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2024-11-22 09:59

heldio #125. Oddly enough のどこが十分なんじゃ!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #副詞
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶應義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、
oddly enough のどこが十分なんじゃという話題ですね。
これは実は私自身の疑問で、ずっと気になっていたんですね。
oddly enough とか interestingly enough とか naturally enough で始まる文というのがあるんですね。
意味はわかるんですね。奇妙なことに、面白いことに、当然なことにということなんですが、
enough というのは何なのか、ずっと気になっていたんですね。
比較的最近ですが、これを調べる機会がありまして、調べてみた。
そうしたら、面白いことがわかってきたわけなんですが、
これは今回は私自身の抱く素朴な疑問に対して、少し調べたことのご報告ということになります。
これは英語としては非常にナチュラルなんですね、それこそ。
非常に自然な英語表現ということで、文頭に置かれることが圧倒的に多いんですね。
例えば、いくつか例文をこのまま読み上げたいと思うんですが、
oddly enough, many parliaments expect to modify government plans which takes time.
ということですね。奇妙なことにということで文を始めるわけです。
次ですね。
interestingly enough, even hens and rats have been found to consume more calories when they are offered a varied diet than when they are fed the same old thing all the time.
これは、興味深いことに、面白いことに、ということですね。
それから、naturally enough, those who commit crimes will tend to conceal their actions and protect themselves。
みたいな文ですね。
これも、当然なことに、非常に自然なことに、ということですよね。
典型的に文頭に言われることが多いんですが、こういうのを文副詞、文修飾の副詞と言いますよね。
言い換えれば、it is odd that…であるとか、it is interesting that…とか、it is natural that…というところですね。
これを少し強調的に言うのに、文頭に副詞を置くことで、そのものを命題と言いますかね、文全体に対する評価が最初に表現されるということで、
よく使われる表現ではありますよね。
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先ほどのように、話し言葉で言うとですね、少し抑揚、イントネーションというのがあって、
oddly enoughとかinteresting enough、naturally enoughみたいに言ってですね、少し抑揚をつけて、
しかもそこにちょっと後にポーズが置かれますよね。
なので、文副詞だということがわかるということで、効果的なわけなんですけれども、
イントネーションがあるのであれば、enoughは必要ないんじゃないかと。
実際通じると思うんですね。
oddly…とかinterestingly…とかnaturally…といえば、これ文副詞ということはわかりますので、
enoughはなかったらなかったで、ちゃんと通じるということになりますね。
ところが、このenoughが添えられるんですね。
enoughといえばこれ、十分にということですよね。
もちろんその意味はとてもよくわかるんですけれども、何に対して十分にというのかと。
これ突っ込みたくなりますよね。
それだったら、very…とかvery oddly…とかvery interestingly…と言っても良さそうですよね。
後ろにenoughを付ける必要はないというか、むしろ何で十分なのということが気になってくるんですよね。
十分なってよくわからない訳なんですけれども、これが非常に自然な英語の表現としては定着しているということなんですね。
ここに関心を持ってちょっと調べてみたことがあります。
まずこのタイプの○○enoughですね。
だいたい○が付く副詞で、文頭に立つことが圧倒的に多いと。
ただそれ以外のところに出る、文中辺りに出るということもあるにはあるんですね。
ただだいたい文頭に立つということですね。
しかも限られているんです。この○○enoughの○○に当たる部分っていうのは、
ヒット数の多い順にコーパス調べたんですけれども、こんな感じなんですね。
ちょっと読み上げますね。
こんな感じですね。評価的な形容詞っていうんですかね。
ゆるく言って、評価を表す形容詞に○が付いて副詞なわけですけれども、
それに○○enoughっていうのが多いわけですね。
語法としてはそういうことなのかと分かった。
文法的にも、これは文収拾の副詞ということで、文全体、その後に来る命題全体にかかって、
言い換えれば、it is対応する形容詞、that○○というのに近いということですね。
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この○○enoughっていうのは何で○○なのかっていうのはずっと気になってたっていうのが、
今回の素朴な疑問なんですね。十分にって何かっていうことなんですね。
これをいろいろ調べてみますと、例えば、ジーニアス英語大辞典ですね。
これで○○enoughで調べますと、こういう用法での○○には十分にという意味はほとんどない。
非常に希薄であると。ある種、この決まったフレーズっていうか、
構文を作るための材料に過ぎないお飾りだっていう言い方なんですね。
同じようにOED、Oxford English Dictionaryを引きますと、やはりこの用法について記述がありまして、
こういう説明がありますね。
With the idea of satisfying a requirement reduced or absentということで、
本来の十分にという意味がかなり薄まった状態で使われるのがこの用法だということですね。
いろいろな権威ある参考書では、意味はないんだと、かなり希薄化してるんだというような言い方で、
説明してるっていうことですね。
じゃあ、英語史の立場からですね。
これは本当に昔からあるのかと。
Enoughというこの副詞自身は、古英語からあるんです。なので非常に古い。
だけどこの用法ということでいうと、どれくらい古いんだろうかと思って調べてみますと、
実はこの用法での書類が1704年となってるんです。
新しいですよね。せいぜい300年ぐらいということです。
後期近代英語ですね。
つまり、単語自体、Enoughの単語自体は古英語に遡りますけれども、
この使い方、文習色の副詞としての使い方は、せいぜい300年ぐらいということがどうもわかってきたんですね。
最初の例はですね、1704年なんですが、Whimsically Enoughっていうね。
気まぐれなことに、気まぐれなことにということで初めて出てきたんですね。
その後ですね、コーパスなんかで調べてみますと、やはり18世紀、19世紀、20世紀とどんどん増えていきます。
このEnoughの前にくる、〇〇、Enoughの〇〇も種類がどんどん増えて、
一種の公文化って言いますけれども、
イディオマティックな表現がですね、どんどん増えてくるっていうことですね。
意味的に分類しますと、驚き奇妙タイプですね。
驚いたことに、奇妙なことにってやつとか、
他には適切良きタイプであるとか、満足不満タイプとか、幸運不運タイプとかですね。
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いくつか意味的に分類するといろいろあるんですが、どんどん増えてきた。
このEnoughは、やはり使われるうちに、もともとは十分にとかとてもっていう量の大きいことをですね、
匂わせていたんでしょうけれども、一つはですね、公文的な一つの材料になり下がったというんですかね、
ということがあると思います。
意味というよりも、リズムの方が重要だと思うんですね。
Enoughって面白い単語で、いっていうのは弱い音節ですね。
どうにでもなるんですよ。消えたりもする。
ところが、二音節目のEnoughとOffで、ここに強調が入りますよね。
なので、リズムが取りやすいんです。いろんなものにくっついて。
例えば、Oddly enoughとか、Interestingly enoughとか、Naturally enoughっていうね、でんでんでん、うまくいくんですね。
英語のリズムにはまったらいいです。ではまた。
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