の見直しと、夜勤を含む負担軽減計画の明確化の2本柱で構成されています。ベースアップ評価料は対象職員の全職種拡大、点数の大幅引き上げ、継続賃上げの優遇と未実施への減算が導入され、賃上げの実効性が強化されます。夜勤負担の軽減については、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準で、夜勤に関する事項を計画に含めることが要件化されます。各医療機関においては、ベースアップ評価料の届出準備と夜勤に関する計画の見直しを並行して進めることが重要です。



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サマリー

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げと夜勤負担の軽減という二つの大きな柱が導入されます。これは、医療現場の課題解決を個人の努力から組織の責任へと転換させることを目指すもので、賃上げには「飴と鞭」の仕組みが、夜勤負担軽減には具体的な計画策定が義務付けられます。対象は全職員に拡大され、薬局や歯科技工所にも波及するなど、医療全体の働き方を根本から変える画期的な改革となります。

令和8年度診療報酬改定の概要と核心
こんにちは。さて今回はですね、2026年度、令和8年度に予定されている日本の医療制度のかなり大きな変更点について見ていきたいと思います。
手元に診療報酬改定の資料があるんですが、これを読み解いていくと、大きく2つの柱が見えてきまして、それが賃上げと夜勤負担の軽減です。
私たちの医療がまあどう変わろうとしているのか、その確信に一緒に迫っていきましょう。
今回の改定って、実は単なる待遇改善の話じゃないんですよね。その確信は何というか責任の所在の転換なんです。
責任の所在の転換。
これまで個人のがんがりとか、まあある種の自己犠牲に頼ってきた部分が多かった。
はいはい、よく聞きますね。
それを初めて制度の力で組織の責任へと変えようとしている。
賃上げも夜勤問題もすべてそのためのツールという見方ができると思います。
組織の責任ですか。なるほど面白い視点ですね。
賃上げ評価の拡充と「飴と鞭」の仕組み
ではその最初のツール、賃上げから見ていきましょうか。
資料によるとベースアップ評価料という仕組みが大きく変わるそうですが、いや驚いたのはその解消者です。
40歳未満のお医者さんとか事務職員の方まで基本的にすべての職員が対象になるって書いてあるんですよ。
そうなんです。
でもこれって本当に実効性あるんですかね。これまでもまあ似たような努力目標って正直たくさんあったじゃないですか。
良いご指摘です。そこが今回の決定的な気概でして巧妙ないわば飴と鞭の仕組みが導入されるんです。
飴と鞭。
飴として賃上げに取り組む医療機関には診療報酬がグッと上がります。
例えば初診療が6点から17点に跳ね上がるとか、一方で鞭として賃上げをしない期間には入院基本料などが減額されるという初のペナルティーが設けられます。
なるほど。やらないと損をするっていう構造にしたわけですね。
おっしゃる通りです。
義務化するんじゃなくてむすろ積極的にやった方が経営的にも得だと。上手い設計ですね。
ええ。なのでまさに賃上げへの取り組みそのものを評価するという組織の責任を問う思想なんですよね。
夜勤負担軽減の背景と組織的対応の必要性
賃上げの話はよくわかりました。でも医療現場の疲弊って正直お金だけの問題じゃないですよね。
ええ。もちろん。
いくら給料が上がっても人がいなくてシフトが回らないんじゃもう意味がない。
それがこの資料が指摘するもう一つの革新。
夜勤負担の軽減につながってくるわけですね。
はいその通りです。
資料にあるデータこれかなり衝撃的ですよ。
約8割の医療機関が看護職員の配置に困難を感じていると。
これって私たちがいざという時に入院したくてもベッド空いてるけど人手が足りなくて受け入れられませんみたいな事態がもうすぐそこまで来てるってことですよね。
まさにその危機感が今回の改革の背景にあります。
ある看護師長から聞いた話ですけど、昔は気合で乗り切れた。
でも今はもう無理なものは無理だと。
根性論ではもう。
ええ。組織が持たないという悲鳴なんです。
夜勤負担軽減計画の義務化と今後の展望
そこで今回の改定では、例えば旧正規総合体制加算これを取るための条件として、夜勤の負担軽減に関する計画の策定が義務付けられると。
そうなんです。ここも重要なんですが、これまでの勤務状況を把握しというちょっと曖昧な表現から、夜勤を含む勤務状況を把握しと具体的に明記されたんです。
ああ、夜勤という言葉が入ったんですね。
ええ。これにより医療機関は現状分析から改善策まで計画を立てて実行せざるを得なくなる。まさに組織としての責任が問われるわけです。
なるほど。今回の改定は、全職員対象の賃上げと組織的な夜勤負担の軽減という2つの強力な柱で、医療現場の働き方を個人の頑張りから組織の責任へと大きく変えようとしているわけですね。
ええ。そして最後に少し視点を広げてみたいんですが、今回は病院やクリニックが中心でしたけど、資料の最後には薬局とか葉書公所への支援も新設されるとあるんです。
ほう、そちらにも。
ええ。この個人の負担を組織の責任へという改革の波が、今後医療全体のどの分野にどんな形で広がっていくべきか、少し考えてみるのも面白いかもしれませんね。
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