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2024-09-07 10:00

heldio #49. 昔の英語では主語は必須ではなかった!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #英語史をお茶の間に #英語に関する素朴な疑問 #古英語 #主語
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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応議事学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、昔の英語では主語が必須じゃなかった、という驚きの話題です。
現代の英語を我々勉強していますと、主語っていうのが大事だ。 日本語では、いくらでも主語を省略できるけれども、英語では主語を省略することはできない。
というふうに、固く教わるわけですよね。 ダミーであってもいい。例えば、It's rainingのItであるとか、It's 6 o'clock nowみたいなItですね。
Itというのは、ほとんど意味がないというか、なくてもいいナンセンスでダミーなわけですけれども、とにかく形だけでも立てなければいけないっていうのが、英語の文法の建前なわけですよね。
なので、強引にItを持ってきたりですね。明らかに分かっているのに、やはりIなり、Heなり、Sheなりっていうのを持ってくるっていうことが義務とされる。
とにかく主語というのは、もう金貨玉上のルールであるということで、我々は英文法を学んでくるわけですよね。
そのように植え付けられた後で、実は英語だって歴史的には主語が必須ではなかったっていうことを知ると、実は玉げるんですね。
これは私も英語史を勉強して、玉げたことの一つです。
古い英語では、日本語と同様に主語が省略されるとか、主語がないという文はものすごく多いっていうか、日本語ほど頻度が多いってわけではないんですが、普通にあったんですね。
今日はこの話です。
歴史に行く前に、現代でも実はインフォーマルな英語仕様においては、主語の省略っていうのは普通、ザラにあるんですね。
例えば、インフォーマルな口語においてです。
例えば、Beg your pardonっていうのは、もちろんI beg your pardonですが、半ば定式化して、フォーミュラー化して、Iを省略してBeg your pardonって言ったりするわけです。
Thank youっていうのもそうですね。
それから、Youが省略されることもありますね。
例えば、Do you wanna drink?っていうことですが、Do youの部分を省略して、主語も込みで省略して、Wanna drink?っていうのはよくある話ですよね。
他に三人称でも省略っていうのは起こりまして、例えば、Doesn't look too wellっていうと、He or Sheっていうことが省略されていて、
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Doesn't look too wellということですね。
それから、Itが省略されるものとして、Doesn't matterってのがありますね。
It doesn't matterですが、Itを省略して、Doesn't matter。
こんなのも会話では非常によく聞きますね。
他に書き言葉でも日記なんかには、当然、自分に対して書くという側面があって、状況が分かっているので省略されるっていうことがあります。
ただ、正式な書き言葉であるとか、標準的な言い回しでは定型英文を除けば、やはり基本的には、現代の英語では主語をきちっと明示することが重要であるっていうか、それが基本文法になっているってことは間違いないと思うんですね。
ところが、小英語であるとか中英語では、確かに主語が出ることのほうが圧倒的に多いのは確かです。
これは昔からそうなんですけれども、ただ、現代に比べれば、ずっと主語がない分、主語が省略される分っていうのはあったんですね。
一つには、小英語、中英語では屈折が発達していた。
主語がなくても、動詞が主語の一人称、二人称、三人称という人称であるとか、数ですね、単数、複数化っていうことによって動詞が連動していたので、主語を容易に補えるっていう状況があったということですね。
ただ、これも言い過ぎはできなくて、他のインドヨーロッパ系の言語ほど発達していたわけではありませんし、特に中英語では、現代語にほぼ匹敵するぐらい屈折というのは衰退していましたので、
本当に動詞の語尾から主語がちゃんと補えるかっていうと、結構混乱があったりして簡単でもないんですね。
ですので、屈折が今よりは発達していたから主語の省略が可能だったという議論は、私は必ずしも小英語、中英語には強くは当てはまらないんではないかと考えています。
ただ、事実としては、現代英語より主語の省略っていうのがあったということは本当に事実です。
ポイントは、古い英語の場合には、口語に限らず、書き言葉においても、しかも韻文だけではなくて、3文でもこのような主語省略っていうのは、そこそこ見られたことではあるんですね。
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すごく多いわけではないんですが、現代よりもあったということは事実です。
もう一つ、昔の英語は主語が必須ではなかったということを議論する際に、今まで話していたのは、基本的にあるものなんだけれども、
それが状況からわかるので、あるいは屈折語尾からわかるので省略されている。
つまり、本来あるけれども省略ということが今までの議論だったんですが、それとは根本的に異なる、そもそも文として主語を要求しない文っていうのがあったんです。
こっちの方がむしろ革新的というか、現代の英語から考えると度肝を抜かれるところなんですが、
現代の英語の文ですね、よく語文型といいますが、これSVOとかですね、Sって必ずあるわけですよ。
このSがない文型ってないわけですよね。
簡単に言うと、古英語、中英語ではSが入ってこない文型があり得たっていうことです。
つまり、そもそも主語を要求しない、主語があることを前提としない文型のようなものが存在したってことです。
これ、現代英語には基本的に存在しません。
ダミーであってもitを立てるとか、なんかしなきゃいけないっていうことになってますが、それが不要だった口文ですね。
これ、非認証口文と専門的には呼んでるんですが、Sが出てこない文型があるっていうことなんですね。
例えばですね、現在の天候のit、冒頭に出しましたが、例えばIt's rainingとかIt rainedっていう時に、
現在ではitが必ずなきゃいけない、つまりダミーですが、形として、主語として立てなきゃいけないっていうことなんですが、
古い英語ではですね、このit、当時からitを使ってもよかったんですが、これないでもOKなんです。
つまり、ただrainedみたいな言い方とか、snowedっていうような言い方で文として成り立ったっていうことです。
そもそも、主語を要求しない文っていうことですね。
他に心理動詞という一群の動詞がありまして、私にとってそのように思われたとか、私にとってそのようなものが好ましいとかですね。
それから、必ずしも心理的ではありませんが、例えば、I'm hungryというのをですね、me hungeredみたいな言い方でしたんですね。
私にとってハンガー状態があったみたいな言い方ですね。
この場合、meっていうのはあくまで、to meっていうか私にとってっていうことで、動詞がhungeredなので、主語が立ってない、itすら立ってないっていうことがあったわけですね。
現代でもその名残でですね、例えばmethinksなんていう一語の動詞があります。
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これはme、I'mのmeとthinkの三単元のsがついた形がドッキングして一語になっているmethinksっていうんですが、thatが続くんですね。
それ以下のことが私には思われる、そういうことに思われるっていうことで、
愛が出てこないですね。itも出てこない。
つまりそもそも主語があることを前提としない文型っていうのがあり得たっていうことなんです。
これが近代英語域以降に伝われてですね、主語はとにかくダミーであれ必ずなきゃいけないんだ、itはとりあえず立てておきましょうみたいな文法になっていったことで、
英語は常に主語が必須、絶対に現れなければいけないという文法になったんですが、それ以前にはそんなこともなかったんです。
日本語に似てないこともないっていうことですね。
それではまた。
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