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令和8年度改定|長期処方・リフィル処方箋の掲示が特定疾患療養管理料の要件に
2026-09-09 05:54

令和8年度改定|長期処方・リフィル処方箋の掲示が特定疾患療養管理料の要件に

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令和8年度診療報酬改定は、長期処方とリフィル処方箋の活用推進を「Ⅳ-4-1 重複投薬、ポリファーマシー、残薬、適正使用のための長期処方の在り方への対応」に位置づけました。この対応策の5番目にあたる「⑤ 長期処方・リフィル処方箋の活用に係る医学管理料等の見直し」は、特定疾患療養管理料をはじめとする日常的に算定頻度の高い項目に新しい要件を加えます。対象となる医療機関は、施行までに掲示物と院内運用を準備しなければなりません。本稿は、この項目で何がどう変わるのかを、実務対応の順に整理します。

今回の見直しは、医学管理料への要件追加と処方箋様式の変更という2つの柱で構成されます。要件追加の第一は、28日以上の長期の投薬とリフィル処方箋の交付に対応できる旨を、院内の見やすい場所に掲示することです。要件追加の第二は、患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応することです。要件が追加される対象は、特定疾患療養管理料など6つの医学管理料等です。処方箋様式の変更は、リフィル処方箋の患者認知度を高めることをねらいます。

見直しの背景:リフィル処方箋を必要と考える患者はまだ少ない

今回の見直しは、リフィル処方箋を必要と考える患者が長期処方に比べて大幅に少ない現状を出発点とします。令和6年度入院・外来医療等における実態調査では、外来患者の53%が「28日以上の長期処方に対応していること」を定期的な受診を続ける上で必要と回答しました。これに対して、「リフィル処方箋に対応していること」を選んだ患者は15%にとどまりました。医療機関に「患者に継続した受診を続けてもらう上で必要なこと」を尋ねた同じ調査でも、「28日以上の長期の処方をしてもらえること」が47%、「リフィル処方箋を発行してもらえること」が7%と、同じ方向の差が出ています。ここで注意したいのは、この差が制度の使いにくさよりも、リフィル処方箋という選択肢を知る機会の少なさを示している可能性です。今回の見直しが掲示と処方箋様式という「患者への伝え方」に集中しているのは、この認識に立つためと読み取れます。

患者への伝え方をめぐる対応は、令和6年度改定から段階的に進んできました。令和6年度改定では、かかりつけ医機能を評価する地域包括診療料等に、リフィル処方や長期処方を活用できることを患者に周知する要件が加わりました。令和8年度改定は、この周知の要件を特定疾患療養管理料などの医学管理料へ広げます。要件が広がることで、周知を受ける患者は、かかりつけ医機能に関する項目を算定する患者から、後述する6つの医学管理料等を算定する患者へと拡大します。

要件追加①:長期処方とリフィル処方箋に対応できる旨を院内に掲示する

追加される要件の第一は、長期処方とリフィル処方箋に対応できる旨の院内掲示です。掲示する内容は、患者の状態に応じて28日以上の長期の投薬を行うこと「又は」リフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であるという事実です。条文が「又は」で結んでいるとおり、掲示は2つの対応を常に両方提供すると約束するものではありません。掲示する場所は、当該保険医療機関の見やすい場所と定められています。

この掲示は、算定要件と施設基準の両方に位置づけられる点に注意してください。まず算定要件(通知)には、掲示と患者への対応をあわせた項目が新設されます。あわせて特定疾患療養管理料の注1に、「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において」という文言が加わります。新設される施設基準の本文は「特定疾患療養管理を行うにつき必要な体制が整備されていること」であり、その具体的な中身を通知が掲示として示す構成です。

施設基準が新設される点は、実務上もっとも影響が大きい変更です。現行の特定疾患療養管理料には施設基準そのものがなく、掲示をしていなくても算定できました。改定後は、施設基準を満たす医療機関でなければ算定できません。

