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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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今回の話題は、third です。3番目を意味する助数詞、third です。
この語形について考えてみたいと思います。 数字の話が連日続いていますが、奇数詞と助数詞というのがありますね。
1,2,3,1,2,3 という通常の数が奇数詞、基本の奇、基準の奇ですね。
それに対して順序、順番を表す1番目、2番目、3番目、これが助数詞というもので、英語では first, second, third というふうに系列がありますよね。
この奇数詞と助数詞の2つの系列、4以上はわりとわかりやすい、規則的な形で、奇数詞に原則としてthをつければ良いという形になっているのに対して、
最もよく使われるであろう最初の3つに関しては、全く関与しない形が使われているという言い方をしてきました。
1に対してfirst、これは全く重ならないですね。
それから2に対してsecond、これも重なりません。
3に対してthird、これに関してはどうでしょうか。
全く重ならない、全く語源が違うという言い方をしてしまいましたが、実はここはかなり似ているのではないかという意見があると思うんですね。
その通りで、4以上はthをつければOKという意味で、規則的、比較的わかりやすい。
それに比べれば、3, third というのは不規則ということは言えると思うんですね。
ですが、本当のことを言うと、この3とthirdは語源的には全く同一に遡るんですね。
つまり4以上と実は同じ仲間だということなんです。
ただ語尾がthではなく、dであるところが少しひねくれているということで、本当のところは3とthird、語源は一緒なんですね。
今日はこれについてということになります。
さあ、3という単語ですが、この奇数詞に関しては、古英語の時代からだいぶ似た形で存在していました。
thre-oというような発音で、母音は違っていますが、基本的にはthre-oということで、現代の3に直結するような形があったわけですね。
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それに対して、では助数詞の方はどうかというと、これはthridaと言ったんですね。
thridaです。
thridaなんていう綴りだったんですけれども、thridaと言ったんですね。
つまり当時からthではなくてdを持っていたということになります。
この点では不規則、thでないという意味で不規則なんですが、これはですね、専門的に言うと話は長くなるんですが、古英語の前の時代のゲルマン祖母の時代、そしてさらに前のインオー祖母の時代にあったtですね。
tの音が順当な音変化を経て、古英語までにdに変わったという意味では、ちゃんと変化はしたんですけれども、あとはしっかり終えるんですね。
なのでなぜ古英語の段階でthridaというふうにdを持つことになったのかというのは、筋道を立ててこの音の変化をインオー祖母に追うことが実はできるんです。
その意味では、thではないんですけれども、規則的あるいは純規則的と言っても良いぐらいの予想できる形なんですね。
thridaということです。
4以上の場合にはthで一貫しているということを述べたんですが、実はこれも言い過ぎで、現代でこそ全部thですよね。
thirdだけがdになってしまっていて、あとはthなんですが、これは後から揃えたということが実は正しくて、
古英語の時代では、実は必ずしもthではなかった、thに似た音ではあったんですけれどもね。
例えばforth、4から順に行ってみたいと思うんですが、こんなふうに常数詞を作ってたんですね。
まず4はfeolthaです。これはthe、th音なのでまだいい。
次はfeiftaです。t音になってしまっています。
次、sexta。これもt音になっています。
次、seolvotha。これはtheなのでth音ですね。
次、erhtotha。これもth音。
nigotha。th音。
theotha。th音ですね。
11以降も行きますとenleoftaというふうにt音になっています。
そしてtwelfta。t音。
feoltheotha。これが13thに当たるんですが、古英語の発音ではth音ということになりますね。
今見たように、th音になっているものもあるんですが、t音になっているものもある。一貫してませんよね。
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それを考えれば、3に関する、3に対応するものが、やはりth音に似ていると言えば似ている、dの音になるというのも、
完全に規則的に全てがth音だったわけではそもそもないんだということがここではポイントです。
その後、4以上においてきれいにthと発音するんだよというふうに鳴らされてきた。
平準化してきたというのが実態で、3については、もともとdであったものが、その後もおそらく頻度がやはり4以上に比べて高いということはあると思うんですが、
dのまま受け継がれてきたということですね。
なので、thの変形だと思えば良いので、3に関しては、3からのそこそこ規則的な形成だということが分かると思います。
さあ、このthかdかという語尾の発音について、詩音について問題視してきたんですが、本当はもっと面白いのは、その前に当たる部分なんです。
thirdというのはthirdと今書きますよね。thの後はir、母音、rという順序になっています。
それに対して奇数詞は3ですから、当然threeというふうにthの後がr母音になっています。
つまり、rと母音の位置がひっくり返ったような形になっているんですね、3とthirdではですね。
改めて小英語の形を見ますと、3はつれおでしたね。
それからthirdはすりだですから、両方ともthの後はriとかreのような、rが先にあって母音という順番なんです。
そこで揃っているんです。
ところが、後の歴史でこの助数詞のthirdに関しては、どうもrと母音ですね、iの位置がひっくり返っちゃった。
これでthirdと続いてfieldとなったわけですね。
つまり、すりだだったものが、いつの間にかfieldというふうにiとrの位置がひっくり返ってしまった。
これが実は面白いところなんですね。
この音の位置が入れ替わる、隣り合った音が入れ替わるというのは、特にr音に関してよく起こっていることで、英語でもたくさん例があるんですね。
これを音の位置の転換ということで音位転換というふうに呼んでいますが、3、thirdというのはその典型例です。
小英語ではthirdだったものが、小英語の後期になりますと、少しひっくり返った今の形に通じるものが現れてきます。
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そして、中英語にかけて徐々に勢力を伸ばしていき、競合します。
もともとのすりだと、fieldだですね。
そして近代英語記になって、いよいよfield、ひっくり返った形の方が優勢になり、今に至ったということですね。
ですから、もともとの3のr母音という形は、3とかあるいは3度目という意味のスライスなんかにこのr母音が残っていますが、
それ以外はthirdをはじめとして13とか30という時にもirですよね。
このようにひっくり返った形が標準として定着してしまっているということです。
この音位転換について今日はお話ししました。
ではまた。