疑問詞の歴史的背景
本日の英語に関する素朴な疑問は、疑問詞は 5w1h と言いますが、なぜ how だけ h で始まるのでしょうか、という疑問です。
確かに 5w1h って言いますね。 who, what, why, when, where そして how ということになります。
この how だけ浮いているように見えます。 h で始まっているということです。
大抵は wh で始まるのが普通で、疑問詞としては他にも whose, whom, which, whence, whether といくつかあるわけです。
ですが、探しても how だけが h なんですよね。 これはなぜかという問題です。
歴史を振り返ってみますと、小英語記にはすべてこれらの単語、疑問詞は hw で綴られていました。
who, what, how, when, where, how これらすべてが h で綴られていました。
具体的な発音はそれぞれ who, what, who, when, where, who という形で、ある意味では hw と綴る方が発音に忠実と言いますが、発音記号そのもののように見えて、音声学的には現代よりもより厳密という言い方もできるかと思います。
ところが、この hw で一貫して綴られていたスペリングが、中英語記にひっくり返したように wh になっていくんですね。
それで what、今まで hwat だったものが、ひっくり返ったかのように wh になっていきます。
これ、綴り字の経済、効率という観点から見ると、プラスにもマイナスにもなっていません。同じ2文字です。ひっくり返すことに何の意味があるのか。
むしろ発音との関係で言えば、先ほど述べたように hw の方がより発音記号的、音声学的と言えばそうなんですね。
つまり、小英語の方がある意味ではより合理的だった可能性があるわけです。
ところが、中英語記に wh とひっくり返したようなスペリングになっていく。これはなぜか。
これは間接的にフランス語の影響があるというふうに考えられます。 wh の場合は、実はフランス語にはこのスペリングはなかったんですが、
例えば ch であるとか ph であるとか th のような、
真字にプラス h という文字をつけることで、二文字合わせ、これを二重字大グラフと言うんですが、これが現れてくるんですね。
現代英語で言えば ch, gh, ph, sh, th, wh のように、二文字目が h である二文字の組み合わせ、大グラフというのがいくつかあります。
この発想そのもの、つまり二文字目に h を使うことで、二文字のシーンの組み合わせである実際には一つのシーンを表すというような
関修がフランス語の影響で英語にも入ってきます。 この結果 hw っていうのはその方針に合わないだろうということで、
語英語から中英語にかけて wh になったと考えられます。 これ自身はフランス語にあったわけではないんですが、少なくともそのフランス語的な関修、
二文字目に h という関修にはあっているということなわけですね。 こうしてのきなみ疑問詞が hw から hw に書き換えることになりました。
how の特異性
ところがです。 how に関しては少し特殊な事情がありまして、改めて語英語に時代を戻しますが、
how は語英語では who という発音でした。 さらに前には w がきちいあって who, hw, u とでも綴った方が良いような発音で存在していました。
ところが語英語までにすでにこの w という言い方ですね。 w, u の発音がしにくいということで、
u だけの形、つまり who が who に今簡略化されていました。
現代英語でも w, u のつながりは例えば would とか will とかいくつかあるわけなんですけれども、やはり言いやすいわけではないという
音声学的な特徴はあったようで、当時語英語から who というものがすでに who に簡略化されていました。
もう一つ関連する例を挙げれば、例えば to がそうです。 two と書くように、もともとは w の音があったわけですね。
つまり to do 大元は to were だったんですが、さらにこれが to were, to will となって、
will が言いにくいということで w が消えて to となっています。 ただ to の場合に関してはスペリング上にまだかつての
w 音があった証拠としての w のスペリング、文字が残っています。
ただこの who, how に関して言えば who はすでに語英語中に who となっていましたので、
語英語から hu とだけ綴られていました。 hwu ではなく hu です。
そうしますと中英語になって、ひっくり返す w がすでになかったということになります。
この how の語に関しては、他の疑問詞と違って how は who から who へとすでに語英語期中に変化してしまっていたので、
ひっくり返すべき文字の w がなかったということになります。
したがってそのまま hu そこから転じて、後に how とありますが、
w はすでに中英語期以降は一切出てこないということになります。
以上をまとめますと、そもそもの疑問は、疑問詞は 5wh というが、なぜ how だけ h で始まるのかと。
こういう問題だったわけなんですが、これはもともとを言えばすべて hw で始まってたんですね。
つまり 5w1h ではなく 6hw だったわけです。
ですのでここで歴史的に問うべきは、なぜ how 以外の疑問詞が wh なのかを問うべきなんですね。
how が例外ではない、むしろ wh が例外なんだと、このような見方をするのが英語詞だと思います。
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