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2025-12-18 04:49

【2026年度】後期高齢者医療の保険料賦課限度額が85万円に引き上げへ

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令和7年12月12日に開催された第207回社会保障審議会医療保険部会において、後期高齢者医療の保険料賦課限度額を引き上げる案が議論されました。令和8年度の賦課限度額を現行の80万円から85万円に引き上げる方針です。この引き上げは、物価・賃金の上昇傾向と医療給付費の増加を背景としています。

令和8年度の賦課限度額引き上げ案の概要は、医療分の賦課限度額を5万円増額することです。年金収入のみの場合で1,021万円以上の高所得者が対象となります。保険料への影響は、年金収入400万円の場合で前年度比4.2%増、賦課限度額超過被保険者では6.3%増と推計されています。賦課限度額超過被保険者の割合は、引き上げ後も1.21%程度に抑制される見込みです。

賦課限度額引き上げの背景と理由

令和8年度における賦課限度額の引き上げは、複数の社会経済的要因を背景としています。

近年の物価・賃金の上昇傾向により、後期高齢者の所得が増加しています。この所得増加に伴い、医療給付費も増加する見込みです。所得と給付費の双方が増加する環境下では、保険料負担の増加が避けられません。

令和8年度には制度面での変更も影響します。出産育児支援金の激変緩和措置が終了します。この終了により、保険料負担への影響が生じます。加えて、令和8年度から子ども・子育て支援納付金が新設されます。

保険料賦課限度額の設定には重要な考慮事項があります。給付と保険料負担のバランスを失すれば、被保険者の納付意識に悪影響を及ぼします。中間所得層の負担とのバランスも考慮する必要があります。賦課限度額超過被保険者の割合を適切な水準に保つことも求められます。

令和8年度の具体的な変更内容

令和8年度の賦課限度額は85万円に設定される案です。

現行の80万円から5万円の引き上げとなります。この引き上げにより、賦課限度額に達する所得水準が変わります。賦課限度額80万円の場合、年金収入のみで971万円が基準でした。賦課限度額85万円では、年金収入のみで1,021万円が基準となります。

年金と給与の両方がある場合も基準が変わります。賦課限度額80万円では、年金・給与収入が同程度で合計1,090万円でした。賦課限度額85万円では、年金・給与収入が同程度で合計1,150万円となります。

賦課限度額超過被保険者の割合も変化します。令和7年度の実績では1.27%でした。令和8年度に80万円で据え置いた場合、1.33%に上昇する推計です。85万円に引き上げた場合は1.21%に抑制される見込みです。

子ども・子育て支援納付金については別途対応します。令和8年度予算編成過程で決定される支援金総額を踏まえます。医療分の賦課限度額超過被保険者割合と同程度となるよう、賦課限度額を設定する方針です。

保険料への影響

賦課限度額の引き上げは、所得階層により異なる影響を及ぼします。

年金収入400万円の場合、保険料は28.5万円から29.7万円に増加します。前年度比で4.2%の増加率です。一方、80万円で据え置いた場合は30万円となり、5.3%の増加率でした。

賦課限度額超過被保険者の場合、保険料は80万円から85万円に増加します。前年度比で6.3%の増加率です。80万円で据え置いた場合は増加がありません。

後期高齢者医療の保険料は均等割と所得割で構成されています。均等割が48%、所得割が52%の割合です。賦課限度額の引き上げは、主に所得割部分に影響します。

制度施行時からの経緯を振り返ります。平成20年度の制度開始時、賦課限度額は50万円でした。その後、2年ごとの保険料率改定時に段階的に引き上げられてきました。令和5年度の制度改正により、令和6・7年度は80万円に設定されました。令和6年度は激変緩和措置として73万円でしたが、新規加入者は除外されました。

まとめ

令和8年度の後期高齢者医療の保険料賦課限度額は85万円に引き上げられる案です。物価・賃金上昇と医療給付費増加を背景としています。年金収入1,021万円以上の高所得者が主な対象となります。保険料への影響は所得階層により異なり、中間所得層への配慮も含まれています。



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サマリー

2026年度から、後期高齢者医療の保険料上限が85万円に引き上げられることが発表されています。その背景には物価上昇や医療費の増加が指摘されています。また、子育て支援納付金などの複数の社会政策が絡み合っており、それが保険料の改定に影響を与えていると説明されています。

