意味論の導入
おはようございます。英語の歴史の研究者、 そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
8月25日、木曜日です。 また暑さが厳しくなってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。 本日お届けする話題は、意味といっても様々な意味がある、です。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。 それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますよ。
夏季スクーリングも後半に入ってきまして、 今日がDay4、4日目ということになるんですけれども、
昨日までで音韻論、形態論、そして統合論と駆け足でやってきました。 そして今日はですね、意味論ですね。
セマンティックスと呼ばれる領域なんですけれども、 語の意味であるとか文の意味、この意味というものを扱う回になっていますね。
意味の話題っていうのは非常に多くの人に関心を持たれる話題なんですね。 このチャンネルでも英単語の意味の変化に焦点を当てて、色々と話題を提供してきました。
非常に受けがいいんですね。 形はそのままなのに意味が時とともに変わっていくということですね。
形が変わったりすると気づきやすいわけなんですけれども、つまり目に見えたり耳に聞こえたりするので、 ただ意味、中身ですよね。中身が変わったことっていうのは意外と気づきにくいんですね。
というのは形と違って触ってみることもできなければ耳で聞くこともできない。 頭の中にもやっとあるのが意味ですよね。なのでこれが変わっていくと言ってもですね、なかなか実感できないことがありますね。
取り出して見せるっていうことはなかなかできないということで、意味というのは扱いづらいんですね。 言葉っていうのは意味を伝え合うものだという立場に立つんであれば、
本来言語学というのは意味を明らかにするという、そういう分野であっても良いはずなんですが、実はこの取り出しにくさって言いますかね、扱いにくさ故に意味論の研究っていうのは言語学でも一番遅く発達したものなんですね。
現在でも意味って結局何なのかということがですね、万人が認めるような満足いくような定義と言いますか、説明っていうのはないんですね。様々な立場があります。
多義性の具体例
もちろん意味というのは言語学だけの話題ではなくて、古くから哲学であるとか論理学という分野でも扱われてきまして、多くの学者を悩ませてきたっていうことなんですが、言語学でもですね、やはり意味っていうのは捉えどころがない。様々な分析方法があるということですね。なかなか厄介な問題なんです。
そもそも意味とは何かという問題ですね。これはそれこそですね、古典的名調と言われていますオーグデンアンドリチャーズの書いたThe Meaning of Meaningという意味の意味を扱った本があるんですけれどもね、このオーグデンアンドリチャーズによると意味という単語、言葉ですね、これに様々な意味があるんだということを言っていてですね、
16の異なる意味に分類しているんです。意味の意味ですね。これぐらいめちゃくちゃなことになっているわけなんですけれども、ここではですね、16全部紹介するというわけにはいきませんので、意味の多義性、これについて今回は主に英語を題材にして、日本語でも大体同じことが当てはまるんですけれどもね、とりわけ英語に注目して、
意味が多義であるっていうこと、様々な意味を持っているっていうことを確認したいと思います。これから英文を5つ読み上げます。
meanという動詞ですね。意味するというmeanという動詞をすべて使った文なんですが、それぞれmeanの意味合い、使い方っていうのが違うっていうことなんですけれどもね。
ではまず1つ目いってみます。
という文ですね。
第3文。
第4文。
第5文。
5文読み上げましたけれども、それぞれのmeanっていうのは異なる意味で使われているんですね。確認していきましょうかね。
第1文。
これは私は来週ジェーンのところを訪ねるつもりですということですよね。このmeanっていうのは意味するっていうことなんですが、つもりですとか、意図に近いですかね。意味というよりは意図しているというぐらいの意味のmeanの使い方ありますね。
別の英単語で言うとintendぐらいが適切でしょうかね。
第2文。
ということで赤信号は止まれを意味するということで、意味すると日本語でも訳せてしまいますが、ここでの意味は他の動詞で言い換えればindicate、示す、指し示す、それぐらいの使い方だと思うんですね。
ということですね。
第3文。
これはテレメトリーという難しい単語ですね。遠隔測定法って言うんですかね。この単語の意味、難しいから単語の意味を聞いているわけですよ。
