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2026-10-25 06:10

歯科用貴金属価格が全9品目で引下げ|令和8年9月随時改定

令和8年7月22日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第653回)で、歯科用貴金属価格の随時改定案が示されました。歯科用貴金属の告示価格は、金やパラジウムの市場価格に連動して年4回見直されるため、歯科医療機関は改定のたびに新しい価格を把握する必要があります。本号では、令和8年9月の随時改定について、仕組み・改定結果・実務上の注意点を解説します。

令和8年9月の随時改定では、対象の9品目すべてで告示価格が引き下げられます。1つ目のポイントは、告示価格が「平均素材価格の変動幅×1.1」で補正される仕組みです。2つ目のポイントは、保険診療で広く使われる金銀パラジウム合金(金12%以上)が、1gあたり5,746円から5,232円へ514円引き下げられることです。3つ目のポイントは、引下げの背景にある金とパラジウムの素材価格下落と、それに伴う在庫管理の注意点です。

随時改定の仕組み:素材価格の変動幅×1.1で補正

歯科用貴金属の随時改定は、素材価格の変動を年4回、告示価格に反映する仕組みです。この仕組みでは、前回改定からの素材価格の変動幅だけを、現在の告示価格に上乗せまたは差し引きします。

随時改定は、診療報酬改定時以外の3月・6月・9月・12月に実施されます。この実施月は、令和6年6月から適用されているものです。令和4年4月から令和6年5月までは、1月・4月・7月・10月に実施されていました。また、令和4年4月以降は、変動幅の大小にかかわらず毎回見直しが行われます。

改定後の価格は、次の算式で計算されます。

改定後の価格 = 改定前の告示価格 +(X − Y)× 1.1

算式のXとYは、どちらも平均素材価格です。Xは、前回改定以降の平均素材価格を指します。Yは、前回改定で用いた平均素材価格を指します。平均素材価格とは、金・銀・パラジウムそれぞれの取引価格の平均値に、合金ごとの含有比率を掛けて算出した値です。なお、算出には改定の2か月前までの取引価格が使われます。

今回の9月改定では、Xに令和8年4月〜6月の平均値、Yに令和8年1月〜3月の平均値が使われました。たとえば金銀パラジウム合金(金12%以上)の場合、Xは4,432.6円、Yは4,900.3円です。この差額−467.7円に1.1を掛けた−514.47円が、改定前の5,746円から差し引かれます。計算結果の5,231.5円(試算価格)を1円単位に丸めた5,232円が、告示価格案となります。

告示価格のうち、製造流通コストなどの部分は固定されています。随時改定で動くのは、素材価格に相当する部分だけです。

改定結果:対象9品目すべてが引下げ

令和8年9月の随時改定では、対象9品目すべての告示価格が下がります。引下げ率は、品目によって約5.1%から約9.5%です。なお、以下の9月改定の価格は、第653回総会で示された告示価格案です。

価格はすべて1gあたりで、「6月改定 → 9月改定(案)(増減)」の順に示します。

14カラット金合金系(4品目)

* 2 歯科鋳造用14カラット金合金 インレー用:16,789円 → 15,871円(−918円)

* 3 歯科鋳造用14カラット金合金 鉤用:16,954円 → 16,036円(−918円)

* 4 歯科用14カラット金合金鉤用線:16,958円 → 16,040円(−918円)

* 5 歯科用14カラット合金用金ろう:16,425円 → 15,507円(−918円)

金銀パラジウム合金系(2品目)

* 6 歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金12%以上):5,746円 → 5,232円(−514円)

* 10 歯科用金銀パラジウム合金ろう(金15%以上):8,250円 → 7,770円(−480円)

銀合金・銀ろう(3品目)

* 11 歯科鋳造用銀合金 第1種:327円 → 296円(−31円)

* 12 歯科鋳造用銀合金 第2種:414円 → 383円(−31円)

* 13 歯科用銀ろう:353円 → 335円(−18円)

14カラット金合金系の4品目は、いずれも1gあたり918円引き下げられます。4品目の引下げ額がそろっているのは、同じXとYを用いて補正幅を計算しているためです。引下げ率は約5.4%〜5.6%です。

金銀パラジウム合金系の2品目は、1gあたり480円〜514円引き下げられます。保険診療で広く使われる金銀パラジウム合金(金12%以上)は、5,746円から5,232円となり、引下げ率は約8.9%です。

銀合金・銀ろうの3品目は、1gあたり18円〜31円引き下げられます。金額は小さいものの、銀合金第1種の引下げ率は約9.5%で、9品目の中で最も大きくなっています。

