2025-06-20 13:29

heldio #335. cow と beef と butter が同語根?

#英語史 #英語教育 #英語学習 #印欧祖語 #軟口蓋唇音 #子音 #グリムの法則
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サマリー

今回のエピソードでは、牛(cow)、牛肉(beef)、バター(butter)の語源について深掘りしています。これらの単語が同じ語根であるという驚くべき事実を、比較言語学の観点から解説しています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル英語の語源が身につくラジオheldioでは英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれ
なかった英語に関する素朴な疑問に英語史の観点からお答えしていきます。 毎朝6時更新です。ぜひフォローして新しい英語の見方を養っていただければと思います。
語源の不思議
今回取り上げる話題は cow と beef と butter が同語根って冗談ですか?
という驚きの語源に関する話題です。 cow これ牛ですね。とりわけオス・メスということで言うんであれば
メスの牛ということでオスの牛と対立するわけですけれども、一般的に言うときは牛という一番普通の単語ですね。これが cow です。
そしてその肉がよく知っているようにビーフということになるわけですね。 そして牛から取れるミルク、ミルクから作られるバターが英語でもバターということですね。
関係があるのはわかる。 しかし cow、beef、butter
あんまり似てないなと。 beef と butter は b で始まっているところぐらいが似てますけれども、これ本当に同語根なのか
つまり語源がですね同じ一つの語根ですねに遡るのかということですね。 これは冗談のように見えて実は
比較言語学ではけっちりと証明されています。 とりわけ cow と beef に関してはしっかりと関連するということが証明されているんですね。
まず大元の形はどうだったのかと言いますと、 インヨー祖語、インドヨーロッパ祖語ですね。
紀元前4000年ぐらいには一様な言語だった このインヨー祖語と名付けられた言語なんですけれども、ここで牛を意味する単語ですね
グウォウス というような形だったと考えられています。
最初のシーンは字です。ガギョウンです。ガギグゲ語のグです。 グウォウスという形ですね。
こんな形だったと考えられているんですね。 これが何千年の音変化の結果、各言語で様々な音変化を経てですね
結果的にカウのような形になったりビーフのような形になったり バターのような形になったということなんですね。
このインヨー祖語の語根であるグウォウスに 後ろに何かつけたりして、派生したり変形したりしながらということなんですが、この最も重要な牛を表すグウォウスの部分は今回取り上げるカウ、ビーフ、そしてバターの一部にきっちりと受け継がれているという、そういう話なんですね。
では一語一語見ていきたいと思います。まず最も普通に牛を表すカウですね。 これなんかまあ日常的な英単語でかなり早い段階で英語学習でもですね、学ぶ単語の一つだと思うんですね。
カウということです。 これがグウォウスから来たっていうのは、これが実は一番よくわかるんじゃないかと思うんですね。
つまりまあ遠くない。 まず語頭のグって音ですね。これが無声音、濁らなくなればクックックって音になるわけですよ。
しかもグウォウスのこのオウという部分がですね、 現在のカウのこのアウという母音に最終的に対応することになる。
だいぶ長い年月をかけてですね、これだけの形になったわけなんですが、 このカウというのはグウォウスとこの3語の中では一番近いというように感じられるのではないでしょうか。
このカウというのは本来の英語ですね。 いわゆるゲルマン系からそのままアングロサクソン語、いわゆる古英語に受け継がれて、そして現代に至るということで、
純粋にその引用祖母からですね、ゲルマン系のルートの方を経由して今まで英語の中に残っているという、 そういういわゆる本来語と呼ばれるものですね。
古英語の段階ではクウというふうに、単にクウと発音されました。 これがダイボインスイという音の変化ですね。これはもう1400年から1700年ぐらい、ずっと後の近代語記なんですが、
発音の変化が起こってウウがアウになる。 だからクウがカウになって現在に至るということですね。
ドイツ語では今でもクウという、同じゲルマン語の仲間ですがクウと呼んでいます。 ちなみにこの単語、古英語でクウという形だったんですが、
これウムラウトで複数形を作る単語でですね、母音を変化させることで複数形を作ったんです。 つまりSとかが付くのではなくて、母音を変化させてどうなったかというと、クウという単数形に対してキューキューキューという形ですね。
これが当時の古英語の時代のですね、複数形だったんです。 結果的にキューがキーという形になります。
これだけでは複数形を表すのに足りないと感じられたのか、次の中英語の時期にですね、Nが付きます。
当時はNを付けて複数形にするっていうのがですね、結構多くまだ残っていて、現在では面白いことにオックス、オックスンというあれにだけ残っているんです。
これオウシですから、なかなか話は面白くなってきそうなんですけれども、オックスはこの今回扱っているグウォウスとはどうも関係ないようなんですけれどもね。
