lastの意味と語源
英語に関する素朴な疑問。なぜ last には、最後のと継続するの意味があるのですか。
last という単語は、普通2つの異なる見出しで、辞書に掲載されています。 よく使う方は、最後の、最後にという順番について言う形容詞、副詞の last ですね。
例文を挙げましょう。
のように、最後のという意味で使うわけですよね。 あるいは、最後に。
もう一つは、時間の継続を表す、持続する、継続する、続くという動詞の last です。
例えば、
のような文ですね。 続く、持続するという意味です。
順番であるとか、時間について言われるという点で、共通点があるような気もするので、何か関連しているのか、していないのかということになりますが、語源的にはどうなのでしょうか。
答えとしては、語源的に全く関係はありません。 まず、形容詞、副詞の方から見てみましょう。
こちらの last は、語源としては、late の最上級の形態です。
普通ですね、late と言いますと、現代語では、late、later、latest そのまま、er、est をつけるという形がありますが、もう一つ
比較級最上級の形態がありまして、late に対して latter、last
主に順番について言うときには、こちらの後者の late、later、last というものが使われます。
小英語の lat これは、slow ぐらいの意味ですね。ゆっくりとした、遅れたという意味で、
lat これが、late の語源ですが、このような形容詞がありました。 この最上級型がですね、latost という形でした。
ラットに ost をつけたんですね、ラットスト。 ところが、この ost の o がですね、
なくなって、ラプストみたいになります。ラプストみたいですね。 最後には、この一つ目の t が消えて、結局、ラストになってしまいます。
この形容詞、副詞のラストは、あくまでこのストの部分は、最上級の語尾としてのストであって、
もともとの語幹の一部ではないということですよね。 これが音変化によって、最終的に中英語大きいぐらいまでには、
ラストという形になってしまった。 これが形容詞、副詞のラストの成り立ちです。
動詞lastの関係性
一方、動詞の方ですが、動詞の last これも、やはり小英語の単語にはさかのぼります。
しかし、これはですね、最初から last tan という形の動詞で、後に続く、そして持続するという意味だったわけですね。
この last tan という動詞の形の、このストの部分は、もともと語幹の一部です。
何かの語尾というわけではないので、そもそも、この形容詞、副詞のラストと動詞のラストというのは、全く違うところに語源を持つということがわかります。
この動詞の方の小英語 last tan の最後の an にあたる部分が、やがて消失し、中英語期までに発音が last となったと。
その結果として、音変化の結果として、この2つの全く異なる起源の単語が、音声的に合一してしまったということになります。
この動詞の last についてですが、実はあまり知られていない英単語なんですが、やはり同じ綴りと発音でですね、靴の型、靴の修理の際に出てくる靴型ですね。
これのことを表す last という名詞があります。
ただ、これと関係があるようです。
もともと足跡という意味で、足跡をつける、跡を追うというような形から、跡に続く、持続するということで、この靴型の last と動詞の last は関係しているようですが、少なくともこの最後の意味する last との語源的関係は全くないということです。
つまり、両者は共にゲルマン語系の単語で、公英語にその原型、元となる形が存在しましたが、実際には全くの別語源。
音変化の結果、たまたま同じ形になってしまったというだけですね。
このような語を、同音異義語、あるいは同音同綴り異義語、ホモニムと言っていますが、ラストというのはこの典型的な例ということになります。
ラストのような同音異義とその周辺の話題については、286番の記事をご覧ください。