ただし、この施設基準に届出が必要かどうかは、現時点では確定していません。改定案の注1は「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において」と記載しており、届出を伴う項目で用いられる「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という表記ではないためです。この表記のとおりであれば届出は不要となり、基準を満たすこと自体が算定の条件になります。いずれにせよ判断材料は告示と通知にあるため、対象の医療機関は届出の要否と経過措置の有無を発出後にすみやかに確認してください。

要件追加②:患者から求められた場合は、患者の状態を踏まえて適切に対応する

追加される要件の第二は、患者から求められた場合の適切な対応です。算定要件(通知)は、掲示に続けて「患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応を行うこと」と規定します。掲示だけで終わらせず、掲示を見た患者の申し出に応じる運用までを一体で求める構成です。

この対応要件は、患者の求めに必ず応じることを意味しません。条文が「患者の状態を踏まえて」と限定しているとおり、長期処方やリフィル処方箋を交付するかどうかは医師の医学的判断に委ねられます。症状が安定していない患者や、投与期間に制限のある医薬品を用いる患者には、従来どおりの処方が適切です。もっとも、求めに応じなかった場合には、その判断の根拠を診療録に記録しておく運用が安全でしょう。

対象:特定疾患療養管理料を含む6つの医学管理料等

要件が追加される対象は、特定疾患療養管理料を含む6つの医学管理料等です。個別改定項目は、次の項目を対象として列挙しています。

* 特定疾患療養管理料

* 皮膚科特定疾患指導管理料

* 婦人科特定疾患治療管理料

* 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料

* 二次性骨折予防継続管理料

* 小児科外来診療料

個別改定項目は、特定疾患療養管理料以外の5項目について「同様」と記しています。したがって注1の改正、施設基準の新設、算定要件への追加は、6項目すべてに及ぶと読むのが自然です。

これら6項目は、計画的な医学管理を継続して行うことを評価する点で共通します。共通する一方で、算定する診療科は内科から皮膚科、婦人科、耳鼻咽喉科、小児科まで広がります。二次性骨折予防継続管理料は入院医療と外来医療にまたがり、小児科外来診療料は初診料や再診料を含む包括点数です。対象の広がりを踏まえると、診療所だけでなく病院でも、複数の部門で同時に対応を確認する必要があります。

処方箋様式の見直し:リフィル処方箋の患者認知度を高める

医学管理料の要件追加と並ぶもうひとつの柱が、処方箋様式の見直しです。個別改定項目は、見直しの目的を「リフィル処方箋の患者認知度を向上する観点」と明示しています。現行の処方箋様式にもリフィル処方箋の欄は設けられており(令和4年度改定で追加)、欄の有無ではなく気づきやすさが課題という位置づけです。ただし、変更後の様式そのものは個別改定項目に示されていません。具体的なレイアウトは、告示の発出を待って確認してください。

処方箋様式の見直しは、同じⅣ-4-1に含まれる残薬対策の見直しとも連動します。「④ 残薬対策の推進に向けた処方箋様式の見直し」でも、薬局が残薬を確認した際の対応を医師が事前に指示できるよう、様式が変更されます。2つの見直しは同時期に施行されるため、レセプトコンピュータや電子カルテの改修は、両方をまとめてベンダーに確認するのが効率的です。

医療機関の実務対応:掲示・運用・届出・システムの4点を確認する

対象の医療機関は、掲示、運用、届出、システムの4点を確認してください。それぞれの確認事項は次のとおりです。

掲示は、28日以上の長期の投薬とリフィル処方箋の交付に対応できる旨を記した掲示物を、院内の見やすい場所に用意します。令和6年度改定以降、院内掲示事項は原則としてウェブサイトへの掲載も求められています。自院のウェブサイトを持つ医療機関は、掲示物と同じ内容をウェブサイトにも掲載してください。

運用は、患者から長期処方やリフィル処方箋を求められた場合の対応手順を、医師と受付・看護スタッフで共有します。掲示を見た患者からの問い合わせは、まず受付で受けることになるためです。

