2025-05-13 10:00

heldio #297. クルミの walnut は「外国のナッツ」

#英語史 #英語教育 #英語学習 #語源
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

サマリー

このエピソードでは、クルミの語源とその歴史を探ります。特に、古英語やゲルマン諸語におけるクルミの名称は「外国のナッツ」という意味であることが解説され、アングロサクソン人がウェールズの人々をどのように呼んでいたのかにも触れられています。

00:00
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
クルミの語源探求
今回取り上げる話題は、クルミの walnut は、「外国のナッツ」という話題です。
クルミ、美味しいですね。洋菓子、和菓子に入っていることもありますけれども、やはりそのまま食べるのがいいですね。
何と言っても、白玉コレステロールを下げる効果があると言われていますし、お酒のつまみとしては最高ですね。
私も大好きで常食しているんですけれども、このクルミですね、英語では walnut というふうに言いますね。
walnut というふうに綴ります。これで walnut です。
これナッツですから、当然、nut の部分はわかりますね。
そうすると前半の wal で書かれるものですね。これとの複合語ということは想像つくと思うんですね。
ではこの walnut のこの前半部分 wal というのは何のことなのかということなんですね。
さあ語源を探ってみましょう。実はすでにですね、古英語という早い時期にこの単語が現れていまして、
古英語の例としてはですね、実は非常に少ない例なんですけれども、一応ですね walnut という複合語で表れています。
walnut ということですね。前半が wal そして後半が nut ということで、これが後半がですね、nut になっていくってのがわかると思います。
そして前半は w-a-l-h と書いて walf というふうに発音されたですね。
ではこの前半部分 walf っていうのはどういう意味なのかと言いますと、実はタイトルに示したように外国のという意味なんですね。
現在では foreign ぐらいですかね。外国のという意味です。つまり外国のナッツってことなんです。
これどういうことかと言いますと、実は古英語に限らず他のですね、ゲルマン諸語に大体対応する表現があるんです。
つまりくるみを刺すのにこの外国のナッツという言い方をするんですね。
西フリジア語では walnut と言いますし、オランダ語では walnoot、定地ドイツ語 walnut、ドイツ語 walnooth、コーノルド語 walfnut というふうに対応するものがきっちりあるんですね。
ゲルマン諸語に観察されるっていうことから、ゲルマン民族にとっての外国ということをおそらく意味して考えられるわけですね。
そうするとゲルマン民族にとって、当時のですよ、いわゆるゲルマン民族がみんな大陸にいて、一つの集団を成していた頃をですね、外国、フォーリンというとですね、
これはガリアであるとかイタリアであるとかケルトのようなその周辺地域というのが念頭にあったんだと思いますね。
こういう植物なんかは自分の土地にないで、よその土地、外国の土地にあると、外国のほにゃららというような言い方っていうのは非常によくある名前の付け方っていうことでわかりやすいと思うんですね。
どうも自分たちの民族の住んでいる土地にはなくて、あるや少なくて、そのよその土地ですね。彼らにとってみてのフォーリンの土地にたくさん参したというところからおそらく来たんだろうと思います。
このゲルマ民族はすでにハシバミの実、いわゆるヘーゼルナッツですね。これはよく知っていたので、ヘーゼルナッツ、これは単語としてあったんですが、それに対してというぐらいの意味ですかね。ウォーナッツ、外国のナッツということなんですね。
これが小英語にもあったという話なんです。ただですね、小英語にもあまり出ないんです。本当に言うと稀なんですね。そして少し時間を置いて中英語になると、ワルフヌテという形で現れてくるんですね。
これどうやらですね、小英語系のワルフヌからの直接の発達とは考えられないんですね。これは音変化的に、普通に自然に発達してこの中英語のワルフヌテにはなりにくいというようなところがあるようでですね。この辺は詳しく私も了解していないんですが、
どうも一度小英語でちょこっとだけ使われた後にですね、使われなくなって、その後中英語になって改めて大陸の仲間のゲルマン語ですね、から釈用したんだろうというような、どうも複雑な経緯が示唆されるということなんですね。
この方はですね、ゲルマン語のみならず、実はフランス語でもですね、おそらくゲルマン語の周囲の言語の考え方を真似したんでしょうね。これでNoir gorge、ガリアのナッツみたいな言い方で、フランス語でもそのような使われ方をしたということのようです。
さあこれをウォーナットの語源について語りましたけれども、面白いのはこの最初のウォーの部分なんですね。小英語ではワルフといったわけです。これが今でいう外国のという意味であることを先に述べました。
そしてですね、古代中世あたりはですね、自分の民族、これが一番偉いホームグラウンドだと当然思ってますね。これは古代中世に限りませんかね、近代だって現代だってそうなんですけれども、自分を中心に見立ててそれに対して外国って考え方するわけです。
自分のエリアにいない民族、あるいは自分たちではない者たちですね。多くの場合は下げ住んで、あいつらみたいな言い方で、あのよそ者らという形でこのワルフという単語が使われたんですね。外国のという意味が少し悪い意味で使われた有名な例があります。
これは何かと言いますと、なんと、ウェールズです。
ウェールズの起源
小英語を話していたアングロサクソンたちはですね、もともと西ゲルマンの民族で、大陸時代にはですね、その大陸の北部、北ヨーロッパ、ドイツ北部、デンマーク南部あたりにいた民族なんですね。
彼らがゲルマン民族の大移動の一環として海を越えて海峡を越えてブリテン島に渡ったわけです。先住民はケルト系の人々ですね。いわゆるウェールズ人たちもそこに含まれていました。
アングロサクソン人はブリテン島にやってきて、この人々をブリテン島の末端あるいは海を越えてアイルランド島へと追いやりました。
ブリテン島の西に追われて逃げていったケルト系の人々。これが後にウェールズとかウェールズ人と呼ばれるわけなんですが、この人々のことをアングロサクソン人はですね、よそ者、外国人と意味で
ワルフの名で呼んだんです。ウェールズの人々という、いわゆる複数形ですよね。なので複数形のsをつけてウェアラスというふうに呼んだんですね。これが実はウェールズの起源ということです。
もともとはワルフの部分ですね。これが原型なんですが、これに複数形のsをつける形でウェアラスという、少し母音も変わりますが、これがウェールズの起源ということなんですね。
そして元のワルフの部分ですね。外国のというものに、民族名を表したり、そこから民族、言語、人々の形容詞形を作るイッシュというのを加えたんですね。これがウェルシュということです。ウェールズの形容詞形ですね、ウェルシュということです。
本当はイッシュなんで、iの音、つづり字が見えるはずなんですが、それがつづまってしまってですね、今ではWELにSH、直接Lの後にiがなくSHと続いてウェルシュとなるんですが、これは何とかイッシュというときの、つまりイングリッシュのあのイッシュのことなんですね。
iが消えて直接SHが消えてしまったのでわかりにくいんですが、これは他には実はフレンチってのもそうなんですね。これフランスとかフランクに直接母音なくSHがついた形が、これフレンチュッチュという音になっちゃったっていうことなんですね。
それではまた。
10:00

コメント

スクロール