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2024-08-16 10:01

heldio #27. なぜ gh のスペリングは無音なの?


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ gh の綴り字は無音なの、という話題です。
これは多くの英語学習者の皆さんが、初学者の時に思っていた疑問なんではないかと思うんですね。
gh と綴り字で書くんですけれども、大抵これ無音なんですね。発音されない意味ですね。
例えばですね、動詞の活用形なんかに多いわけですが、think, thought, thought という時のこのthought
thought となりますよね。
それから bring, brought, brought なんかもそうですね。
それから teach, taught, taught これは taught となりますが、これもやはりですね gh が綴り字には含まれているんですけれども、
発音としては全く無視されているという感じですね。
thought, brought, taught のような形です。
もちろん他の一般の単語にもいくらでもありまして、例えば high って言った時に high ですよね。
それから night, night という時の gh
これも綴り字としては存在するんですけれども、発音としては無いかのように発音されるというわけですね。
この gh っていうのは一体何なのかということになってきますね。
ざっと600年か700年ぐらい前まではですね、この a 単語、gh を含む a 単語はきっちりこの gh が発音されていたんです。
どういうふうに発音されていたかと言いますと、ドイツ語では現在でもですね、ch と書いて発音される音があるんですが、これ
って音ですね。 if とか au という時の s とか h という音ですね。
これが実は同じゲルマン系の言語ですので、英語にも全く同じ音があったんです。
例えば thought, brought, taught
high, night という単語を先ほど出しましたが、これはですね、小英語から中英語にかけて、中英語ぐらいではですね、どういうふうに発音されたかというと、この h とか h っていう音をしっかり
響かせてですね、発音されていたんですね。例えば thought, brought, taught, he, need っていった具合ですね。
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それぞれ h とか h というシーンがですね、きっちりと響いていたんです。
ところがこの14世紀、15世紀ぐらいからですね、この h とか h という gh で表されるシーンがですね、徐々に弱まってきたんですね。
この h とか h, 日本語で言うとこの俳優の h とか h に聞こえるわけなんですけれども、これがだんだん弱まってですね、結局は失われていきます。
その結果ですね、現在に繋がるようなシーンが脱落した形の発音ですね。
thought, brought, taught, high, night のような発音になったということです。
ただ、この日本語でもですね、この h とか h 、俳優音に聞こえるということは、実は重要な意味を持ちまして、実はこのですね、俳優音がですね、
はっとかひっ、ではなく f の音で認知されたというようなケースもありまして、それが実はですね、gh と書いてあってもですね、
きっちり f で発音する単語っていうのが一定数、現代語にもしっかり残っているんですね。
皆さん、上がるでしょうか、この例が。実は付近な単語、日常的な単語でいくつかあることがわかると思うんですね。
例えば enough なんてのはそうですね。それから laugh それから r で始まる rough というのもあります。それから tough なんてのもありますね。
つまり、この enough、 laugh、 rough、 tough のような単語では、他のですね、先ほど挙げたような単語と同じような、だいたい ogh とか augh というふうに綴るんですが、この gh に関してはふというふうに読むわけですね。
これはもともとが augh とか kh っていう、f に遠くもない音だったということが関係しています。
それが完全に消え失せてしまったタイプのものと、これを過労死で f で聞き取ってですね、不として残ったものと、2種類があるということです。
これはですね、どれが無音になって、どれが f で残ったかっていうのは本当にランダムで、わからないですね。
これ理由は、なぜこの単語が無音になって、こっちが f になったのかっていうのは、よくわからないままではあります。
統計的に見てみますと、この gh という綴り字ですね。これは大抵ですね、単語の語尾に起こりますね。これが7割ぐらいがほとんど語尾です。
gh、t も含めて、t のものが多かったと思うんですけど、この t は含めてなんですが、全体として語尾、単語のお尻に現れるのが圧倒的に多くて7割ぐらいっていうことなんですね。
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それから、綴り字的には、ough であるとか augh とか、high、night のように igh ですね。この辺だけでですね、やはり3分の2ぐらいいってしまいますね。
そして、だいたい無音になるっていうのが圧倒的で、これが7割ですね。
そして f で読むものっていうのが1割ぐらい、さっきの enough とか tough とかの類ですね、っていうことなんですね。
実は他にも可能性があって、非常に少ないですけれども、誤答に現れる gh っていうのがあるんですね。
例えば ghost なんていうのが典型例ですね。それから国名の Ghana なんていうのもありますが、これ gh なんですが、
これらはほとんど例外と言っていいほど数は少ないですね。この場合には、gh は無音でも f でもなくて、g で、g の音で大抵読むわけですよね。
ということで、gh ときたらですね、綴り字できたら、英単語には少なくとも3つの読み方があることになります。
まず圧倒的多数が無音です。読まないというものですね。それから一定数の単語が語尾において、 f で読むっていうのがある。
enough、tough ですね。だからさらに少ないんですけれども、誤答に典型的に現れて、
h がないかのように、g だけで読む。g と読む。
ghost とか、ghana とかですね。こんな単語がちょろっとあるということで、少なくとも3つぐらいの発音が対応してしまっているということになります。
このように英語の綴り字はですね、これはあの2文字1セットで考えるこの gh という単位で考えていますが、このように
ある1つの文字あるいは1セットの文字が様々な発音に対応してしまっているということが非常に英語の場合多いんですね。
つまり、綴り字1に対して発音が綺麗にピタッと1でイコール関係になってくれない。
綴り字1に対して発音は普通複数あるということなんですね。
この gh の場合は3つとか、もうちょっと実はあるんですけれども、それぐらいで済むんですが、それ以上の関係1対2、3では済まずですね。
1対8とか9とか10とかそれぐらいのものもあって、英語のスペリングと発音の関係を非常にややこしくさせているということです。
これを歴史的に見ますと、実際 gh はもともとは1つの読み方しかなかった。
ハとかヒっていうような、ハ行音で読んでいたということが間違いないんですけれども、その後の歴史であるものはこのハヒという音が消えてしまった。
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多数派なんですが、そしてあるものはこれがですね f の音として生き残った。
そしてあるものはまた別事情ではあるんですけれども、h がないかのようなグの発音で実現されたというように、様々複雑な理由がですね、英語の歴史の各段階で生じて、
そういった例外的なと言いますかね、複雑な事情が積み重なって、現代以上に厄介な通り字と発音の関係を体現しているということなんですね。
他の gh に留まらず、他の多くのスペリングについてもこの事情は当てはまります。
その中の典型的なものが gh ということで今回紹介しました。
それではまた。
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