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2025-12-17 05:30

協会けんぽが健診制度を大幅拡充|20代からの予防・健康づくり強化へ

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令和7年12月12日、第207回社会保障審議会医療保険部会において、協会けんぽにおける予防・健康づくりの取組等について議論が行われました。協会けんぽは約3,954万人が加入する日本最大の保険者であり、中小企業で働く方々の健康を支える重要な役割を担っています。今回の部会では、現役世代への取組強化を目的とした健診制度の見直しが提案されました。

協会けんぽは、令和7年度から順次、予防・健康づくりの取組を大幅に強化します。主な施策は3つあります。第一に、35歳以上の被保険者を対象とした人間ドックへの定額補助(25,000円)を新設します。第二に、20歳・25歳・30歳の若年層を対象とした健診を新たに実施します。第三に、40歳以上の偶数年齢の女性を対象とした骨粗鬆症検診を追加します。これらの施策により、令和8年度には約280億円の費用増加が見込まれています。

協会けんぽの概要と現状

協会けんぽ(全国健康保険協会)は、主に中小企業で働く労働者とその家族が加入する医療保険です。平成20年10月に設立され、政府管掌健康保険を国から引き継いで運営しています。健康保険組合を自ら設立することが困難な中小・零細企業の従業員を対象としており、被用者保険のセーフティネットとしての役割を果たしています。

協会けんぽの加入者数は、令和5年度末時点で約3,954万人に達しています。内訳は被保険者が約2,521万人、被扶養者が約1,433万人です。加入者の平均年齢は38.7歳であり、1人当たりの年間医療費は21.0万円となっています。

加入事業所の規模は、中小企業が中心となっています。約267万事業所のうち、従業員9人以下の事業所が全体の約84%を占めています。具体的には、従業員2人以下が約56%、従業員3~4人が約14%、従業員5~9人が約14%という構成です。

協会けんぽの財政状況は、近年安定的に推移しています。令和5年度の平均保険料率は10.0%であり、平成24年度(2012年度)以降維持されています。準備金残高は令和6年度時点で約5.9兆円に達しており、保険給付費等の約6.6ヵ月分に相当します。

予防・健康づくりの取組の一層の強化

協会けんぽは、医療費の適正化と加入者の健康保持増進を目的として、健診体系の見直しを進めています。これまでは35歳以上の被保険者を対象とした生活習慣病予防健診、40歳以上の被扶養者を対象とした特定健診を中心に保健事業を展開してきました。今回の見直しでは、20代からの健康意識の醸成と、加入者の特性に応じたきめ細かい予防・健康づくりを実現することを目指しています。

見直しの背景には、若年層への早期介入の必要性があります。就労等により生活習慣が大きく変化する20代から健康意識を醸成し、加入者の自主的な健康増進と疾病予防の取組を推進することが求められています。また、医療DXのインフラを活用して健診結果を若年から経年的に保有し、ビッグデータを活用した保健事業の推進も視野に入れています。

人間ドックに対する補助の実施

令和8年度から、35歳以上の被保険者を対象に人間ドックへの定額補助(25,000円)を実施します。この施策は、年齢や性別による健康課題に対する健診の選択肢を拡大し、健康意識の醸成と健診実施率の向上を図ることを目的としています。

人間ドック補助を実施する健診機関には、一定の要件が設けられています。全日本病院協会、日本総合健診医学会、日本人間ドック・予防医療学会/日本病院会等が実施する第三者認証を取得していることが条件となります。また、特定保健指導の実施体制を有することも求められています。

若年層を対象とした健診の実施

令和8年度から、20歳・25歳・30歳の被保険者を対象とした健診を新たに実施します。この健診は、就業等により生活習慣が大きく変化する若年層に対して、早期に生活習慣病対策を行うことを目的としています。

検査項目は、生活習慣病予防健診の項目から胃・大腸がん検診を除いた内容となります。国の指針等を踏まえて設定されており、若年層の健康リスクに対応した検査が行われます。

