1. 超旅ラジオ
  2. 旅のラジオ / #010「翻訳でき..
2021-07-09 16:32

旅のラジオ / #010「翻訳できない世界の罵倒語」

旅への想いをまぎらわす、愉快な雑談ラジオです。
毎週金曜0時(木曜深夜24時)更新。

語り手: Satoru、岡田悠
聞き手: 石川大樹

題字&イラスト: べつやくれい
Presented by デイリーポータルZ https://dailyportalz.jp/


〈現在募集中の投稿コーナーはこちら〉

投稿コーナー①「生きて帰ろう」

旅行とは、ときにトラブルを伴うもの。
あなたの危険回避の知恵を教えてください。
(例:予備の現金をお菓子の小箱に隠す)


投稿コーナー②「あなたの旅の秘かな愉しみ」

旅行とは、自分で好きに愉しむもの。
あなたの愉しみかたを教えてください。
(例:旅行先のゴミを集めてノートに貼る)


投稿コーナー③「世界の罵倒語」

世界には、文化の数だけ罵倒語がある。
あなたが知っている罵りの言葉をください。
(例:南スーダン「ヤギ半頭の価値もない」)


投稿コーナー④「世界の音」

あなたが録った音をください。なんでもOK。
岡田さんと私が、ただそれを鑑賞します。
(例:イランの便器の音、バヌアツの料理の音)


投稿コーナー⑤「哀しい動物の鳴き声」

虚無を感じさせる動物の鳴き声をください。
作為はNG。哀しみは自然に発生するものです。
(例:たそがれの民家に沁みるヤギの声)


〈投稿フォームはこちら〉
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSedm0JA9VBB2xoAh9PT4hQcU4r73x6AZ1ibfaokd7vvJB6xXQ/viewform


