数詞の発音の謎
英語に関する、素朴な疑問です。 なぜ数詞 two は「トゥー」と発音するのですか、という疑問に迫ります。
この疑問は、実は関連するoneに関する疑問ですね。 これは別の機会に扱いましたが、
なぜ数詞oneはoneと発音するのですか、という疑問とセットで考えると面白いと思います。
数詞oneは、スペリングにwがないにも関わらず、oneというふうにwの音が出るわけですよね。
一方、数詞twoに関してはtwoと書きます。 wがスペリング上入っているにも関わらず、発音上はこのwを発音しないわけです。
もしこれwを発音すると、twoになるはずですよね。
ですが実際には、前置詞のtoであるとか、副詞のtooと書くあの単語と同じ発音になります。
twoです。つまりtwoとなっていません。
oneはwが書かれていないのに発音される。 twoはwが書かれているのに発音されない。
英語はこれぐらいとんでもない言語だということになります。
スペリングと発音の関係が一致していない。
これが非常に基本的な単語であるoneとtwoだけ見ればわかるということなんですね。
この数詞に関しては、1から10までに限ってもいいですね。
これだけの数詞で実は1時間しゃべることができます。
場合によっては本も書けるのも忘れないというぐらい、非常に多くの話題、ネタでしゃべることができるんですけれども、
今回はこのoneに続いてtooの話です。
なぜ数詞tooはwが入っているのもかかわらずtooではなく単にtooと発音することになっているのか。
このような問題として考えていきたいと思います。
実際too関連の他の語はちゃんとwで発音されています。
例えばtwelve、twenty、これちゃんとwで発音されています。
他にtwin、双子です。これは二人の子ですね。だからtwinというふうにwで発音しています。
他にはtweenという単語があります。
これはmarktweenのtweenなんですが、これにひろという単位ですね。
markというのは深さの単位でにひろ、tweenというのはtoのことなわけですが、
ここではtweenというふうにwは発音されています。
基本は発音されるということなんですよね。
今このmarktweenのtweenについて述べましたが、
このtweenというのは実は子英語の2を表す数詞の男性形の形なんですね。
トゥエイエンといったんです。
この中性形、女性形が実はトゥワーという形で、これが現在のトゥにつながっています。
男性形ではなくたまたま中性形とか女性形に相当する形が、
現在の最も普通のトゥという単語の合計に残っているということなんですね。
この中性形、女性形ですらtwaというふうに英語では書いたんですが、
ちゃんとwで発音されていたんですね。
twaです。
ところがこのtwaという子英語の形が後に発音変化を起こしてきます。
どういうふうに変わったかと言いますと、まずtwaだったわけですね。
このwというのはある意味uの音ですね。
これを短くした一種の半声音、半真音ですので、uの音です、実際上は。
このuの発音の影響で次の母音が丸みを帯びていくんですね。
twaだったものがtwoという形になっていきます。
さらにこれがtwoとなって、ついにはuの音になってしまいます。
つまりtwoですね。
このwuと書けるようなこのwuという音は非常に発音がしづらいんですね。
現代語にないわけではありません。
例えばwood、森とか木材、woodですね。
あるいは日本語ではwoodと言っちゃいますが、これはwoodという発音ですよね、英語には。
同じようにケイト、これは日本語ではウールと言い習わせていますが、英語的にはウォウという、wuなわけです。
この発音は英語に確かにありますが、英語ですら必ずしも発音しやすい音ではないんですね。
とりわけ前に別の信号のような場合には発音しづらくてこのwは消えます。
twoがtwoとなるわけです。
つまり、古英語の中世系、女性系のtwoは長い変化の道のりを経て、ついにtwoになっちゃったわけです。
two、two、two、two、twoという形です。
とりわけtのような前に別の信号がある場合にはこれが起こりやすかったという事情があります。
これは一般に15世紀、16世紀あたりにこのw音が脱落して、現代風のtwoになったとされていますが、
私の調査によりますと、方言によっては実はもっと早くて1300年前後にwが落ちていたという証拠があります。
他に類例を挙げますと、誰を意味する、疑問詞whoもそうですね。
これもwhoと書いて、つまりwというのがスペリングにあるわけですが、決してw風の音は出ませんね。
whoですから。hooと書いた方がふさわしいような発音になっています。
これも元々古英語でふわーという発音でした。
つまりとわーと全く同じ形でふわー、ふおー、ふおー、ふうー、ふうーとなっていきます。
hwuと書いてふさわしいようなふうーという形が言いにくいのでwが消えて今ふうーになっているわけです。
実はもう一つの疑問詞であるhowも似たような変化を経て、結局wh、疑問詞と言いながら最初whで始まっていないというのはこれと関連する話題ではあります。
もう一つ類例を挙げておきますと、例えばswordの発音ですね。剣、刀です。swordと書きますが、これは決してスウォードと発音せず、wがないかのような発音、つまりソードという発音になりますね。
これも似たような理由です。wというのは消えることが結構多いんですね。
最後に一つ非常に日常的な単語でanswerであります。あれw、綴り以上はありますが発音されませんよね。これと関係します。
このw音をめぐる話題、とりわけこの数字toに関する話題はHelogの184番、それから1324番をご覧ください。