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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
tomorrowの語源
今回取り上げる話題は、tomorrow, today, yesterday
という重要な三語についてです。
昨日の放送では、morningとtomorrowの語源と題して、特にですね、このtomorrowのこのmorrowという部分が、実はmorningのmornの部分と同語源なんだという話をしました。
これに、toという前置詞がついてですね、つまり朝に向けて、朝にというのが元々の意味で、前置詞区なわけですよね。
その前日の夜にですね、じゃあまた朝ねと言えば、これ明日のことになるというのと同じように、tomorrowというのは、明日の朝のことなわけですけれども、
広く明日全体を指すようになったというような、そういった語源の話だったんですね。
今回はそれを受けて、tomorrow, today, yesterdayというお互いに関係する語ですね。意味的に関係する語について語源を探りたいと思います。
さて、まずですね、tomorrowについて、今ざっとおさらいしたところなんですけれども、まだ付け加えるべきことがありますね。
もともとは前置詞toにmorrow、朝を意味するmorrowを加えてtomorrow、朝に従って明日という意味になるんだということなんですが、小英語の時点でもですね、
tomorgenneというく、前置詞くとして用いられていました。つまり前置詞くですので、副詞的な意味ですよね。つまり明日にという意味ですよね。明日にという意味であって、名詞としての明日、明日という意味はまだ芽生えていなかったということです。
ここ重要です。日本語では明日とか明日というと、これ名詞でもあり副詞でもありということで両用にそのまま使えるんですけれども、英語では役割が違っていますね。副詞としての明日に何々するという時と、明日は金曜日だという時のこのtomorrowの使い方っていうのは違っているわけですよ。
もともとはtoですから、前置詞くとして始まったっていうのがポイントです。これは小英語時代からあったっていうことですね。では、じゃあ明日、明日という名詞になったのはいつか。つまりtomorrow is fridayのような表現で名詞として使えるようになったのはいつかというと、実はですね、これは15世紀以降ということで結構新しい話なんです。
もともとはtomorrow、副詞的に使われる明日には小英語からあったにもかかわらず、これが明日という名詞として使われるようになったのは15世紀以降ということですね。やはり頭にtoがあるので、もともとは前置詞句、つまり副詞句なんですよね。これがそのまま名詞に使われるっていうのは確かに考えてみると妙だなという形になります。
この間隔はですね、ある意味では20世紀ぐらいまで続いてですね、本来はtoプラスmorrowということで2語合わせた前置詞句だったんです。ただあまりによく使われる句なので、これで一つの複合語として捉えられるようになって、表記上もですね、to空白morrowということで始まったものが、だんだんですね、to-morrowみたいに、
つまり2語だったものが1.5語というんですかね。to-morrowみたいな書き方で、1.5語のように綴られることが多かったんですね。
これ実はですね、このhyphenでto-morrowをつなぐという綴り字はですね、20世紀初頭まで続きました。その後、hyphenが脱落して、現代のように1語で綴る。空白もなければ、hyphenもない、to-morrowという形で定着したのは、20世紀初頭以降ということなんですね。完全にこの形で定まったのは。
という意味では、非常にゆっくりと発展してきた単語ということになります。結果として、現在、to-morrowはもちろん副詞であると同時に、名詞でもあるという地位が確立しています。
todayの歴史
さあ、同じことが実は、todayについても言えます。todayもよく考えると、to-morrowと一緒でtoという前置詞が含まれてますよね。それに対してdayです。
実際、古英語でこれありまして、前置詞としてto-day、当時の発音ではto-dayと言ったんですが、これですね。この場合のtoは、toというよりはonに近い意味だったんですけど、on the day、つまりその日に今日という意味ですよね。これが起源なんです。
そして、やはりto-morrowと一緒で、近代まで実は分かち書きされたんです。つまり、toとdayがスペースによって区切られるという形ですね。その後、実際には1語という間隔があるので、toとdayの間にhyphenがあって1.5語みたいな表記法になったんですが、やはりこれはto-morrowと一緒で20世紀初頭まで、このhyphenによる表記というのが続きました。
後に、現代のようにhyphenも取れて1語というふうに扱われるわけですけれども、確かに分解してみれば、これto、前置詞、たす名詞という形ですから、もともとは副詞句として始まった。つまり、今日にという意味で始まったのであって、あくまで名詞の今日、つまりtoday is Thursdayというような名詞としてのtodayの用法は16世紀以降なんですね。
近代に入ってからということで、これまたto-morrowと大体同じような路線をたどって進化してきたということになります。
さあ、to-morrowとtodayは、ある意味では仲間である。語形正常、大体同じような作り方で、しかもその後も、表記の仕方も含めて、hyphenがあったりなかったりというのも含めて、大体同じような路線をたどってきたんですけれども、1つ残されている単語はyesterdayですね。
これはもちろん、todayと韻を踏むので、dayが最後にあるという意味で、これも仲間じゃないかと思われるかもしれませんが、どうもyesterdayはだいぶ違う発達を遂げてきたんです。結果としてtodayと見た目はdayが最後にあるという意味で似たような形になっているんですが、実はたどってきた歴史はだいぶ違うんだということが調べてみるとわかるんですね。
この単語のまず第一要素は、このyesterdayという部分ですが、これは小英語にさかのぼります。
yesterdaynという形の連結形がありました。
yesterdayn、これも既にこれだけで昨日のという意味を既に表してしまっています。
それに対して名詞dayがくっつくということで、つまり昨日の日というような複合語がyesterdayという表現なんですね。
これ小英語です。yesterday、これが包まってyesterdayになったんですが、あくまでこれは形容詞プラス名詞です。
yesterdayn day、昨日という日という意味ですから、つまり小英語よりまず名詞だったということになります。
それがそのまま昨日にという副詞としても使われたので、つまり小英語より副詞、名詞兼用だったということになります。
思い出してください。tomorrow、todayはあくまでスタートは副詞であった、toがありますからね、全知識です。
そして名詞として使われるようになったのはあくまで15世紀、16世紀以降だということなんですが、yesterdayに関してはむしろスタートが名詞ということです。
それが小英語記からも既に副詞としても使われていたということで、だいぶ発達の仕方というか、発達というかオリジンですよね。
起源からして違っているというのがちょっと驚きではありますよね。
ということで、このyesterdaynというのはもともと、つまり小英語記から昨日のという意味を最初から持ってしまっているので、
これにdayだけではなくていろんな名詞がついて、yesterdayeveといえば昨晩ですよね。
yesterdaymorningといえば昨日の朝ですし、yesterdaynightといえばこれも昨晩、昨夜という感じですかね。
yesterdaynoonといえば昨日の正午、お昼。
yesterdayyearというと、昨日のというよりは一個前のという意味で、昨年という意味になって、このyesterdayというのが独立して形容詞として使われていたということがよくわかるんですね。
ではまた。