いずれにせよ、クーを複数形にしてキーだったものが、Nをですね、新たに付けてより複数形らしくしたのがキーン。
これがやはりですね、先ほどのダイボーインスインによってカインという形になって、現在でも実は方言なんかで未だに使うんですよ、カウの複数形として。
今だったのもカウズっていうのが標準的ですけれども、方言なんかでは古い複数形が残っていて、カインですね、K-I-N-Eと続いてカイン、これが残っていたりするんですね。
さて、次にBという単語です。これはBで始まっていまして、どうひっくり返ってもですね、グウォウスからこのBにならないような気がするんですが、これがなってしまうというのが面白いんですね。
このグウォウスというのは、綴りで書けばですね、GWみたいな音なわけですよ。このGとWが合わさって、このグウッグウッという音をですね、これは南高外心音というふうにですね、呼ばれるんですね。
音声学では南高外心音と呼ばれまして、グッという南高外音とウッという心音が一緒に合わさって発音されるということなんですが、これ心音のほうが勝るとですね、これウッウッウッとかウッウッウッとなって、最終的にブッブッブッBの音になっちゃうんですよ。
先ほどのカウの場合は、Gのほうがある意味勝ってですね、これが無声音化してクッとなったわけなんですが、グウッという音のウッ、Wのほうが勝ってしまうと、最終的にBの音になっちゃうということなんですね。
これがラテン語でですね、ボースという単語、あるいはボウエムのような形になるんですね。牛という意味です。実はこのボウエムというのはB O V E Mと書くんですが、ここから来たのが牛のという形容詞形のボヴァイン、英語のボヴァインです。
B O V I N Eと書きますね。これはあまりなじみのない単語かもしれませんけれども、一時期恐竜病というのが流行ったとき、BSE、BSEと言っていたんですね。あれはボヴァインスポンジフォームエンセファロパティという正式名ですね、正式の病名の頭文字を取ってBSE。
最初のボヴァインというのがまさに牛のということなんですね。牛の脳みそがスポンジ状になっちゃうという恐ろしい病気だったわけですけれどもね、BSEのBです。
さあこのラテン語の形、ボースとかボウエムという形がそのままフランス語に引き継がれると音を少し変えてですね、BEEF、BEEF、BEEFとなったわけです。そしてこれを中英語記に英語が仮てBEEFとなったわけですね。
BUTTERの起源
カリタ当初は普通に生きている動物の牛も表したんですが、食べる場合のですね、料理されてくるこの肉、牛の肉という意味に特化されて英語では、現代ではですね、生きた牛は普通刺さないんでBEEFというと牛肉のことになっていますが、こういう経緯があるわけですね。
そして最後にBUTTERです。BUTTERということですね。これがどうやってGUOを打つと絡むのかということですね。まず音としてはこのGUのWの部分ですね。Wの音が勝ってしまって最終的にBになるという点ではですね、先ほどのBEEFと同じなんですけれども、これはですね、ラテン語ではなくギリシャ語にそもそも遡るようなんですね。
BOOFという牛を表すギリシャ語の単語ですね。これにTUROSという形。これはチーズを意味したんですけれども、これが合わさってBOOTURONという形ですね。これがギリシャ語にあった。
これ牛のチーズですから、当然ですね、これBUTTERに近い意味に関係するということなんですが、これがラテン語にまず入ってですねBOOTURONという形。それがかなり早い段階でゲルマン語にBUTTERという形ですね。
小英語の場合にはBUTEREという形だったんですけれども、この形で入ったということなんですね。つまり究極的にはギリシャ語、そしてラテン語を経由して小英語の早い段階、おそらく小英語期というよりもですね、大陸時代というふうに考えられますが、この時代に早々と着用された単語だということなんですね。
としますと、BUTTERのBUあたりのところですね、この辺がGUOUSに対応する、つまり牛に対応するもので、BUTTERのTAの部分はむしろチーズを表す本来のギリシャ語だったということになります。
最後のこのBUTTERについては、実は偽説ですね。他の語源説もあったりしてですね、100%ではないかもしれないんですけれども、少なくともCOWとBEEFに関しては完全に対応関係が証明されているということです。
いかがでしたでしょうか。このCOW、BEEF、BUTTERという互いに形的にはですね、さほど似ていない。COWとBEEFなんかは全く似ていないと思われるかもしれませんが、比較言語学の手法を使って音の対応関係ですね。
それは音の変化っていうのをたどっていくと、逆方向にですね、昔に昔にとたどっていくと、一つの語源、語根にたどり着く。英語語根であるGUOUSであるということがわかってくるんですね。
このように、現代の単語、英単語ですね、をいくつか比べて、全く似ていないとしてでもですね、意味の関連なんかがあったりすると、語源辞典で調べてみると、実は驚くことに同じ語根に遡るんだということがわかったりする、そういう楽しさっていうのが英語語源学にはありますね。
逆に言いますと、形は比較的似ている。そして意味も似ているから、おそらく絶対関係するだろうなと思われるような単語が、語源を紐解くと全く無関係で、たまたま同じような似たような意味とか形になっていたっていう逆パターンもありますので、とにかく奥が深い領域です。それではまた。
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