2025-06-26 13:57

heldio #341. 英語に関する素朴な疑問 千本ノック

#英語史 #英語教育 #英語学習 #千本ノック #hel活
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サマリー

ポッドキャスト「heldio #341」では、堀田隆一が英語に関する素朴な疑問に対して歴史的視点から答えています。名詞の数え方や日本語との一人称の違いなどについて、リスナーからの問いに対して解説を行っています。英語のオノマトペとその発音の変化についての疑問が取り上げられ、特にWALKとWORKの関係が詳しく説明されています。このエピソードでは、英語の音と意味のつながりに対する理解を深める機会が提供されています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています、堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回は、普段と趣向を変えてですね、英語に関する素朴な疑問、千本ノックと題して、ひたすら寄せられてきた素朴な疑問に答えていくということをやってみたいと思うんですね。
私の大学の授業なんかで、時間が余ったりするとこれ、たまにやったりするんですけれども、その場にいる学生からその場でですね、質問を募って、それに対してどんどん答えていくということですね。
もちろん答えられないものもあったりするんですが、少なくとも何らかの背景というか説明につながりそうなことを述べてですね。
どんどん次の質問に行くということで、実は1ヶ月ほど前のことになりますが、ちょうど新年度、新学期ですので、大学の英語士と呼ばれるズワリの授業でですね、これをやりまして、比較的大きな講義ですので、数多くの質問が寄せられてきたんですね。
それに対して10分ぐらいでですね、いくつかしか答えられなかったということでですね、この場を借りてと言いますかね、実際寄せられてくるような質問は、このリスナーの皆様も関心があるようなですね、素朴な疑問が多いかと思いますので、ここで1000本ノックといっても10分程度で答えられる限りということなんですが、やってみたいと思うんですね。
では始めてみましょう。
英語の名詞の数え方
最初の質問ですが、なぜウォーターは付加算名詞なのに涙を意味するティアは加算名詞なのかという質問ですね。
加算名詞、付加算名詞という名前の非常に厄介な問題なわけですけれども、確かにウォーターというのは一般的に数えられないということになっている。ところが涙も同じような、水といえば水じゃないかということなんですけれども、これはティアーズと伝われるのが一般的だったりしますよね。
これは非常に難しいんですけれども、ウォーターといってもですね、例えば海域、具体的には海とか湖とかそういった場合には数えられる単位になりますので、ウォーターズとなることもありますし、使い方次第、そして認識の仕方次第ではですね、一般的に付加算名詞と呼ばれているものもその場限りでというコンテクストに従ってですね、
Sを取ったり複数形になったりすることもあったりするので、単純ではないですね。英語史的に言いますと、この加算名詞、付加算名詞という対立自体は、種としては小英語くらいからあったんですけれども、いわゆる今の現代語のようにですね、確立してくるのは中英語終わりから近代語にかけての時期ということですね。
これも歴史の過程で発達してきた対立ということになります。これはこの程度で。
次の質問ですけれども、なぜ日本語には私、俺、僕などの一人称が多くあるのに、英語ではIだけなのか。
はい。これはよく質問に出されるもので、英語では一人称単数というところでIですね。一方、日本語には言い方がたくさんあってですね、私、俺、僕だけじゃなくて、オイラとかワガハイであるとかですね、ウチとか、いろんな言い方があるということで、この英語と日本語の差というのは非常に際立っていますよね。
この一人称単数ですかね。一人称単数代名詞ということで言うと、確かに英語ではIということになるんですが、そもそもが日本語には英語であるとかインオウ語族の、いわゆる人称代名詞に対応するものっていうのが、実はズバッとは対応するものがないんではないかと。
私、僕、俺、みたいなものって、ある種の名詞で代名詞というよりはですね、名詞なんですよね。類義語がたくさんあるって感じです。名詞はだいたいそういうもんですよね。類義語がたくさんある。
それを条件に応じて、状況に応じて、ある時は私という名詞を使って、これを英語のIという代名詞ですね、人称代名詞に対応させられるような形で使っている。代名詞的に使っているだけで、日本語では名詞を代名詞の代わりに使うっていうのも変な言い方ですけれども、そういうことなんではないかというふうに私は考えていますね。
引用語属の特徴として、これは昔から今まで変わってませんね。英語では唯一の一つだけの一人称単数代名詞があり続けてきたということは確かにその通りなんですね。
次。なぜ3単元のSは他の文字ではなくSなのか。これはなぜ3単元にSなんてものが付くのかという問いというよりは、なぜよりによってSという、例えばMとかKとかではなくてですね、Sなんですかという質問でしょうかね。
これはなかなか難しいですね。なぜ過去形の語尾はEDなんですかっていったときに、そこに過去の意味があるからだとか、例えば3単元のSの場合は3単元の意味が込められているんだと言っても、なぜよりによってSなんですかっていうのは、これは難しいです。