今回の引下げは、資料に掲載された直近の改定の流れが転換したことを示しています。金銀パラジウム合金(金12%以上)の告示価格は、令和7年12月の3,802円から、令和8年3月の4,779円、6月の5,746円へと上昇が続いていました。9月改定は、この上昇局面から一転した引下げです。

素材価格の下落と歯科医療機関の実務対応

今回の引下げの背景には、金とパラジウムの素材価格の下落があります。この下落は、高値で購入した在庫を抱える歯科医療機関にとって、収支面の注意点となります。なお、本節の素材価格の数値は資料のグラフから読み取った概算値です。また、実務対応は資料の記載ではなく、編集部による一般的な解説です。

金の素材価格は、令和8年3月頃に1gあたり約25,000円でピークを迎えました。その後は下落に転じ、令和8年6月には約22,000円まで下がっています。パラジウムの素材価格も、令和8年1月頃の約9,400円をピークに、6月には約6,700円まで下がりました。これらの値動きを反映し、12%金銀パラジウム合金の素材価格も、約5,000円から約4,100円へ下落しています。

素材価格の下落局面では、購入価格と告示価格の差に注意が必要です。随時改定には、素材価格の変動が告示価格に反映されるまでにタイムラグがあります。そのため、高値の時期に仕入れた合金を、引き下げられた告示価格で請求すると、購入価格が告示価格を上回る「逆ざや」が生じるおそれがあります。実際に逆ざやになるかどうかは、各医療機関の仕入れ価格によって異なります。

逆ざやを避けるには、在庫の量と仕入れ時期の管理が有効です。具体的には、仕入れ単価と現行の告示価格を定期的に照らし合わせることが考えられます。また、相場の動きを見ながら、必要量に応じた発注を心がけることも有効です。

まとめ:9月改定は全品目引下げ、在庫管理の見直しを

令和8年9月の歯科用貴金属価格の随時改定では、対象9品目すべてで告示価格が引き下げられます。告示価格は、前回改定からの平均素材価格の変動幅に1.1を掛けて補正されます。金銀パラジウム合金(金12%以上)は、1gあたり5,746円から5,232円へ514円引き下げられます。引下げの背景には金とパラジウムの素材価格下落があるため、仕入れ単価と告示価格の差を確認し、在庫管理を見直しましょう。

(出典:中央社会保険医療協議会 総会(第653回)資料「総-3 歯科用貴金属価格の随時改定について」令和8年7月22日)



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サマリー

歯科用貴金属価格の令和8年9月随時改定を題材に、金やパラジウムの相場が保険診療の価格に反映される仕組みを解説する。対象9品目はすべて値下げとなり、金銀パラジウム合金(金12%以上)は1gあたり5,746円から5,232円へ下がる。市場価格と告示価格には数か月のタイムラグがあるため、高値で仕入れた在庫を安い告示価格で請求する「逆ざや」が生じ得る。歯科医院は急な治療に備えて在庫を持つ必要があり、仕入れ単価と告示価格の確認や発注量の管理が課題になる。