00:04
Satoruと岡田悠の旅のラジオ
Satoruさん。
何ですか、岡田さん。
スグリーブって言葉って知ってますか?
いや、聞いたことないですね。
スグリーブですね。
いや、分かんないですね。何でしょう?
これゲール語らしいんですけど。
ゲール語。まずゲール語っていうのが私分かんないですね。
ゲール語はですね、古いアイルランド語ですね。
あー、ゲール語。
で、意味がウイスキーを一口飲む前に、上唇に感じる妙なムズムズする感じ。
すごいな。まさにローカル言語ならではのローカルキャブラリーですね。
これがですね、最近読んでた本。本に載ってたんですけど。
何て本ですか?
婚約できない世界の言葉っていう本があるんですよ。
これは要はその言葉でしか端的に表せないようなものが載ってるんですけど。
まさにそのウイスキー、アイルランドとかもウイスキーめちゃくちゃ飲むから、
もうウイスキーの多分最初の一口目が上唇につくっていうだけで表現があるっていうぐらい多様な表現がある。
この辺がやっぱりその言葉の面白さというか、文化とか生活が如実に現れてると。
そうですね。よく私も聞くのはその色とかね、カラーの言語とかも国によって結構全然違ったり、
昔の日本なんてのはね、すごくいろんな色があってとか聞きますね。
そうなんですよね。
そうなんです。もうちょっと行くと、アラビア語なんですけど、
グルファ。
グルファ?何でしょう?
片方の手のひらに乗せられるだけの水の量っていう。
ちょっと難しいな。手のひらに水ってあんま飲んなくないですか?
すごいな。
多分だから水が少ないから。
そういうことなのか。
じゃあ喉乾いたよとかどんだけくれるの?グルファとか言われたらもうお前は飲めないよみたいな。
そういう意味なのか。
水がいっぱいあると手のひらで測ろうとは思わないっていうのはね。
なるほどね。だからあれか、もしかしたら日本語で翻訳された以上の何か含意が、コンテキストがあるかもしれないですね。
多分そうですね。
クイズです。
マレー語。マレー語で。
マレー語ね。マレー語。
ピサンザプラ。
ピサンザプラ。
これもやっぱマレー語しかなさそうだなって感じですね。これも。
マレー語ってどこでしたっけ?
03:00
マレーシア。
マレーシアね。マレーシアね。なんだろうな。
いやークアラルンプールに駅行きたかったんだけど乗り換え間違えだなーって。
そんな保有名詞がひも付いたことが。
ダメだった、ダメだった。
いやーなんだろうな。お隣さんにおっそ分けでターメリックライスをあげたけど、なんか俺帰ってこなかったなって。
ちょっと近くなった。
ターメリックライス食べないかもしれない。ごめんなさい。
正解ですね。ピサンザプラはバナナを食べるときの所要時間っていう意味。
バナナを食べるときの所要時間って結構人によって違くないですか?
俺のピサンザプラはみたいな。
俺のピサンザプラは5秒だとか言って。
小学生とか中学生とかで早食いバナナ競争かなんかで。
一般的には2分らしいです。
2分。2分長くないですか?
自分がバナナ食べる時間測ったことないから。測られると焦って食べちゃうけど。
ちょっともう1個だけクイズ。
これもうちょっとあれかもしれない。さらにならでは感がある。フィンランド語ですね。
フィンランド語。
ポロンクセマ。
ポロンクセマ。なんだろうな。
これはフィンランドにしかないだろうって感じがする。
じゃあサウナだな。フィンランドって今サウナだから。
サウナの葉っぱをペショペショってやるときに水が隣の人にかかっちゃって、隣の人がちょっとなんか嫌な気持ちになって、
嫌な顔してたよなっていう。謝らなくちゃいけないかなっていう。
その時の葛藤を表す気持ち。
その言葉。だめですかね。
全然違いますね。
全然違う。これ難しすぎだし。
言葉忘れちゃった。
確かにヒントがないと。
もう1回言ってください。
ポロンクセマ。これはね、動物に由来した言葉ですね。
ポロンクセマ。ある動物。
フィンランドには島の動物園がある。ヘルシンキに島ごと動物園があったってことだけど、フィンランドならではの動物ってヘラジカ?なんだろう。あんまり思い浮かばないな。
ポロンクセマは、イコール約7.5キロメートルです。
なに?
え、なんだろうな。
なんかの距離を示す。
動物が、ペットの猫がいなくなって、何キロ先で見つかるかっていう平均。
分かんないな。いつ違うかな。猫なんてどこでもいるもんな。面白いな。
正解はですね。
トナカイが休憩なしで疲れず移動できる距離。
え、意外に結構すぐ疲れる。
トナカイってノルウェーじゃない?違うか。サンタクロース?
サンタクロース、フィンランド。
でも、あのあたり北欧ですね。
06:00
そうですね。
