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2024-11-28 10:03

heldio #131. state と estate

#英語史 #英語学習 #英語教育 #2重語 #フランス語 #ラテン語
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おはようございます。英語の歴史を研究しています。 慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった 英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしてきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、state と estate という二語に関する話題です。
昨日の放送で、国家を意味するstateと、統計学を意味するstatisticsの話題をお届けしたんですけれども、
今日もですね、関連する話題です。state これ、国家であるとか、もともとは状態って意味でしたよね。
状態から立っている位置、立ち位置ということで立場ですね。それから地位ということになりますね。
その中でも、とりわけ高い地位という意味になって、それが異性者、政治家、集団という意味になって、それがさらに国家という意味になったっていう、
長い意味の変遷の歴史があって、しかも、それまでの意味もすべて生き残っているので、今では多義語となっているわけですよね。
この大元は、ラテン語の starre、スタンドに相当する立つという、単なる日常的な動詞に由来するわけですね。
この名詞形である starre, tous というのが、直接そのまま英語に入ってきて、ステイタスとなりましたが、
別経路で、フランス語経路で、ステイトとして入ってきたということで、昨日も述べましたように、ステイトとステイタス。
両方とも地位、状態という意味で近いですよね。これは二重語という形になります。
実は、今日の話は、ステイトとステイタス、これが二重語という話からさらに発展させて、エステイト、土地、辞書を表す、エステイトという単語。
これもまた全く同号弦に遡るので、実は三重語だという話題なんですね。
先にラテン語の starre, tous が、フランス語を経由して英語に入ったのがステイトだという言い方をしたんですが、
その途中のフランス語での形はどうだったかというと、ラテン語の starre, tous というのを受け継いだフランス語は、
これに頭にえをつけた estarte というような形で受け取ったんです。
このえという部分ですね、これラテン語にはなかったんですが、フランス語ではこれが加えられているんですよね。
これは何のことか。実はラテン語のこの st は、st というふうに始まるわけなんですけれども、
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フランス語であるとか、その他のロマンス系の書法では、st って始まるのを切らって、頭にぼいん、えですね。
これをつけることによって少し言いやすくしたっていう都合があるんですね。
これは語頭転化っていうふうに言語学的には言うんですね。語頭に音を転化するということで、
この典型例が実はラテン語の st で始まる単語とか sp もそうですね。それから sk の単語もそうですね。
つまり st とか sp、sk というふうに始まるものは、ロマンス系の言語では少し言いにくいというふうに解釈されてですね、
えというぼいんが頭につくことで、この言いにくさを少し和らげたっていうことがあります。
語頭転化の典型例なんですけれども、これなんですね。
つまり status っていうところに a をつけて estatus とかなって、これが estat という形になったと。
その後、フランス語ではですね、いくつかの音の変化があったんですが、それが eta という、こんな簡単な形に集約されてしまったんですね。
eta っていうのは、つまり英語で言うステイトの対応する単語なんですけれども、
例えば the united states of america のことを、フランス語では les états unis っていうふうに、eta をここで使っているわけですね。
そういうわけでラテン語の status は結果的にフランス語ではですね、estat みたいな形になったわけなんですが、
英語に入ってきた時には、英語は st で始めるごとに何ら問題はありませんので、
state と取り入れたんですが、一方フランス語化した、フランス語で言いやすいこの estate も同時に英語に入ってきたってことなんですね。
estate っていうのは、この辞書、土地ということで、財産ですよね。real estate っていうと不動産のことになりますね。
それに対して、personal estate っていうと、動産のことになりますが、結局ですね、土地っていうのは財産である、財産っていうのは地位である、
地位というのは状態であるということで、state も estate もやや力点の置き方は違うとはいえ、
結局同じ単語ですので、いずれも状態とか地位とか、それにまつわる財産であるとかですね。
こんな関連した意味を持つっていうのは当然のことなわけです。
結果として、直接ラテン語を取り入れた status っていうのと、フランス語で絵がついた形の estate と、それから絵が取れた形の state。
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これが3つ英語の中に並び立っている。すべて外から借りたものではあるんですが、英語の中にこの3つ違った形で存在している。
そこそこ似ている意味で、ということですね。まさに35の例ということです。
さあこのフランス語で絵というですね、語頭法音が添加される形なんですが、添加されたものと添加されていないものですね。
これが両方とも英語に借りられたっていうのは意外とあるんです。
例えばですね、specially に対して especially っていうのがありますよね。
これ絵がついた形がいわゆるフランス語的な形ということになります。それに対して絵がない specially の方は、ラテン語の形を参照している形ということになります。
他には例えばですね、spirit ありますね。絵がつくと esprit になりますね。
スペリング上は後ろに t がありますので、spirit と esprit っていうのは、全くこの state と estate の関係と一緒です。
それから spouse これ配偶者って意味ですが、それから espouse という単語があります。
これは動詞で支持するぐらいの意味ですね。それから spy に対して espy っていうのがあります。
spy っていうのは、スパイ行為をするですね。それに対して espy っていうのは、遠くから見つけるぐらいの意味ですね。
それから squire これ田舎の業種と言いますか、いわゆる田舎の土地を持っている地主ですね。
それに絵がつくと esquire となって、これは男性に対する継承として何々どの、なんていうふうに手紙の冒頭に書くような squire という単語があります。
他にはですね、例えば stable っていうのは、これ安定したっていうことですが、これに絵がついて、それを動詞化したのが establish、安定させる、確立させるっていうことで、
これもまた二重語なわけですよね。
さあ最後にですね、英語と並行してフランス語を勉強している人に朗報なんですけれども、
このラテン語の st とか sp とか sk っていうものはですね、英語には大抵そのまま入ってきていることが多いです。
この発音、英語は苦手ではないので。ところが先ほども述べたように、フランス語ではこれに a を付けないと言いにくいということなんですね。
なので est とか esp とか esp っていうふうになります。
こうしてラテン語が a を付けた状態でフランス語に入ったんですね。
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これだけの中世の話です。フランス語ではその後変化があってですね、
この est とか esp とか esp というような繋がりの中で、漢字の s が、s の部分がですね、抜けちゃうんですね。
で et とか ép とか éc になっちゃいます。
その結果、今の英語とフランス語をですね比べるとこんな感じになります。
例えば、ステイトとエタっていうことですね。つまりスがエに対応してしまうっていうことが結構起こってくるんですね。
例えばスポンジというのは英語で sponge ですが、フランス語で éponge っていうことになります。
だから学名を意味する単語は英語では student ですが、フランス語では étudiant っていうふうになります。
ステイジに対してエタージュっていうのも同じです。
このような関係が成り立つということになります。
それではまた。
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