2025-05-20 10:02

heldio #304. 構造主義言語学とはマトリックス思考である

#英語史 #英語教育 #英語学習 #言語学史
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サマリー

本エピソードでは、構造主義言語学がマトリックス思考にどのように関係しているかを考察している。特に、フェルディ・ナンデ・ソシュールの影響を受けた言語の構造についての理解を深める内容になっている。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
構造主義言語学の紹介
今回取り上げる話題は、構造主義言語学とはマトリックス思考である、
というものです。
これはですね、昨日夕方に公表されました、
井上一平堀田隆一英語学言語学チャンネルの第10回目の放送ですね。
タイトルとしては、構造主義は歴史言語学を敵に回したか? 言語学理論の面白さ。
井上氏にネーミングはお任せしているので、キャッチーなタイトルになっているんですけれども、実は中身はかなり広派なんですね。
この10回の中で一番広派なんじゃないかと思うんですが、言語学の歴史っていう話題なんですね。
言語学そのものが知られていないのに、その歴史となるとですね、相当専門的ということになりますので、これはどれぐらい主張されるんだろうか。
YouTube番組として始めて、第10回目なんですが、ちょっと心配な第10回としてお届けしました。
その中でですね、構造主義言語学とは何か、これがいわば主題になっている回だと思うんですよね。
その中で、私がカジュアルに述べた言葉を井上さんが捉えてですね、
ホッタの解釈としては、構造主義言語学とはマトリックス思考であるというふうにまとめてくれたと言いますかね。
キャプションをつけてくれたということで、これで、あ、そうかと。
私、そういうふうに考えてたんだなっていうのは改めて思い直したということで、このボイシーの番組ではですね、それを補足するという形で、
そもそも構造主義言語学という、漢字で書くと8文字かかるという、大変小難しそうな話題について簡単に説明したいと思うんですね。
英語で言うとStructural Linguisticsであるとか、あるいは構造主義というものはStructuralismということなんですけれども、
およそ1930年よりちょっと前ぐらいですかね、ぐらいから勃興してきた言葉の考え方、一つの流派、宗派と言いますかね、と言ってもいいと思うんですが、
その伊達役者がですね、フェルディ・ナンデ・ソシュールという、現代言語学の知事と呼ばれているような人なんですけれどもね、
ここが基盤になって、その暗地が出てきたり、その暗地の暗地が出てきたりということで、この100年ぐらいの言語学が展開してきたという流れの、その大元になるのはですね、
このソシュール先生が創始したということになっている構造主義言語学、Structural Linguisticsということなんですね。
これ、理解することは結構重要なんですけれども、ただですね、これ頑張って理解するというものよりは、実はYouTubeの番組の中でも言ったんですけれども、
これ、我々の発想の中にもう基盤としてあるんですね。なので、何で当たり前のことをあえてですね、それに名前をつけて構造主義という難しい言葉で言うのかというようなぐらいの実は話なんです。
全く難しくないんですよ。構造主義というのは、すべてを構造で捉える、あるいは体系と言い直してもいいんですけれどもね、
システムとかストラクチャー、ほとんど同義と考えてもいいくらいの用語なんですけれども、すべては構造を成しているという考え方です。
つまりランダムにあるわけではなくて、簡単には整理して、通常だったものとして整理できるんだと。
ただこれ、本当に言うと全く新しいことではなくて、そもそも科学っていろんな雑多なもの、ランダムに見えるものをくくってですね、
共通項をくくるなりして、図表の形できれいにまとめ上げるということで、
実情を正しくするということで進んできたのが、人間の科学だと思うんですね。
そのことなんですよね。だから、科学と言い換えても悪くないぐらいのものが、構造によってすべては記述されるんだということで、
私の非常に簡略化した言葉で言えば、基本的にすべては表、図表で整理できるという考え方、つまり構造主義とはマトリックス思考であるということなんですね。
マトリックスというのは本当に表ですよね。何かける何という表で、それぞれ縦軸、横軸にそれぞれパラメーターというかラベルを貼り付けるわけですよ。
そしてその掛け合わせたところ、この表の各々のマス目ですよね。そこに丸とか×とかつけていくっていう、
どんな学びにおいても、そして知的行動においても、皆さん接してきた表ですよね。
丸か×か、イエスかノーかっていうようなデジタル思考です。ある意味では、このコンピューター時代になったデジタル的な思考法になった現代とは神話性があるっていうのは当然のことながら、
100年前にこれに対して改めて名前をつけたっていうことなんですよ。つまり我々にとって当たり前の物事の考え方って言いますか、整理の仕方っていうことですよね。
意味と関係
これがそれ以前も別になかったっていうことではないんですが、そうやって物事をすべて考えていくといいぞというような発想が出てきたっていうのが100年ぐらい前っていうことなんですね。
それに構造主義という名前を与えたっていうことなので、本当に言うと我々にとって全く珍しいことでもなく、見知らぬことではないです。
逆に言うと、なぜこの常識的に見えるこの考え方にあえて難しい名前をつけるような時代に至ったのかっていうことです。
それ以前が必ずしもそういう発想で、特に言語研究ですけども、がなされていた時代ではなかったっていうことの裏返しなんですね。
今当たり前だと思っていることは、100年ぐらい前にソシュールが始めたからこそ、そしてそれが非常に影響力があったからこそ、その影響力の中にある我々にとっては当たり前でしょ。
それ言う必要もないでしょっていうことなんですが、それ以前の発想とだいぶ異なっているっていうところが、当時は新しかったという、そういう話なんですよね。
なので、あえてこのような構造主義言語学のような名前をつけただけで、実は我々は何もしなくても基本的に教育を受けているのであれば、
言葉の考え方であるとか文法も基本的には構造主義言語学の流れに乗っているので、あまり意識することもないし、意識してこの構造主義言語学みたいなものを捉える必要ももしかしたらないのかもしれません。
抽象的な話が多かったので、一つだけ意味の観点から、この構造主義という発想がどうやって生かされているかっていうのを確認しておきたいと思います。
これはYouTubeの番組でも話したように、意味は関係であるというような考え方があるんですね。これ何のことかと思うかもしれませんが、簡単に言うと、例えば男。
これ男と辞書で引くと、それなりのわかりやすい定義が載っていると思うんですけれども、ある意味、この単語の意味ですね、日本語なら男、英語ならmanですけれども、これを定義する、あるいはより深く理解したり記述する最大の方法は何かというと、反対語は女ですよということなんですよ。
その関係、相手があって初めてその鏡で自分が定義されるというような、つまりこの意味は関係であるというのはこういうことなんですね。
構造主義というのは、男と女というのは表で言うと、これは1×2という単純な表なんですけれども、1に相当する表の左側、これは生物、生き物であるということですね。
そして上に並んでいる軸ですね、これはいわゆる性別という軸になって、これ生物学的、物理的に言えばですね、性相があるとか乱相があるとか、そういった特徴に基づいて割り振った結果ですね、表としては左側に男が入って右側に女が入る。
お互いに、相互に規定し合っているという、こういう発想なんですね。これが構造主義です。ではまた。
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