生活習慣病予防健診の項目等の見直し

令和8年度から、生活習慣病予防健診の項目等を見直します。健康日本21(第三次)の内容を踏まえ、40歳以上の偶数年齢の女性を対象に骨粗鬆症検診を新たに実施します。

検査項目や健診単価についても、見直しが行われます。協会発足以来、検査項目や健診単価の見直しは行われていませんでした。今回、国の指針やマニュアル、人件費の高騰や診療報酬改定等を踏まえ、健診の内容と費用について検証・見直しを実施します。

被扶養者に対する健診の拡充

令和9年度から、被扶養者に対する健診を拡充します。被保険者に対する見直し後の人間ドックや生活習慣病予防健診と同等の内容に拡充することで、被扶養者の健康管理体制を強化します。なお、現行の特定健診の枠組みは維持されます。

重症化予防対策の充実

令和7年度から、重症化予防対策を強化します。胸部X線検査において要精密検査・要治療と判断されながら医療機関への受診が確認できない者に対して、受診勧奨を実施します。この取組は、令和6年度に北海道・徳島・佐賀の3支部で先行的に実施されており、外部有識者の助言を得ながら進められています。

メンタルヘルス対策も強化されます。事業所に対するメンタルヘルスに関するセミナーと出前講座の実施体制を整備し、働く人のこころの健康を支援します。

施策実施に伴う費用見込み

予防・健康づくりの取組強化に伴い、段階的に費用が増加します。令和7年度は約0.1億円程度、令和8年度は約280億円程度、令和9年度は約160億円程度の増加が見込まれています。

毎年度の収支見通しの作成

協会けんぽの財政運営に関して、毎年度の収支見通しの作成を明確化することが検討されています。現行制度では、2年ごとに今後5年間の被保険者数・総報酬額の見通し、給付費・保険料額等の収支見通しを作成し公表することとされています。

実態として、協会けんぽは毎年収支見通しを作成しています。この収支見通しを踏まえて保険料水準の設定等を行っており、実務上は毎年度の収支見通し作成が定着しています。今回の検討では、この実行上の措置を制度として明確化することが提案されています。

まとめ

協会けんぽは、令和7年度から令和9年度にかけて、予防・健康づくりの取組を段階的に強化します。人間ドックへの25,000円補助、20歳・25歳・30歳を対象とした若年層健診、40歳以上の偶数年齢の女性への骨粗鬆症検診など、加入者の特性に応じたきめ細かい施策が導入されます。これらの取組により、約3,954万人の加入者の健康保持増進と医療費の適正化が期待されています。また、毎年度の収支見通し作成の明確化により、財政運営の透明性も向上する見込みです。



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サマリー

協会けんぽは健診制度の大幅な拡充を発表し、20代からの予防や健康づくりの強化を強調しています。この改革は、個人の健康データの蓄積を促進し、将来的な医療費の削減を目指す戦略的な取り組みとして位置付けられています。