届出は、新設される施設基準への対応です。前述のとおり届出の要否は改定案の記載だけでは判断できないため、告示・通知の発出後ただちに確認し、必要な場合は施行までに提出します。

システムは、処方箋様式の変更へのベンダー対応です。改修の時期と費用を早めに確認し、施行日から新様式で発行できる状態にします。

まとめ:掲示と対応の2要件が、6つの医学管理料等に加わる

Ⅳ-4-1-⑤は、長期処方とリフィル処方箋の活用を医学管理料の要件から後押しする見直しです。特定疾患療養管理料など6つの医学管理料等に、長期処方とリフィル処方箋に対応できる旨の院内掲示と、患者から求められた場合の適切な対応という2つの要件が加わります。これら6項目には施設基準も新設されるため、届出の要否を告示・通知で確認する作業が欠かせません。あわせて処方箋様式も、リフィル処方箋の患者認知度を高める観点から見直されます。掲示物の準備、院内運用の整理、届出、システム改修の4点を、施行までに順に進めてください。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、認知度が低いリフィル処方箋の活用推進が焦点となります。特定疾患療養管理料を含む6つの医学管理料に、長期処方やリフィル処方箋への対応可否を院内に掲示し、患者の求めに応じて適切に対応する新たな要件が追加されます。これにより、医療機関は掲示物の準備、院内運用の整備、システム改修、そして施設基準の届出といった実務対応が求められます。

