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おはようございます。英語の歴史を研究しています 慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも 自称も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、
仮定法フレンドリーなアメリカ英語、という話題です。 仮定法というのは、現代の英語ではですね、かなり廃れてきている、
息も絶え絶えの文法項目と言っていいと思うんですね。 例えば、仮定法、過去。 If I were you
というやつですね。 If I were a bird とか、ああいうやつですけれども。 これ、確かに今も生きて使っているわけなんですけれども、他にあまり例がない。
似たような例がなくて、あくまで仮定法の時にだけ使われるっていうことですね。 そんなに使われるわけでもない。
だけれども、文法上は重要だということで覚えさせられるっていう、 ある意味マイナーな存在なんですね。
この仮定法、過去っていうのはまだ良い方なんですよ。 I were you. If I were a bird ってやつね。
これはまだ良いんですけれども、もっとマイナーなものとしてですね、 仮定法現在っていうのがあるんですね。
これはどういうことかっていうとですね、 例えば、提案するという意味の動詞ですね。
それに近い類義語の動詞を使う場合に、 その後に雑答説が来ると。
することを提案する、アドバイスするっていう時に、 その雑答説の中がですね、仮定法現在を使う。
簡単に言うと、修行が何であれ、時制が何であれ、 とにかく原型を使うというようなルールですね。
例えばこういうのがあります。 I advised that John read more books.
という表現ですね。 I advised that John read more books.
これは私は、ジョンに妹本を読むように、 という風にアドバイスしたっていうことなんですが、
I advised that John read more books. という風にreadが使われるんですね。
これreadでもなくreadsでもなくshouldreadでもなく、 単にreadという原型と同じ形が使われるんですね。
この原型のことを原型と呼ばずに、 文法的には仮定法現在という風に言い習わすんですね。
時制が、実際、I advisedという風に、 修説は過去なんですけれども、それにもかかわらず、
とにかくこのreadのことを文法的に 仮定法現在みたいに呼ぶのが英文法の習わしなんです。
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これよくわかんないですよね。 これ実はアメリカ英語でしたね。
イギリス英語ではこう言うんです。
I advised that John should read more books.
つまり、shouldを入れるだけで、 readの発音は変わらないわけですが、
前にshouldを入れるわけで、 文法的にはすごくわかりやすくなる。
なんでshouldreadなのかっていうのが よくわかるわけですね。
I advised that John should read more books.
これshouldっていうのは時制にも 左右されませんし、
shouldとくれば次にくるのは不停止、 readですよねということで、とてもわかりやすい。
ところが、これはイギリス英語なんですけれども、 アメリカ英語では先ほど言ったように、
I advised that John read more books. というわけです。
つまりあたかもこのshouldが省略されたかの ようになっているのがアメリカ英語で、
省略されてなくてちゃんと shouldが出るのがイギリス英語ということに、
一般的にはなっているわけなんですね。
ところがこれは英語史的には大きな誤解なんですね。
これ、もともとイギリス英語にあるような shouldがアメリカ英語で省略されて、
I advised that John should read more books.
shouldがない形がアメリカ英語だというのは全くの間違いで、
歴史的にはむしろアメリカ英語の I advised that John read more books という
このreadの形が実は有所正しい形なんですね。
歴史的に言いますとこれが家庭法現在という形で、 実は古英語からずっと続く形なんですね。
で、ジョンなのに、しかも過去形なのに、 なんでreadになるのかと。
で、これ変でしょっていう形で、 じゃあこれを解消するのに、
この変なものをですね、解消するのに shouldを挿入すると全てが解決すると。
John should read more books.
このように改革したのがイギリス英語なんであって、
アメリカ英語の John read more books というのは、
実は歴史的にはむしろ有所正しい形であるっていうことなんですね。
つまりアメリカ英語の方が、 実は有所正しい形をしっかり残していて、
イギリス英語でこそむしろ変形させて shouldを挿入したっていうのが、
歴史的には正しい説明なんですね。
こういったことって結構ありまして、
いわゆるアメリカ英語っていうのは、 イギリスから英語が移植されたわけですね。
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17世紀以降移植されて、
その17世紀当初の英語が、
このアメリカ英語の中に 保存されてるってケースが多いんですよ。
アメリカではそれが保存された。
ところがイギリスではですね、 その後変わってしまったということが多いです。
一般的なイメージで言うと、
イギリス英語というのは非常に保守的である。
つまりイギリスって全て保守的だね。
古いものを遠飛ぶっていうイメージがありますよね。
一方アメリカっていうのは全て新しい。
あるいはものが新しく生まれていくっていうのが アメリカだっていうイメージがありますが、
言語に関しては反対っていうことも 実は非常に多いんですね。
イギリスでこそいろいろ革新が起こっていて、
つまり新しいことが起こっていて、
アメリカでこそ十何世紀に持ち越された イギリスの英語がそのまま保存されてるっていうことが多いんです。
これが実は家庭法現在なんかはまさに典型なんですね。
というふうにreadと言いますが、
これは実は古英語から続く英語のもともとのですね、
家庭法現在という文法項目が残ったのがアメリカ英語なんです。
その後十八世紀以降ですね、
つまりイギリス英語はアメリカ英語に持ち越された後の十八世紀以降に
イギリス英語でもう一つの文法項目が残ったのがアメリカ英語なんです。
その後十八世紀以降にイギリス英語でも色々変化が起こってます。
そこで変化が起こって、
この家庭法現在なんてものは必要ない。
これはshouldという助動詞で代用すべきだっていうことで
I advise that John should read more booksとしたのがイギリス英語なんですね。
つまりイギリス英語の方が実は新しくて、
アメリカ英語に残っているthat John read more booksという家庭法現在の方が
ずっと古い、古いどころかもう古英語の文法です。
これが保たれているのがアメリカ英語ということになります。
このような現象を指して、
今日のタイトルはですね、
家庭法フレンドリーなアメリカ英語というふうに銘打ったわけですね。
つまり家庭法現在という、
イギリス英語ではほとんど使われなくなったものが
アメリカ英語でちゃんと残っていますよということなんですが、
実はこれは家庭法現在だけでなくて、
家庭法過去についてもやっぱり言えるんです。
冒頭に述べたIf I were youってやつです。
もし私があなたならということで、
必ず習う語法ですよね。
ところが最近はですね、
If Iに対して、
わーっていうのは家庭法だからわーなんですが、
これは古い時代の、つまり古い英語の伝統として、
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Iでも家庭法はわーを使うんだっていうことで、
残ってきた一種の定型フレーズなわけなんです。
ですが普通に考えればIだったらwasですよね。
なのでIf I was youっていうのも出てきてるわけです、
実際には表現としては。
それがですね、
イギリス英語とアメリカ英語と比べるとですね、
アメリカ英語の方がIf I were youっていう古い形、
いわゆる家庭法過去の伝統的な形が、
よりよく残されてるんですね。
イギリス英語よりもってことです。
イギリス英語ではIf I were youがIf I was youにだいぶなりつつあって、
1990年代にやる5割ぐらいがIf I was youなんです。
ところがアメリカではそうもなってまい、
If I were youの方が多いってことなんですね。
家庭法フレンドリーなアメリカ英語というわけです。
ではまた。