これは典型的なある単語の意味は何なのというふうに聞く場合、知らない単語の意味を聞く場合っていう、最も普通に使われるタイプの意味の一つですよね。
他の動詞で言い換えるとrefer toぐらいでしょうかね。
第4文は。
地球温暖化っていうのは何を意味するのかということなんですけれども、これグローバルウォーミングのという表現ですね、の意味がわからない。この表現自体がわからないっていう場合には、先のwhat does telemetry meanと同じ意味なんですが、
通常グローバルウォーミングっていうのは非常によく知られた現象なので、あえてこれを問うってことは、その重要性は何か、それはどういう意義があるのか、地球にとってあるいは我々人類にとってみたいな意味合いですので、
言い換えるとhave significanceっていうことですね。どういう重要性を持つのかぐらいいいですね。どういう意義を持つのかと言い換えてもいいですね。意味というより意義ぐらいでしょうか。
最後の第5文ですが、
マゴフさんという名前はあなたにとって何を意味しますかということなんですが、ここで聞いているのは、この名前を聞いたら何を思い出しますかとか、この名前を聞いてどんな印象、感情を抱きますかというようなことですね。
ですので、英語の他の動詞で言い換えればconveyぐらいですかね。名前を聞いてどんなアイディアが思い浮かびますかというような、そんな感じでしょうかね。
5つ挙げましたけれども、Ogden and Richardsによると16あるというわけですから、さらにですね、細かく分けたり、さまざまな意味があるということになります。
とするとですね、意味を探求するとか意味を研究するといっても、今述べた複数の意味、ややこしいですね、語義というふうに読んでおくと、どの語義で使われている意味を研究しているのか、探求しているのかということをはっきりさせないと、それこそ意味自体が多義語ですので、頭がこんがらがってくる。
英語の多様な発音
議論がわからなくなってくるということが起きてしまいますね。この辺の整理から入るということでですね、意味論も結局意味の多様な側面があるわけですが、この側面を今議論しますとか。
あっちの側面は今は扱わないことにしますというようなことをですね、いちいち確認しながら進まないと本当に混乱してくるということなんですね。そのために概念と用語の整理が必要だったりするっていう、そこから意味論というのはスタートしなければいけないという非常に厄介なところなんですね。
言語学としても意味を扱うアプローチは様々です。古くから伝統的なアプローチっていうのはありましたし、そして生成意味論であるとか認知意味論という比較的新しめの意味論も出てきました。こうしたものをすべて合わせて意味論なんだと思うんですね。
したがって英語ではセマンティックスというふうに言いますが、最後のSっていうのはですね、学問名に典型的によくつくSなんですが、これは文字通りに様々な意味論が集まって複数の意味論から構成されている集合体と考えたいと思います。コメント返しです。
20代平社員さんからです。
先日は早速アイルランドの発音の話題を取り上げていただきありがとうございました。アイルランド語をもともと話していた人々が英語を使用し始めたので発音が異なるという説明に納得しました。
ホッタ先生の発音は綺麗ですが、日本人が英語を話すと日本語っぽい英語になってしまいがちです。また何かありましたらお便りしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
ということで20代平社員さんありがとうございました。先日アイルランド英語の発音ということですね。こちらの話題を取り上げましたが、世界で様々な英語が今話されてますよね。世界だけでなくイギリス内部でも方言っていうのはたくさんありますし、アメリカ内部でもあります。
その意味では本当に英語の変種がですね、無数に存在しているっていうことになるんですが、それぞれが独特の発音を持っていたりしますよね。それぞれが鉛を持っているっていうことなんですが、なんでそういう鉛が生じるのかっていうのは歴史的に解決できるということはありますが、ただ歴史を遡ってもですね、やっぱり最初から違かったんだと。
最初からですね、異なる英語が話されていた、異なる種類の英語が複数あったというスタートの時点からそうだったというふうに考えたほうが良いですね。その上でさらにどちどちで新たに変化していった結果ですね、今あるような世界中の様々な英語変種がある。そういうふうに考えると良いのではないかと思います。
またコメントといただければと思います。ありがとうございました。
そして、小江戸のアルキニストさんです。
和音の和の問題ですね。阿行の和と和音の和の問題についてですね、コメントバックしましたけれども、さらにそれに対するコメントバックということでいただきました。