後期高齢者医療保険料の引き上げ
さて、手元にあるこの社会保障審議会の資料、正直言ってかなり複雑ですよね。
そうですね。
ですけど、これをじっぷり読み解いていくと、後期高齢者の保険料がまた上がるっていうニュースの裏側が見えてくるなと。
はい。
もっと大きな社会の変化が隠れてるんじゃないかと。今日はその白紙に迫っていきたいと思います。
お願いします。
まずポイントは、2026年度からですね、後期高齢者医療の保険料の上限。
これが今の年間80万円から85万円に引き上げられる案が出ているという点です。
はい。この引き上げの直接のきっかけというのはもうご存知の通り、近年の物価とか賃金の上昇ですね。
なるほど。
それに伴ってやっぱり医療費そのものも増えていますから、制度の収支を合わせるために保険料を見直す必要があると。
これが基本的な理由です。
物価上昇というのは納得なんですけど、正直それだけで年後前案も上がるというのはちょっとピンとこなくて。
資料をもう一度見ると、出産育児支援金とか、それから子ども子育て支援納付金みたいな新しい言葉も出てきますよね。
これ一見すると高齢者医療と関係なさそうですけど、これも理由なんですか?
まさにそこが今回のポイントなんです。
これは単なる金額の調整というわけではなくて、複数の社会政策が絡み合った結果なんです。
と言いますと?
子ども子育て支援納付金というのは、文字通り子育て支援のためのお金を前世代の医療保険料に上乗せして集めるという新しい仕組みでして。
なるほど。
つまり高齢者の方々の保険料もその一部を担うことになるというわけです。
そういう繋がりだったんですね。ただそうなると、なぜ現役世代だけじゃなくて、年金生活者からも子育て支援のお金を集めるんだと。
そういう疑問を持つ方もいそうですよね。
重要視点ですね。
これは社会保障をですね、特定の世代が他の世代を支えるというモデルから、もう社会全体で支え合おうというモデルへ移行させようという考え方が背景にあるんです。
社会全体でですか?
はい。そして今回の上限額の設定も実はその思想と関係が深い。
単に高所得者から多く取るというだけじゃなくて、中間所得層との負担のバランスであるとか、あるいは保険料を払う人全体の納得感を保つために、上限を超える人の割合を全体の1.2%程度に抑えようというかなり精密な計算がされてるんですよ。
社会政策と保険料の関係
なるほど。いろいろな政策が絡んでるんですね。
でもリスナーの方が一番気になるのは、理屈よりも、「で、私の保険料はどうなるの?」という点だと思うんです。
そうですよね。
この影響って具体的にどんな所得層に及ぶんでしょうか。
はい。もちろん影響は所得によって大きく異なります。
まず今回の上限85万円が適用されるのは、年金収入のみの場合で年収1021万円以上の方々です。
1021万円。
ええ。この層の方々は保険料が年間で一律5万円上がることになります。
なるほど。
一方で例えば年金収入が400万円の方、この場合ですと保険料は年間で約1万2千円。
率にすると4.2%の増加が見込まれています。
中間層にも影響は出てくるわけですね。
そういうことになります。
ちなみにこの制度が始まった平成20年度、上限額っていくらだったかご存知ですか?
いや、ちょっと想像もつかないですね。
実は50万円だったんです。
50万?
そこから段階的に上がってきて、今回85万円の議論になっていると。
この十数年で社会保障にかかるお金がいかに増えてきたかがわかりますよね。
50万からですか。それは驚きです。
つまり今回の変更の本質っていうのは、単なる高所得者への負担増という話ではなくて、
社会保障制度を維持するコストを誰がどう分担するのかという再設計なんですね。
その通りです。
そしてその設計図が、実は物価とか子育て支援とか一見関係ない要素と複雑に連動していると。
まさにおっしゃる通りです。だからこそ最後に一つ皆さんに考えていただきたいことがあるんです。
はい。
今回のニュースは、保険制度全体の給付と負担のバランスという、私たち全員に関わる問いを突きつけていると思うんです。
と言いますと。
今後医療費が増え続ける社会で、世代とか所得の垣根を超えて、どうすれば公平だと感じられる負担の分かち合い方ができるのか。
この変更をきっかけに、少し私たちの社会の未来を考えてみるのはいかがでしょうか。
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