2025-11-17 20:36

#485. 関係代名詞の歴史 ー 意外と遅かった who

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に #関係代名詞
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サマリー

このエピソードでは、関係代名詞の歴史について特に「who」の出現が遅かったことに焦点が当てられています。古英語時代から関係代名詞は存在していましたが、疑問詞と同じ形の関係代名詞が近代に普及するまでには長い時間がかかりました。「who」に関する歴史や使用法が語られ、特に古英語や中英語との関連性が説明されています。また、一般の人々を表す言い回しの起源についても触れられ、リスナーからの質問への回答を通じてさらなる考察が促されています。

関係代名詞の基礎
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
9月28日水曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 英語の語源が身につくラジオheldio。本日の話題は、関係代名詞の歴史
意外と遅かったwho、です。 どうぞよろしくお願いいたします。今日は文法の歴史ということでですね、話題は固めなんですけれども、関心のある人も多いと思うんですね。
関係代名詞と言いますと、 今、whichとかwhoとかthatっていうのが思い浮かぶと思うんですね。
それからwhoseとかwhomなんていうのもありますけれども、典型的なのはこのwhで始まる、いわば疑問詞と同じ形のものと、それからある意味オールマイティーな、いつでも使えるというような便利なthatっていう、このあたりが代表的かと思うんですね。
英文法を勉強していると、このあたりの使い分けっていうことが問題になってきて、thatっていうのは確かに先行詞が何でも使える、どんな場面にでも使えることが多いっていうことで、比較的よくですね、実際にアメリカ英語なんかでは使われるわけなんですけれども、先行詞を選ぶ関係代名詞としてwhich、whoっていうようなwh系があるんですね。
whichっていうのは典型的に先行詞が物である、そしてwhoっていうのは先行詞が人であるというふうに、だいたい使い分けをするということですね。こんなことが言われます。
それから、レジスター、つまり使われる文脈であるとか、formalityですね。硬さ、柔らかさ、それから話し言葉、書き言葉というものによって、この使い分けがですね、微妙に変わってくるっていう、分体的な使い分けの基準っていうのがあったりしますよね。
それから、制限用法と非制限用法というような区別がありまして、which、whoっていうのはどっちの用法にも使えるんですけれども、thatに関しては制限用法のみといった、結構ですね、細かく見ると複雑な使い分けっていうのがあるわけですよ。
このような複雑なルールもですね、歴史の中で育まれてきたということもありますし、そもそもですね、このwhを使う関係代名詞であるとか、thatを使う代名詞っていうのも、英語の最も古い段階からあったわけではなくて、やはりこれ自体も歴史の途中で現れてきたっていうことなんですね。
では、関係代名詞というものですね、これ自体が英語になかったかというとそういうわけではなくて、英語にもあった。ただ、使われる語、関係代名詞として使われる語が今のようなwhkでもなければthatでもなかったということで、いろいろとですね、変遷してきたんです。
そして、その中で使い分けみたいなものも細かく分けられてきて、今あるルールみたいなものになっているということで、これだって絶対ではないんですね。揺れ動く可能性のあるものだと思います。
古英語から中英語の変遷
したがって、現在ルールだっていうふうに決まっていて、英文法なんかで学ぶことになっているものもですね、時間の中でゆっくり出来上がってきたし、今後も変わっていく可能性があるっていうことは常に念頭に置きつつ、今の時点ですね、2022年と時間を止めて、いわば輪切りにしてですね、そのルールを見ているに過ぎないっていうことなんで、本当は動的なものなんですね。
動くものということ。これは前提に非常に駆け足ですけれども、ざっと関係代名詞の歴史を振り返ってみたいと思います。
まず、関係代名詞で2つの、いわば説をですね、組み合わせるっていうことで、なかなか高度な文法なんですよね。なので、一見するとですね、近代になってから現代になってどんどん発達してきたというふうに思われるかもしれません。
つまり、古代中世ではそんな複雑なことは起こらなかったんだけれども、文明が発達するにつれて、歴史が進むにつれて、このような複雑な統合構造っていうのが発達してきたのではないかと。一見するとそう思われるかもしれませんが、これは事実ではないんですね。
すでに、古英語の頃からきちっと関係代名詞っていうものは、もうすでに整備されていました。今よりも、ある意味ではですね、いろんな方法があり、しかも細かくですね、先行詞によって異なる形態を関係代名詞自体が取るというようなこともあってですね、ある意味ではもうすでに花開いていたんです。
そしてですね、これは古英語の文法を少し入り込んで勉強しないとわからないんですが、ものすごくわかりやすく単純化して話をしますね。古英語にはいくつかの種類の関係代名詞があったんですけれども、基本はですね、座に相当する、いわゆる定感詞です。定感詞に相当するものを活用させて使っているっていうことが多かったんですね。
