2025-04-09 10:03

heldio #263. "you guys" の guy の語源

#英語史 #英語教育 #英語学習 #語源 #代名詞 #固有名詞
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サマリー

ポッドキャストでは、「you guys」の「guy」の語源について語られ、元々はガイ・フォークスという人物に由来することが解説されます。さらに、時代の変遷を経て、この表現がどのように使われるようになったのかが説明され、特にアメリカでの一般的な使用法についても触れられます。

you guys の語源
おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、you guys の guy の語源についてです。
単語の意味変化の話題は、これまでもいろいろと扱ってきたんですけれども、ここまで面白い話題はなかなかないというぐらいですね。
大きな変化を遂げ、そして今ではですね、この you guys のように、みんなあっと声をかけるときに使う you guys ですね。
guy のような表現、一種の認証代名詞の一部にまでなったんですが、
元はどういう意味、あるいはどういう使われ方をしていた単語なのかということを、この後の歴史をたどりながら見ていきたいと思います。
まずですね、これは実は固有名詞、人の名前なんですね。guy っていうのは、guy fawkes という人物の名前。
GUY と書いて、guy と発音する英語名なんですが、元々は英語の人名というよりも、フランス語の人名に由来する gui de maupassant なんて言いますね。
gui とフランス語では読むわけですね。それが英語に入ってきてguy となっている。
ただし、このフランス語名といってもですね、究極的には探っていくと、ゲルマン系の人名のようなんですね。
語源的にはですね、ガイド、ガイドするのがガイドであるとか、guy、これは GUY で同じ綴り、同じ発音なんですが、別の単語としてロープ、綱の意味があります。
こういった単語と語源的にはつながりがある、究極的にはゲルマン系の単語なんですが、それが人名となってフランス語の人名、そして英語に入って英語の人名というふうになったということですね。
そして、この名前を帯びたこの guy fawkes という人物なんですが、これは何者かということなんですね。
時代はですね、400年以上前のことなんですが、ジェームズ一世、スチュワート王朝の階層ですけれども、このジェームズ一世の統治下、1605年の11月5日のことなんですが、あるですね、爆破未遂事件が起こったんですね。
これ何かというと、プロテスタントによる迫害に不満を抱くカトリックの分子が、議会の爆破を狙った、しかもこのジェームズ一世暗殺を目論んだという大変な事件なんですね。
これは世に言う火薬陰謀事件、ガンパウダープロットと呼ばれているイギリス史上の大事件です。
この死亡者の一人であるロバート・ケイツビーが募った工作員、ガンパウダープロッターズですね、工作員を募ったわけなんですが、その中である議会爆破の実行係として選ばれたのが、guy fawkes という人物なんですね。
このguy fawkes はですね、前日11月4日の夜から5日の未明にかけて1トンほどの爆薬、火薬を持ち込んで議会の地下室に潜んだ、そして実行の瞬間を待っていたということなんですね。
ところがこの陰謀は未然に発覚するに至りました。テロ未遂事件ということですね。
これで結局未遂に終わりまして、実際の実行日の予定だった5日にはジェームズ一世がですね、未遂事件の後始末としてロンドン市民に焚火を燃やすようにっていうふうにおふれを出したんです。
どうもですね、これはある種の神託を受けたかのようにジェームズ一世が焚火を燃やすようにと、一種のお告げと言いますかね、おふれを出したっていうことになります。
この日11月5日はそれ以降ですね、ボンファイアナイト、焚火の夜であるとか、ガイフォークスナイトなんていうふうに呼ばれるようになりました。
花火を打ち上げたりですね、爆竹を鳴らしたり、焚火を燃やしたりっていうような、そういうお祭り騒ぎの一種のイベントの日というふうに後に変わっていったっていうことなんですね。
この死亡者たち、ガイフォークスをはじめとするガンパウダープロクターズは捕らえられて、結局みんな処刑されることになりました。