導入:リフィル処方箋という「裏メニュー」
あの、行きつけのレストランで、実は一番安くて美味しい裏メニューが何年も隠されていたって知ったら、あなたはどう思いますか?
えーと、ちょっと損した気分になりますよね。なんで今まで教えてくれなかったのって。
ですよね。実は、日本のリフィル処方箋っていう仕組みは、これまでまさにそんな状態だったんですよ。
あー、なるほど。
今日は、お聞きのあなたと一緒に、令和8年度の診療報酬改定について深掘りしていきます。
この裏メニューを誰もが頼めるように、大きくポスターで貼り出すような新ルールについて、なぜ変更されるのか、現場はどう変わるのかを徹底的に読み解いていきましょう。
課題:リフィル処方箋の低い認知度
はい。今回の資料にある令和6年度の実態調査のデータを見ると、その裏メニューっぷりがよくわかりますよ。
というとどういうことですか?
えーと、外来患者の実に53%が、28日以上の長期処方が定期受診に必要だって答えているんです。
半数以上じゃないですか。
ええ。なのに、実際にリフィル処方箋を選んだ人は、わずか15%しかいなかったんですよ。
え?半数以上が長期の薬を求めているのに、リフィルを選ぶ人はその3分の1以下ってことですか?
そうなんです。
それってもしかして、リフィル処方という制度自体が使いにくいとか、条件が厳しすぎるとかってことなんですかね?
まあ、そう思いますよね。でも資料を分析すると、使い勝手以前の問題だったんです。
以前の問題ですか?
はい。そもそも患者さんがリフィル処方という選択肢を知る機会が少なすぎるっていう認知度の壁が最大の原因だと指摘されているんですよ。
ああ、なるほど。知らなければそもそも頼めないですもんね。
そうなんですよ。だから今回の改定は、制度の中身を変えるというよりは、患者への伝え方に特化しているんです。
新要件:掲示と患者への適切な対応
うーん、でも伝え方を変えるって言ってもですね、国が病院側に、うちリフィル対応できますよってアピールしてくださいねってお願いするだけじゃ、現場はなかなか動かないんじゃないですか?
そこは国も分かっていて非常に強力な仕組みを用意したんです。
強力な仕組み?
はい。日常の診療で頻繁に使われる6つの医学管理量、例えば特定疾患療養管理量とかですね、そこに新しい要件を追加したんです。
ちょっと待ってください。その特定疾患療養管理量って、高血圧とか糖尿病みたいな慢性疾患を見るクリニックにとっては、毎日のすごく重々な収入源ですよね?
ええ、その通りです。
そこに要件をつけるってことは、つまりルールに従わなければ、その大事な収入が得られない、なくなるってことですか?
まさにそれです。経済的なインセンティブを使って本気を出させるわけですね。
なるほど、それは確かに強力ですね。
具体的には2つの要件がありまして、1つ目は28日以上の長期処方かリフィル処方に対応できるってことを、院内の見やすい場所に掲示することなんです。
ポスターとかを貼るってことですね?
はい、あとウェブサイトがある場合は、そこにも掲載が必要です。
ポスターを貼らないと点数が算定できないなら、どこの病院も必ず貼るようになりますよね?
で、2つ目の要件は何ですか?
2つ目は、患者から求められた場合、状態を踏まえて適切に対応することです。
ということは、患者がポスターを見てリフィルにしてくださいって言えば、お医者さんは絶対に断れない魔法のチケットになるってことですか?
そこは誤解されがちなんですが、違うんですよ。
違うんですか?
条文に、患者の状態を踏まえてとあるのがすごく重要でして、
はは、なるほど。
症状が安定しているかとか、投与期間に制限のない薬かとか、あくまで医師の医学的判断がストッパーとして機能するんです。
なるほど。患者の求めに100%応じる義務ではなくて、あくまで適切に判断して対応する義務が課されるわけですね?
その通りです。そしてですね、このポスターでのアピールに加えて、もう1つ大きな仕掛けがあるんですよ。
処方箋様式の見直しと対象項目
まだあるんですか?
はい。実際に患者さんに手渡される処方箋のレイアウト自体が見直されます。
処方箋のデザインそのものを変えるんですね?
ええ。
確かに今の処方箋にもリフィルのチェック欄はありますけど、小さくて全然気づかないですよね。あれが変わるんですか?
そうなんですよ。今回は、残薬対策の変更と同時施行されるため、フォーマットが大きく変わるんです。
医療機関に求められる実務対応
そうなると病院側のシステムとかも変えないといけないんじゃないですか?
まさにその通りで。医療機関はレセコン、つまり病院の会計や診療報酬を計算するシステムの回収について早急にベンダーへ確認する必要が出てきます。
システムの回収も必要だし、何より現場のスタッフは大忙しいになりますね。
そうですね。
だって待合室でポスターを見た患者さんから、これって私でも使えますかって最初に聞かれるのは絶対受付の人たちですよね?
ええ。だから現場の連携が今まで以上に重要になるんです。
なるほど。
受付や看護スタッフと医師の間で、どういう手順で案内してどう判断を仰ぐかっていう運用ルールを事前に共有しておくことが不可欠ですね。
確かに。
さらに新しい施設基準の届出が必要になる可能性もあるので、告示後のしばり合い対応も求められます。
ということは刑事、運用、届出、そしてレセコンなどシステムの4つの準備が急務になるわけですね。
まとめ:医師と患者の新たな関係性
はい。医療従事者の方にとっては実務面の対応が迫られますけど、なぜこのルール変更が行われたのか、その背景を理解しておけば現場への落とし込みもスムーズに進むはずです。
そうですね。今回の改定でこれまで裏メニューだったリフィル処方がついに表舞台に出ます。
お聞きのあなたも今後病院の待合室で新しい刑事や少し見た目の変わった処方箋を目にするはずです。
ええ。きっといろいろなところで見かけるようになりますよ。
そこで最後に一つあなたも考えてみてください。医師が一方的に決める処方から患者が自らポスターを見て選択し提案する処方へと変わっていく。
そうなった時、診察室へのコミュニケーションの主導権や医師と患者のパートナーシップは今後どのように変化していくのでしょうか。
次回病院の待合室に座った時、ぜひ周りを見渡して、あのレストランの裏メニューを思い出しながら意識してみてください。
今日の深堀はここまでです。
05:54

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