座は今では定感詞座一つですけれども、実際にはこの座もですね、例えば同一語なんかをやっているとですね、わかると思うんですが、男性、中性、女性ということですね、性っていうのがありますし、さらにですね、格っていうのがあります。
古英語の場合には主格、属格、予格、対格、それから愚格なんていうのもあったんですが、文の中での役割に応じて座の形がいろいろ変わると。それから単数、複数っていうのもありますね。座自体がかなり様々な活用をしてですね、異なる形を持ってたんです。座以外に。
これをそのまんま関係代名詞として使っているという状況ですね。これが古英語の最もよくあるパターンの関係代名詞だったんです。つまり座を使っていたってことですね、関係代名詞に。その一つの形、様々な形あると言いましたが、座が活用した一つの形が実は座となんです。
後にこの座とが一人歩きして、あれとかあのって意味もありますけれども、今では汎用性の高い何にでも使えるオールマイティーな関係代名詞として使われていますが、起源としてはこの辺りにあるんですね。座の様々な活用形のうちの一つがたまたま座とだったっていうことです。この系列っていうのが今に至るまで今の座とですね、これに続くと。こういう流れがまず一つあります。
古英語にはこの座に相当するものを使う関係代名詞っていうのがまず一つのタイプとしてあったんですが、他にもですね、2、3種類タイプがあったんです。
ところがこれはですね、次の中英語くらいまでには残っていたものもあるんですが、その先の近代英語とか現代英語までには残っていないということで完全に死滅してしまいました。
今に繋がっていないっていうことで当面ですね、説明は割愛しようと思うんですが、いくつかあった中の生き残りの一つが座の一形態である座とということ、これが今まで繋がっているっていうのはこれがまず大きい軸としてありますね。
このように古英語では様々なものがあったのに、結局ですね、次の中英語時代に受け継がれたのはざっとぐらいのもんだっていう話になるわけですよ。
そうすると急に豊かだったものが貧しくなるので何か補う必要が出てきたってことですね。
ここに入り込んできたのが疑問詞と同じ形、つまりWHKなんです。これが徐々に関係代名詞の働きもするようになって食い込んできます。
まずはですねウィッチってのがきますね。その後にフーズというのがきます。それからフームというのが現れます。これがだいたい12世紀くらいなんですね。
そしてしばらく時間を置いて15世紀くらいになってフーが出てくるんです。
つまりフーというのは今では普通にですね先行詞が人の時に使う関係代名詞としてメジャーなものの一つなわけですけれども、これが出てくるのは非常に遅くて15世紀。
しかもこのフーを含めてもう少し早かったウィッチ、フーズ、フームのようなWHK、疑問詞と同じ形っていうのは中英語記に現れたとしてもそれほど盛んに使われていただけではなくてですね、大して目立たなかったんです。
ようやくこのWHKがそれなりに使われてくるっていうのは近代に入ってからです。1500年以降のことなんです。
しかも最初のうちはですね今のようなウィッチとフーの使い分けみたいのはありません。
ウィッチで先行詞がですね、ものだけじゃなく人ってことも非常によくありました。むしろ普通なぐらいです。
フーというのは非常に遅咲きでですね、ようやく今フーの形になったのはせいぜい17世紀になってからっていうことなので、その歴史は決して古くないっていうことです。
聴衆からの反応
関係代名詞という語類そのものは英語からずっとあるんですが、それを担う単語というのはどんどん移り変わってきた。そして今があるっていうことなんですね。
この数日間にいただきましたコメントを紹介したいと思います。
まずはシュガーさんです。482回のTuesday Wednesday ThursdayにはSがあるけれど、FridayにはSがない。
これは何でかという疑問にお答えしたわけなんですけれども、これに対してです。
とても興味深く拝聴いたしました。問いは素朴であるほど面白い。本当にその通りだと思います。とても衝撃的で感動しました。
ということですが、コメントありがとうございました。
これ全く同じなんですよ。私もこの質問ですが、Tuesday Wednesday ThursdayにはSがあるけれども、FridayにはSがない。なぜかって言った時に、完全に意表をつかれてまさに衝撃的で、そして感動的になったということでですね。
すべては問いから始まる。問いが良ければ良いほど、回答も切れ味の良いもの、含みのあるものになるっていうことですね。これは本当にその通りだと思います。
私もこの質問をする感性が欲しいなと、本当に羨ましい限りなんですけれどもね。皆さんドシドシと質問を寄せください。
それから483回B動詞の謎1につきまして、Qさんからコメントをいただきました。読み上げます。
B動詞の話、とても興味深かったです。話の途中に出てきたbecomeについて質問があるのですが、○○になるという日本語を英訳するとき、いつもbecomeにするべき?と悩んでいました。
今回、先生はbecomeだと意味が強すぎるのであまり使わないとおっしゃっていましたが、逆にこういった場合はbecomeを使うというようなものはあるのでしょうか。
関係代名詞の歴史
あと、becomeは字から推測するにbeとcomeがくっついてできたと思うのですが、becomeの語源についても教えてくださいということです。
Qさん、コメントご質問ありがとうございました。
