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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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今回取り上げる話題は、enlighten ー 頭にもお尻にもenがつく、というものです。
単語の中心となる部分、機体とかベースと言いますが、これはこの単語enlightenという語の場合には、もちろんlightになるわけですね。光、明かりってことです。
これを、窃盗時とか設備時をつけることによって、動詞化して光明かりを与えるということで、啓蒙するという意味になっているわけなんですが、
この語の場合ですね、両方ついていると。しかも両方ともenというものである。窃盗時にもen、そして設備時にもen。両方enがついてenlightenとなっている。
ある意味、くどい動詞の作り方ということになりますよね。このenという語尾なんですが、この単語においては頭にもお尻にも同じこのenがついているので、
このenというものは基本的に動詞を作るもんだろうという理解があるかもしれません。それは確かにそうなんですけれども、実はだいぶ異なるタイプが。
そのタイプが異なるものが2つ、頭とお尻に両方ついているという珍しい例がこのenlightenなんです。
今日はこの話題について取り上げたいと思います。
まず頭につくenの方ですね。これ窃盗時enなんですが、これは語源は実はラテン語に遡りまして、前置詞のinに相当するんですね。
英語の前置詞のinとも究極的に同じ語源です。なので形としても同じになるということは全く不思議ではないんですが、
ラテン語ではこの中にというinとなります。これがフランス語に入って少し生まれて発音が変化してenになるということで、
英語に入ってきた時もこのようにenで綴られるということですが、発音自体は実はinにかなり近いものだったりするわけですね、英語的には。
これはinという前置詞を頭につけることによって何らの中に、中へという少し動作的な雰囲気が入るので、
結局名詞などについて何らの中へ入っていくというような動詞の意味合いを帯びるということで、これはラテン語でもフランス語でも英語でも同じで、
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頭にinに相当する、前置詞に相当するものがつくことで少し動的になる、結果として動詞になるということなんですけれども、
こうした語形性でできた語、そして英語ではen、あるいは次に来る部分の詞音によってはemとなったりするわけですが、
いずれにせよ、enとかemという形で、これが動詞化した形で入ってきているものは実はたくさんあります。
例えば、encourage、courageというのは勇気ということですよね、encourageというのは勇気を与えるということになります。
それからenable、enthrone、empower、endear、enreach、enfold、enslave、entangle、entwineのようにたくさんあります。
動きを表すこの中へという動的な意味を表すわけで、動詞的になるということですね。
これが接頭詞につくこのenということです。もともとはラテン語、フランス語を経由して英語に入ってきましたが、前置詞のenと思ってよいです。
ところが、お尻につまり接尾字としてつくenというのもありまして、これも同じように動詞をつくる語尾なんですね。
ですが、これは全く語源が異なるんです。
こちらは接尾字のenというのは形こそ接頭字のenと同じなんですが、全く別語源で、これは実は英語本来語です。
つまりラテン語ともフランス語とも全く無enの本来の英語の接尾字です。
これは多動詞をつくる小英語の接尾字、なんとかにゃんという接尾字にゃららにゃんというふうに言うんですが、このにゃんにはnが2つあるわけなんですが、最初の方ですね。
最初のにゃんのに、頭のにのぬの方が実はこのen、接尾字enのこのnに相当します。
このにゃんの最後のenの方は最終的に消えてしまうので、今は考慮外としてもらっていいと思うんですけど。
例えばfast、これ本来の小英語の形容詞です。
これは固定したとかしっかりしたという意味が原理です。今では早いという意味になっていますが、実は固定した、しっかりしたという意味なんですね。
このfastに形容詞ですが、これを動詞化するのに先ほどのにゃんを使うわけですね。
そうするとfastにゃんとなります。
最後のnは消えてしまうんですが、最初の方のnは残ってfastenとなって、tが後に消えてfastenになります。
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つまり、固定するということになりますね。fasten。fasten your seat belt.
というふうに、この場合、enと、母音も補われてenとなるんですが、これをつけることで動詞化するというのが、英語の文脈で、ラテン語、フランス語とは関係なく、英語本来語の文脈で、このような設備字というのが発展していきます。
結果的に、ラテン語由来のinに基づく設当字、設当字enと、本来の英語に由来する設備字のenが、たまたま同じ形で、しかもたまたま機能的にも動詞化するような設字として機能するようになった。
ということなんです。
この語尾につくパターンですが、これはfastenの例を挙げましたが、もう少し例を挙げておきますと、例えば、darken、deepen、harden、sharpen、sicken、soften、sweetenであるとか、こういったものはだいたい形容詞につきますね。
ただ、名詞につく例もありまして、例えば、heighten、lengthen、strengthenのような例ですね。このような例もあります。
面白いことに、結果として設当字としてのenをつけても、結局動詞化する。そして設備字のenをつけても動詞化するということになってくると、どういうわけか、両方に、頭とお尻にenをつけるというタイプも出てくるわけなんですね。
これがenlightenであり、他にも数は多くないんですが、例えば、embolden、enfasten、engladden、といったものが出てくるわけです。このように、たまたま二重化してしまったわけなんですけれども、どっちにつけても動詞である。
だったら、どっちにもつけようというような発想に基づいてできたことを考えることができるかと思います。このように、設当字のenも設備字のenも両方とも、実は語源的には全く異なるルーツなんですけれども、結果的には同じように動詞化するという働きを持っているということを見ました。
形以上は同じだけれども、そして機能上も同じなんだけれども、歴史を探ると、実は全く異なる起源を有するということは非常に面白い話だと思います。
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最後に、設当字のenの方なんですけれども、もともとラテン語のinに由来して、そしてフランス語でenと名まってしまったために、英語でもenとして入ってきているということなんですが、実はラテン語のinと共存している例もあるんですね。
例えば、つづり中の、つまりenかinかで揺れている例というのがありまして、例えばenquire、これはenでもinでも可能です。
同じようにensure、insureというのも実は同号弦です。en、inと違いますが、これはもともとフランス語から入ってきたのか、あるいはラテン語から入ってきたのかという違いに過ぎず、同じ設当字なんですね。
それではまた。