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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、 そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語史をお茶の間に思っとうに、英語の歴史の面白さを伝え、 裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。
本日は2月7日火曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 本日お届けする話題は、受動態における動作主の前置詞の歴史
from, of, by, etc. ということで、どうぞよろしくお願い致します。
本題に入る前に、新著のお知らせです。 京都大学の家井龍子先生と私堀田隆一による教著、文献学と英語史研究が1月12日に発売されています。
開拓者より出版されました。 英語史研究のガイドブック、ハンドブックという内容の本です。
英語史を研究する方、そしてこれから研究してみたいなと思っている方に、 過去40年ほどの研究の動向、そして今後の展望を整理して示しています。
レファレンスとしても使えますし、できれば通読していただけると、 この40年ほどの英語史研究の発展がとてもよくわかる、そういう作りになっています。
専門性が高いといえば高い書籍です。 英語史の入門書ではなくて、英語史研究の入門書というものですので、
類書もあまりないということで、この方面にご関心のある方はぜひ手に取っていただければと思います。
文献学と英語史研究開拓者より1月12日に一般発売となっています。 このチャプターに本書を紹介する記事へリンクを貼っておきますので、
詳細はそちらからご確認ください。以上、新聴のお知らせでした。 今日の本題は受動体における動作種の前置詞の歴史。
from、of、by、etc. ということなんですけれども、受動体、受け身の文ですね。
これ通常ですね、能動体の文であれば主語になっているものをですね、 by ホニャララという形で後ろに付ける。
b たす過去分詞があって、その後に by だれだれという形で本来の動作種、主語に相当するものが byの後に来るというのが、いわゆる学校文法では一般的に学ばれることだと思うんですね。
例えば everyone loves John という文があれば、これを受け身にしなさいという典型的な文法問題がありますね。
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John is loved by everyone というふうに b 過去分詞に直して、その後にby everyone のように、本来の能動体の主語が by 付きで後ろに移動するということですね。
この時に使われる前置詞が by っていうところがポイントですね。 今日の話になるんですけれども、これはですね、昔から by だったわけではないんです。
いろいろと変遷がありまして、今一番普通なのが by ということなんですね。
まず受動体とか受け身と呼ばれている文法事項、これは古英語からあります。非常に古い文法項目なんですね。
ですので b たす 過去分詞、あるいは b ではなくて別の動詞が使われてたりしたんですが、いずれにせよ b に相当するものに動詞の過去分詞形をつなぐ。
そしてその後に元の能動体の文では主語だったものがどういう形で現れるかっていうことが今回話題なんですが、
古英語の段階ではですね、from とか of というのが一般的だったんです。
by はほとんど出てきません。from や of というのは、起源何々からという、その起源、ソースを表しますよね。
動詞の動作の起源と言いますか、源ですから、これ主語と一致する場合っていうのが非常に多くて相性がいいんですね。
from、of、何々からという原理の前置詞が、受動体の動作詞と用いられるっていうのは、これ自体は非常にですね、理にかなったことっていうか、非常によくわかることということで、古英語から使われていました。
by はまだなかったんですね。 そして次の中英語期になりますと、いろいろ出てきます。
今までのfrom、ofも同時並行的に使われているんですけれども、他にですね、例えばmidという、今はほとんど使われませんがwithぐらいの意味の、何々でもって、何々と一緒にという、今でいうwithに相当する前置詞ですね。
これ、頭にaをつけて、midっていうのは何々の間にっていう意味で使われてますけれどもね、これと同じような語源です。midというのがありました。
それからwith、それ時代も既に存在していまして、受動体の動作詞として用いられたことがあります。
ただこのmidとかwithっていうのは、一時的に使われただけで、しかも大して頻繁に使われたわけでもないので、この用途としてはマイナーでしたし、後に繋がらなかったということです。
ところがですね、15世紀あたりからいよいよbyが現れてきます。
この時代までにはfromという、最も古い前置詞の一つですけれども、fromはだんだんですね、廃れていったわけなんですが、ofは健在だったんです。
