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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、ネイティヴがよく間違えるスペリング、というものです。
英語のスペリングというのは非常に面白いもので、私もこれを中川専門としているわけなんですけれども、いまだによく間違えるわけですね。
今はスペルチェッカーみたいのがあって、タイプするとちゃんと指摘してくれるという世の中になりましたけれども、非常によくスペリング間違いというのをするんですね。
このスペリング間違いというものを見てもですね、実は私たち多くの日本人が英語を外国語として勉強する際の間違い方と、ネイティヴスピーカーがスペリングを間違える際の間違い方ってだいぶ違うんですよね。
これを知ったときにですね、この違いを知ったときに驚きました。なんでこんなことを間違えるんだろう。ネイティヴスピーカーが英語を喋れるはずなのに、というような疑問と言いますかね、素朴な疑問が持ち上がるんですね。
逆もまたしんなりで、おそらくネイティヴスピーカーが、例えば日本語を母語とする英語学習者がどうしてこんな間違い方をするんだろうという。
このあたりがですね、だいぶ違うんですね。なぜこんなにスペリング間違いのタイプが違うのかというのも、これだけでもですね、これを考え出すと非常に面白い問題に繋がってくると思うんですね。
今日はそんな話題をお届けしたいと思います。まずネイティヴスピーカーがよく間違えるスペリングの代表例を一つあげたいと思うんですね。
これが実は我々にはちょっと理解できないような間違い方をするんですね。 それ何かというと、It'sです。
これIt'sというのは、It isの省略形としてのIt'sってのがありますよね。 一方で、Itという代名詞の所有格、ひならhisに当たるやつ、しならherに当たるやつですけれども、これItに対してIt'sですよね。
確かにIt isの省略形であるIt'sと、このItの所有格であるIt'sっていうのは発音は同じです。 ですけれども、全く働きが違うっていうことで、日本人の頭の中では、つまり文法をしっかり勉強する日本人の英語学習者の頭の中では、これは全く違うもので、省略の時にのみアポストロフィーをつけると。
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つまりIt'sというのが、これがIt isの省略で、アポストロフィーのないIt'sとそのまま綴るもの、これがItの所有格としてのそれのという意味の代名詞であると。
こういうふうに理解しているので、これ書くときに、あるいは読むときに間違いようがないわけですね。
ところが、ネイティブスピーカーはこの区別というのがなかなか難しいようで、ネイティブがよく間違えるスペリングの代表格なんですね。
なんでと我々からすると思うんですけれども、逆に言うとネイティブの人は、同じ発音なのに、なんで違う書き方をするんだということで、どっちがどっちだったっけというような反応を示すわけですね。
なので、しっかり意識的にマスターしていないと、だから間違いやすいということで、非常によくあるタイプのスペリングということに、英語圏ではなっているわけですね。
他にはですね、ネイティブスピーカーが間違いやすいのは、newとnew、発音すると同じになっちゃうんですが、いわゆる知っている、knownの過去形としてのnewと新しいのnew。
これですね、これ、k-n-e-wなのか、kがないn-e-wなのかっていう違いで、これを間違える日本人の英語学習者はいないと思うんですね。
これ全く役割が違う、意味も違うし、知っているのか、過去形と形容詞としての新しいという意味のnewだっていうことを、完全に分けて一つ一つ覚えます。
そして、その一つ一つの単語を覚える際に、もちろんですね、この意味と同時に、スペリングも合わせて違うんだよっていうことを意識して覚えるわけですね。
外国語としての英語を学習するわけですから、当然きっちりと分けて覚えるということになります。
ところが、ネイティブスピーカーは、まず綴り字を見る前に覚えちゃってるわけですよね。
もちろん使い分けははっきりとあります。動詞の過去形としてのnewというのと、形容詞としてのnewということですね。
ですが、学校に入って綴り字を学ぶ以前に、もうすでに発音として学んでしまっているというところがポイントです。
ここが、日本語を母語とする英語学習者とネイティブスピーカーの違いです。
先に音から入ってnew、new、もちろん使い分け、違うんだっていうことは意識しているわけなんですけれども、
その後、これらを習得した後に初めて綴り字というものを導入されるわけです。
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ところが、外国語として英語を学んでいる我々は、先にこの2つの区別を知っているわけではありません。
いきなり与えられるんですね。最初に知っているの過去はnewだよと、そして新しいも別の機会に学ぶと思うんですが、newだよということです。
違う単語として覚えます。違うスペリングとして覚えます。むしろその後になって初めて、そういえば同じ発音だよねと気づくのが、我々外国語として英語を学ぶものなんですね。
ネイティブにとっては逆で発音をまず学んでしまう。もちろん使い分けも一緒に学んでしまう。その後に初めて、発音は同じなのに違うスペリングだったんだという順番なんです。
この順番が逆転しているので、結局のところスペリングの間違え方にも差が出るということなんですよね。このitsもそうです。そしてこのnewもそうなんですけれども、ネイティブスピーカーは発音が同じだということは最初から知っている。
その後でスペリングが違うんだということで、しかもnewなのかknewなのか両方あるらしいけれども、どっちがどっちだったっけという混同を起こすということなんですね。一方で外国語として英語を学んでいる典型的な我々のような日本人は先に違いを学ぶんですね。
知っていたはknewであると。そして新しいはnewであると。こう使い分けもきっちりと認識して学習する。その後によく考えたらこれは同じ発音だったよねというような、あえてこのネイティブスピーカーと日本人英語を学習したですね。
この学びの順序っていうことを、これがだいぶ違うんだっていうことを少し誇張して、この対立って言いますかね、を強調すると今みたいな言い方になるというわけです。
もともと結局似てはいるので、似てるというか、発音と通り字の関係が英語は一対一ではなく、一対他だったり、他対一だったりするということで、混乱するっていうことは誰にとっても一緒なんですよね。
スペリングは話し言葉と違って、やはり意識的に学習によって、主に教育を通じて学ぶっていうことなので、そこで混同が生じるっていうのは誰にとってもそうなんですけれども、その間違えた方のタイプが違うっていうところは非常に面白いと思うんですね。
他には例えば、to、前置詞のtoと副詞の何々もっていうtoですね。これ、型やto、型やtooということなんですが、発音は一緒ですよね。これ、日本人は間違いないと思うんですけど、役割が全然違うんで。
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ところが、英語ネイティブはですね、両方同じ発音じゃないかということで、この2つをとてもよく間違えるということなんですね。他にはですね、thereとthereです。これはthere、theyの所有格としてのthereっていうのと、hereに対してthere、here and there、そこにって意味のthereですね。
全く使い方が違うので、日本人にとっては絶対間違いようがないと一回覚えればですね。そういう代物なわけですが、英語ネイティブにとっては発音が同じだからという理由で、スペリングも混乱が起こって逆に書いてしまうということがあるんですね。今回はスペリングの間違い方に注目してみました。