Bに対してbecomeというのはやや強いという言い方をしたんですけれども、実際には使わないわけではないようなんですね。改めて調べてみますと、what do you want to become in the futureと言っても特に違和感はない。
ですので、Bよりも意味が強いというのは、もう少し慎重に私も調べたり調査してから述べなければいけなかったかなということで、どういうふうに使い分けるのかというと、これ少し調べてみないとわからなそうですね。また考えさせてください。
語源については、確かにおっしゃる通りbeとbecomeなんですが、このbeというのはbe動詞のbeではなくて、接頭詞としてのbeですね。どちらかというとbyなんかに近いものなんですけれども、動詞の頭にくっついて意味を強めるとか多動詞化するみたいなときによく使われていてですね。
公英語なんかでは現在よりもずっと多くの単語に動詞にbeがついたわけなんですが、この場合、comeの強めって言いますかね。来るに対してやってくるであるとか迫ってくるとか、プラスアルファのニュアンスを込めて言うときのcomeですね。
これに相当するのがbecomeっていうことで、必ずしも〇〇になるという意味がメインの意味だったわけではないっていうことなんですね。
今では最も普通の意味が〇〇になるということで、私たち記憶しているわけなんですけれども、他にも例えばですね。
そんな行動はあなたらしくないみたいなですね、言い方として。
のような使い方もありますし。
彼、どうしちゃったの?みたいな言い方ですね。彼に何が起こったの?というような100分ぐらいの意味があって、この場合、やはりcomeの強めというような感じがするわけですよね。
決して〇〇になるだけの意味ではないっていうこと、なかなか頑竹のある動詞で、これは語源的に古英語、中英語とたどっていくと、いろいろとですね、意味の文化発展っていうのがわかるんではないかと思いますね。
機会があれば紹介したいと思います。
まずざっと語源あたりで知っていることについて触れておきました。
ありがとうございました。
それから、昨日の放送ですかね。484回、一般の人々を表す言うの用法はいつからあるの?ということで、この質問をいただきました。川上さんからリアクションをいただきました。
早速のご回答ありがとうございます。古くから使われているんですね。また、当事者意識が喚起されるという視点も面白かったです。
ということで、少なくとも中英語期からはあったと、さらに遡って古英語期にもありそうだということなんですけれどもね、これも少し注意しながら、古英語、中英語をこれから読んでいきたいと思います。
そして、一般の人々を表す言う、あなたという読者に見立てつつ、実際には一般のことを表しているっていうような、こういう例って注意して集めていると意外と集まるんではないかなという感覚を持っています。
面白い質問いただきましてありがとうございました。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
前のチャプターでコメント返しということでお届けしたんですけれども、最近はですね、リスナーの皆さんからいただいた質問、素朴な疑問に答えるという形で話題をお届けするという機会がかなり増えてきたと思うんですね。
先日の1000本ノック、宿見博士先生と私とでお答えした生放送の1000本ノックの回も、生で聞いていただいたほか、その翌日にアーカイブとして一般配信しまして、そちらも非常によく聞かれているということで、皆さんからの質問を受けてお答えするというようなね、一つのパターンみたいなものがこのHeldioで、
定着しつつあるという感じなんですけれども、まさにですね、皆さんから寄せていただいた一つ一つの質問がベースになっています。
ということですので、ぜひですね、皆さんからご質問であるとか、あるいは既に放送されたものへのですね、ご意見とかご感想とか、さらなるリアクションというのも含めましてお待ちしています。Voicのコメント機能を通じてお寄せいただければ幸いです。
さて、今週末に迫ってきました、朝日カルチャーセンター新宿教室での講座についてご案内です。今週土曜日です。10月1日土曜日の午後3時半から6時45分、全4回のシリーズ英語の歴史と世界英語の第3回講座が開かれます。
タイトルは英米の英語方言ということです。新宿教室での対面のほか、ハイブリッド形式でオンラインでも行います。そしてリアルタイムに参加できない場合でも、向こう1週間はオンデマンドでその収録した模様を視聴できるというような形式になっています。
21世紀の世界英語の話題であるとか、そのある意味元となっているイギリス英語の諸方言、それからアメリカ英語の諸方言という話題ですね。そもそもなんで方言って生まれるのという英語に限らない広い問題についてもちらっと考えられればいいなというふうに思っています。
毎回この朝日カルチャーセンターの講座は3時間くらいあるので、結構長丁場なんですよね。ですが、これだけ長いので質疑応答の時間というのも取れますし、じっくりと1つの話題について考えることができるというメリットもあるなというふうに毎回感じています。
皆さんとディスカッションすることを楽しみにしています。この問題に関心がおありの方はぜひご出席検討していただければと思います。このチャプターに詳細な情報を記したホームページへのURLを貼っておきますので、そちらへアクセスしていただければと思います。
9月ももう本当に終わりですね。28日水曜日ということですが、皆さんとって今日も良い1日になりますように。ほったりうちがお届けしました。また明日。
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