接続詞の使い方
おはようございます。英語の歴史を研究しています。 慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、 辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、 英語史の観点からお答えしてきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、 新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、 now that ― that を添えて接続詞を作ろう、という話題です。
これは何のことかと言いますと、この表題の now that というのは、 now というのは普通、 副詞、今、現在という副詞なわけですが、
これに that を添えることによって、 now that 全体で接続詞、 従属接続詞を作るという働きなんですね。
この後に、文、節が来るわけですよ。 that が導く節ということになりますが、
例えば、 now that you are a high school student, you must study hard のような文ですね。
実際のところ、 now that と普通、覚えると思うんですが、 この that 自体は省略されることもあってですね、
now you are a high school student, you must study hard のような、 that が省略されたものも、 交互なんかではよく現れますね。
他にはですね、やはり普通は副詞として機能する only ですね。 ただのという単なるあの only ですが、
これに only that という形で、これが接続詞になっちゃうんですね。
例えば、 he would do well in the test, only that he gets nervous のような表現ですね。
後に付け加えて、ただ何々なんだけどね、というような表現ですね。 この only that という接続詞があります。
他にはですね、例えば、 the instant that he saw the policeman, he fled のような文ですね。
the instant that この that も省略できるんですけれども、
何々の時っていうことですね。 何々の時、すぐに、as soon as に言い換えられるような表現です。
as soon as he saw the policeman, he fled というのとほとんど同じ意味です。
the instant という、いわば名詞、何々の時、 その時という名詞ですよね。
これに that を付けることで、全体として接続詞と同じ働きをさせるということですね。
接続詞を作るための that ということです。
今までの例はですね、特に交互では that が省略しても使えるというものなんですが、
省略できないものもありますね。 例えば in that なんていうのがあります。
これも単なる全知の in に that を付けることで、後ろにくではなく節を取ることを可能にする。
つまり全体として in that で接続詞にするということで、
何々の点で、何々のだからというような意味になりますね。
例えば例文ですが、
men differ from brute in that they can think and speak のような文ですね。
in that っていうことです。
この場合も完全に in that で一つのフレーズで、
この that は省略することができないというわけなんですが、
こう見るとですね、それほど使われないものもありますけれども、
本来単体では接続詞でないもの、典型的には副詞とか名詞、名詞句とか、あるいは全知詞ですね。
その後ろに節という形です。
目的語を取ることができない語を、ある意味強引に節続詞化するためにですね、
この that を添えるっていうのがあるわけです。
そして実際はですね、そういう機能の that なんですが、その that 自身も省略されると。
I think that…っていう時であるとか、あるいは関係代名詞の that のように、
まあ that っていうのは色々なところで省略されるわけですよね。
今回も同じようにですね、この節続詞を作るための働きをする that なんですが、
それ自身が省略されるということも実際には多くなって、
中英語におけるthatの役割
結果的にですね、元のその副詞なり名詞句なり全知詞なりと、
形が同じようになってしまうっていうものですね。
これは結構あるんですね。
英語詞ではこれをですね、
expletive that とか pleonastic that なんて言っています。
上長な、上慢な、なくてもいい that っていうことですね。
あってもなくても良い that というような言い方で呼ぶんですけれども、
いわばですね、汎用の従属節マーカーとして機能していたということです。
つまり that があると、この後に節が来るよと。
要するに that の直前に現れている単語と一緒になって、
これは接続詞なんだよっていうことを表示する役割って言いますかね。
こういう機能があるわけです。
これはですね、主に中英語記に芽生えた that の機能なんですね。
ですから現在ではですね、
例えば after なんていう単語はですね、
これもちろん単体で副詞でもありますし、全知詞でもありますね。
after 5 のような表現ですね。
それから接続詞でもあります。
例えば after I finish my homework のような言い方ですね。
つまり after は単独で全知詞でもあり、そして接続詞でもあるというふうに、
2つあるいは副詞も含めて3つぐらいの役割はあるんですが、
接続詞としての働きだよっていう時には、
中英語では after that のように that を付けることもできたっていうことです。
ないならないでいいんです。
現代と一緒です。
つまり全知詞であれ接続詞であれ、
after 単独でも機能するわけなんですけれども、
あえていくつか用法がある中で、
接続詞の用法だよっていう時には、
それを明示するためにですね、
つまり後ろに従属節が続くよっていうことを明示するために、
that を添えるということもオプションとして許されたっていうことです。
1語でやっていけるならですね、
じゃあわざわざ that を付けて2語にする意味はあるのか、
めんどくさいだけじゃないかと。
だからこそ expletive that、
pleonastic that のような、
冗慢な that と呼ばれているわけなんですが、
ただ中英語なんかではですね、
詞において一音節、
梅草として稼ぎたいっていう時があるんですね。
その場合、after ほにゃららとするよりも、
after that ほにゃららとすることで、
一音節増える。
この方が韻律的に都合がいいって場合があって、
これを非常に多様したんですね。
なので大多数の、
現在では接続詞でもあり、
そして前置詞でもあるというような単語、
after だけではなく、
before だってそうですし、
as もそうですね。
それから till, until、
それから for なんかもそうですかね。
前置詞としての for と接続詞としての for もありますが、
典型的に接続詞として使われる場合の for は、
for でもいけたんですが、
for that のように使われることも多かったってことです。
ですので、現在では that なんかそういう時には使わないっていうものもですね、
多く that と一緒に現れたっていうものがあるんですね。
ちょっと読み上げたいと思うんですね。
中英語でどれくらい接続詞を作る that っていうのが、
広く使われていたかっていう例としてです。
after that, as that,
because that, by that,
ear that, for that,
for to that, if that,
left that, now that,
only that, though that,
till that, until that,
when that, where that,
whether that, while that のように、
現在では単体で接続詞使えるでしょうっていう、
if とか when とか while ですら
接続詞として使われる場合に、あえてですね、
that を添えるっていうことがよくあったんですね。
その、いわば代表例がですね、
ジェフリーチョーサー、英子の父と呼ばれる
ジェフリーチョーサー、14世紀後半に活躍した詩人ですけれども、
その傑作、カンタベリー物語の冒頭が非常に有名ですが、
これは、
と言いますが、
何の時っていう、whenの節で始まるんですが、
この2語目が、
これ、thatのことなんですけどね。
このように、このexpletive thatがまさに使われている。
この非常に有名な傑作の冒頭ですね。
この第2語目がこのexpletive thatであるっていうことなんですね。
さあ、後にですね、近代記以降、このthatっていうのは余剰であると、
まさにexpletiveであるっていう理由で、多方消えていきました。
あるいは、今回冒頭で読み上げたようにですね、
つけなくてもいい、only thatであるとかnow thatのように、
つまりオプションという地にまで減退し、
で、多方はだいたいなくなることが多いですね。
ただ、in thatに限ってはどういうわけかですね。
どういうわけか、きっちりと残存しているって言いますかね。
接続詞として使う場合には、
このin thatのthatは省略できないっていうことになっています。
さあ、たまに現れるこの従属接続詞を作るための、
余分なthat、これを覚えておきましょう。
では、またね。