2025-05-04 10:00

heldio #288. three にまつわる語源あれこれ ― グリムの法則!

#英語史 #英語教育 #英語学習 #音変化 #数詞
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サマリー

今回のエピソードでは、英語の数字「three」の語源や歴史的背景を探求しています。特に、グリムの法則と呼ばれる音の変化が「three」の発音や綴りに与えた影響について考察しています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
語源の探求
今回取り上げる話題は、three にまつわる語源あれこれ、という話題です。
本日の私の英語史ブログでも触れたことですが、この1年間、NHKラジオ講座中高生の基礎英語in Englishのテキストの中で、英語の素朴な疑問と題する連載を毎月お届けしてきました。
1年続いたのですが、おかげさまで、来年度、この新年度、2022年度も、この英語の素朴な疑問の連載コーナーを継続することになりました。ありがとうございます。
このVoicyでの放送もそうですし、ブログもそうですし、そしてこのNHKラジオ講座での連載もそうですが、すべてメディアは違いますが、同じ方向を向いています。
英語の素朴な疑問、日々感じる疑問、英語の学習の中でふと湧き出る疑問を大切にして、それは好奇心の源泉ですので、そうした問題に英語史という観点から答えること、あるいは考える、必ずしも答えられるとは限らないのですが、考えてみるということを通じて、好奇心をさらに育てていきたい、関心を深めていきたいという趣旨で、
このVoicyの放送も日々続けています。
そしてそのラジオ講座のテキストも、この3月から4月後ということで始まっていて、昨日テキストが出版されました。
その中で扱っている第13回になるわけですが、連載の話題は、なぜ1、2はこの綴り字でこの発音なのということです。
これはこれまでのラジオ放送でも、実は1、2、ONEと書いてONEではなく1と読む、TWOと書いてTWOではなく2と読むというこの問題に関しては取り上げてきたのです。
なので今回繰り返すということはしないのですが、1、2ときたら当然ながら次に3はどうなんだというふうに思うと思います。
この3に関してはあまり込み入った話を、今までブログでもラジオでもやったことがなかったかなと思いましたので、
この流れで今日は3、3を表す3について語源界隈を探ってみたいと、このように思います。
グリムの法則の影響
この数字を表す単語ですが、3というのは1、2に比べれば発音と綴り字という観点からするとそれほど複雑なことはなくて、かなりストレートな方法ではないかと。
T-H-R-E-Eということで英語の綴り字規則に則ればこれは3となるというのがわかるので、特にこれについて語ることはないのですが、語源をひも解くとやはりいろいろと面白い話題となることがいろいろと出てくるのです。
この3というのは英語本来語です。つまり小英語から存在する喫水の英語です。最初から英語の単語であるというものです。小英語では発音はつれーおというふうにつれーお。
小英の部分が違っていましたが、これは比較的規則的な音変化を経て、今は3になっています。この点でもそれほど語るべきことはないというものですが、本来的な英単語である3、当時のつれーおをさらに遡るとどうなるかと言いますと、
引用祖語、英語の大元のもと、他の多数のヨーロッパ言語の大元のもとでもありますが、この引用祖語、インドヨーロピアンという大元においてでは、トレイというような形だったと考えられています。
トレイとでも、当時引用祖語の時代、紀元前4000年あたりには文字もないので、綴ることはできないのですが、一応ローマ字を知っている我々にイメージが湧きやすいように綴るとすると、トレイというような発音だったと考えられています。
つまりTHではなくて、あくまでTだったんですね。これが大元の形です。そしてヨーロッパの非常に多くの言語、インドヨーロッパ祖語から派生してできた多くの言語にはこのままの形で、つまりTRのようなつながりで、現代まで降りてきているのです。
ところが面白いことに、ゲルマン語、英語であるとかドイツ語、オランダ語、北欧語などが入っていますが、ゲルマン語においては非常に有名なグリムの法則と呼ばれる音の変化がありまして、引用祖語のTの音が摩擦音化して、いわばTHの音になるという変化を辿ったのです。
なので引用祖語ではTREIなのに対して、古英語、ゲルマン語の一つである英語、古英語ではTREIという風にTがTHの音に変わっています。
これは他のゲルマン語ですね。例えばドイツ語とかオランダ語にも起こっているのですが、ドイツ語を知っている人は今決して3を表す単語はTHで始まらないというのを知っていますね。
1、2、3という風にD、3、Dで始まっています。
これじゃあ例外じゃないかと思うかもしれませんが、実はグリモの法則の後に起こったまた別の変化。
これは現代のいわゆるドイツ語の標準語ですね。高知ドイツ語といいますが、ここに至る過程で生じた第二の変化といいますかね。
第二次死因推移と呼ばれていることがあるのですが、このTHがさらにDの音に変わるということで、ドイツ語ではTREIという風にDになってしまいましたが、
英語では最初のグリムの法則のみが、その効果が現代まで残っていて、すっとTHになっているわけです。
関連語と派生語
改めて言いますけれども、このゲルマン語以外の多くの語派、言語のグループですね。
例えばギリシャ語系統であるとか、あるいはラテン語系統、そしてラテン語から生まれたフランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、この系統ではしっかりとTが残っているんですね。
本来のインドヨーロッパ祖母から伝わるTが、また変わらずに残っている。
英語においてはゲルマン語の一つですので、グリムの法則というのを経て、TがTHになっているという具合なんです。
さて、そうすると英語には、3というのは非常に基本的な数字ですから、いろいろと派生英語といいますかね、関連語がたくさん生まれているんですけれども、語彙もたくさんありますね。
その中で3を意味してTHで始まっているもの、発音にしろ、綴りにしろですね。
これは本来の英語の系統、つまりグリムの法則を経た、本来の語彙語から伝わった英単語だということがわかります。
3の他ですね、もちろん13とか30とか、あるいは助数詞のthirdですね、これはTHで始まっているので、これ本来の英語だということがとてもよくわかります。
他にあまり使わないんですけれども、例えばonce、twiceに続いてthriceというのがありますね。
これは3度とか3倍という意味で、普通3timesということが多いと思うんですが、once、twiceと合わせてthriceという単語があります。
これTHで3に関する意味ですから、これは当然本来語という意味になりますね。
それから3pence、なんていうの、3penceなんて言いますね。3penceと一語で綴るんですけれども、これ3penceということになります。
他にはですね、これ気づかれないと思うんですけれども、イギリスの洋服車、これ洋服車広いので、北と東と西というふうに3分割されているんですよ。
その一つ一つをridingって言うんですね。これriding、r-i-d-i-n-gということでridingって言うんです。
これもともと3分割した1つという意味ですので、3と関係するんです。
その3の最初の問題のTHがですね、実は消えてしまったのでridingなんですね。
なぜ消えたかというと、これはnorth sliding、北の区域を指すのにnorth slidingということで、
SUがかぶってしまうので、消えてしまったnorth ridingのようになってしまったということなんですね。
続きは明日。ではまた。
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