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したがって15世紀以降はですね、ofとbyの競合ということになります。
15世紀、16世紀あたりはこのofと進行のbyですね、現代に繋がるこのbyが逆行していました。
例えば1600年前後のシェイクスピアなどではですね、やはりofも多いということなんです。
17世紀以降になりますと進行のbyが抜けてきます。抜けてくるというのは抜け出してくるということですね。
そしてそれまで優勢だったofがだんだんと衰えてbyにとって変わられるということになり、そして現代に至るという、このようなですね、様々な前置詞が現れては消えということを繰り返してきたんですね。
他にはですね、これも本当に目立つほど例はないんですけれども、throughという前置詞があったり、あるいはatという前置詞もですね、受け身の動作詞として用いられたことがあります。
ある意味、大体の前置詞はですね、受け身の動作詞として用いられたことがあると言ってもいいぐらいかもしれません。
いろんなものが試されてきた中で、大きく見るとfrom、ofだったものがfromが脱落し、ofが残ったんですが、新しくやってきたbyに追い抜かれたというような大きな流れとしてはそういうふうに捉えることができますね。
そして今では最も一般的な前置詞、受動体の動作詞としての前置詞はbyということで学校文法でも明記されていると、そういう状態になっているんですけれどもね。
主に15、6世紀ですが、このofとbyが結構していた時期というのはですね、使い分けがあったのかというと、これいくつか研究がありまして、書かれたもののそのジャンルによっても違いますし、どういう動詞と組むかということによってbyなのかofなのかが決まったり、決まるというほど決定的ではないんですけれども、傾向ですね。
コロケーションみたいなものがあったりするんですけれども、一方で面白いのはですね、ラテン語ではでというofに相当する前置詞を使う。一方、フランス語ではpar、これはbyにおよそですけれども意味的に相当する前置詞を使うということで、この2言語、ラテン語とフランス語がある程度ですね、英語に影響を与えたではないかというような説もあるようです。
今ではbyが一般的ということなんですけれども、ofの時代が非常に長かったということ、しかもですね、近代英語記の初期ですね、特に初期までには完全に現役だったということもあってですね、現代にまであるフレーズなどで痕跡を残している、つまりbyではなくofが使われるという例も決して少なくないんですね。
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例えばですね、少し古めではありますが、愛憎を表す動詞ですね。愛する、憎む。これはですね、ofと今でもそこそこ相性がいいってことで、例えばbelovedという愛するという単語がありますね。loveにbeというセット文字をつけただけなんですけれども、例えばmary is beloved of allなんて言い方がありますね。
これbyに書き換えても、全く同じように通じるわけで、ofっていうのはちょっと古めかしい響きがあるかもしれませんが、mary of allのような言い方がありますね。admireであるとか、反対語の憎しみの方、hateなんかでもですね、このようにofが使われるっていうことが近代ぐらいにはありましたし、今でも古風ですがあるかもしれません。
それからですね、捨てる系の動詞、これも多いんですね。abandonとかdesert、forgetのような捨てる、忘れる系の単語ですね。否定の接頭詞unですね。これがついた動詞の過去分詞、例えばunseen ofとかunowned ofのような例。それから選ぶ、chooseですね。
例えばhe was chosen of godなんて言い方があります。神によって選ばれたっていうことで、he was chosen by godというのが今では普通かと思いますが、少し古くはですね、he was chosen of god、このofが残っています。
そして最後にですね、これは現役なんです。なので知っておいて良いものなんですけれども、感情、心理状態を表すいくつかの動詞、例えばashamed of having done thatのようなことですね。
これもbe ashamed ofで覚えていて、特に受け身とか受動態という風に統合分析しないことはもう多いかもしれませんけれども、これもともとはですね、ashamedという動詞の受け身系なわけですよね。
同じように、実はbe afraid ofというみんなが知っているあのフレーズもですね、実は受け身なんです。そしてその動作主がofで表されているっていう例なんですね。
I'm afraid of barking dogsのような言い方ですけれども、be afraidof、これはですね、動詞の原型afraidっていうのが今ほとんど使いませんので、余計に受け身だとは気づきにくいんですけれども、afraidと書く、怖がらせるという動詞が古くありまして、この受け身系なんですね。
