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2025-03-16 03:55

hellog-radio #11. なぜcarelessの反対はcareful?

#英語史 #英語学習 #英語教育 #接尾辞 #形容詞
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サマリー

エピソードでは、carelessの反対がcarefulである理由を探求し、carelessの「less」とcarefulの「full」の語源的な違いについて解説しています。

carelessとcarefulの疑問
英語に関する素朴な疑問。なぜcarelessの反対はcaremoreではなくcarefulなのですか? という疑問なんですが、これを初めて聞いたときに、ものすごい質問だなと思いました。
考えたこともなかったということですね。 ですが、言われてみれば、確かに考えさせるところがありました。
carelessですね。careたすlessというふうに語形性上、分解できるわけなんですが、lessという非格級の反対はmoreではないかと。
であれば、caremoreとなって然るべきなんですが、実際にはcarefulであると。 同じように、fullに対してlessというこの節微字の関係はいくらでも見られますね。
colorful、colorlessのように、fullに対してlessが対応しているということになります。 lessというのはご存知の通りlittle, less, leastとかfew, less, leastという形で非格級として使われる。
一方、moreの方はmany, more, most、あるいはmuch, more, mostということで、こちらも非格級なので、この2つ、lessとmoreが対立するというなら分かる。
ところが、careful、fullなわけですよね。 fullというのは、節微字ではfulとl1個ですが、もちろんこれを展開すれば、形容詞としていっぱいの、たくさんのというfullに由来することは明らかですよね。
ですが、このfullは決して非格級ではなく言及なわけですよね。 非格級であればfulllessですから、fullerとなるはず。
この点でもどうもバランスが悪い。 carelessとcarefulというのは、うまくいっていないように思われるわけです。
これはどういうわけかということですね。 種明かしをしますと、実はこのcarelessのlessは、見栄えこそlittle, less, leastのlessと同じですが、実は語感が全く違うんですね。
語源が違うということです。 節微字も発音もほぼ同じなので、騙されてしまうところなんですが、
形容詞の非格級としてのこのlessは、小英語ではlessという発音、語形でした。 一方、この節微字としてのcarelessのlessというのは、小英語ではraresというふうに異なる形態を示していたんですね。
ということは、これ語源が遡ると違うということなんです。 それが後の時代、小英語までは異なった発音だったんですが、中英語期以降に、これが同じ形にたまたま合一してしまうということなんです。
このcarelessのような節微字としてのlessは、実は語源的にはlittle, less, leastのあのlessと繋がるというよりは、むしろ全然違うloseとかlose、loss、つまり無い、失う、欠除している、そちらのほうの意味と繋がるわけです。
つまりcareというのは注意深さですから、注意深さが欠除している状態がcareです。それに対して注意深さがfullな状態がcarefulということなので、このlessとfullはきれいに対応関係、対義関係にあるということです。
ポイントは、形容詞の比較級としてのlessと節微字としてのlessは、実は互いに無関係の別語源なのであるということになります。この問題に関しては、3699番の記事をご覧ください。
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