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2024-12-13 10:00

heldio #146. スウィフトが批判した省略語 mob, rep

#英語史 #英語教育 #英語学習 #スウィフト #言語純粋主義 #省略語
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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった
英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を癒やしなっていただければと思います。
今回取り上げる話題は、スウィフトが批判した省略語 mob, rep
という話題です。 英語に限らず、日本語でもどの言語でも、そして時代を問わずに省略語というのはよく作られます。
長い単語の一部だけを切り取って、そこを使うということですね。 あとは切り捨てしてしまうということで、これは便利なわけですね。
特に非常によく使う頻度の高い単語ですと、短い方が便利ということになりますので、頻度が高ければ高いほど、どんどん語形が短くなっていく、省略語が多用されるようになっていくというのは、これはある意味では普遍的な言語の特徴だと思うんですね。
ただし、あまりこれをやりすぎたり、そこまで頻度の高くない語でこれをやったりすると、軽薄だというイメージがついてまわることになりますね。
例えば、非常に頻度の高い日本語で言うと、コンビニエンスストア、これ全体だと長いんですが、コンビニと四節にすることで便利になっている。
そして、日本のインフラとなっていますので、非常に頻度が高い。使う頻度も高いので、これをわざわざコンビニエンスストアと言っているのは面倒であるということでコンビニ。
ここまで人口に感謝しますと、これは軽薄というよりは本当に便利というところが前面に立つので、特に軽薄な感じはしないんですけれども。
例えば、「あけましておめでとうございます。」あれをあけおめなんて言うと、ちょっと軽薄なわけですよね。
それで通じる、それでOKという仲間はいるかもしれませんが、ちゃんと言うときにはもちろんこれでは軽薄すぎるということで、あけましておめでとうございます。
長く言うわけですね。それからネットスラングなんかではよくありますが、例えばネトウヨなんて言い方がありますが、
これはわかる人はわかるけれども、使わない人は一切使わないということなので、使わない人もいるような場で、例えばネトウヨというような話をすると、
これを使わない集団を阻害すると言いますかね。軽薄であるというのとはまた別の意味で、社会的に距離を取るというような使用法になるわけですね。
この省略語というのは、いろいろなそういった社会的機能も帯びてきますので、時に批判の対象になるということですね。
これはどんな言語でも、そしてどの時代でもある程度、この省略語に対する批判というのは繰り広げられてきたんですね。
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そして英語の歴史からも例はたくさんありますが、とりわけこの問題が表面化した、非常に有名なのがですね、
1700年前後ですね、ジョナサン・スウィフト、ガリバー旅行記を書いた作家ですけれども、
当時の文豪ですから、英語の言葉遣いについては一加減持っているわけですよね。
しかもスウィフトというのは非常に政治的な人物で、いろいろと政治活動を行っていた人でもあるんですね。
言葉を統制するアカデミーを作ろうとかですね、そういった運動にも積極的に参加していたというそういう人物なんですが、
言葉について一加減持っている。その当時の人々が使っているある省略語をですね、徹底的に叩いたという人でもあるんですね。
例えばですね、当時人々がMOBっていう言葉を使っていました。これ現代にもあるんですけれども、M-O-Bですね。
これMOB、ボートとかヤジウマっていうことですね。騒ぎ立てるやつということで、これもともとはですね、モバイル、よく動くというモバイルですね。モバイルフォンのモバイルです。
ラテン語のモビデウルグス、よく動く輩というぐらいの、要するに戦場的な、すぐにエキサイトする輩ぐらいの熟語、フレーズだったんですが、それがモバイルとなり、さらに短くモープと一音節で言われるようになっていたんですね。
これがこのスイフトにとってはですね、もう軽薄、華々しい、非常に響きが軽薄であるということで、これを嫌ったわけです。そこでMOBなんてこういう省略語は使うもんじゃないっていうことをですね、主張するわけです。