歯科用貴金属価格の改定ルール
あの、あなたが歯医者さんの診察台に座って、銀歯の型取りをしている時って、自分がグローバルな資源取引の最前線にいるなんて、普通は思いませんよね。
まず思わないですよね、普通は。
ですよね。でも、今日私たちが徹底解剖していく資料を読み解くと、その認識がガラッと変わるはずなんです。
はい。私たちが普段、本当になんとなく受けている保険診療の裏側では、その世界の金とかパラジウムの相場と、町の歯医者さんによる知られざる戦いが繰り広げられているんですよね。
そうなんですよ。で、今回ベースにするのが、令和8年9月の歯科容器金属価格の随時改定に関する公的なデータなんですけど、
これがもう、ただの価格改定のお知らせじゃなくて、なんか一種のサバイバルドラマを読んでるみたいな気分になりましたよ。
まあ、現場からすればまさにサバイバルですからね。
まず驚いたのが、この銀歯とか金歯に使われる金属の価格決定ルールなんですけど、これは年に4回、3月、6月、9月、12月に見直されるんですよね。
はい、そうです。前回の改定からの平均素材価格の変動幅っていうのを算出して、そこに1.1をかけた数字で国が定める国事価格ってものを補正する仕組みになってるんです。
え、ちょっと待ってください。その1.1って急に出てきましたけど、何ですかそれ。国が10%おまけしてくれてるってことですか?
あ、そこ気になりますよね。鋭いです。
実はこれ、消費税分の反映とか、あとは改定の間に起こる細かな市場のボラティリティ、つまり価格変動を吸収するためのバッファとして設定されているものなんです。
ああ、なるほど。バッファなんですね。
はい。ただこのバッファがあっても吸収しきれないのが今の相場環境なんですよね。
確かに。で、今回の9月の改定では対象となる全9品目が全て値下げになったと。
そうなんですよ。
例えば保険診療の主力である金銀パラジウム合金、金が12%以上含まれているおなじみの金属ですけど、これが1gあたり5746円から5232円に下がりましたよね。
相場下落と逆ざやのリスク
はい。この1gで500円以上の下落っていうのは現場にとってかなりのインパクトがありますね。
ですよね。つまりこれ、世界の相場がダイレクトに保険診療の価格に連動してるってことじゃないですか。
これって毎日原油価格に合わせて看板の数字が変わるガソリンスタンドみたいですよね。
ガソリンスタンド、なるほど。いい例えですね。でも実はそこに決定的な違いがありまして。
違いですか?
ええ。それこそが悪夢の始まりなんですけど、ガソリンスタンドって市場に合わせて即座に価格を変えられますよね。
そうですね。看板変えるだけですし。
でも、市会員の場合は法律によって数ヶ月前の市場価格をベースにした値段で提供することが義務付けられてるんです。
あ、法律で決まってるんですね。
はい。だからここに致命的なタイムRAGが存在してしまうんですよ。
待ってください。
相場が変動してから国が価格を更新するまでに時差があるってことですか。
そうなんです。9月の告示価格を決めるためのデータは直近のものじゃないんですよ。
ああ、なるほど。
資料のデータを見るとわかるんですが、金の素材価格は3月頃に1g約25,000円でピークを迎えて、そこから6月には約22,000円まで下がりましたよね。
はい。急落してますよね。
ってことは、高かった時期に仕入れた金属を9月以降の安く設定された価格で提供して国に請求しなきゃいけないってことですか?
まさにその通りです。
えー、じゃあその夏の間の産って誰が被るんですか?
それはもう市会員ですね。買い値よりも売り値である保険請求額の方が安くなってしまうという。
うわー、きついですねそれ。
これを逆座屋って呼ぶんですけど、今回のケースだと令和7年末から春にかけての急激な価格上昇トレンドが夏に一転して下落に転じたじゃないですか。
はいはい、下がりましたね。
そのせいでこの逆座屋のダメージが現場を直撃してるんです。
いやいやでも、ちょっと意地悪な見方をするとですよ。
歯科医院の在庫管理と医療現場のジレンマ
はい。
歯医者さんもビジネスなんだから、その高い時には買わずに必要な時に必要な分だけこまめに買えば逆座屋って防げるんじゃないですか?
あー、おそらくリスナーのあなたも今そう思いませんでしたか?
ですよね。ネット通販みたいにジャストインタイムで買えばいいじゃんって。
理論上はそうなんです。
資料にも、仕入れ単価と現行の告示価格を定期的に照らし合わせて在庫管理を徹底するのが有効だって書かれてますし。
ほらやっぱり。
でも、医療現場の現実はそうはいかないんですよ。
例えば、急激な歯の痛みで駆け込んでくる患者さんが目の前にいたとしますよね。
あーはい。
先生が、今は相場が悪くて金属の在庫がないのでまた来週来てくださいなんて言えますか?
それは言えないですね。治療の質を落とすわけにはいかないですし。
そうなんですよ。急な治療に備えてどうしても一定の在庫を抱えざるを得ない。これが医療機関ならではのジレンマなんです。
いやー、町の歯医者さんが患者さんの痛みに寄り添いながら、裏でそんなグローバルな金相場の変動とか在庫管理のジレンマと戦ってたなんて全然知らなかったです。
私たちが払う治療費の背景に、これほどマクロな経済の波と、ミクロな現場の苦労が交差しているっていうのが、この資料の本当に面白いところですよね。
本当にそうですね。リスナーのあなたも次に歯科医院に行って、新しいかぶせ物のために型取りをするとき、目の前の優しそうな先生が、実は世界の金市場の波と密かに戦っているとしたら、普段の景色が少し違って見え
ませんか?
ええ、見え方が変わると思いますよ。
そしてもう一つ考えてみてほしいんです。もしこの先、世界的な資源価格の乱行がさらに激しくなったら、私たちが当たり前だと思っている保険診療の銀馬という選択肢自体が、制度から完全に姿を消してしまう日が来るん
じゃないかって。
十分あり得る話ですよね。次回の定期検診のとき、ぜひそんな未来について少しだけ思いを馳せてみてください。
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