1. 英語史つぶやきチャンネル (heltalk)
  2. heldio #182. egg 「卵」は古..
2025-01-18 10:00

heldio #182. egg 「卵」は古ノルド語からの借用語!

#英語史 #英語学習 #英語教育 #古ノルド語
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767
00:01
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、egg 卵は古ノルド語からの借用語!、という話題です。
昨日の放送では、古ノルド語からの借用語がなかったら英語は話せない、と題して、いかに多くの英単語が、実は起源を遡ると、古ノルド語、英語ではold north という言語名ですけれども、
いわゆる北欧のバイキングたちの母語ですね。この北欧の言語から入ってきた英単語というものがですね、どれだけ多いか。
現代の標準英語の中にも900語ぐらいは、少なく数えてもですね、残っている。しかも日常的で必近な単語がたくさん含まれているというのが特徴だということをお話ししました。
その際に、今有名な英語学者、英語史研究者である、デンマーク出身のオット・イエスペルセンという学者ですね。
彼が述べている、英語の語彙の中における古ノルド語の重要性といいますかね、これを表現するのに、こんな英文を書いているんですね。
昨日も述べましたが、もう一度読み上げたいと思います。
スカンジナビア系の単語、つまり古ノルド語からの釈用語のことですけれども、これがないと英語は成り立たないというようなことを、こういった今引用した表現で強調したということですね。
これはイエスペルセンの名著、英語史の名著と言っていいと思うんですが、Growth and Structure of the English Languageという本の中で述べられている感想といいますかね、コメントということになります。
さあ、今の文の中にエッグという単語が含まれていますね。もちろん卵ということなんですが、このエッグという日常的で非近な単語ですね、これもやはり古ノルド語からの釈用語の一例であるということで挙げたわけなんですけれども、エッグですね。
この基本的な単語なわけですが、古ノルド語と英語が接触する前ですね、バイキングがイングランドに侵攻する前には、本来の英語では卵のことを何と言ったかというとちゃんとあるわけですよ。
03:04
これがですね、エーイというような単語でした。エーイですね。それに対しても新しく入ってきた古ノルド語から入っていた単語はエーグということになります。
さて、この古英語も古ノルド語も究極的にはですね、同じゲルマン系の言語なわけで、遡れば一つの語源ですね、祖語にたどり着きます。
実際ですね、この卵を意味する単語もエッグに近い形で大元があったわけですよね。これをそれほど大きく形を違えずに継承したのが古ノルド語でエッグというわけです。
それに対して英語ではですね、この西ゲルマンの英語ではこのグっていう音ですね、この硬い音が柔らかい音、難音化するって言うんですが、このYですね、Yの音、つづりで言うとYで表すとピッタリくるような夜行シーンですね。
なので、エッグのグが難音化してYに近い音になって、エーイとかエーイという形で英語には伝わったということで、聞いた感じはですね、エッグとエーイは違うように聞こえますけれども、もともとは同じ単語だった。
それが少しずつ音変化の結果ですね。とりわけ今回の場合は英語でグの音が難音化してYの音になるという変化の結果、これぐらい分かれてしまったということなんです。
エッグ、これが北欧語ですね。そしてエーイ、これが本来の小英語ということになります。
さあ、このような関係だったんですけれども、バイキングとの接触によってエッグがイングランドに持ち込まれる、英語に持ち込まれることになりますね。
ただ、もともとあったエーイがですね、すぐに駆逐されてしまうかというと、そういうことにはならなかったんですね。
バイキングがイングランドを侵攻したと、そしてこの地に停住して、語言語的影響を及ぼしたということなんですが、あくまでイングランドの北部とか東部限定なんですね。
バイキングが攻めて入ったのは、このまさにイングランド北部東部ということで、そこにはコンオルド語の痕跡を残し、実際北部方言ではエッグという形で中英語ぐらいには使われてたんですね。
ところがこの中英語になってもですね、南部方言、バイキングの影響がそれほど強くなかったエリアではですね、相変わらず小英語由来のアイというのが使われていたんです。
つまり大雑把に言えば中英語大きいですね、それからその次の時代までずっと続くんですけれども、実際には北部でエッグ、北欧系のエッグ、それに対して南部で本来の小英語であるアイ、これから母音が変わってエイとかアイとかこんな形になるんですが、こういうふうに分かれてたんですね。
06:13
ある意味では北と南の方言を隔てる一つのキーワードになるわけです。北ではエッグ、北欧系、南では本来の小英語であるエイという形ですね。
さらに言いますと複数形、複数形はですね、北部の北欧語由来のエッグは順当にデフォルトのSをつけるだけです。当時はまだESだったんで、エッゲスみたいな感じですね。
現代語のエッグスに当たるので、全く我々にとって不思議ではない、馴染み深い形ですよね。一方南部の方はエイという形だったわけですが、これは小英語の時からちょっと面白い複数形の形を取るんですね。
Sではなくて語尾にRが出てくるんです。小英語の形で言いますと、単数形、普通の形がエイということは先ほど述べた通りなんですが、これにですね、複数形はRがついて、さらにUという語尾もつくんですね。つまりRUがつくんです。
つまりアイという単数形に対してアイルというふうに、これが複数形なんです。Rが出てくるというのがポイントで、これは小英語でも数少ないタイプの複数形の作り方なんですが、実はこれ、現代英語にちらっと残っています。
これは何かというと、Childに対するチルドゥレンのあのRです。REとなって、今ではその後にさらにNがついていますけれども、これは元々はチルドゥルというふうにRUをつけたんです。
つまり卵と子供というのは同じタイプの、少ないながらもですね、ある一つのタイプの名詞であって、複数形を作るときにRUみたいな語尾をつけるというタイプだったわけですね。
これが中英語記になると、Rだけで複数形を作るという単語が元々少なかったこともありますし、それにさらに複数形のもう一個の語尾であるNですね。これをつけてアイレンとしたりですね。
あるいはチルドゥレンとしたり、この元々Rを持っていたものもですね、さらにその後ろにNをつけることで複数形だよということをさらに明示したという形になりますね。こういう形が出てくるんです。
なので中英語では大体このRだけじゃなく、RENみたいにNも現れますね。なので北部ではエゲという形、そして南部ではエイレンみたいな形になるということです。
09:04
つまりですね、小英語ではRという語尾をつけて複数形を作る少数の単語が存在したということと、もう一つはですね、Nをつけて複数形を作るというのも、これもそこそこ実は存在したんですね。
現代ではもうほとんどS、一辺倒になってしまっていますが、例えばオックスに対してオクセンですね。これオウシの複数形はオクセンという風にENをつけますが、これも小英語の複数形を作る一つのやり方、Nをつけるっていう、あれの生き残りという風に考えられます。
卵という非禁で日常的な単語一つを拾ってもですね、ここにコーノルド語が出てきたり、音の変化があったりですね、複数形の作り方がいろいろあったんだっていうような、英語史上の話題がですね盛りだくさんということで、今回取り上げてみました。それではまた。
10:00

コメント

スクロール