スペリングが少し、末尾がですね、edにはなっていません。むしろidとなっているわけで、余計にですね、これが動詞の過去分詞だとは気づきにくくなっていますが、古い前詞ofの用法がここに残っているというわけです。
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コメント返しです。この2日間ほどでいただいたコメントをいくつか紹介したいと思います。
グレイスさんです。次の単語や接頭時には2通りの発音があるかと思います。違いは地域差と聞いたことがありますが、なぜその差が生じたのでしょうか。
diversityとdiversityであるとか、anti、antiというようなものですね。
典型的にAB差、BA差みたいに言われたりすることもありますけれども、実際には個人差ということもありますし、両方の発音を使うというケースも同じ個人がですね、あるかと思うんですね。
これですね、なぜ同じ単語に2通りの発音があるかというのは、なぜそもそも揺れというものが存在していたり、あるいはその分布にですね、例えば地域差みたいのがあるのかっていう。
これはですね、言語の本質的な問題で、なぜ方言っていうのが存在するのかとか、結構大きい問題で簡単には答えることができないんですね。
緩くイギリス英語の傾向とかアメリカ英語の傾向みたいなことは言えたとしてもですね、ズバッと答えるのが難しいタイプの問題なんですね。
発音なんですけれども、近代以降は識字率が上がって多くの人が読めるようになるとですね、綴り字からの影響ということもあったりしまして、揺れの原因っていうのがですね、ただの発音の差、地域差、方言差ということだけではなくなるということで、綴り字、書き言葉というさらに複雑な要因が加わってくる等もありまして、なかなかの難問です。
次に、うめさんからです。フランクリンの時代に関する話題を取り上げた回についてなんですけれども、気になったことがあります。
Not to 名詞という形は現代英語ではあまり見ない気がします。
Not to とくれば後ろには動詞がくるものと思っていました。
フランクリンの時代にはこのような使い方が一般的だったのでしょうか。
ということで念頭にあるのはですね、その放送回でも最初に述べたですね、
Eat not to dullness. Drink not to elevation.
というこの文だと思うんですね。
これはですね、not to という繋がりではなくて eat not これで don't eat という言い方なんですね。
今でも固い古風な文体ではこのような否定の命令が使われます。
Eat not
To dullness ということなので、
愚鈍になるほどぐらいの程度を表す to ですので、
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この not to という繋がりではないってことです。
むしろ not は前の eat とつるんでいる。
Eat not to dullness
言い換えれば don't eat to dullness ということですし、
Drink not to elevation もですね、
Don't drink to elevation ということです。
こちらは480回の放送でしたね。
これまだ聞いていない方はですね、
面白い英文解釈の話題なんですけれども、
酒はどこまで飲んでもよいのか。
ベンジャミンフランクリンの13特の第1条の文献学的解釈という、
大げさなタイトルになっていますが、
おそらく面白く聞いていただけるかと思います。
うめさんありがとうございました。
それからグレイスさんからですね、
最近の変革としてチャットの普及の話がありましたが、
そのようなツールの発達や、
大多数の人がスマホを身につけるようになったことにより、
文字をやりとりするスピード、
そしてその結果質や監修が大きく変わったと思います。
10代後半の若者が、
50分前に送ったメールの返事が来ないと騒いでいるのを聞いて、
驚愕したことがあるのですが、
手紙しかなければ数日間情報が得られない、
相手の反応がわからないことは普通なわけですよね。
今後のコミュニケーションのあり方の変容を見ることが楽しみです。
ということで、
こちらすでに案内させていただいたんですけれども、
2月4日の産経新聞の長官に、
連載テクノロジーと人類というものがありまして、
その最新刊が文字の発明ということですね。
記事が載っているんですね。
これ私が取材を受けて、
そして記者の方がまとめられた文章ということなんですけれども、
グレイスさんのまとめてくださったとおりですね、
チャットコミュニケーション形態にも触れています。
よろしければ、そちらの記事を覗いてみていただければと思います。
反応速度ですね。
確かに数日間待つという状態から、
数分も待てないというようなね、
そのような事態になってきていることもありますね。
ますます忙しくなってきていると感じるわけですけれども、
これからどうなっていくんでしょうね。
むしろこれが行き過ぎて、
かえって非同期を楽しむみたいな文化がですね、
反動的にできてくるのかなと思ったりもするんですが、
いかがでしょうかね。
次にシャロンさんからいただいた質問です。
