1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. 令和8年度改定|吸入薬指導加..
令和8年度改定|吸入薬指導加算の見直し インフルエンザ患者も対象に
2026-08-28 05:57

令和8年度改定|吸入薬指導加算の見直し インフルエンザ患者も対象に

spotify apple_podcasts youtube

吸入薬指導加算は、喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者に対する保険薬局の吸入指導を評価してきました。一方、インフルエンザウイルス感染症の患者に対する吸入指導は、同程度の時間と労力を要しながら、評価の対象外でした。本稿では、令和8年度診療報酬改定における吸入薬指導加算の見直しを、対象患者、算定間隔、実務対応の3点から解説します。

今回の見直しは、対象患者を広げる一方で、算定間隔を長くする内容です。対象患者には、インフルエンザウイルス感染症の患者が加わります。算定間隔は、3月に1回から6月に1回へ延長されます。これに対して、求めに応じた指導、患者の同意、文書と練習用吸入器等の使用、保険医療機関への文書提供という算定要件は、現行のまま維持されます。

1. 対象患者の見直し|疾患名の限定から吸入薬の投薬による整理へ

対象患者の見直しは、条文から疾患名の限定を外す形で行われます。この整理により、インフルエンザウイルス感染症の患者が新たに算定対象へ加わります。

現行の条文は、対象患者を「喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって、吸入薬の投薬が行われているもの」と規定しています。この規定では、疾患名が喘息とCOPDに限定されます。そのため、インフルエンザ治療薬の吸入指導は、どれだけ丁寧に実施しても算定できませんでした。

改定案の条文は、対象患者を「吸入薬の投薬が行われている患者」と規定します。この規定は、疾患名ではなく、吸入薬が投薬されているという事実で対象を判断します。改定資料は、この整理の根拠として、患者が自ら吸入を行う吸入薬の適応症が喘息、慢性閉塞性肺疾患、インフルエンザウイルス感染症の3つのみである点を挙げています。

2. 算定間隔と評価の見直し|3月に1回から6月に1回へ

算定間隔の見直しは、同一患者に対する算定回数を実質的に絞る内容です。対象患者の拡大とあわせて読むと、今回の改定は「広く、ただし頻度は抑えて」評価する方向だと理解できます。

改定案では、算定間隔が3月に1回から6月に1回へ延長されます。この延長により、同一患者への算定機会は実質的に半減します。慢性疾患の患者を継続して支援している薬局では、算定回数が減る可能性があります。

点数は、現行と改定案のいずれも30点と記載されています。個別改定項目は変更箇所に下線を付す形式であり、改定案の条文で下線が付されているのは「6月」の部分だけです。したがって、資料上は点数が据え置かれると読み取れます。ただし「具体的な内容」には「算定可能な間隔及び評価を見直す」と記載されているため、最終的な点数は告示および関連通知で確認してください。

3. 見直しの背景|インフルエンザ吸入指導の実態調査

見直しの背景には、中央社会保険医療協議会(中医協)に示されたインフルエンザ吸入薬指導の実態があります。この実態が、慢性疾患と同様の労力を評価する根拠となりました。

指導時間について、調査はインフルエンザ吸入薬指導が喘息やCOPDの吸入指導と同程度の時間を要すると示しています。指導内容についても、感染症対策として個室を整備する薬局や、確実な吸入を確かめるために薬剤師の面前で実際に吸入してもらう薬局があります。こうした対応には、薬剤師が患者の呼気等を通じてウイルスに曝露する懸念も伴います。

これらの実態を受けて、中医協は「時間と労力が必要なインフルエンザ等の急性疾患に対する吸入指導は評価がされていない」と論点を整理しました。その結果、「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」には、慢性疾患と同様の服薬指導や曝露対策を実施している現状を踏まえて要件と評価を見直す方針が盛り込まれました。

