2025-04-07 10:51

hellog-radio #33. なぜ sheep の複数形は sheep?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #複数形 #不規則変化
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サマリー

ポッドキャストでは、英語の名詞の単数形と複数形の違い、特に sheep と deer の例を通じて説明されています。古英語の音の変化により、これらの名詞が単複同型になった経緯や、現在の英語における特殊性について考察されています。

英単語の単複同型について
英語に関する素朴な疑問。なぜ sheep の複数形は sheep なのですか。
羊を意味する sheep という単語は、動物の名前を表す普通名詞です。 普通名詞の場合には、
通常 s を付けて複数形を作るというのが英語では一般的なわけですけれども、この sheep に関しては複数形がそのまま何も変わらず、いわゆる単複動形の無変化形の sheep になります。これは何でなのでしょうか。
他に類例を挙げますと、鹿を意味する deer も同じです。 これは複数形は deer なわけですね。
辞書を引きますと、これ s を付ける Deer っていうのはあるというふうに書いてありますが、一般的には Deer というふうに単複動形、つまり sheep と同じタイプということになります。
なぜこのような名詞があるか。 これは英語史を紐解くことによって取り替えすることができます。
古い英語、古英語では様々な複数形の作り方がありました。 古英語では現在のヨーロッパ諸語と同じで、名詞が男性名詞、女性名詞、そして中性名詞という3つのカテゴリーにすべて分類されていました。
そして、この sheep であるとか Deer というのは中性名詞だったんです。 この中性名詞のすべてではないのですが、一部は複数形に、実は単数形とまた変わらない形を取るという活用があったんですね。
sheep の場合は、シェーアップという形だったんですが、これは複数形でもシェーアップでした。 同じように Deer はデーオール、複数形でもデーオールというふうに変わらない形で存在していました。
これはなぜかということなんですが、実は古英語よりさらに遡った時代、文献はないんですが、理論的に再建された形では、実は単数形と複数形、微妙に形が違ったんです。
例えば、シェーアップという sheep に相当する単語においては、古英語よりさらに前の時代には、実は u の語尾をつけて、シェーアップという形で複数形を作ったんです。
同じように Deer ですね。これも単数形はこの Deer なんですが、複数形では Deer というふうに u の語尾、u の文字で表される文字を一文字加えることによって、これは複数形を作っていたんです。
したがって単数と複数形は一応、形態的には異なる形であった。s ではないですが、一応 l 形で存在していたんですね。ところが、古英語期にかけて起こった音の変化の結果、この u の語尾ですね、複数形のこの最後の u の語尾が消えてしまうということが起こりました。
これによって、結果的に単数と複数が同じ形になってしまったということです。決して最初から単複同型だったわけではなくて、異なっていたんだけれども、音の変化の結果、たまたま同じ形に修練してしまったということなんですね。
古くから単複同型ではなかった。ちゃんとやはり s ではないけれども、単数と複数を区別しようという発想はもともとはあったということです。しかしその後の音変化の結果、マージしてしまった形が同じになってしまったということなんですね。
このような単語が sheep であり deer であったということです。 この古英語で2つの単数形、複数形がマージしてしまったということを解説しましたが、その次の時代、中英語期になりますと、どうなったかと言いますと sheep、deer このような単語は古英語からの引き続きで、そのまま単複同型という形で受け継がれました。
他には、このような単語は中性名詞で、 sheep、deer と同じタイプの名詞としては、例えばこんな単語がありました。 horse 現代語で言いますが馬ですね。だから house、家、land、土地、thing、もの、wife、妻、このような単語が全て同じタイプで、特に s も何も付けずに複数形を作っていたということなんです。
つまり単複同型です。 しかし、中英語期になると、複数だったら s を付けるのが普通でしょうという感覚になりまして、この horse、house、land、thing、wife などはそれぞれ s を取るようになって、複数形では horses、houses、lands、things、wives のようになっていきました。
しかしどういうわけか、この sheep、deer に関しては s を取らずに古いままの単複同型を続けたということですね。
それが結局、現代まで s を取らずに固くなり、この s を拒否して、小英語の状態をずっと保持しているのが sheep そして deer ということになります。
単位と動物名詞の複数形
これはなぜかというのはなかなか難しい問題なんですが、 sheep なり deer なり、たまたま動物ですよね。
他には単位があります。単位に付けられる名前がありまして、例えばですね、100であるとか 1000。
これは複数形、実は取らないんですね。普通名詞ですから、複数形であれば hundreds とか thousands と s を取っても良さそうなものなのに 100、200、300 と s を付けません。同じように 1000、2000、3000 と s を付けないんですね。単複同型なんです。
つまり sheep、hundred、これは同じ仲間だということです。
共通点は、動物の群れであるとか単位、つまりもともと複数で存在しているのがデフォルトでしょう、というような単語群です。
もちろん、a とか 1 が付く時もありますが、多くの場合、狩猟対象の動物であるとか単位というのは群れで、複数で存在するのが当たり前なので、それがデフォルトなので、
あえて s などを付けなくても、もともと複数形として存在する単語という認識になるわけですね。
そうしますと、動物であるとか、この単位のようなものは s をあえて付けなくても、複数形にあえてしなくても、最初から複数形の名詞なんだという発想になります。
この発想が一旦出来上がると、どのと群れであるとか、あるいは単位にこの発想が波及していきます。
従って例えば、魚なんていうのは群れで存在する、それを漁して取るというのが当たり前の発想ですから、
後英語の時ではむしろちゃんと s を付けて複数形を取ったんですが、中英語にこの発想に飲まれてからは fish と、複数形でも fish というようになったわけですね。
魚の個々の種類もそうです。例えば carp とかですね、鯉です。
あまり鯉は狩猟して食べるという発想はないかもしれませんが、例えば carp とか eel のような単語はですね、この流れに巻き込まれて複数形の s を取らない。
したがって広島東洋 carp と s をつけないわけですよね。 読み寄りザイアンスです。半身タイガースという s がつくわけですが、
野球をプレーする 9 がいてもですね、広島東洋 carp と s をつけないということになります。
他には例えば million であるとか billion であるとか、いわゆる単位ですよね。これも結局 s をつけないで単位として複数であることが普通、一般的であるので、最初から
複数のものとしてあえて s をつけないというような発想が出来上がったという次第です。
ポイントはですね、この deer にしろ、そして今回の表題の問題であるこの sheep にしろですね。大元を探ると、実はちゃんと単数形と複数形、区別されていた。
小英語より前の時代にはですね。ところが小英語期までに音の変化によってたまたま単複動形になってしまった。
で、このたまたまなってしまったことがきっかけとなって、そして動物であるとか群れに相当する単語がここに多く含まれていたことによって、そうかと。
群れとか単位はもともと複数がデフォルトなんだから s も何も複数形をつけなくて良いのだという発想になり、他の類似の単語
fish であるとか、million、billion であるとか、このような単語へ広がっていった結果、この s をつけずとも実は複数形なんだよという単複動形の単語がむしろ
中英語期以降に少しずつ増えてきて、そして今に至っていると。そういう状況です。
この問題に関しましてはヘログの12番、そして1512番の記事をご覧ください。
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