すごいね。でもそれって日常でどういうふうに使うんですかね。
全く分かんないですね。
ヘルシンキのノーキアとかで勤めてる人がトナカイの距離とかあんまり気にしないから、やっぱり昔から残る古代の表現ってことか。
まあ、なんかアパート徒歩10分みたいな感じで疲れるね。
ヘルシンキ駅からトナカイで通ったらちょっと疲れる。
いいな、いいな。
そういえば今思い出した。フィンランドって、私フィンランド人の知り合いが結構いて、
今フィンランドってすごいあの、サースってね、しかもあの乗り合いタクシーとか、
ああいうなんか自動運転とか、ああいうのがすごい進んでて、
そういうなんかサブスクみたいな感じで、何万円か払うともうタクシー乗り放題とか、
そういうのがいっぱいあるんですよ。
そんな感じでトナカイとかもね、一緒に乗れたりとかして田舎に行くとか。
トナカイ乗れんのかな?
乗れんのか分かんないけど嫌われるかもしんないけど、ソリみたいな感じ。
なんかそういうようなのがあったらいいなって今思いましたね。
そういう時にその言葉が急に復活するかもしれないですね。
仮にそのサービスがフィンランド中に渡った時に。
トナカイにちょっと疲れさせちゃいけないから、とりあえず7.5キロのところで1メーターで行くかみたいなね。
そういうのが読まれるかもしれないですね。
面白いですね。
こういうね、前にイベントやった時もヤギをいろんな言葉で翻訳してみたら、
言葉によってはなかったりとか、言葉によってはオストメスで言葉が違うからどっちだみたいな。
岡田さんが主催された超旅会談というイベントでね、
お客さんが少しだけいらっしゃっていただいたから、
その方々に一人ずつ違う言語でね、言葉を配ろうとした時に、
一人でヤギが来たので、そのヤギの言葉を訳そうとしていろんな人聞いたら、
その言葉がなかったり。
あれはセルビア語か何かでしたっけ?オスヤギとメスヤギ、どっちか特定されないと訳せないとかね。
確かに同じ言葉で普段あんまり考えてなかった言葉の広がりとかね、感じましたね。
そもそもそんな概念がないから訳すのを拒否された。
そう言いましたね。東語の人に拒否されましたね。
エウェゴの人に拒否されて。
確かにそういうのがありますね。
翻訳って簡単じゃないなってすごい思いましたね。
そうですよね。
確かにバトーの言葉、古典落語とか私昔やってたんですけども、
やっぱりすごいバトー語が多いんですよね。
なんか今聞かないな。
そうですよね。
江戸時代とか生活に余裕があったのか文化資本があったのかわからないけど、
バトーの表現がすごく多くて、今だと割と限られてくるので。
この間あれですよね、砂漠さんって方と一緒にお話しした時に、
今とある国ではすごくバトー語のバリエーションが豊富で、
そのバトー語のバリエーションの豊富が教養の深さを示していて、
いい大学を出てるほどすごくバトーが豊富だっていう。
バカバカとか言ってるだけで。
そうそう。
前の六神頭目のおじわぐらい、頭が剥げてるとかわからないけど。
09:03
それをパッとピンポイントで言い表す言葉っていうのが、
すごくバトーの多い文化ではそれが豊かになるという。
そうなんだろうな。
イギリスとかもね、映画とか見てるとやっぱりブラックなジョークとかがやっぱり好きだったり、
バトーの言葉が多いのはありますね。
フランスもそうだな、フランスもあれですね、ラブレイっていうね、
有名な古典文学の人はいますけど、
あれもうんことかおしっことかの表現が永遠と続くページとかが確か。
でもそれも日本語でやっぱり訳しきれないから、
すごい役者が苦労されてるんですね、翻訳者が。
おしっこ、おしっこ、おしっこみたいな訳しかないんだけど、
結局造語になっちゃうんですよね。
だから日本語ではない言葉になっちゃうので、
なかなかね、語呂合わせてやるとか難しくて。
だからやっぱり訳しきれない概念っていうのは、
そういうとこにあって、
それやっぱり人をバカにする言葉とか、うんことかとか、
そういうなんだろうな、根源に迫るような、
金返せとかね、わかんないけど、
そういうところの言葉が深まっていくんだなっていうね。
逆に数学とか、分かんない物理とかね、
そうやって概念的に構築されてた言語ってなってる?
多分それはもう、僕の国だけにある三角形の内核の総和とか、
そういうのないわけじゃないですか。
ないですね。
そういう意味だとやっぱり、
人の心のひだに入り込んでいく言葉は何が多いかって言ったら、
やっぱりそういう世界になるなって。
そうですよね、そうですよね。
だからよく少数言語を守らなきゃみたいな話をあって、
昔はなんか不運ぐらい思ってましたけど、
そういうことを考えると、
本当そうですよね。
その感覚を残すというか、