4. 薬局に求められる実務対応|3つの準備

薬局は、インフルエンザ患者への吸入指導を算定へつなげるために、3つの準備を進めてください。いずれも、現行の算定要件がそのまま維持される点を前提とした準備です。

第一に、指導のきっかけと同意を記録する運用を整えます。加算は、患者本人や家族等、または保険医療機関からの求めに応じて、患者の同意を得た場合に算定できます。発熱外来からの処方箋を短時間で応需する場面でも、この確認と記録を省略できません。

第二に、文書と練習用吸入器等を、インフルエンザ治療薬にあわせて準備します。加算の算定には、文書および練習用吸入器等を用いた薬学的管理と指導が必要です。吸入デバイスは製剤ごとに操作が異なるため、喘息やCOPD向けの資材とは別に、該当製剤の説明文書と練習用吸入器を用意しておく必要があります。

第三に、保険医療機関への情報提供と算定間隔を管理する仕組みを用意します。加算は、指導内容を文書で医療機関へ提供して初めて算定できます。あわせて、6月に1回という間隔の管理と、服薬情報等提供料を併算定できない点の確認も必要です。

まとめ|対象は広がり、頻度は絞られる

令和8年度診療報酬改定は、吸入薬指導加算の対象患者を広げ、算定間隔を延ばします。対象患者は、疾患名による限定から吸入薬の投薬による整理へ変わり、インフルエンザウイルス感染症の患者が加わります。算定間隔は、3月に1回から6月に1回へ延長されます。算定要件の骨格は変わらないため、薬局は求めと同意の記録、指導資材の準備、医療機関への文書提供という基本を、急性疾患の患者にも同じ品質で実行する体制を整えてください。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

令和8年度診療報酬改定により、吸入薬指導加算の対象が喘息などに限定されず、インフルエンザ患者を含む全ての吸入薬投薬患者に拡大されました。これは、インフルエンザ患者への指導が慢性疾患と同様の時間と感染リスクを伴う実態が評価されたためです。しかし、算定間隔が3ヶ月から6ヶ月に延長され、薬局には同意取得や専用デモ機の準備、厳重な感染対策といった実務負担が増える一方で、報酬とのバランスが課題となっています。