複数形の話ですが、
ウィスキーのツーフィンガー指日本文やギターのツーフィンガー奏法も、
なぜか単数の部類に入るでしょうか。
それともこれらは和製英語ですかね。
ということで、ウィスキーのツーフィンガーは、
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英語では調べるとTwo Fingersと複数形で使っているようですね。
ギターの奏法については、
例えばThree Fingerなんて言いますけれども、
これは英語でThree Finger Pickingという風にSがつかないようです。
この場合、Three Fingerっていうのが複合形容詞として働くので、
Sがつかないっていうことかと思うんですけどもね。
それから、昨日のベンジャミンフランクリンと英語史という616回についてですけれども、
まことつかささんからです。
おはようございます。
あのベンジャミンフランクリンが言語の世界でも足跡を残していたのですね。
驚きです。
そうなんですよね。
意外なところで注目されることはなさそうな領域なんですけれども、
ベンジャミンフランクリンも英語史に1枚2枚噛んでいたという、そういうお話でした。
それからコメント返しの回につきまして、
ヤマオクロネコさんからコメントいただいています。
いつも楽しい放送ありがとうございます。
英語学習における英語史知識の有用性についてです。
10代の生徒さんたちに英語を教えるのをなりわえにしておりますが、
ある程度語彙定着が進んだ人には語源について触れると響くようです。
バラバラの知識がつながるような感覚を覚えるのでしょうか。
分かったという表情をしている生徒さんが多く見受けられます。
脱足ですが、以前当時の英語で朗読してくださった
ガウェイン教徒緑の騎士を生徒に聞かせました。
関連する内容を読解していたためです。
驚きの表情を浮かべていました。
ということで、ガウェイン教徒緑の騎士の中英語版読み上げの回ですかね。
あちらをこういう形で利用して聞いていただけたというのはとてもうれしいですね。
そして前半におっしゃっていました、ある程度語彙がそもそもあるという生徒、
学生にとっては語源学習というのは響きますよね、確かにね。
これは私も本当に感じることで、このチャンネルをお聞きの皆さんもですね、
そのような感覚を得ているのではないかと思います。
まさに語源でいろんなものをつなげるということですね。
この番組ではお送りしているということですので、
英語子への応援のコメントとして受け取らせていただきました。
ありがとうございました。
そして過去回ですけれども251回複数形Englishesの出現につきまして、
海塩さんからコメントいただきました。
痺れる内容です。複数形はスタートからあった。
表現としてなかった理由の一つは、英米編集の影響でプツンと終わりましたが、
その後が気になります。
という、あの回ですね251回、もっと喋りたいところで10分きてしまったので、
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急に終えてしまったということです。
このHeldio以外でもいくつかの場所でですね、
この辺り論じていることなんですけれども、
いずれ取り上げることもあるかと思います。
気になるかもしれませんが、
ぜひ海塩さんの皆さんもこの問題考えていただければと思います。
ということで、いくつかではありますけれども、
ピックアップしてコメント返ししてみました。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日は受動体における動作種の前置詞が、
英語の歴史の中で、
いろいろと入れ替わり、立ち替わり、現れては消え、
そして競合詞ということをですね、
続けてきた結果、倍が今普通になっているけれども、
いくつかの表現では、
かつてのof、かつて優勢だったofを使った表現が残っていますよ、
というそんな話でした。
受動体であるとか受け身に関する話題としては、
このHeldioでは2つほど過去回紹介しておきたいと思います。
まずはですね、第70回になるんですけれども、
be surprised byが流行ってきていますよということで、
通常be surprised atで習っている人が多いと思うんですが、
最近は割とですね、be surprised byも来ているというような話です。
第70回です。
こちら関心のある方はですね、ぜひ面白いので聞いていただければと思います。
それから517回ですね。
関節目的語が主語になる受動体は中英語記に発生した。
このタイプの受動体の発生について英語史の話をしています。
517回です。
こちらも関心のある方はぜひお聞きください。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、
あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
Voicy通じてお寄せいただけますと幸いです。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように。
ほったりうちがお届けしました。また明日。