英語の歴史をどんどん遡っていきますと、これはSではなくTHだったんですね、もともと。結局、じゃあなんでTHだったのっていうと、その前の段階って言いますかね、似ているけれども違う音があったりして、行き着くところはどこに行くんでしょうね。英語の元初の形とか、さらに遡ってゲルマンソ語とかインヨーソ語の形で、なぜその音、あるいは形だったのかと。
問うことになりますので、これは綺麗に説明するということは、なかなか難しそうに思われますね。なぜSなのかっていうことですね。これ自身も音の変化を遂げて、今Sなんだよということで、その前段階、前々段階っていうふうに遡っていって、果たして答えがあるのかないのかというような問いだと思いますね。
次。なぜ英語には日本語の3%しかオノマトペがないのですか?ということなんですが、これ、この事実知らなかったので、むしろそういうことなんですか。英語には日本語の3%、何らかの統計があって、それを聞いたことがあるということなのかもしれませんが、一般論として言えば、確かに日本語っていうのはオノマトペ、いわゆる擬音語、擬体語の類ですが、
これ、めちゃくちゃ多い言語ということで知られているわけですね。それに比べれば英語にはないではないけれども、非常に少ない。相対的に言えば、それは少ないということになると思うんですね。
ただ、オノマトペって言うと擬音語、擬体語っていうことなんですが、もう少し広く言うと音象徴なんていう現象がありますね。サウンド・シンボリズムと言ったり、他には例えばフォーネスティジアっていうような現象があって、例えばFL、フルっていう音の繋がりですけれども、シーン2つですね。
これで始まる単語はですね、例えばフラッシュ、フレア、フレイム、フリッカー、フリマーのような単語で、FLが付くと素早い動き、身軽な動きということを含意するなんて言われることがありますね。
オノマトペの考察
このように、ただの音の繋がりなんですけれども、それがある緩い意味と結びつくということは、かなり英語ではありまして、ここまで広い音と意味との関係ということを考えますと、オノマトペとは、これはズバリ言わないのかもしれませんけれども、広く考えると、実は気づかないところに英語にもたくさんあるということなんですね。
なので、どうなんでしょうかね、その日本語のオノマトペとズバリ対応するようなものだけでなく、広く今紹介したフォーネスティーチャーみたいなものも含めて考えると、英語にだって相当オノマトペ風のものがあるという言い方は可能なんじゃないかと思うんですね。
では次。
WALKとWORKの綴りと発音が逆なのはなぜかということですが、これは面白いですね。
WALKと言うと、これアルクでWALKということで、そのまま読むとワルクと読みそうだ。
だけど、WALKと読むことになっている。
一方、WORK、働く方ですね。
WALKというのはORと綴っておきながら、ワークというふうにむしろアーとなるから、AとOと綴っておきながら、実は発音が逆でOとアになるんだというところですね。
これ逆なのは何でですかということなんですが。
これも音のお話なわけですが、古英語とか中英語ですね。
古い時代には基本的に文字通り、通り字通りだったので、つまりWALKだったらワークのように発音されたし、仕事するの方だったらウォルクのように発音されたということで、今のように逆ではなかったですね。
それが、WALKの方はAの後にLが来ますよね。
このLの長音、発音の仕方の影響で、直前のアッアッアッという音。
これがですね、後ろ寄りになって、結果的にオの後になったと。
で、WALKということなんですね。
一方、WORK、仕事をするの方もやはりオルク、オルクとかウルクというような発音が一般的だったんですが、
この後ろに今度はRですね。
Rがある影響で、前のオの発音が弱まってと言いますかね、曖昧母音になった。
WORKになったんですね。
なのでこれは、アではないんですけれども、曖昧母音、シュワーと呼ばれる音なんですが、
これを日本語に取り込む時に、大体このアの音として取り込んで、ワークとなったということで、
これはそれぞれの単語とその中にある母音ですね。
これが辿った音の変化の結果、たまたまクロスするような感じになっているっていうのが実態なんですね。
素朴な疑問の重要性
もう10分ですね。5問しか答えられませんでした。
もっとテキパキ行こうと思ったんですが、こんなところですね。
最後に付け加えなんですけれども、このような質問を募った時に、
最初にどういう言い方をしたかと言いますと、ライブでどしどし英語、言語に関する素朴な疑問を寄せてください。
子供っぽい、素朴すぎる疑問の方が英語史的には面白いことが多いですと言いながら募った質問を、
前から順にですね、今日5個しか取り上げられませんでしたけれども、こんな風にやっているっていうことですね。
当然即席ですので、私がその場で答えられる範囲内のことを述べるということで、
普段のOECの収録ではですね、ある程度準備と言いますか、話題を自分で設定して、
それについて言えることがあるから10分間喋っているわけなんですが、
このような1000本ノックと題したような即席で答えるものの中には、
必ずしも事実に照らして、合っていないことを口走ってしまうこともあるかもしれないんですが、
このような何よりも知的好奇心を呼び覚まされると言いますかね、
やはり問題、質問というのは常にとても大事なことだと思うんですね。
場合によってはそれに答えるよりも重要な人間の行為なんではないかというふうに私は考えています。
素朴な疑問の中には既にですね、このOECの過去の放送で扱っていたり、
あるいは姉妹版のブログであるヘログ、英語紙ブログなんかでもかなり取り上げているものも多いかと思いますが、
またこのような企画をやっていきたいと思います。
それではまた。
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