【再】#643. なぜ受動態・能動態の「態」が "voice" なの?
2026-04-24 14:40

【再】#643. なぜ受動態・能動態の「態」が "voice" なの?

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に
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朝6時に配信しています。 本日は3月5日日曜日です。いかがお過ごしでしょうか。
本日お届けする話題は、文法用語にまつわる話です。 なぜ受動態・能動態の「態」が
「voice」なの、です。 どうぞよろしくお願いいたします。本題に入る前に、新著のお知らせです。
京都大学の家入洋子先生と私、堀田隆一の教著「文献学と英語史研究」が1月12日に開拓者より発売されています。
英語史研究のガイドブックという内容の本です。 英語史を研究する方、研究を志す方に過去40年ほどの研究の動向と今後の展望を整理して示したそういう本となっております。
やや専門性が高い書籍ではあります。 英語史の入門というよりも、英語史研究の入門あるいはレファレンスといった
タイプの本です。 英語史研究の方面に関心のある方は是非手に取っていただければと思います。
文献学と英語史研究開拓者より出版されています。 このヘルディオでも新著については何度かお話ししてきていますし、
教授者の家入洋子先生との対談も行ってきました。 関連する情報をまとめた記事へリンクを貼っておきますので、そちらからご参照いただければと思います。
以上、新著のお知らせでした。 今日の本題は文法用語の話です。
なぜ受動体、能動体の体がボイスなの?という謎に迫ります。 受動体、パッシブボイスというふうに英語では言いますね。そして能動体がアクティブボイス
ということで、英語の文法用語としてボイス、 これもともとはもちろん声という意味なんですけれども、これが文法用語としては日本語では体というふうに
訳されているんですね。 能動体というのは例えばI love youという言い方ですよね。
これに対応する受動体はyou are loved by me というふうに同じ現象関係なんだけれども、どちらの視点から見るか。
能動体でいうところのIという主語と目的語、この関係をある意味では入れ替える、 視点を変えるというようなことですね。この視点を変える作業がいわば体
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というふうに呼ばれているわけです。 この日本語の用語としての体、態度の体ですね。
これ自身もよくわからないと言えばわからないんですけれども、 まあそれでも何とか理解しようとすると主語や目的語などの文の要素が動詞の表す動作と
どのように関わるかというのを示すものですよね。 いわば動作の姿やありさま
つまり体、態度みたいなものですね。 これを表示する機能を持っている。
そのように考えられると思うんですね。 必ずしも良い用語、わかりやすい用語とは言えませんが、これが体として定着しているんです。
では英文法としての英語の用語、voiceというのはもともと声なわけですが、
これをどう理解すると受動体・能動体の体の意味が出てくるんでしょうか。 これを少し歴史的に調べてみたんですね。
まずですね例によってオックスフォードイングリッシュデクショナリー OEDを引いてみます。
voice
様々な意味があるんですが、その語義13にですね、 まさにこの文法用語としての体の意味のvoice
この書例が載っているんですね。15世紀前半です。 ラテン語の文法書の中で使われていまして、まさにpassive voice
受動体、受け身というふうに使われているんですね。 まさに我々が知るパッシブボイスのような使い方のあのボイスの最初の例ということになります。
英語における最初の例です。 英語におけるというところがポイントで、このvoiceという単語自体はフランス語ですので、
むしろフランス語側でですね、文法用語としてタイというのが使われていて、それを英語も借り受けたという順序であればわかるんですが、そうでもないんですね。
どうも大陸でのこの意味での使用よりも英語の方が早い。 15世紀前半ということである意味では英語で作り出した。
そういった用語の可能性があるっていうことなんですね。 ところがですね、さらにOEDのvoiceの項をじっくりと読んでいきますと、そしてmiddle english dictionaryという中英語の辞書ですね、これも合わせて調べていくと面白いことがわかってきます。
voiceがですね、名詞の格、主格とか対格っていうあの格ですね、現代英語の文法ではcaseと言っているものです。 このcaseの意味でvoiceを使っていたという例があるんです。
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さらにですね、人称、現代英語の文法用語ではpersonというふうに言いますね。 1人称、2人称、3人称、あの人称です。personというふうに今では言っていますが、この人称personの意味でやはりvoiceが使われていたという事例があるんです。
つまりですね、このvoiceは英語ではですね、いろんな意味に、文法用語としていろいろな役割で使われてしまっていて、何が何だかある意味わからなかったという時代があったっていうことです。
中世後期から近代初期にかけてなんですけれども、動詞のカテゴリーを表す体ですね。今でいうところの柔道体、能動体のあの体です。を表すこともあれば、名詞のカテゴリーである格、今でいうところのcase、これに相当する場合もあれば、さらに主語の人称ですね。
1人称、2人称、3人称、あのpersonの意味を表すこともできたと。voiceはその意味では文法用語として非常に多義的だった。あるいは一人の文法家がすべてのものにvoiceを使ったというよりは、いろいろな文法家が勝手にvoiceという単語を異なる役割に対応させていたと、そういうことではないかと思うんですね。