他にはですね、REPってのもありますね。REPと書いてREPです。これも花持ちならないって言うんですね。これはもともと何かというとレピュテーション、名誉っていうことです。評判ってことですね。これはREPなんていうのは、大変軽薄である、こういう言い方をしたわけです。
他にもいろいろあるんですけれども、例えばPENALTなんていうのもありますね。これはPENALTIMATE、最後から2番目のという意味なんですが、これをPENALT、短く言うっていうのは消しからんというわけですね。それからですね、INCOGNITO、お忍びのという意味ですが、これも長い単語なので短くしてINCOGと言ってみたり、あるいはHYPERCRITIC、国評する人のことですね。
これをHYPERと言ったり、これ今でもありそうな感じの省略ですが、それからEXTRAORDINARY、これ今でもある単語ですが、非常に長いですよね。これをEXTRAと短くしてしまうといったようなことが行われていたようで、こうした省略語に対してSWIFTは避難の矛先を向けるということをやったんですね。
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ただですね、最初に挙げたMOVを除いて、現代まで残っていないこの省略語っていうのは基本的に使われていないんですよね。MOVぐらいが例外で、ということで言えばSWIFTが騒いだ、買いがあってというわけでもありませんが、SWIFTは現在の省略語が使われない状況、今挙げた単語についてですけれども、これについて省略形が使われない状態に関してはですね、
喜んでいるかもしれませんが、MOVなんかは生き残ってしまったわけですよね。もしSWIFTが21世紀の現代にいたらですね、おそらくTAXI、PHONE、BUS、ADDなんていう単語も受け入れないでしょうね。そして避難するでしょうね。
TAXIっていうのは今では当たり前のように使っていますが、これ自体省略語でTAXIMETER CABって言うんですね。いわゆるTAXIMETERなんですよね。料金ですが料金のメーターが付いているCABということで、これを省略してTAXIですね。ちなみにCAB自体も省略語でCAB RELAYという長い単語なんですね。これがTAXIになってしまっている。
それからPHONEっていうのも今は日常語ですが、本当はもちろんTELEPHONEというふうにTELEという瀬戸字が付くはずですよね。BUS、これも乗り合いBUSなんですが、もともとOMNIBUSって言ったんですね。このOMNIの部分が切り落とされてBUSだけになっている。
それからADVERTISEMENTっていうことで、ADDと最初の2文字だけ取って一音節にしてしまうということで、これなども今当たり前のように使っているわけなんですけれども、SWIFTだったら起こっただろうということなんですね。
どうやらSWIFTはこの省略語が嫌いと言うんですが、とりわけ単音節語、一音節語ですね。これはけしからん、軽薄だというふうに書き下ろしたわけです。
このMOV以外は大体結果としてですが、SWIFTの思惑通り省略語は使われなくなったということなんですが、一つSWIFTがとっても嫌っていたんだけれども、むしろその嫌っていた省略形が一般化してしまって、今では当たり前になっているという一単語というか一群の表現があるんですね。
これはEDです。語尾の過去形、過去分詞形の語尾につくEDですね。当時はEDと書かれていたんで、そのまま読んでですね、EDというふうに必ずEDと一音節だったんですね。
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例えば今だったらDISTURBEDというふうになるんですが、DISTURBEDというふうにED、最後のAの部分が響いたんですね。REBUKEDに対してREBUKEDのように響いていた。
FLEDGEDですがFLEDGEDのようになっていたわけですね。このEDのAの部分を省略すると、だいたい一音節というか文短くなるんですね。これを嫌ったので、ちゃんとEDと発音すべきだと言っていたわけなんですが、SWIFTは。
その後ですね、急激にこのAの部分が発音されなくなって、つまり現代的なEDですか、当時はEが響かないというものになっていくのは、SWIFTの後の時代からなんですね。
皮肉なことにこれについては、SWIFTの批判は全く響かなかったということになります。それではまた。
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