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2025-03-25 10:03

hellog-radio #20. guest と host は,なんと同語源

#英語史 #英語学習 #英語教育 #語源 #意味変化
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サマリー

今回のエピソードでは、ゲストとホストが同じ語源を持つという驚くべき事実が解説されています。インド・ヨーロッパ語族の歴史をたどり、これらの単語がどのように派生し、意味が逆転したのかを探っています。

語源の探求
hellog-radio 版も第20回となりました。 今回の話題は、guest と host は、なんと同語源、という話題です。
素朴な疑問ではありませんが、この話をすると多くの人が関心を持つという話題です。 guest これは
客、客人ですね。host これは主人ということで、全くの範囲語となるわけなんですけれども、この2つがなんと同語源というのは驚くはずです。
これはどういうことなのか、ということを解説していきたいと思います。
英語を含めたヨーロッパの諸言語、それから広くインドにまで渡るですね、地域で話されている言語、例えばヒンディ語なんかもそうですが、これらはインオウ語族、インドヨーロッパ語族の仲間です。
このインドヨーロッパ語族というのは、紀元前3000年であるとか4000年という昔の話なんですが、そのぐらいの時代にはですね、まだ一つの言語だった。
それが時間とともに文化を繰り返して、方言化の過程を繰り返して、今英語だったりヒンディ語だったりフランス語だったりというふうに分かれてきたと、そういう歴史があるわけです。
英語はインドヨーロッパ諸語から見るとどういう位置づけにあるかと言いますと、まずこの紀元前3000年、4000年という昔にあったインドヨーロッパ諸語ですね、これが数千年かけて10個ぐらいの派閥に分かれていきます。
その一つがゲルマン語派というもので、そのゲルマン語派から英語が出てきたりドイツ語が出てきたり北欧語が出てきたりというふうにさらに分化して現在に至るわけです。これがゲルマン語派です。
一方ですね、ラテン語、スペイン語、フランス語のような仲間はイタリック語派と言いまして、ゲルマン語派とは全く別の派閥で分かれて現在に至ります。お互い現在ですね、英語とフランス語は素で喋っても全く通じないわけなんですけれども、大元はインドヨーロッパ諸語という共通の祖先を持ちますので、多くの単語は実は同語言です。
そして今回扱うゲストとホストというのも一つの単語だったというわけなんですね。インドヨーロッパ諸語ではこの単語はゴスティというような音形だったと考えられています。
このゴスティという形が英語に連なるゲルマン語系ですね。ゲルマン諸語ではガスティスというような形に発展したと考えられています。
このガスティスがですね、英語の古い形である古英語ではイエストという形で受け継がれました。
ゲルマン諸語のガスティス、グという音を持っていたんですが、英語ではこの音がですね、しばしばイというYの音になるんですね。イエストになっています。イエストです。
したがってこの古英語のイエストがそのまま現代まで生き残っていたら、決してゲストではなく、おそらくイエスト、イエストと現代でも癖が高いんですね。
ところが現代はゲストと言っていますね。これはなぜかというと、ゲルマン諸語のガスティスはですね、英語とはまた別の、同じゲルマン語ですが別の派閥である北欧語の系統ではグの音がしっかり残ってゲストという形になったんです。
古英語ではイエストだったものが、北欧語ではゲストルとして受け継がれました。そしてこの北欧語ゲストルが英語に後に変えられていったということです。
したがって英語のイエストは北欧語のゲストに置き換えられたという形になります。同じゲルマン系ではありますが、純粋に英語側のルートをたどってやってきた単語ではないということになります。
現代のゲストはですね。一方ですね、イタリック語派はどのような形で発展したかと言いますと、インドヨーロッパ諸語のゴスティという形はラテン語ではホスティスというふうにHの音になってしまうんですね。
これがフランス語でホストとなって、それが英語に変えられてきてホストと呼んでいるわけです。つまり大元はゴスティというインドヨーロッパ諸語の形だったんですが、一方はゲルマン系のルートをたどり、さらに直接英語ではなく北欧語経由してゲストとして流れ着いたのがキャクという意味のゲスト。
意味の反転
一方、イタリック語派のラテン語側に回り、それからフランス語、そしてそれが英語に借りられたという形で現代に伝わっているのがホストということになります。
したがって音はだいぶ変わりましたが、これはゲスト、ホストと全く同語言に由来するということになります。
問題はなぜこの二つが反英語になってしまっているかということです。
大元はインドヨーロッパ諸語の一つの単語だったわけです。つまり反英語ではなくて一つの意味を持った単語だったわけなんですが、一方はゲルマン系、他方イタリック系で回って最終的に再び英語で合流したゲストとホストがどうして意味が反転してしまっているのか。
これが面白い問題なわけです。
大元のインドヨーロッパ諸語のゴスティス、これはどういう意味だったかというと、おそらく見知らぬ人、お互いに知らない人、外国人であるとか、そのような意味だったのではないかと考えられています。
この見知らぬ人からは様々な意味が発生してきます。
まず見知らぬ人イコール怪しい人という発想、ネガティブな発想に行くとこれは敵ということになります。怪しい人、敵ということですね。
ここから敵のあるというホスタイルとかホスティリティであるとか、人質ホスティッジみたいな敵に関する意味が発生してきます。
一方、見知らぬ人、敵という発想ではなく、見知らぬ人イコール異国人という発想ですね。
そちらに行くと、今度は自分がむしろ異国人になる、外国からやってきた人がいたらその人はもてなすべき人である、あるいは自分が外国に行ったらもてなされるべき人であるということで、敵という意味よりはむしろ助けてあげるべき人というような発想になります。
そうするとこれ、もてなすという意味が出てくるわけですね。そこからまさにホスピタリティという単語も出ます。そしてホスピタルというのもそうです。これはもてなす場所です、もともとは。
これが包まってホステル、さらに包まってホテル、ホテルもそうです。ホスピスというのもそうです。つまり一つの単語が見知らぬ人という単語が、一方では敵意を持ったという意味になり、他方ではもてなしというかなり違う方向になってくるわけですよね。
さあ、このもてなしの方向で発達した語彙の方、これはお互い様です。自分が異国に行けばもてなされる方ですね。つまりゲストになります。一方、ある人が自分のところに来た、外国からやってきたらこれはもてなすべき人ということですね。
同じ人がゲストにもなりホストにもなる。こういうような語形的なお互いの客人接待制度みたいな形ですね。そのメンバーということです。立場によってこれは主人にもなるし客人にもなるというところで、このもともとは見知らぬ人だった一つの単語がですね、ルート、ゲルマン系とイタリック系と。
ルートを違えて長い間使われてきた結果ですね。それぞれ反転した意味になったと。ただ、大元はどっちにしろもてなし、もてなされ合うメンバー、客人接待制度のメンバーであるという意味では変わらないわけです。
結果的に英語の中ではゲストが客人、そしてホストが主人という意味の文化によって、住み分けで形も違うことですし、二つの異なる単語となっていますが、こういう事情でですね、大元は一つの単語が二つの単語、そして表面的に見ると範囲語として現在使われているのだということになります。
この問題につきましては、ヘログの170番、171番をご覧ください。
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