さらにですね、この状態と関連して、ラテン文法で体、voiceですね。これを何というかというと、ラテン語の用語としてはgenusということが多いんですね。そしてこのgenusというのは、実は英語のgenderの語源ということでもあるんですね。
そして英語のこのgenderというのは、文法用語として使われるときには、普通名詞のカテゴリーである性、性別の性ですね。男性名詞、女性名詞、中性名詞のような、あの性を表すんです。
ラテン文法としてのgenusは体だったんですよ。voiceの意味だったんですが、英語ではそれに由来するgenderという用語が、今度は名詞のカテゴリーである性に使われてしまっていると。
とするとですね、この辺の文法用語というのはですね、文法カテゴリーを示すのに、いろいろとですね、流用されていた。必ずしも一貫していなかったということなんではないかと、そんな匂いがしてくるわけです。
振り返ってみると、voiceにせよ、case、person、それからgenderにせよですね、いずれもあんまり中身のない単語なんですよ。形式名詞と言っておいてよいと思います。
もちろんvoiceには声という基本的な意味がありますが、言葉の問題を語っているときに、文法を議論しているときに声っていうのは、言葉って声ですから、大して意味のある用語ではないんですね。それからcaseというのも文字通り場合っていうことですよね。
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いかにも形式名詞っぽいです。personというのもですね、人というのが原理ですから当然。これもですね、非常に一般的な抽象的な形式語と言っていいです。そしてgenusとかgenderっていうのも、これはもともとkind、種類ぐらいの中身のない、非常に広すぎて抽象的すぎてぼやっとした用語。
これらを名詞のカテゴリーであれ、動詞のカテゴリーであれ、いろんなものに当てはめたんではないかと。その当てはめる際に各文法家、個人がですね、それぞれ好きなように、完全に好きなようにではないとしてもですね、そこそこ勝手に割り振ったんではないかと、そんなふうに思われるんですね。
日本語の用語にしても結局そうですよね。たい、かく、にんしょう、せいというのも、かなりゆるい抽象的な形式名詞的なですね、匂いがするそれぐらい抽象度の高い単語、用語を使っているっていうことになります。
どの文法カテゴリーに当てはめてもそこそこ成り立つんではないかというくらいの中身のない単語、用語を当てがっているっていうことになりますよね。
なので、文法用語って意外とそんなもんかもしれないっていうことになってくるんですね。
なぜ声が受動体、能動体の体になるのか、あまり深く考えすぎてもわかってこないっていうのはこのあたりにあるんではないか。
とにかく種別、種類、これぐらいのことを言いたいんですが、いろんな種別とか種類って文法的にはありますので、動詞で言えば、たいもありますし、にんしょうもありますし、たとえば、じせいっていうのもありますし、ほうっていうのもありますよね。
名詞で言えば、かく、すう、せい、このようにそれぞれのカテゴリーと言いますか属性があるので、すべてある意味種類なんですよね、種別なんです。
一つ一つ別の用語を当てがおうとすると、足りなくなっちゃうんですね、単語用語が。
なので、ゆるい言葉をたくさん持ってきて、場合によっては、文法家によっては、かなり自由にある用語をある文法カテゴリーにひも付けているという、それぐらいのものなんではないかなということです。
考えすぎないほうがいいのかもしれませんね。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
12:04
文法用語をめぐる問題でしたけれども、このヘルディオの過去の回としましては、文法用語を扱った回、もう一つありまして、525回。
多動詞、transitive verbって一体何?ということで、多動詞、自動詞というあの用語ですね、transitive verbと intransitive verbというふうに用語ができていますけれども、このtransitiveって一体何?これに迫った回です。
今日の話題ですね、関心がある方は、おそらくこの525回、文法用語の回についても関心を持つのではないかと思います。ぜひ聞いていただければと思います。
それからですね、受動体つながりで2つほど、比較的最近2つですね、配信しておりますので、そちらもご案内いたします。
まずはですね、517回、関節目的語が主語になる受動体は、中英語記に発生した。
もう一つは、617回、受動体における動作詞の前置詞の歴史ということで、受動体周りの話題についてかつてお届けしていますので、合わせて聞いていただければと思います。
525回、517回、そして617回、この3本についてどうぞ合わせてお聞きください。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
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先ほど関連過去回を皆さんに紹介しましたけれども、リスナーの皆さんのほうで、これも関係するよという回について何か覚えていましたら、私の記憶飛んでいることも多いですので、むしろ皆さんのほうで最近聞いた過去の回、関連するという回がもしありましたら、
コメント欄にその放送の回、番号を共有していただければ幸いです。
それでは本日は日曜日ですね。
今日も皆さんにとって良い休日となりますように。
ほったりうちがお届けしました。また明日。
14:40

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