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2025-04-06 07:24

hellog-radio #32. なぜnumberの略字表記は no. なの?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #略語 #表記
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サマリー

numberの省略形がnoである理由を、ラテン語のnumerusに遡って解説します。言葉の形や意味の変遷を通じて、言語における構造の面白さを探っています。

numberの語源と省略
英語に関する素朴な疑問。なぜnumberの省略表記は no. となるのですか。
確かにこれは不思議といえば不思議です。numberですからnuであれば理解できるわけですが、実際にはnoという表記ですね。
noで省略形なのでピリオドがつくことが多いですが、これ我々は見慣れているこのnoでnumberと読む省略表記なわけです。
これはなぜかという疑問です。まずこのnumberという名詞ですね。数を意味するこのnumberの語源を遡ってみましょう。
これはラテン語のnumerusという形に遡ります。 このnumerusという形がフランス語でですね
nombreという形になります。 それが英語にですね1300年頃までに発用されて今のnumberに連なるわけです。
ラテン語numerusにはbeの文字も発音もないわけですが、フランス語に移行する際にですねこのmと一瞬似た音である音声学的には近い音であるbeが挿入されて
nombreという形になり、これが英語にもこのbeが入った状態でですねフランス語から英語へ
釈用されnumberと現在言っているわけです。 まずこれがnumberの語源ですね。
一方ですねラテン語numerus、見話を戻しますが、ラテン語では名詞が格によって活用します。
いろいろとですね。numerusに対してnumerと言いまして、これはラテン語の文法では奪う格と書くんですが、
要するにですね、in numberぐらいの副詞的な意味になるんですね。 名詞を脱格にすると副詞的な意味になるので、
現代の英語風に言えばin numberぐらいです。 数においてぐらいの意味になるわけですね。
このnumeroが直接ですね、これは17世紀半ばあたりなんですが英語に入ってきたということです。
このnumeroの省略表記が最後numeroですから、 最初の文字と最後の文字を取ってnoとなったということです。
したがってnumberとこのnoという省略表記ですね。 これの関係はいわば直形の親子関係ではないということです。
numberを表記上綴めてここには入らないわけですよね。 そうではなくてnumberとnumeroの共通の大元の祖先であるラテン語のnumerus。
ここは共通しているんですが、実は別経路で英語に入ってきたという意味では、直形の親子ではなく兄弟でもない感じですかね。
いとこ関係ぐらいの形だと。 なのでnumberから直接noという表記が省略という過程を経て出来上がったというわけではないというところがポイントなわけですよね。
いわば二重語といいますか、大元は一緒なんですが少し形を違えて、そして役割意味も違えて、別の経路で英語の中で合流したということですね。
入ってきた時代も少し違うわけです。
numberという方でbが入っていると言いましたが、このbが挿入されていない、直接ラテン語から入ってきた関連語というのはいくつかありまして、例えばenumerateであるとかenumerableであるとかnumericalのような単語ですね。
numeralであるとか、このような単語はbが入っていないということからして、ラテン語から直接入ってきたということがわかります。
このような関係でnumberでありながらnoと省略表記で綴られる理由ということになります。
英語の省略表記の例
このように、実はnumberをそのまま綴めてnoにしたわけではないというような類では、英語では省略表記にはいくつかあります。
例えば、多くの方が見たことがあると思いますが、ieと書きますね。
これはすなわちthat isくらいの意味ですね。
これはラテン語のidest。
文字通り、itというのがitとかthatの意味で、estというのがb動詞isです。
なので、idest。
これを省略してieと英語では使うんですが、実際には文章中に出てきたとき、これ何と読むかというと、ieと読まないこともないんですが、普通はthat isという意味を取って英語に翻訳して読みます。
このようなものがありますね。
私はこれをieのように読む場合はこれを音読み、そしてthat isと読み下してしまう場合は訓読みと言っています。
英語にもこの種の音読み、訓読みに相当するものがあるということですね。
他にはegというのもあります。
egと書いて、これはラテン語のexempli gratiaのためにということなので、これ意味的にはfor exampleですよね。
なので、このegをegとそのままと読んだ場合にはこれは音読みということになりますが、意味を取って英語でわかるようにfor exampleというふうに訳して読み下す場合、これを訓読みというわけですね。
これの場合、egとfor exampleはあまり似ていません。
さらにieとthat isもほとんど似ていません。
ですから、違うものなんだとわかりますが、numberの場合、このnoという表記にしてもnumberという語形にしても、大元をたたれば結局はnumerusという一つの単語に行き着くので、語頭のnというのは当然一致するわけですよね。
ですが、numberといったらこれは訓読みで、noのように書いた場合は一種音読みに相当するという、何らかといって共通の語源を持っているだけにnのところは共通してしまっていると。
だけど二文字目がnumberの場合はuで、書き言葉、表記の場合はoなので、これが消せないというような疑問になるのは当然のことかと思います。
このような背景があるということです。
この問題に関しましては、ヘログの750番、そして1042番の記事をご覧ください。
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