事件以降ですね、この焚火のお祭りが風習として定着していったんですね。
11日5日はボンファイアナイト、あるいはガイフォークスナイトということです。
花火を打ち上げたり、それからガイフォークスをかたどった人形ですね。
これを作って、これを燃やすということで、本来の趣旨はですね、テロ未遂の火を忘れるなという趣旨なんですけれども、
だんだんとこれが時の中で風化されて、趣旨が歴史の中でおぼろげとなってしまって、ただのお祭り騒ぎの日、花火などを打ち上げる日というふうに解釈されるに至って、
語の意味変化
現代でもですね、こういうイベントが行われたりするわけですね。
こうして風習として定着したわけなんですけれども、このガイフォークスをかたどった人形ですね、これを燃やして盛り上がるということなんですが、
この時のガイフォークスをかたどった人形っていうのはですね、奇妙な衣装を着せて、それに火をつけるというようなそういうことになったので、
ガイっていう本来の意味です。インミって言いますか、テロの首謀者だったわけですが、この記憶がおぼろげになってくるとですね、
単なる奇妙な衣装をまとった人ぐらいの意味に変化していくわけですね。
もうすでに一般名しかしたわけです。
さらに変なやつっていうことから、変なも取れて結局人、やつ、他の単語で言えばmanとかfellowというようなインフォーマルな人、特に男ですね。
男の人を指すという意味になりました。
これ自体は、この意味変化自体はイギリスで起こったんですけれども、19世紀末にはこれがアメリカでむしろ広く使われるような意味となったんですね。
ガイっていうのが、この人、やつぐらいの意味で使われるようになったっていうことです。
さあ、このようにして交互的なman、fellowほどの意味で用いられるようになったガイなんですが、20世紀にはやはりとりわけアメリカでですね、you guysっていうふうに呼びかけて、
目の前に複数の人、特に男性がいる場合にですね、
youというと、一人のあなたを指しているのか、そこにいるあなた方、みんなっていうことを指すのか、分かりにくいと。
英語では二人称の代名詞、youっていうのが、単数にも複数にも使えてしまうからですね。
そこであえて、特に呼びかけなんかの時にですね、複数のあなた方っていうことを明示するために、youの後に、例えばyou allとか、
加えたりですね、you onesとかですね、方言によっていろんな言い方があるんですが、アメリカではこのguysっていうのを添えて、
you guysのように二人称、複数の意味で用いられるということが、20世紀になってからですね、比較的最近です。
どんどん増えてきたということで、今ではかなり一般的になっています。
事実上ですね、交互的ではありますけれど、事実上の二人称、複数代名詞、youは単数の場合に使って、複数の場合はyou guysということのほうが一般的というような、
二人称、複数代名詞になった、あるいはなりつつあるということだと思うんですね。youとguysを合わせてということです。
この場合ですね、もともとは男性やつというぐらいの意味で、つまり性別が男の人の場合にのみ使われていたんですが、
このyou guysの場合もそういうニュアンスは全くありません。女性がいてもですね、これはyou guysということができるという意味で、
ついに性別の意味、男性という意味も消えて、本当にフェロー、フレンド、ワンぐらいの非常に一般的に人を表す名詞にまでなったということですね。
400年の間にですね、ガイ・フォークスというテロの首謀者だった人の名前、固有名詞から変な衣装を着せられた人みたいな普通名詞の意味になり、
さらに男やつぐらいの意味になり、そして一般的に人となり、それがyouと一緒に複数形で表れるとyou guysとして、いわば認証代名詞の一部を構成する要素となったというわけです。
このguyという短い単語ですが、この400年の間にですね、これだけの意味変化を遂げてきたということなんですね。
もともとがテロリストの名前だったというところは、知らないと驚きなんですね。
you guysと言った時にですね、全くそういう意図も意味合いも今では含まれていない歴史が忘れ去られてしまったということになります。
ではまた。
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