発音と綴り字の変化
取り上げていただきありがとうございます。和に関しては私も和と同音だと思いつかってきました。基本的には和で発音し、状況に応じて音を変えるのが普通かなと思っています。しかし私がネットで見た限りでは和発音が多数派で驚きました。もしかしたら和派は和同音は当然のこととして発信していないだけかもしれませんが、
どちらの音が正しいかはともかく発音が変化しているかもしれない。ゆっくりだが大きなその流れを垣間見た気がして単純に面白かったですということですね。このネット上で盛り上がっていたんですか。私は見ていないんですけれども。
一つここでそれに対して論点を加えるとしますと、綴り字状といいますかね文字ですけれども、かなとして阿行の音和音の音というのが異なる文字を使っているということで、それで発音上も変えるのが筋であるというような理屈で。
しかも昔はですね古くは阿行のものはウォと確かにしっかり発音されていたということですので、これをしっかり発音上も分けるべきだというような規範的な匂いが感じられるかなというのが私の印象です。文字では表現されている際をですね発音上も表現しようというようなある種の規範意識みたいなものですね。
これ英語で言えば最も有名なのはスペリンプロナンシエーション、綴り字発音と言いましてオフン、しばしばっていうのがオフトゥンという風にTを伴って発音されるようになってきているという非常に有名な現象がありますけれども、これは伝統的にはオフンだったわけですけれども、綴り字にTがある。
だから発音上もTを入れようというような綴り字ベースの、綴り字っていうのは教養とか教育っていうものを感じさせる文字文化ですね。そういうもの、権威があるものですので、そこをベースにして発音を再構成しよう、再構築しようみたいな心理が働いている。
つまりより威信の高い文字ベースのオフトゥンですね。このTをちゃんと発音上も響かせようという方向での一種の規範意識のようなものが関わっているのかなと思いますね。そしてこのような現象が面白いのは単発だっていうことなんです。
つまりですね、オフンではTが復活するようになってきたけれども、頭にSをつけたソフン、柔らかくするっていうですね。これもソフトにENだからTが含まれているんですけれども、綴り字上はですね。ただこれはオフンと違ってソフトゥンみたいなTが復活する日差しはないっていうことですね。
どうしてオフトゥンだけ、こっち側だけTが復活し、ソフンでは復活していないのかというような、他にスイッフンとかですね。似たような音の環境ですと、例えばリスンなんかもそうです。キャッソーなんかもそうです。Tが復活しても良いはずなんですが、オフトゥン、これTが綴り字にあるから発音にも戻そうということであれば、今述べた他の単語もですね。
T戻っても良さそうなものなんですが、そんな日差しはないっていうことで、このような規範意識であるとか、綴り字発音みたいな問題って、ある単語をピックアップして、そこでだけ議論するというようなことが多いんですよ。
お、おもそうで、例えばへですかへと書いて、えと読ませる女子のえですね。あれもですね、もともとかつてはへだったわけですから、これちゃんとあいうえおのえではなくて、はひふえおのへは、女子として使うことはへといおうという理屈に、本当はなってしまう気がするんですけれどもね。
それはただバカバカしい気はしませんかね。もちろん、方言によってネイティブ発音として和音のおをうおと発音する人がいる、そういう方言があるっていうことは了解しているわけなんですけれども。
オフンとオフテンっていうこの議論とパラレルな議論のように思われますね。
このスペリングプロナンセーションというのは、なかなか面白い話題っていうか現象なんですよね。これオフンに関して言えば、T書かれているんだから発音しようということで、つづり字と発音の間のギャップっていうのがなくなるわけですよ。
Tと発音すれば。それはそれでめでたしめでたしのように思われるんですが、ほかの関連する語、ほとんど同じ環境にあるソフン、スイフンなどでは起こってないっていうことで、かえってややこしくなるっていうことなんですね。
よかれと思ってつづり字と発音を合わせたんだけれども、そのよかれと思った行為が一貫して一律に似たような単語に作用しないために、むしろ不規則性が増してしまう。覚えなければいけないことが増えてしまうっていうような、そういうこともあったりするんですよね。なかなか言葉の変化っていうのは難しいものがあります。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたのご意見、ご感想、ご質問をお待ちしています。チャンネルで取り上げてほしいトピックなども歓迎です。
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