協会けんぽの制度変更
こんにちは。今回は、皆さんが加入しているかもしれない、日本最大の保険者、協会けんぽについてです。
ここがですね、かなり大きな制度変更に踏み切るというテーマで、ちょっと深く掘り下げていきたいなと。手元にある社会保険審議会の資料を見ると、これ日本の働き方を支えるインフラが大きく変わる話のようですね。
なんせ加入者が約3954万人、この改革が一体私たちにどう影響するのか、その革新に迫っていきましょう。
ええ、これは単に新しい検診が増えましたというお知らせレベルの話ではないんです。
個人の健康というミクロな視点と、それから日本の医療データをどう活用していくかというマクロな戦略、その両方が交差する非常に重要な転換点だと見ています。
なるほど、では早速その具体的な中身を見ていきたいんですが、まず驚いたのがですね、35歳以上の方向けに人間ドッグへ2万5000円の補助が出る。
はい。
これシンプルに嬉しい話ですけど、何か選択肢が増える以上の意味があるんでしょうか。
もちろんです。これまでは画期率的な検診が基本でしたよね。
ええ。
それがこれからはより詳細な検査を選べるようになる。つまり個人のリスクに応じた質の高いスクリーニングへの扉が開かれたということなんですよ。
なるほど、そして資料の中で特に僕の目を引いたのが20歳、25歳、30歳というその若い世代向けの検診。
はい。
これが新設されると正直かなり思い切ったなぁと。
ええ。
この年代って自分が病気になるなんてあんまり考えもしないじゃないですか。なぜ今ここに投資するんでしょう。
そこが今回の改革で最も重要なポイントなんです。
ほう。
問題は2つありまして早期介入とデータの蓄積です。
早期介入とデータの蓄積。
はい。生活習慣病の目って実は20代から育ち始めるんですね。そこに早くから関わることで将来の重症化を防ぐ。これが早期介入。
ふむふむ、なるほど。でももう一つのデータの蓄積というのは。
これが長期的な視点です。つまり20歳からあなたの健康データが継続的に記録されていく。
ずっと?
ええ。これはもうあなただけの健康のログブックを作るようなものです。将来この膨大なデータを使えば病気の兆候を症状が出る前に予測できるかもしれない。
へえ。
そんな未来への不責なんです。
予防医療へのシフト
それは壮大な話ですね。でもちょっと現実的な疑問として、その20代の人たちが、よーし健診に行こうって本当になるのかなと。
ああ、それは非常に適合いた指摘で間違いなく今後の課題です。
ですよね。せっかくの素晴らしい理念は実際の利用率の低さで空振りに終わるリスクありませんか?
ええ。ただ、協会憲法の加入者の多くは中小企業の従業員の方々で、大企業ほど手厚い福利構成がない場合も多い。
うーん、まあそうですね。
だからこそ、公的なセーフティーネットとして、いつでも受けられるという選択肢をまず用意することがすごく重要なんです。
ああ、なるほど。
まずは健康について考えるきっかけを作ることが第一歩ということですね。
まずは土台作りからあと。他にも、40歳以上の女性向けの骨粗小症検診とか、非扶養者、つまり家族向けの検診も拡充される。
そうなんです。
かなり手厚くなりますよね。これだけサービスを広げると、当然お金がかかるはずです。この費用はどこから出てくるんでしょうか?
令和8年度だけで約280億円の費用増が見込まれています。
280億!?
ただ、協会憲法の財政というのは非常に安定していて、令和6年度の時点で準備金が約5.9兆円あるんです。
5.9兆円。すごい格ですね。ただ、その潤沢な資金があるとはいえ、この280億円という投資は、この国の医療全体から見たら十分な規模と言えるんでしょうか?
いい質問ですね。
それとも、何かこう、もっと大きな改革に向けた実験的な取り組みみたいな?
これは終わりではなく、始まりだと考えるべきです。この280億円は単なる支出じゃない、将来何十倍にもなって返ってくる可能性を秘めた未来への投資なんです。
未来への投資?
ええ。ここで生活習慣病を一人でも防げれば、将来の何百万円、何千万円という医療費を抑制できる。その費用対効果を見据えた非常に戦略的な一手と言えます。
そういうことでしたか。なるほど。まとめると、今回の境界憲法の改革っていうのは、人間ドックの補助金といった、あなた個人にとっての目先のメリットだけじゃないと。
まさに。
治療中心だった医療から、そもそも病気にさせない予防医療へと、国全体が大きく恥を切るっていう明確な意思表示でもあるわけですね。
その通りです。だからこそ最後に一つ、あなたに考えてみてほしい問いがあるんです。
20歳の頃から自分の健康データが蓄積されていく未来で、あなた自身とそのデータとの付き合い方ってどう変わるでしょうか。
それはもう単なる健康管理という言葉を超えて、自分の人生をどう設計していくかという問いにつながってくるのかもしれない。
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