英語アルファベットの変遷
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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今回取り上げる話題は、英語のアルファベットは常に26文字だったと思っていませんか?
という衝撃の話題です。通常、英語のアルファベット、英語の習いたてで必ずABC覚えるわけですよね。
そしてZまで26文字ある。英語のアルファベット、いわゆるローマ字ですけれども、これは26文字なんだというふうに擦り込まれるわけなんですが、
これはですね、現代の英語のアルファベットは確かに26文字ということなんですが、かつても同じ数だったかというと、そうではないんです。
驚くことにこれは揺れ動いてきてるんですね。つまり今ある文字の中でですね、かつてはなかったというものもあるし、
逆にかつてあった文字が今のこの26文字のアルファベットセットの中に含まれていないということもあるんです。
激しく変わってきたわけではないんですけれども、26ですね、現在。この辺りを中心としてプラスマイナス数個ぐらいずつですね、実は揺れ動いてきたという歴史があるんですね。
これは知らないと驚きだと思うんですね。アルファベットというのは常に26文字。昔からこれは今まで変わらずあったに違いないと思い込んでいるわけなんですが、これは変わってきた結果、現代の英語で26文字ということなんです。
ですので将来のことは分かりませんけれども、これまで変わってきた歴史というのを見るとですね、向こう例えば100年200年とかさらに長い期間ですね、置いて後の将来にはですね、27文字になっていたり25文字になっていたりということは、これは起こり得るということですね。
これはもう誰にも将来のことは分からないわけなんですが、少なくとも過去、歴史を振り返る限り常に26文字だったわけではないということ、これをですね、今日は話題として取り上げたいと思います。
古英語の文字
さあそもそもアルファベットというものですね、この起源はこのいわゆる英語のアルファベットローマ字ですね、AからZまでということなんですが、これはですね比較的新しいもので、いわゆる最古のアルファベットと呼ばれるものはどれくらい古いかというとですね、現存している、見つかっているもので言いますと、起源前1700年ぐらいに遡るんですね。
現代の中東シリアあたりで発見されているんですけれども、これはですね、非常に原初の形態のアルファベットで、北西セム語、これを表記した文字としてスタートしています。
ここから連綿とですね歴史がつながって、現代の英語のアルファベットに至っていますし、その他の世界で使われている様々なアルファベット、実はローマ字以外にもたくさんアルファベットあるわけです。
例えばギリシャ文字ですね、いわゆるローマ字と似ているところもありますがやはりだいぶ違いますよね。
それからロシアのキリル文字ですね、こういうのもありますし、現在のインドや東南アジアで使われている文字の類ですね、あれも実はアルファベットなんです。
アルファベットの一種なんです。そして起源はすべて一つ、この起源前、2000年期前半あたりの北西セム語を表記したこのあたりのアルファベットですね、これに起因する。
すべてこれが起源となって、その後様々な形になってですね、変化しながら、そして東西南北に散っていったということで、世界で使われているアルファベットという文字体系はこの起源は一つなんです。
そこから派生に派生を重ねた一つの形がいわゆる我々が慣れ親しんでいるローマ字、英語のこの26文字のアルファベット文字セットだということなんですね。
アルファベットの文字自体の歴史を語り出すとこれは非常に長くなってしまうので、歴史をすっと飛ばしてですね、6世紀です、起源6世紀にラテン語から入ってきたアルファベット、いわゆるローマ字というものですね、これがブリテン島に6世紀末以降に入ってきたんですね。
これが現在の英語のアルファベットにつながる、連なる直接の起源ということになります。
こうして英語がローマ字で記される、表記されるようになるわけなんですが、では古英語の時期ですね、アルファベットは26文字だったかという問題なんですが、それが違かったんです。
基本はですね、大方、現在使われているAからZまでの文字ですね、これにおよそ沿っていると考えていいんですが、その中に欠けているものがあったり、あるいは今ではないような文字が当時、古英語当時は使われていたというものが若干あるんですね。
例えばですね、アッシュという文字が当時ありました。これはAとEを合わせた合字というんですけれどもね、リガチャーというんですけれども、一文字のように書いたもので、これは実は発音記号としておなじみです。
発音記号のエッ、エッ、エッ、このエッポルのエッと書く時の、AとEを背中合わせにしてですね、くっつけて一文字にしたような文字ですね。
これは発音記号として今知られていますが、実は古英語の正規の一文字なんです。
これは発音としては予想通り、エッ、エッ、エッですね。
例えば、Appleという単語は本来の英語なので、古英語でもあったんですが、この文字で始まります。
Apple、エッですね。これ、アッシュという文字として呼ばれています。
これ、現代の正規の26文字には当然含まれていませんよね。
ということで、古英語にはこの文字があった分、プラス1ということになります。
ただ、プラス1と言ってもですね、他のところで、実は欠けている文字って言いますかね。
つまり、現代の観点からすると欠けている文字っていうのがいくつかあって、
例えば、Jっていう文字、これは古英語では存在しません。
H、I、J、KのJですね。
これはなかったということになりますね。
他にはですね、あったんだけれども、ほとんど使われないっていう文字なんかもありましたね。
例えば、OPQRのQですね。
このQという文字はほとんど使われなかったと言っていいです。
古英語では使われなかったということですね。
TH音の表記
次に注目すべきは2文字なんですが、実はTH、現在ではTHと2文字で書くTHサウンドがありますよね。
スとかズっていうあの音です。
これは1つの音なのに、現代の英語ではTHというふうに2文字使って書かなければいけないということになっています。
ところが、この音ですね。スとかズっていうのは、これ現代でも非常によく使う音ですし、
古英語でも同じように普通に使われた音なんですね。
なのでこれ1文字で表せたら、実は楽なはずなんです、英語っていうのは。
例えば、ザはTHEと3文字で書きますが、このズの音が1文字で表せたら、このザという品質単語ですね。
これを2文字書くだけで、書けてしまうということになるわけです。
なんとこれが古英語にあったんですね。
しかも丁寧なことにですね、2つあったんです。THを表す文字が。
これ1つはTHORN、トゲを意味するTHORNという単語の名前がついているんですが、まさにTHで始まりますよね。
形はですね、これはラジオ音声だと書いて難しいんですけれども、
簡単に言うとですね、Pの小文字がありますね。
この縦棒がもっと上にずっと突き抜けている。
言い方を変えると、縦棒が1個あって、その真ん中付近に右方向にボコッと丸が突き出ているというような、そんな形ですね。
もう1つのTHはELSEと言ってですね、これ実は発音記号でおなじみなんです。
THISとかTHATとかのズ、濁ったTHを表すもので、発音記号としては、実は作りとしてはDの創書体。
アイルランド系の創書体のDにバーをちょこっと付け加えたという、そういう字形なんですね。
これがありました。さらにVという文字。これ今ではありますが、かつてありませんでした。
というような状況でですね、あったりなかったりする文字があるので、結局数えてみると27文字あったということになるんですね。
驚き!