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2024-11-21 09:56

heldio #124. cleric, clerk, Clark は3重語

#英語史 #英語学習 #英語教育 #2重語 #3重語 #ラテン語
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を癒やしなっていただければと思います。
今回取り上げる話題は、cleric, clerk, Clark は3重語、という話題です。
これ3つ異なる単語なんですね。発音で言うと必ずしも区別がはっきりしないかもしれませんので、あえて綴り字で言いますと、
まず最初のcleric、これはc-l-e-r-i-cということですね。これは正職者、牧師ということですよね。
次にc-l-e-r-k、clerk、事務員とか店員ですね。店の番をする店員というclerkというものがありますね。
もう一つは大文字のcで始めてl-a-r-k、これは小有名詞ですね。人の名前でクラークさんです。
clerkという3つの異なる単語ということになっていますが、大元は1つなんですね。
つまりこれ35ということになります。語源は同一なんだけれども、歴史の過程で少しつづりとか発音とかがずれてですね、意味もずれて、
3つ並び立っている、こういう状況ですね。これ35というふうに読んでいます。
ではもともと1つの単語だったものがどういった経緯でですね、この3つに分かれてしまったのかということを話していきたいと思うんですね。
まず大元はですね、これはギリシャ語のklerikosという、生殖者のという形容詞形ですね。klerikosというのが大元です。
それがですね、ラテン語に入りましてklerikos、klerikosという形に入りまして、そこからですね、ラテン語から小英語の後期です。
比較的早い段階です。英語史の中ではかなり早い段階で、このラテン語から直接ですね、このklerikosという形ですね。
生殖者という名詞として、この場合は入ってきたということなんですね。klerikosという形で二音節ですね。
これが生殖者という。中世ではですね、生殖者っていうのはそのまま神学者、神の学ですね。神学者でもあって、そして学者一般でもありましたので、生殖者の意味と学者という意味をよく使われました。
このklerikos、生殖者、学者ですけれども、近代になりますと学者っていうのは書く人、物書きであるという連想から初期、そして事務員というふうにやや世俗化した意味になってきますが、初期事務員という意味が転じて、さらにですね、定員という今最も普通の意味にたどり着いたということですね。
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最も普通のというのは、実はklerikという二音節ではなくて、使われるうちにですね、二音節目の母音がなくなって、結局klerkみたいな形が中英語記にですね、現代のclerkという一音節の単語ですね。
これが意味が転じて、最終的に定員とか事務員というふうになって、現代普通に使われている意味になっているわけですね。clerk、これで定員ということですね。本来の生殖者という意味はこのklerkには残っていない。あるいは少なくとも目立った、第一に現れる意味ではないということなんですね。
一方ですね、この生殖者の意味は、この二音節のklerkが担当しているわけですね。これは、小英語に借りられてから、この元の生殖者の意味でずっと現代まで連なっているかというと、そうではなくて、一回途切れてるんですね。
どうやらですね、近代になってから改めてラテン語から生殖者の意味で借りてきたということなんですね。だから小英語に確かにklerkという形はあったんですけれども、一回途中で途絶えてですね、あるいは先ほど述べたように一音節の形に短くなって、そして意味も生殖者から事務員、定員という意味になってしまいまして。
そちらの系統、klerkの方で生き延びてたんですが、klericは一度事実上死んでしまった感じですね。それが改めて同じラテン語のソースからですね、あの単語からklericという形で再輸入されたと、再釈養されたということですね。
これは現役である生殖者という意味で、現代でも使われるという、そういった具合なんですね。一方で、これ職業はそのまま小有名氏になるというのは非常によくある話ですよね。
同じように学者とか書記、物書きということで、klerkさんというですね、小有名ができるというのも全く不思議ではない。ただ、この場合ですね、綴り字が小有名のklerkさんの場合ですね、clarkとなってるんですね。
さっきの2つの単語、klericはclericということで、erの繋がりがありますね。同じように店員、事務員のklerkもerですよね。ところが、人名のklerkさんは普通arで綴るわけですよ。
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この辺りどうなっているのかということなんですが、実は英語詞においてですね、erで綴られる発音ですね。もともとは文字通りですので、er、erというふうに読んでいたんですが、これがrの前のこのeというのが、母音の位置が下がってですね、下の位置が下がってaに近い音になる。
つまり、aからanになるんですね。erだったものがarというふうに発音の変化を起こしたものが多いです。
例えば、今ではstar、星ですね。これstarでstarですが、古くはこれsterってerだったんです。これがsterだったのがstarというふうにarの音に化けたわけですね。
発音が変わったことによってですね、スペリングもそれについていて、今ではstarはstarだったりするんですが、この発音と綴り字が必ずしも連動して変わらなかったというケースがあるんですね。
この代表が実はこの事務員、店員の意味のclerkなんですね。clerkっていうことでclerkなんですが、発音自体は実はこれlがrになったんですね。sterがstarになったのと同じように。
ですからイギリス英語の発音では、これはerという綴り字を見てですね、想像するようなclerkという発音ではなくて、あくまでarという綴り字で想像されるような口を大きく開いたrの発音ですね。つまりclerk、clerkとなります。店員事務員ですね。
erと書いていながら、実はarかのごとく発音をしなければならないんですね。これは発音は変わったのに、綴り字が連動してarになってくれなかったからということです。starのケースとは違うということです。
ですから固有名詞のclerkに関しては発音がlからrに変わったのに従って、綴り字もarになってくれた。だから一致してるんですね。ですからこの事務員店員のclerkと固有名としてのclerkは全く同じ発音です。綴り字は違いますが。clerk、clerkということになりますね。
他に類例としては、例えばイギリスの都市の名前でderbyってありますね。これderbyなのであたかもderbyという発音かのように綴られるんですが、実際にはarの発音です。つまりderby、derbyですね。
同じようにberkshireっていうのもberkshireっていう風にerなんですが、あたかもarで綴るかのような発音をしなければいけないということですね。berkshire、berkshireっていうことです。
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こうして発音はlからrに変わったんだけれども、綴り字がついていったかついていかないかということで、ちょっとイレギュラーなことになってるんですね。
心臓を意味するheartも実は同じです。erではなくearと今綴ると思うんですが、これ実際上の発音はarと綴ったほうが良いようなheart、heartっていう発音になりますね。
さあ、このような形でですね。なかなか複雑な歴史をたどってcleric、正職者ですね。それからclerk、事務員、店員、それから固有名としてのclerkという風に、もともとは一つの語源だったものが三つに分かれていったということで、35の例でした。それではまた。
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