概念自体を残すってことだから、
そういうようなんだろうなと。
本当に心が痛みますよ。
せめてね、全部の丸ごとの言語が残さなくても、
バトー語だけは全て録音してもらって、
そうするとなんか破裂音がやっぱり多いんだなとかね。
ブワッとなんか、これは伸ばす音なのかなとかね。
なんかすごい長い言葉で、
5分ぐらい切れ目なく喋り続けてる、
なんか少数言語でも、
その言語の言葉の使い手は今はいないんだっていう、
親身した気持ちになる、
バトー博物館を作ってみたいですね。
お金がうんと稼げたら。
最近、オラオラでひとりいぐもって小説があって、
オラオラでひとりいぐも。
なんか芥川賞も取ったやつなんですけど、
で、東北弁のおばあちゃんが、
とうとうとこうひとりがたりをするような小説なんですけど、
面白そう。
なんかこう言葉、その人ならではの造語みたいなのが出てくるんですよね。
なるほど。
で、食べることを食べらさるっていうんですよ。
これはなんか、表現というよりは、
その小説独特の言葉らしくて、
なるほどなるほど。勤めて文学的ですね。
そうですね。
そのおばあちゃんだけの言葉。
そう、食べらさる。
そのおばあちゃんもフィクションの中の核の人物なんですね。
そうそうそう。
すごいな。
食べさせられる、誰かに食べさせられるとか、
12:03
なんかこう、死液と受動が混じった意味で、
食べらさるという意味で、
そのおばあちゃん、こう、生きていくために食べなきゃいけないの、
みたいなのを表現するときに言うんですけど。
なるほど。
いいっすね。そういう言葉を作りたいなと。
いいですね。いいですね。
こう、ならでは語みたいなのがね。
そうですね。
言語学者の方ってのはそういうことをずっとやられているんでしょうね。
そういうのかな。
5000とかでしたっけ。それぐらいあるんですよね。
そうそうそうそう。調べた。調べた。
イベントの全部で調べた。
5000ぐらいあって、
で、最も翻訳されたウェブページが、
エホバーの商人のページなんですね。
で、1000言語ぐらいでしたっけ。
1000言語でしたね。
なので、それを超えるページを作りたいなって、いつか。
そうですね。
デイリーポータル。
あの、読者の多いメディアで呼びかけると、
あれ、これ調べてね。その企画で、企画段階で、
私が発案したんですけど、
それギニスブックにエホバーの商人が載ってるんですよ。
世界で一番言語が翻訳されているものって。
それに勝てないかなと思って、
やってみたんだけど、
50言語ぐらいでもう挫折でしたね。
そうですね。
なかなか難しい。
投稿コーナー。
ラジオネームテケテケさんから、
また来ましたね。
悲しい動物の鳴き声。
今回も来た。また来た。
2週連続で、動物の鳴き声が届きましたね。
このラジオは、読者層がどういう人に届いているのか、
私自身もよくわからなくなってきましたね。
これ、どんなのあるんですか。読み上げてみて。
オーストリア名文をそのまま読むと、
オーストリアの世界遺産、
エッゲンベルク城で、
メスを求めて鳴くオスの声。
何の動物かは書いてない。
人間かもしれない。
オーストリア人。
オスさんの声かもしれない。
オスメス比率は5対1で。
オスが多いってことですね。
どうしてそうなっちゃったかわからないです。
何の動物かを当ててくれってことですかね、これ。
こういうことも言ってないですね。
これじゃあちょっと聞いてみましょうか。
聞いてみましょうか。
鳥かな。
鳥ですかね。
パッと聞いた感じ猫な気もしましたけど、
でもちょっと。
何これ。すごいな。
何の動物かわからないまま。
動向が投げかけられてくるっていう。
読者が上回るな、我々を。
こんな猫、なんだろ、
15:02
こだましてる感じがあるから、
なんか高いとこから鳴いてる。
そもそも何でオスメス比率が5対1って、
種の存続として、
上手いシステムじゃないじゃないですか。
メスがすぐ死んじゃうんですかね。
出生率に差があるんですかね。
何なんだろうな。
鳥なんすかね。
5対1と。
悲しい気持ちは確かになる。
メオン、メオン。
何の動物かわからないけど、
求愛の脇恋でした。
求愛っていうのは確かに悲しいですね。
求愛しないと、
次の世代に残せないっていうのも悲しさがあるし、
うまくいかない可能性を
払っているっていう悲しさもあるし、
何の動物かわからないっていう悲しさもあるな。
ありがとうございました。
タミノラジオ第10回、
このあたりでお別れしたいと思います。
今日のさよならは、
エッケンベルク城で、
メスを求めて泣くオスの声で、
お別れしたいと思います。
パターンが変わってきましたね。
16:32

コメント

スクロール