吸入薬指導加算の見直し背景
毎年冬になると、あの発熱外来の待合室ってパンクするじゃないですか。 ええ、もう本当に大変な状況ですよね。
ですよね。で、そんな中で薬剤師さんって、インフルエンザの患者さんに吸入薬の使い方を指導しているわけですよ。
はい。 患者さんの至近距離で、あの咳き込まれるリスクとかを追いながら、なのにこれまでその感染リスクとか
労力に対する追加の報酬って、実はゼロだったんですよね。 そうなんです。で、まさにそのまあ医療現場のブラックボックスと言いますか、そこに切り込んだのが今回のテーマなんですね。
おお、なるほど。 えっと、今回の資料を深掘りしていくんですが、令和8年度の診療報酬改定で、この吸入薬指導加算というものの見直しがあったんです。
はいはい。 今までは全息とかの特定の疾患だけが対象だったんですけど、これが吸入薬が処方された患者全員へと拡大された、まあその背景と実務への影響を見ていこうと。
つまりそのルール変更で、インフルエンザが自動的に対象に入ったってことですよね。 そういうことです。
令和8年度改定の概要と対象患者の拡大
なんかこれって、あの特定のBIP限定のクラブから特定の靴、つまり吸入薬さえ履いていれば誰でも入れるルールに変わったみたいな、そんな印象を受けますよね。
ああ、それは非常にわかりやすい例えですね。 あのここで興味深いのが背景にある中共の調査データなんですよ。
はい、どんなデータですか。 インフルエンザの患者さんへの吸入指導って、実は慢性疾患の指導と全く同じ時間がかかるってことがはっきり示されているんです。
同じ時間ですか。
それに個室みたいな限られた空間で、患者さんが息を吸ったり吐いたりする動作を至近距離で確認するわけですから、
ああ確かに。 当然ウイルスの暴露リスクが伴いますよね。
その現場のリアルな作業の実態がようやく精度に評価されたっていう形なんです。 なるほど、だから疾患名じゃなくて行為そのものを評価する方向になったんですね。
中医協調査に見るインフルエンザ指導の実態
でもちょっと待ってくださいよ。
インフルエンザの患者全員に点数がつくとなると、不胃場なんてすごい数じゃないですか。
そうですね、かなりの数になります。
国の医療費予算って限られているのに、一気に膨れ上がったりしないんですか。
その辺、制度としてどう調治料を合わせているのかなって。
そこがポイントでして、そこにあの算定間隔の延長っていう強烈なトレードオフが組み込まれているんですよ。
トレードオフ、つまり。
これまで3ヶ月に1回算定できたものが、6ヶ月に1回に制限されることになったんです。
え、半分ですか。
算定間隔の延長と制度のトレードオフ
そうなんです。対象の入り口は広くした代わりに蛇口から出る頻度を絞ったわけですね。
ああ、なるほど。資料を見ると点数自体は30点、つまり実質300円のままですよね。
はい、点数は末置きです。
ってことは、慢性疾患の患者さんを毎月丁寧にフォローしてきた薬局側からすると、算定回数が減るリスクがあるってことですか?
おっしゃる通りです。
より大きな視点で捉えると、制度全体が広く、でも頻度は抑えて評価する方向へシフトしている構造なんですよね。
いや、入り口が広がったからって手放しで喜べる話じゃないんですね。
ええ。
しかも、算定頻度が半分になったからって、薬局側が加算を取るための事務作業とか準備の手間が半分になるわけじゃないですよね。
もちろんそうですね。要件のハードルは一切下がっていません。
むしろ現場の摩擦はひどくなるかもしれません。
例えば、冬場の待合室がパニック状態の時でも、毎回必ず患者さんから求めと同意を取り、それを記録するというプロセスは必須なんです。
さっきだった冬の外来で、同意書のサインとか記録のフローを追加するって、相当なタイムロスですよ。
それに、吸入器のデモ機って、薬によって操作方法が全然違いますよね。
そうなんです。そこが実務上の最大のボトルネックと言えますね。
薬局に求められる実務対応と現場の負担
はいはい。
全息用とは別に、インフルエンザ薬ごとの練習用デモ機を用意しないといけないんですよ。
うわあ、それは大変だ。
しかも、感染症の患者さんが使った後は、簡単なアルコール消毒じゃ済まないことも多くて。
ああ、なるほど。
専用のスペースで徹底的にシェーフクして、乾燥させるっていう物理的な手間がかかるんです。
ってことはですよ、300円の加算を得るために混雑する待合室で同意を取って、専用のデモ機を準備して、終わったら厳重に感染対策して片付けて、
さらに、前回から6ヶ月経っているかを厳密に管理して医師に報告するってことですよね。
これ、どう考えても作業コストと報酬のバランス崩れてません。
本当にそうですね。制度がようやく行為の価値を認めたっていうのは一つの前進なんですが、
それが現場にどれだけの負荷をかけるかっていうリアルな実態とは、まだちょっと大きな乖離があると言わざるを得ないですね。
いやー、医療制度のルール変更って、理念と現実のシビアな綱引きなんですね。
リスナーの皆さんも、今後インフルエンザで吸入薬をもらうときは、裏側にある薬剤資産の見えない労力に気づけるんじゃないでしょうか。
そうですね。ぜひ知っておいていただきたいところです。
さて、今回は人間による対面の指導が、いかに複雑で過酷な環境で行われているかを深掘りしたわけですが、最後に一つ面白い試行実験をしてみたいんですよね。
はい、何でしょう。
もし将来、患者が適当に息を吸っても、絶対にミスなく完璧に肺の奥まで薬を届けてくれる、完全自動のデジタル吸入デバイスみたいなものが発明されたらどうなるんでしょうね。
あー、それは画期的ですね。
ですよね。その時、今回ようやく評価された人間による指導っていう行為とか加算の価値は、どういう形で変化していくのか。
医療制度改定の理念と現実
なるほど。
それとも消滅してしまうのか。これ、医療とテクノロジーの境界線として、ぜひ皆さんにも想像してみてほしいテーマですね。
はい。
05:57

コメント

スクロール