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こんにちは、志賀十五です。
毎回テーマを一つ決めて、それに沿ってトークしています。
今回のテーマは、言語学で、特に人工言語について話そうと思います。
僕の趣味は、人工言語の制作で、
Twitterのリンクを貼っているので、そちらを見ていただければわかると思うんですけど、
自分で作った言語をつぶやいてみたりとか、その辞書を作ったりとか、文法書を書いたりとかしています。
これは本当に趣味なので、はっきり言って何の役にも立ちません。
多くの人がほとんど経験することでないであろうことをやっています。
人工言語というと、結構説明するのが難しいというか、あまりお勧めはしないですけど、
というのが、一般的に考えられている言語というのと、僕は言語学を勉強したことがあるので、
そういう言語学を勉強した人たちにとっての言語って結構違うところがあると思うんですよね。
まず第一に、言語というのは文字ではないということをまず強く認識していただきたいんですね。
もちろん中には人工言語をやっていらっしゃる方で、文字が好きだから、自分なりの文字を作りたいからといって、
自分の言語を作り始める人もいらっしゃると思うんですけど、いろんな人がいると思うんですよね。
ある人は、自分なりの単語というか、ボキャブラリーを増やしていきたいという人もいれば、
僕はどっちかというと、文法を中心にやっていきたいと思って、そういう文法に重点を置いた言語を作っています。
文字ではないというのは、確かに文字ってかなりとっつきやすいですよね。
文字を見て、異国感というか、外国語感というか、そういうのが目に見えてわかりやすいんですよね。
もしかしたら子供の時とか、自分の文字を作って遊んだりとか、そういうことをしてみた方もいらっしゃるかもしれません。
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それくらい文字ってかなりとっつきやすいんですよね。
僕自身でいうと、まだ自分の文字を開発していません。
逆に言うと、それだけとっつきやすいので、人工言語の初心者、そういう方がいらっしゃるかわかりませんけど、
そういう方にとっては、まず文字から入るというのも一つの手かもしれません。
文字作っちゃえば、例えば日本語をその文字で置き換えるという、そういうことができるわけなので、そういうふうに楽しむことができます。
それから自分なりの単語とか文法を作っていけばいいというふうに考えられるので、
そういう意味では文字というのはいいかもしれませんけど、ただ文字イコール言語ということではないということを知っておいていただきたいです。
もう一つは、世間一般で言う言語の誤解というか、そういうもののもう一つは、
言語というのは何か物とかあるいは事象というか、事象というか出来事ですね。
イベントと言ってもいいですけど、そういう物とかことに対する名前だというふうに思っている方が多いと思います。
何でもいいですけど、家とか人とか犬とかそういう具体的なものから、赤とかそういう状態とか走るという動作、そういうこと、かなり抽象的なものも含めてそういうものの名前だというふうに言われていると思うんですよね。
ただこれは間違いと言っていいと思うんですけど、より正しく言うと言語というのは世界をどのように切り分けるか、これいろんな言い方があるんですけど、一番分かりやすいのは切り分けるとか、
もうちょっとややこしい言い方をすると、半中化するとかカテゴリー化するとかそういう言い方もあるんですけど、切り分けるというふうにここでは言いますね。
なので言語というのはこの世界を切り分けているんだというのが正しい認識です。
さあこれはどういうことかと言いますと、わかりやすい例で英語を取り上げますけど、皆さん片手、右手でも左手でも指って何本あるかというと5本ですよね。
では指って英語でfingerなので、fingerって何本あるか。
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これ当然5本と思いきや4本しかないんですよ。
というのは親指には別の名前があって、サムズアップとか言いますけどサムっていう名前がありますね。
なので指は5本だけどfingerは4本しかないんですよ。
この片手に限って言うと。
これはつまり世界の切り分け方が違うというのはこういうことなんですよ。
我々は片手にあるこの長細いものをすべて同じものと見て、そういうふうに世界を切り分けているんですけど、
英語という言語の話者にとっては人差し指、中指、薬指、小指については同じものとしてみなしてますけど、親指だけは別のカテゴリーとして見ているということなんですね。
ここに、切り分け方にここに差が出ているんですよ。
もう一つ英語の例を言いますと、唇ってありますよね。
実はこの日本語の唇と英語のリップ、リップクリームのリップ、これはまた別のもので、
リップっていうのはもうちょい広い範囲で、男性だったら鼻の下にヒゲ生えますよね。
そのいわゆる鼻の下と言われているところも含めてリップなんです。
これもやっぱり世界を切り取る範囲っていうのが微妙に違って、
唇とリップは明確にイコールではなくて、リップの方がやや広く世界を切り取っているとこういうことになります。
なので、ちょっと哲学的な言い方になりますけど、
現実世界に何かものがあって、それに名前をつけるというよりは、
言語というものを使うことによって初めて現実世界が浮かび上がるというか、切り取られるというか、
混沌とした世界というか、そこから人間が認識できる世界になると。
哲学的な言い方をするとこういうことになるんですよ。
なので、単純に何かの名前ではないということなんですね、言語。
もうちょっと抽象的な話になりますと、
これ日本語で例えば食べると食べたというのがありますよね。
食べたというのは過去形だというふうに皆さんちょっとお分かりだと思うんですよね。
食べるというのは現在を表しているというふうに言われがちですけど、
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そうとも限らず、明日食べるとか普通に言えるので、
これは現在と未来を表す形ということになりますね、食べるの方は。
なので、これいろいろ例外があるので、ここはちょっと基本的なお話しかしませんけど、
これはつまり、食べると食べたというのは過去か過去じゃないか。
これは非過去とかよく言われるんですけど、過去か過去じゃないかを切り分けているということになるんですね、動詞の形で。
なので、言語によっては現在、過去、未来、3つそれぞれ違う動詞の形を使うことがあれば、
もっと変な場合だと未来か未来じゃないかという切り分け方をする場合もあるかもしれません。
なので、これは文法の話ですね、食べる食べたの現在とか過去とかいうのは。
もっと詳しく言うと、文法の中でも時勢とか点数とか言われるものの話です。
先ほどの指とか唇とかの話は語彙の話になります。
いずれにせよ、この言語、語彙であろうと文法であろうと、物の名前ではなくどう切り分けるかというのが言語の本質であるということなんですね。
なんでこれが分かってないといけないかというと、これが分かってないと単純に日本語の文を自分の作った人工言語で言い換えるだけというか置き換えるだけになってしまう恐れがあるというか、
それが悪いというわけではないですけど、オリジナリティに欠けますよね、それだと。
なので、もうちょっと一般的な話をすると、翻訳というのは単純に単語を置き換えるわけではないというのと似ているかもしれませんが、
いずれにせよ言語というのは何か物とかことの名前ではないという、これ何回も言いますけどちょっと強調しておきたいと思います。
いやーちょっとね、非常に哲学的な話になっちゃいましたね。
今思いついたのがもっと分かりやすいのは、英語のbrotherとsisterってね、あれは年上か年下かを区別しないですね、もっと分かりやすいのがありましたね。
日本語の場合は兄弟姉妹みたいに年上か年下というのも考慮すると。
こういうのはもしかしたらね、社会的文化的な背景も関係しているかもしれないと、こういうことが言えますね。
そういうわけで今回は言語学のお話になりました。
ではまた次回。ごきげんよう。