1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #230 日本語の主語は必須か? ..
2020-12-11 10:39

#230 日本語の主語は必須か? from Radiotalk

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始まりました、志賀十五の壺。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
さて、今回もお便りに回答する、お返しトークっていうことでね、やっていこうと思います。
こちら、ラジオネームゆうげんさんからいただきました。 差し入れと一緒にお便りいただきました。ありがとうございます。
いつも楽しく聞いています。日本語は難しいかの回で疑問に思ったことがありました。 日本語の文法がSOV型とおっしゃっていましたが、主語は必須なのでしょうか。
日常的に主語をつける機会が少ない気がしますし、学生時代に習った古文は主語がなく読みにくかった記憶があります。
素人質問で恐縮ですが、お答えいただけるとありがたいですということです。 どうもゆうげんさんありがとうございます。
こちらの質問はですね、全く素人質問でも何でもなく、むしろ言語学の主要なテーマの一つであるんですね。
結論から申し上げますと、確かに日本語の主語というのはその目に見える形で現れる必要はない、 つまり必須ではないんですね。
そういった言語を専門的にはプロドロップ言語とか言ったりします。
もちろんこれはね、日本語に限った話ではないんですよね。 英語とか見てるとね、どうしても主語って必要なんじゃないかとかね、
英語母語話者とかは特にそう思ったりするんでしょうけど、 そういった言語ばっかりではなく、日本語も
主語っていうのは必ずしも必要ではないということなんですね。 で、ひとまず主語が省略されているとか、文脈から推測できる
っていうのは、とりあえず脇に置いといて、今回は話を進めようと思います。 つまり、
例えばね、まあ何でもいいですけど、 太郎が家に帰ってきた、
お菓子を買ってきたみたいだ、とかね、こういったのは、 太郎が家に帰ってきたの後の文が、
まあ太郎はっていうのはなくていいですよね。 太郎はお菓子を買ってきたみたいだって、いちいち出なくていいと。
つまり前の文脈から容易に推測できるものは、とりあえず今回はなしにして話を進めようと思います。
というのも、まあこういうのはある意味でつまんないからですね。 文脈から推測できるからです。おしまいなので、それよりもうちょっとね
踏み込んだ話をしてみようと思います。 このプロドロップランゲージ、
03:01
つまり主語が出てこなくていいような言語っていうのは、他の言語だとね、 ロマンス主語に多いんですよね。
こういうのはスペイン語、イタリア語とかですね。 こういった言語もやはり主語は必須ではないんです。
フランス語はロマンス主語に入るんですけど、例外として扱われるんですよね。 フランス語は主語は普通必須なんですよ。
あるいはね、他の言語だとこないだ トークでお話ししたアラビア語とかトルコ語なんかも
主語が必須ではない言語なんですね。 つまりこれは語続は別に関係ないってことですね。
ロマンス主語はインドヨーロッパ系の言語ですけど、他の言語でもアラビア語や トルコ語でも主語は必須ではありません。
が、こういった言語で共通しているのは、 動詞に認証の一致があるということですね。
場合によっては認証と数の一致があるということです。 これは日本語母語話者の感覚としてなかなか捉えづらいものではありますけど、
英語にも一応仮責的にそういうものがありますね。 つまりこれは三単元、三人称単数現在のSというものです。
likeに対してlikesというものですね。 このSっていうのは何かっていうと、
主語が三人称の時につくものってことですよね。 ただ英語の場合はかなり限定的ですよね。
三人称かつ単数かつ現在の時にしかSがつきません。 皆さんご存知のように過去になった場合は動詞の形全部一緒になってしまいます。
さらにおかしいといえばおかしいのは、一人称というのは話して私のことで、二人称というのは聞きてあなたのことで、三人称ってそれ以外全部なので、
普通に考えると世界の物事っていうのは大抵三人称なんですよね。 なのでそのねー
大多数のものが主語の時に動詞の形を変えるっていうのは効率が悪いといえば悪いんですよ。
なのでよくあることとして、 三人称の時は動詞の形が変わらないけど、
一人称や二人称の時は動詞の形が変わるという言語の方が圧倒的に多いはずですね。 そういう意味でも英語ってちょっと変わってるんですよね。
これで先ほど挙げた言語、ロマンス系の言語、アラビア語、トルコ語みたいな言語は、 動詞の形がいちいち変わるんですよね。一人称か二人称か三人称かで。
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こういった言語は確かに主語をいちいち出さなくてもいいといえば出さなくていいですよね。
なぜなら誰がやったかっていうのは動詞の方でわかるので、
私が行くといった時にこの行くっていう動詞の形が一人称専用の形になっているので、
ある意味二回主語を言っているような感じですよね。そういう場合は行く単体で言ってしまっても主語っていうのはわかるので、
名詞の方で表す必要はないということなんですね。 こういうふうに考えると、
日本語ってどうなんだって感じですよね。 私が行く、あなたが行く、彼が行く、動詞の形は変わりません。
つまり日本語には人称の一致というものがないんですよね。
なのになぜ日本語の主語は必須ではないかというとですね、 忘れないうちに言っとくと過去のトークでちょっと関連トークがありまして、
そもそも日本語で主語とは何なのかっていうトークと、 あと今回のトークとかなり関係しているトークがあるので、その2つリンク貼っておきますので、
これ聞き終わった後でいいのでそちらも聞いてみてください。 なぜ人称の一致が動詞にない日本語でも主語が表れなくていいかというと、
まず第一に、 日本語の文というのは
一人称、主語がデフォルトであるからということなんですね。 これ関連トークの方で詳しく言っているんですが、
普通文脈何も関係なしにTシャツ買ったって言ったら、 当然これ私と解釈されるんですよね。
これはね、私はとか私がの省略ではないんですね。 というのが、私はTシャツ買ったとか、私がTシャツ買ったというと、
また別個のニュアンスがね、意味合いが追加されているはずなんですよ。 ということもあって、これは主語の省略ではなく、
主語が出てこないということは一人称主語であるということなんですね。 こういうことは他のことでも確かめられて、
例えば、 彼が怖い
と言った場合、これもやはり主語は一人称私としてしか解釈されないはずです。
つまりね、彼が怖いと言ったからといって、主語は彼にはならないんですね。
言うとしたら、彼が怖がっているとか、別の言い方をしなきゃいけません。
ある意味で、怖いに対して怖がっているっていう形は、三人称というか一人称以外と一致していると言ってもいいかもしれません。
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怖い単体だと一人称主語、怖がっているだと一人称以外主語みたいな感じですね。
なので、日本語に動詞の一致がないと先ほど言いましたけど、 ないこともないと言った方がいいかもしれません。
こういう怖がっているみたいなのを考えた場合ね。 あるいは敬語もそうですよ。
拝見するといった場合はこれ一人称主語ですけど、 ご覧になるといった場合はこれ一人称以外が主語ということになります。
つまり敬語っていうのは当然敬意を表すという機能もありますけど、 主語が誰なのかということを
表示しているとも言えます。 あとねー
〇〇してもらうとかしてくれるっていうのも認証に関わっていて、 つまり
教えてくれるといった場合はこれは主語は一人称以外を指しているということなので、 こういうやりもらいの表現というのも認証と関わっていたりします。
ということで、 日本語で主語が必須ではないのは、こういった動詞の方である程度認証が限定されていくからということになります。
まあね、そういう目で日本語を見てみても面白いんじゃないかなと思います。 というわけで今回はここまで。また次回お会いしましょう。
ごきげんよう。
10:39

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