嗅覚と脳の使い方
飲食を言語化するフーズワーズ、始めたいと思います。
今日の言語化は、嗅覚の多様性を言語化する。
言語を考えたときに必ず実は通るのが、脳の使い方ということになります。
脳を通さずに反射で言葉が出てくるというのはなかなかない、表現するというのは難しいので、
誰しもが脳を通して言語化しています。
そのときに、左脳と右脳というものがよく引き合いに出されると思います。
右脳はどちらかというと、直感や芸術、そのような使われ方に特徴があるので、
左脳は論理やロジック、言葉、そんなことに関わりがあると言われています。
実際に言語表現をされている瞬間というのを、私自身もいっぱい感じてきたので、
その経験をもとにお話ししていきたいと思っています。
例えば、右脳がメインだと思われる芸術家志向の、
実際にお仕事でもそういったお仕事をされている方が、
おいしい日本酒を飲んだときにおっしゃっていた表現がすごく記憶に残っているので、
ちょっとお話しすると、少し穀物感のあるような明るい開けた香りを持っている、
爽やかな日本酒だったと思うんですけれども、
この日本酒を飲んだときにおっしゃっていたこと、
それは、西日が麦畑にあたり、金色に輝いている光景というふうにおっしゃっていました。
一時一句同じではないので、その点は前においておきたいのですが、
すごく風景的な言語化ですよね。
これって正直なところ、僕は全然得意じゃなくて、
私はどっちかというと、カタカナを使ったりとか、言語で表現しに行こうとする癖があります。
例えば柑橘を表すシトラスだったりとか、華やかなを表すフローラルだったりとか、
絞りたてのジュースのようなフレッシュさを伴うジューシーだったりとか、
またまた少し濃厚できれいなコクのあることをリッチーと言ったりとか、
そういう表現も使いますが、私はどっちかというと、作能が得意な人だと思っているので、
そういった不能と作能、もしくは得意分野ですね。
芸術が得意なのか、それとも論理的に考えるのが好きなのか、
そういったことによっても言語化の多様性というのは生まれてくるのかなと思います。
この言語化の多様性ということをすごく痛感したし、
実際にいろんな人がしている言語化をもっと見てみたいということになったときに、
香りの表現の多様性
ある本に出会いました。
それは平野直美さんという調工師の方が書かれた「香りの力」という本です。
この本の中には香りの説明が本当にたくさん書かれていて、
とても勉強になるのと同時に、読書から得る香りの楽しみ方という紹介ページがありました。
え、本から香りの楽しみ方がわかるの?って思って、
私はとてもドキドキしながらその紹介されている本を読みました。
読んだ本は、なしき加穂さんが書かれた「西の魔女が死んだ」ですとか、
千早朱音さんの書かれた「透明な夜の香り」ですとか、
またまた森バンバウムさんが書かれた「あの隅や私が嗅覚を失ってから取り戻すまでの物語」ですとか、
これらを読みましたが、香りに対する表現がとても面白くて、
本当に人それぞれ香りの表現の仕方というものが違うんだなというふうに感じました。
一つだけ紹介して、どれくらい僕が感動したかというのが伝わればなと思うんですけれども、
朗読のスキルはありませんので、その点はご容赦くださいというところですが、
ちょっと読んでみたいと思います。
これはなしき加穂さんの書かれた「西の魔女が死んだからの罰水」です。
晴天の時とはまた違う、どこかひそやかな臭い霧が、
細かな緑色の粒となって舞い、肌や鼻孔に染み込んでいく。
もう香りが死後じゃないんですね。
晴天の時とはまた違う、どこかひそやかな臭い霧が主人公であって、
その臭い霧が細かな緑色の粒となって舞い、肌や鼻孔に染み込んでいく。
すごい綺麗な表現ですよね。
私はこれを見た時にすごい感動しました。
というようにこのパターンでは作家さんが書かれていた美しい文章なので、
もちろん作家さんしかできない表現ではあるんですけれども、
ただここから学ぶことは大きいと思います。
それは表現というものは、誰かが感じたことを口に出して伝える。
もしくは文字に書いて伝える。
そのさなかに自分の脳というフィルターによって、
自分の表現したい形で表現されるものであるからこそ、
それは唯一無二の表現であって、
例えば何かお料理や香りのことに対して、
この料理はこういうものだと仮に誰かに言われた時に、
あなたはそう考えるんですね。なるほど、それはすごく勉強になります。
私はこう思うんですよね。こうやって感じるんですよね。
言い合えるコミュニケーションが成立するということが、
この香りの表現の多様性というところからすごく感じることでした。
つまり香りの表現というものに統一のルールはないということになっていて、
実はこれらの本を読んだことが自分の中で、
このラジオ、飲食を言語化する、フーズワーズをするきっかけの一つにもなっています。
毎回お伝えしているように、嗅覚の感じ方は遺伝子レベルでも個人間で差があり、
感じている香りや感覚というのは人それぞれ違うと言われています。
なので私もそうですが、皆さんも自由に表現し、
一緒に飲食と香りの世界を楽しんでいけたらと思います。
今日は嗅覚の表現の多様性を言語化するでした。
さようなら。