形容詞ableの語源
今回のラジオヘログ版は、英語に関する素朴な疑問というよりは、そもそも疑問として問われることもないような話題を扱います。
形容詞ableと接尾辞-ableは全くの別語源だったという話題です。 これはちょっと信じがたいことですけれども、語源を遡るとこれは事実なのです。
形容詞able、これはI am able to do thisのような、I can do thisと同じ意味のbe able toで同じ意味ですが、何々することができる、可能であるという意味の形容詞です。
一方、全く同じ綴りableという形で、接尾辞として使われて形容詞になるというものがたくさんあります。
breakable, comfortable, eatable, lovable, peaceable, usableのように意味的には何々できる、何々しやすいという意味で、明らかに形容詞ableの何々できるという意味と関連があるだろうと思われるわけですが、実は語源を探ると別なんですね。
いずれも、形容詞ableも接尾辞ableもですね、ラテン語に遡るという意味では実は同じです。しかしそのラテン語において、ちょっと異なる語源に遡るということがわかるんですね。
まず、形容詞ableの方なんですけれども、これはラテン語のhabilemという形に遡ります。
このhabere、habilemのhabiのところなんですが、これはhabereという動詞、これは持つ、つかむというような意味なんですが、ここと関連します。
一方で、このhabilemのilemという部分が、いわゆる形容詞語尾ということなんですね。
つまり、動詞habereに形容詞語尾、ilemに相当するものが合わさって、動詞を形容詞化する働きがあるんですね。
つまり、ableという、英単語で言えばですね、強引にここで分析するとすれば、ableのableのうち、abの部分はラテン語habereという動詞の部分で、leの部分が形容詞化する語尾の部分であると。
つまり、abとleという部分に分かれるのが、これがableの成り立ち、語源ということなんです。
これは、できるとか、持つことができるという意味で、結局能力がある、できる、ableの意味ですね、になるわけです。
接尾辞-ableの語源
さて、一方、設備次aboの方に移りましょう。
これは確かに意味的には、英語でもですね、breakable、usableのように、できる、しやすいということで、先ほどのable、できるという能力と非常に近い意味を持っています。
しかし、語源的には全く異なるんですね。
これはですね、このなんとかableという、このa-b-l-e、通り字は同じなんですが、ラテン語の形態論的に言うと、実は、a-b-leという言葉なんですね。
で、このaというのは、前に来る要素ですね。
例えば、breakableとかusableってあるわけですが、この前に来る要素と、次に来る、このb-leの部分ですね。
これを繋ぐための、ある意味接着剤に過ぎず、a自体に実は意味がないんです。
接着剤とか塩滑油みたいなもので、繋ぎです。
aboのaですね。
そして意味があるのは、実はb-leの部分で、ラテン語としてはb-lisという形なんですが、これが形容詞を作る語尾ということなんですね。
先ほどのableの場合は、leに当たるleの部分が形容詞を作ると言いますが、さまざまな形容詞の作り方があって、
ラテン語でもは、leのleだけではなくて、b-le、当時はb-lisと言ったんですが、bが付いたバージョンもあったということなんですね。
bが付いても、これはあくまで形容詞を作る語尾ということになります。
つまり、なんとかaboというときのabo、設備時としてのaboは、あくまでaは繋ぎの音に過ぎない。
そして、形容詞を作る本体はb-leの部分だったということになります。
この繋ぎのaの部分は、実はいろいろと変わることがありまして、iになることもありますね。
英語においては、例えばaccessible、permissible、visibleのときはいいですよね。
aになったりinaになったりするというのは、繋ぎの音として、ある意味何でもいいと言うと語弊がありますが、ある種の母音であれば、用を足すわけですね、繋ぎとして。
ポイントは、むしろ形容詞を作るぶれという部分なんです。
つまり設備時ぶれは、あくまでb-leという形であって、それが結果として、例えばevilとなったりaboとなったりして、英語に入ってきているということです。
まとめますと、形容詞able、単体のableの方は、あくまでab-leという構成なのに対して、
設備時aboは、aあるいはiですね、繋ぎの母音プラスぶれという、切り方が違うということです。
しかし、いかにも意味が似てますよね、両方。
ということで、英語母語話者もこれは混同しています。同じものだと思い込んでいます。
ということで、我々もabo、able両方とも、役割としては単体の単語と設備時とで違うけれども、できるって意味だよねと信じ込んでいますが、
大元をたどると、これは全く別語源であると。とんでもない結論になるわけですね。びっくりです。
以上、関連する話題については、4071番、そして4072番の記事をご覧ください。